TOP  <<#45 戻る #47>>



切レ… 泣イテナイデ…
『切ルンダ』…………


#46 囚われのルーシー





●今月のウルジャンは「SBR」が表紙を飾ります。ジャイロルーシーをお姫様だっこしてるかのような、あるいは2人でダンスを踊っているかのような、そんなイラスト。いかつい顔したワイルドなジャイロ。しなやかで美しいルーシー。この2人の組み合わせは珍しい。ジャイロの手元では鉄球が回転し、それによって桜の花びらが軽やかに舞い散っています。人物のエメラルド・グリーンと、桜のピンクが鮮やかに引き立て合っていますね。
これはひょっとして、今年の土浦での桜くらべ展覧会に展示される新作イラストなんでしょうか?春らしい生命力躍動感が溢れたフレッシュな絵だと思います。


●トビラ絵はジャイロ・ジョニィ・ディエゴ・ルーシーの4人!それぞれが別の方向を見据えながら、前へ歩き出そうとしているイラストです。SBRレースに参加する目的も、「遺体」を集めようとする理由も、生きる姿勢も、まったく異なる4人。しかし、それでも大統領に立ち向かおうとする決意は同じ。今の彼らの状況が示されているかのような絵ですね。
つーか、あまりにさりげなくジョニィが立ち上がって歩いてるので笑っちゃいました。こりゃ、ジョニィが肉体的にも再び歩き出すのは確定?


16:39 PM フィラデルフィア独立宣言庁舎にて。前回ラストから、ほんの数分後。「切レ」「泣イテナイデ」「切ルンダ」という謎の声を聞いて、目覚めるルーシー。彼女が囚われている部屋の隣では、大統領の2人の側近の話し声。10巻から姿を消してしまっていた2人でしたが、ついに再登場!そこには負傷したスティールが横たわり、「彼の手当てはするな」との大統領からの命令が下されている模様。ルーシーの胎内に宿ったものも、今夜中には産まれるとの事。胎児とか乳児とか言ってますけど、「頭部」じゃなくて赤ちゃんが産まれてくるんでしょうか?謎です。
ルーシーが目覚めた事に気付いた側近ズ。「冬のナマズみたいにおとなしくさせておけ」との大統領命令を遂行すべく、彼女に近付いて来ます。薬を注射して眠らせようと向かって来ます。ただ、側近ズの顔付きが以前と違いすぎ。絵柄の変化もあるんでしょうが、もはや別人!大統領はむしろカッコ良く変化しましたけど、側近ズはいかにもなザコ顔に。無口な側近さん、以前は妙な威厳と不思議な存在感を醸し出していたのに、今となっては普通に喋ってるし、微妙な顔になっちゃって……。喋る方の側近さんも、なんつーか、その……老けた?


●愛する夫の負傷にショックを受け、彼の手当てを泣きながら要求するルーシー。しかし、彼女はあっさり側近ズに捕まっちゃいました。注射を打たれる寸前、またもや「切レ」との声。その声に導かれるように、おもむろにルーシーは自分の流す涙をガムテープのように剥ぎ取ると、刃物状となった涙で側近ズを切り付けます!何が起こったのか!?
次の瞬間には、涙は元の液体に。理解不能の3人。改めて注射を打とうとする側近(無口)は、床に転がった薬品の液体に滑って、側近(喋る方)の左眼にヘッドバット。これは痛い。そのスキに逃げるルーシーを追い掛けると、今度は薬品のビンを踏ん付けて、その破片がまた側近(喋る方)の左眼に突き刺さります。これは痛すぎる。
お次は挟み撃ち作戦でルーシーを追い詰めようと頑張る側近ズ。ところが、これまた注射寸前のタイミングでネズミが現れ、体勢を崩してしまったために、彼女はドアを開いてしまいます。そのドアにしたたかに左眼を打ち付けられる側近(喋る方)!この期に及んで、執拗に「冬のナマズ」にこだわる彼は何なのか?大統領の命令にただ機械的に従うだけの人間って事を表してるんでしょうかね?それとも、大統領の使ってた例えが気に入った?(笑)
最終的には、この騒ぎを聞き付けた護衛兵が、いきなりドアの向こうから登場したせいで、うっかり注射を護衛兵の首にブッ刺しちゃいました。そのため、護衛兵の持つ銃が暴発し、側近(喋る方)の左眼に直撃ッ!挙句、逃げ去るルーシーを追おうとした側近(無口)も、足元の血だまりに滑って、ドアノブに左眼を突き刺しちゃいます。『ドラゴンズ・ドリーム』で決定された大凶、プッチ神父に味方する運命、ポコロコの幸運……、これらを思い起こさせる、流れるような不運の連続の描写は見事!
なんと、まさかの側近ズ死亡!!一体、どんな過去と信念を背負い、どんな強力なスタンドや技術を使ってくるのかと楽しみにしていたら……。脅威の在庫一斉処分!荒木先生、恐るべし。


●この謎の現象は一体?側近ズが何度も左眼ばかりダメージを負っていた事から、ルーシーの胎内の「頭部」が「左眼球」を求めているせいなのかとも考えました。しかし、彼女が自分の涙を剥ぎ取ったのも左眼。さらに、剥ぎ取ってからは左眼からは涙が一切流れていない事実。これらと無関係とは思えません。そして、側近(無口)の足元で何かが邪魔してしまう事も。
「縁」を切ったり繋いだりする能力なのではないかと推測。ルーシーの左眼から「涙」を切り離した事で、もう左眼は泣く事がない。その「涙」は左眼との「縁」。それによって切り付けられた者は、「左眼」に「縁」を繋げられてしまい、何かを「左眼」へと引き付けてしまう。そして、「縁」「円」繰り返す運命。螺旋を描きながら上昇していくかのように、「左眼」へと引き付ける力はどんどん強くなり、エスカレートしていく。やがては「左眼」を潰して破壊してしまう程の引力となってしまう。……とか?
これはルーシーに発現したスタンドではなく、彼女の胎内にいる者(=彼女に語り掛けてくる者)の能力なのだと思います。彼女は最後まで無能力者であってほしいんで。でも、こんな能力が彼女の手助けをしてくれるのは、きっと「遺体」が1つに揃おうとしているからこそなのでしょう。そのために必要な力。ただ、この力が大統領の『D4C』を打ち破る鍵となるのかもしれませんね。
右眼から流れる涙も切り取ったルーシー!今まで泣いてばかりだった彼女。しかし、涙を武器にする事で、もう涙を流す事はなくなる……っていうのがカッコイイ演出ですね。最愛の夫の最大の危機!いよいよルーシーも覚悟を決めて、大統領に立ち向かうのかッ!?


★今月はなんと29ページ!!私が記憶している限り、「SBR」史上最少のページ数でした。非力なルーシーがメインだと、いつも以上にハラハラして盛り上がるのは確か。でも……、う〜む、物足りない……。表紙イラストやら「ルーブルの露伴」の原稿やら、荒木先生はきっと大忙しなんでしょうけど、それでもやっぱり「SBR」ももうちょっと読みたかったってのが本音ですね。側近ズも期待外れでした。こんな最期だなんて。まあ、残るは大統領ただ1人って感じになりましたので、次回以降を楽しみにします。
作者コメントは「京都へ行った。「舞妓さんだッ」って言ったら、「あれパチもん(にせ者)や」って地元の人に言われた。」との事。このシュールさ、まさしく荒木先生のコメント!(笑)何のために京都へ行かれたのか気になるところ。ただの旅行なのか、それとも取材か何か?




(2009年3月18日)




TOP  <<#45 戻る #47>>

inserted by FC2 system