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どいつも こいつも おまえらを!!
今度 追撃するのは 僕らの番だ!!


#48 デラウェア河(リバー)へA





●トビラ絵はルーシー・ジャイロ・ジョニィの主役トリオ!ハッとしたような表情で正面を見つめるルーシー、そしてバックにジャイロとジョニィが描かれています。鐙を肩に掛け、顔が影で隠れたジャイロ。実に西部劇風でシブイ。ジョニィは何を思うのか、手を組んで座ってます。
ジョニィの吐息が白く描かれているからか、どこか冷たい空気が感じられる絵ですね。まあ、作中では12月28日なんだし、寒くて当然か。


●大統領に見付からぬよう、こっそり自分のスカートにペンでメッセージを書き記すルーシー。

「船の名はブルー・ハワイ号 Lucy S.」

さすがに幾度も窮地を切り抜けただけあって、こんな絶望的状況でも冷静かつ的確に行動してますね。逆境慣れした14歳の女の子。
そんな彼女も夫の命の危機には取り乱し、必死に大統領へ「治療して!」と訴えてます。大統領は余裕顔で「数十分で着くし、治療する設備もあるよ」「おとなしく着いて来れば、みんな幸せになれるよ」と答えますが、信用なんて出来るワケも無し!大ウソつきとまで評してます。夫は人質として生かされているだけで、全てが終わったら始末されるはず。彼女は覚悟を決め、「涙のカッター」で大統領に攻撃ッ!しかし、それも虚しく交わされちゃいました。能力を知られてる以上、不意打ちも通用せず。
男が女に、女が男に惹かれる基準。それは愛だとか好き嫌いなんかじゃなく、自分にとって相手が「吉」であるかどうか。「遺体」はすでに自分の味方。だから、「遺体」を宿したルーシーも「吉」の存在。ルーシーに迫りながら、大統領は語ります。メリットや利用価値があるかどうかだけで人を判断する、大統領らしい利己的な本質が表れた持論です。そして、自分の「大吉」を信じて疑わぬからこそ、ルーシーにも「流れに身をゆだねろ」などと囁いております。プッチ神父にも似た、運命の超越者の余裕でしょうか。


●その時、大統領はルーシーのスカートの破れを発見。用心深く辺りを探り、いつの間にか鉄柵に付けられたメッセージを見付けると、ビリビリに破り捨ててしまいました!う〜む、油断ならない男。余裕はあっても、決して注意は怠らない。以前はけっこうオマヌケなミスが多かった大統領ですが、いよいよ抜かりのない強敵になってますね。変わったのは体型だけじゃないぜ!
怒気を孕んだ眼光でルーシーを睨み付ける大統領。怯えるルーシー。激昂してルーシーをボコボコにブン殴るのか……と思いきや、なんと真逆のリアクション!「君が望むならスティールは殺さない」と、「遺体」に誓ってくれました。遺体は大統領の味方大統領は「悪」ではない?大統領の意外な姿を目にし、ルーシーの胸中に過ぎる疑問。確かに大統領、カッコイイです。……とは言え、果たしてどこまで信じていいものやら。まあ、実際、ここでルーシーを怒鳴りつけたり殴ったりしたって大差ないのにしなかったのだから、本音も混じってはいるのかもしれませんが。
しかし、蜂に刺されまくった馬車のおっちゃんもキッチリ始末。紳士的な態度のまま、おっちゃんを「隣りの世界」へ送り、消滅させちゃいました。お茶目なギャグみたい描かれてますけど、その名の通り、いともたやすく行われる えげつない行為ですな。側近ズもおっちゃんも始末し、これでルーシーを追う手掛かりは無くなった!こんな外道が「悪」でなくて何なのか!?


●ブルー・ハワイ号が去って行き、海面には大統領が切り裂いたルーシーのスカートの切れ端が。そこに鳥のフンが落ち、それを食べに来た魚が切れ端を港の方へ移動させます。それを下水溝から飛び出たネズミが咥えて、持って行ってしまいました。すると、勢い良く走る馬が切れ端を踏ん付け、風に吹かれて、再び鉄柵に張り付いたのです。破かれたにも関わらず、切れ端同士はピッタリとくっ付き、文字もちゃんと読める状態。
この動きは……?そうです。この偶然の連続は、運命の固定。「涙のカッター」の能力。先程、ルーシーが切ろうとしたのは大統領ではなく、スカートの方だったのです!あの土壇場でやってくれるぜ、ルーシーちゃん!

「正義」はいったい誰なのか…?
「流れ」に身をまかせろというのなら
それも「流れ」だ……


「正義」「悪」、この言葉が「SBR」で語られるのは極めて珍しい。レースという設定上、勝ち残れるのは1人だけ。そこには「正義」も「悪」もなく、あるのは欲望と祈りだけ。生き抜けるのは、生きる意志が強い者だけ。そんな物語でしたが、このクライマックスに来て、ついに「正義」と「悪」の概念が重要になってきたのかも。前回、ジョニィが「正義」も「悪」もどうだっていいと叫んではいたものの、やっぱしイエス様が絡んできてますからねえ。「遺体」は、そして大統領は「正義」なのか?ジャイロやジョニィは「悪」なのか?「正義」とは、「悪」とは、何なのか?
ルーシーが「流れ」に身をまかせようとするのも、それを確かめたい気持ちがあるのかもしれません。「ジョジョ」的には、「正義の道を歩む事こそ運命」なワケですから、その流れの向かう先に真の「正義」があるはずです。その時に立っている者は誰なんでしょうか?いろんな意味で気になる展開です。


●白馬から降りる男、それはディエゴ!どうやらさっきスカートの切れ端を踏ん付けて行ったのも、彼らだったみたいです。しかし、ディエゴは大統領の匂いを見失ってしまった模様。焦ってます。ただ、彼は『D4C』の致命的な弱点を発見したとの事。マジか!?一体、どんな弱点でしょう?なるほど〜、と納得できるようなものならいいんですけど。
ディエゴは大統領ではない、不審な匂いを察知!一気に飛び掛かろうと大ジャンプしたまでは良いのですが、不審者の正体はホット・パンツ!あらかじめ分離させて街灯の影に隠れてた左手に、まんまと肉スプレーで鼻と口を塞がれちゃいました!襲い掛かる恐竜共も同じく肉スプレーで窒息。復活のH・P!華麗なり!やっと役者が揃ったって感じ。『シビル・ウォー』に心を折られたせいか知らないけど、普通に女言葉になってますね。でも、いきなり問答無用で攻撃してくる所は変わんないな(笑)。
窒息寸前のディエゴ、なんとH・Pの唇をズギュゥウゥンと奪っちゃいました!肉越しだから本当のキスではないとは言え、さすがDio!俺達に出来ない事を平然とやってのけるので、シビれて憧れます。これではH・Pも呼吸が出来ません。たまらず彼女はスプレーで口を移動させ、ディエゴに語り掛けます。
あるいは、『クリーム・スターター』を解除した後、H・Pも息を荒げていたので、あれは本物の口ではないのかもしれません。肉を変形させて、形だけ口に似せたもの。それを操って、さも彼女自身が喋っているかのようにしただけなのかも。なんで本当の口を移動させなかったのかというと、あまりにもディエゴの口と密着しすぎているため、どうしても彼の口も一緒に移動せざるを得なくなってしまっていたから……とか?


●H・Pが持ち掛けたのは、ディエゴとの取り引き。ルーシーをスカーレットに変身させたのはH・P。それゆえ、肉スプレーはルーシーの匂いを記憶している。大統領を見失っても、ディエゴならルーシーの追跡は可能。ルーシーのそばに大統領と「遺体」はいるはず。「遺体」はH・Pがもらい、それ以外の全てはディエゴのもの。そういう取り引きです。しかも、H・Pはなんとディエゴの父親を知っていました!ダリオという1部と同じ名前も、彼の過去の情報も……。ヴァチカンに目を付けられる程の悪党なのか、はたまた、自分の罪を悔いて懺悔にでも来たのか。まさか父親のエピソードまで絡んでくるなんて驚きです。
それらと引き換えに、自分と手を組めと言うH・P。父親の件ではさすがに動揺したらしいディエゴ、ようやくH・Pを解放。「WRYYYY」と興奮して彼女を襲おうとするも、もはや時間がない。怒りを抑え、H・Pと同盟を結ぶ事に。ウェカピポの次はH・Pか……。でも、彼女から父親の事を聞き出すまでは生きててもらわないと困るし、当面は裏切りの心配はないかな。逆にH・Pの方が、ディエゴを利用するだけしてから裏切ったりして?
あと、どうでもいいっちゃどうでもいいけど、ディエゴのスタンド名は正確には『スケアリー・モンスター』ですね。『スケアリー・モンスターズ』はフェルディナンド博士の方だね。ディエゴは「左眼」を奪われても、スタンド能力が残っている事も明らかになりました。能力を完全に引き出して極めたら、自分のスタンドとして固定されるって事?


●ここでやっとこジャイロ&ジョニィの主人公コンビ登場!橋を急いで渡るディエゴの姿を双眼鏡で確認。ジャイロは、敵であるディエゴに「3(サン)キュー 4(フォー)ever」と新ネタで感謝してます。「絶対殺すな!」ってジョニィに怒っといて、「いつかあいつをブッ殺してやるが」なんて言ってるし。まあ、いつもの軽口でしょうし、彼のこういうノリは大好きです。
ジョニィは、ディエゴの隣を走るH・Pを発見。口には出さないけど、どこか気になってる様子が窺えますね。そして、彼らの動向を見ただけで全ての流れを察知!解説王は分析力もハンパじゃない。闘志をギンギンにみなぎらせたジョニィは、自分の行く手を阻むあらゆるものに宣戦布告ッ!!

どいつも こいつも おまえらを!!
今度 追撃するのは 僕らの番だ!!


くう〜っ……、燃えるぜ……ッ!今まで振り回され放題のやられ放題だったから、鬱憤もたまってた事でしょう。しかし、新たな希望の火を灯したジョニィはもはや無敵!今こそ逆襲の時です!ジャイロの飄々とした表情も相まって、ホントにカッコイイ!


●再びディエゴ&H・Pへ。橋を渡り終えてしばし走ると、やがて線路近くの港に停泊するブルー・ハワイ号が見えてきました。病人用の担架が外に捨てられている事から、スティールも一緒にいる事と船から列車に乗り換えた事を推測。列車はまだ加速していないので、追いつけるスピード!つーか、あっという間に船から降りちゃったよ。たかだか数十分の移動なのに、随分と手の掛かった事をするね。
H・Pは、車両のつなぎのドアの場所に大統領の姿を確認。そんな所で何をしているのかと思ったら……、次の瞬間、列車のドアが開いて何かが突き落とされるッ!それは、なんともう1人のディエゴとH・P!!大統領は彼らの追跡などとうに気付いており、「隣りの世界」から2人を連れて来たのです!「隣りの世界」では、すでに2人が列車に乗り込んで来ていたんでしょうね。
何が起きたのか分からずにうろたえるH・Pと、何が起きたのか知っているからこそ恐怖するディエゴ。もう1人の自分と出会ったなら、ウェカピポのように消滅してしまう!マズすぎる!これ以上はないってくらいのナイス足止め。どうやって切り抜ける!?……ってなトコで次回に続く。とりあえず、1つの世界に自分が2人いるってだけなら、まだセーフって事がハッキリしました。出会ったら(互いに認識したら)アウトのようです。それなら、肉スプレーで馬の中にでも潜ったりすればやり過ごせるか……?
大統領の強さがどんどんスゴイ事になってますな。能力はもちろんですが、本人に隙が無くなってきた。さらにもっともっと魅力的な敵になってほしいので、彼の生い立ちとか内面も濃く描き、個性をガンガン強めていってほしいもんです。あと、アクセルを殺した時から、大統領の「チラリ」がやたら増えてますね(笑)。持ちネタになってるよ。


★今月は49ページ!なかなかのページ数で、展開も盛り上がって来てます。が……、なんと来月は休載ッ!そんにゃああ〜〜……、そりゃないっスよ……。最近は減ページのみならず、休載も増えていて、ディ・モールト残念すぎます。いろんな仕事を幅広く手掛けるのもいいんですが、やっぱ「SBR」を毎月63ページ読める事が一番だなあ。
今月の作者コメントは「忘れ物しないようにと8万円もする傘買ったが、甘い考えだった。失くした。」との事。相変わらず忘れっぽい性格みたいです。切ない事件だけど、8万もする傘をフツーに買える事がスゲえ。失くした時は奥さんにこっぴどくやられちゃったりしたんでしょうか?(笑)



(追記)
●ディエゴが発見した『D4C』の致命的な弱点とは何なのか?結論から言うと、ディエゴは大統領を水中に引きずり込む気なのではないでしょうか?
まず、『D4C』がいくら大規模で強力なスタンド能力であろうと、大統領本体はあくまで普通の人間。100mを5秒以内に走る事も出来ないし、火に触ればヤケドもするし、銃で撃たれりゃ死ぬ。『メイド・イン・ヘブン』で時を加速しても、プッチ神父自身がイルカのように泳ぐ事は不可能だったのと同じ理屈ですね。つまり、水中に沈めば数分で溺れ死ぬってワケです。海や河なら、すぐそばにありますしね。
しかも水中なら、次元を超えるために必要な、大統領や敵を挟む2つの「面」が作りにくい。周囲に水しかなければ、恐らく『D4C』の本領も発揮できないでしょう。仮に、水をも「扉」に出来るとか服か何かを利用するとかで、どうにか「隣りの世界」へ移動できたとします。きっと、それでも解決には至らないはず。「隣りの世界」とは、「基本の世界」に極めて近い世界。行き来できるのは、異なる世界の同じ地点のみ。それが強みでもあり、弱みでもあるんです。「隣りの世界」に行ったところで、その先も同じ水中だし、パラレル大統領もまた水中で溺れかけているに違いありません。2人の大統領が融合したって、何の意味もなく2人一緒に溺れるだけでしょう。
唯一の問題は、ディエゴが「隣りの世界」に送られ、消滅させられる危険。『D4C』のパワーやスピードも油断は出来ません。ですが、常人の身体能力しか持たない大統領とは違い、ディエゴは恐竜の驚異的な肉体を持っています。真っ向からガッチリと組み合う事さえ避ければ、肺活量などから考えても、自ずとディエゴの勝利が訪れるはず。水中に落ちた大統領に、ロードローラーかヨットでもブチ当てて沈めてやりゃあ一発ですよ!
……ただ、水の底に沈めるオチはマジェントですでに使われてますからね。もしディエゴがうまく大統領を沈められたとしても、何らかの手段で切り抜けてくると思われます。むしろ、逆に返り討ちにされるかも。個人的には望まない展開だけど、ディエゴの方が海底に沈められ、100年の長き冬眠に就く……なんて1部チックなリタイアをする可能性も?
とにかく、『D4C』の致命的な弱点とは、「隣りの世界」も「基本の世界」と同じような状況・環境でしかない点にあるのです。大統領にとって不利な状況、過酷な環境を「基本の世界」で作ってしまえば、そこからの脱出は困難となるでしょう。そこを突くってワケです。




(2009年5月17日)
(2009年5月18日:追記)




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