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この水際ギリギリの 場所で
あの 「ヴァレンタイン」と 結着をつけるッ!


#57 正義と邪悪C





●さあ、今月のウルジャンは「ジョジョ」シリーズ通算100巻到達記念荒木祭りッ!!コミックス派の方々も今月ばかりは買わなきゃ損々、ノらなきゃ損々であります。
さてさて、栄光の荒木祭り1発目!まずは超美麗の表紙イラストから!寄り添い合うジャイロ・ジョニィ・ルーシーの主人公ズ!後方には鉄球とチュミーちゃんACT2も浮かんでます。ジャイロは雄々しくクールに、ルーシーはあどけなくキュートに描かれていますね。そしてジョニィは、不敵な笑みというべきか、穏やかな微笑というべきか、そんなSEXYな表情。けっこうガタイも良く、この長い旅の中で彼が逞しく生長した事を窺わせます。彼らの髪の毛がブワァァッっと逆立っており、上昇するエネルギーを浴びているかのような感じ。「空間のスキ間」にでも入っているみたいな表現です。
カラーリングも実にシブくてカッコイイ!これは「空間のスキ間」というより、暗闇の中の一条の光明?暗く深い絶望の底から、微かな、でも確かな希望を見出して戦う彼らの姿そのものかもしれません。クライマックスに相応しきイラストでした。


●荒木祭り2発目!本編の感想です。トビラ絵は、鉄球を手に立ち、まっすぐにこちらを見つめるジャイロ。……なんでしょう?微妙に不吉な予感が走る絵です。いやいや!私はジャイロは死なないとずっと言い続けているし、今でもそう思ってますよ。でも、相手は荒木先生だし、心臓や首の血管に傷を負っているワケですしね。ちょっぴり怖いです。
ただ、100%の確定じゃないにせよ、すでにディエゴが死んでいます。だからこそ、逆に希望も持てるというもの。幼少時代からジョッキー時代のジョニィとの因縁、4th.STAGEでのジャイロとの因縁、そして「遺体」を巡る因縁。そういった様々な因縁を持ちながら、全て宙ぶらりんのままディエゴは散っていったのです。ジャイロやジョニィと再戦する事もなく、死んでしまったのです。これは荒木先生が、ジョースター家やツェペリ家をDIOとの因縁から解き放とうとしているかのよう。新たな世界に突入した「ジョジョ」という物語には、DIOとの永い永い戦いの運命など必要ないのかもしれません。DIOとの因縁が、有りそうで無い世界。それをキッチリ描くため、あえて中途半端な場所でディエゴを退場させたのでは?
そう考えると、「ジョジョ」の読者にとっては名前そのものが死亡フラグの「ツェペリ」も、大きく運命が変わるのではないかと思うワケです。DIOとの因縁すら解き放った世界なのだとしたら、ツェペリが死の運命を乗り超えたって、なんら不思議はありません。そんな都合の良い期待を抱きつつ……。ジャイロが死刑執行人として、医者として、人の命とどう向き合っていくのか?その「答え」を見付け、生き抜いていってくれる事を祈ってます。


●『D4C』に切り落とされた腕、鉄球、そして大統領の耳。鉄球を握り締め、再び馬に乗るジョニィ。その視線の先には……、大西洋が迫って来ていました。海はもう、ルーシーを抱えて走るジャイロのすぐ目の前。しかし、海は世界の中心たるルーシーには届かず、「空間のスキ間」の中へ吸い込まれているのでしょう。あたかも紅海を割ったモーゼの如し。「遺体」化直前のコップの水を思い出させます。
この光景、なんかスゴイな……。ゾクゾクしますよ。でも、この世界が引き寄せられる現象、ちょっと変化してきている気がします。これまでは紙を折り畳んでいくかのような印象(折り畳まれた部分が「空間のスキ間」となる)でしたが、これは2つの空間が重なり合っているかのよう。「森」という空間と、「海」という空間が、同じ地点に存在してるような描写です。この現象の「先」には一体、何が待っているんでしょうか?地図の最終地点を強引に引っ張って来ようとしてる、とかか?
大統領から離れたため、ルーシーの呼吸や肌も彼女自身のそれに戻ってきている様子。このまま逃げ続ければ、彼女は助かる可能性がある。ところが、です!ジャイロもすでに「気高き飢え」を持った男!このまま逃げ切ろうなどとは考えもせず、むしろ、ここで大統領との決着をつける気満々でした。逃げたところで、どのみち海や地面に取り囲まれて、やがては追い詰められるだけ。しかし、ジャイロはあえて海を目指していたのです!ジャイロは「逃げて」いたのではなく、戦うために海へ「走って」いたのです。
ジャイロが分析する『D4C』の弱点。いや、弱点というより僅かなスキ。大統領がいくら「隣りの世界」へ行こうが「空間のスキ間」に潜もうが、ジャイロを殺そうと攻撃する瞬間だけは、必ずこちら側の世界に腕を出す。ジャイロに攻撃するためには、ジャイロの目前に姿を現し、ジャイロに触れなければならないのは、当然であり必然。ならば、周囲が海というこの状況。大統領が溺れる危険を犯してまで、あえて海の中から攻撃に移るだろうか?恐らく、答えは「否」。割れた海から微かに覗く、狭い地面のどこかに現れるはず。そう……、ジャイロは大統領の選択と行動を無意識に限定させ、予測しやすくし、そこから生じるスキを狙って鉄球をブチ込むつもりなのです。うむ、なかなかの策士よ。


●そんなジャイロの思惑など知らず、ゆっくりと歩を進める大統領。とうとう「空間のスキ間」の射程内に入ってしまいました。しかし、それでも大統領に油断はありません。ジャイロが馬に乗っている事に、疑問を抱いている様子。しっぽを巻いて逃げるべき状況なのに、馬で向かって来て、鉄球を繰り出す。その事に「意味」を感じ始めていました。夢や理想だけを追い、父親ぶる事に幸福を見るスティールとは違い、ジャイロは理論的な意味のある行動を取る男。育ちと修練に起因する、揺るぎない自信を持つ男。だからこそ不気味。そう考え、ますます用心深くなる大統領。
ジャイロは、抱きかかえていたルーシーを後ろに乗せます。ヴァルキリーに女は乗せない。女は「禍」を招く。そんな事を言っていたジャイロだけに、なんかグッと来てしまいます。自分のポリシーに逆らってでも、ルーシーとジョニィを救おうとする姿は美しい。そういう設定自体、荒木先生が忘れてる可能性の方が高そうですが、それはそれです。
ついにジャイロと大統領が真っ向から対峙ッ!ちょいとお待ち!もう、この辺の絵がヤバすぎるってッ!このカッコ良さは何なの!?こんなの見せられてテンション上がらない荒木ファンがいるだろうか?いや、いないッ!
しかし、ここで大統領は自分の耳に起こっている異常に気付いてしまいました。すぐに、これが先ほどジャイロが投げた鉄球によるものと直感!その直後、ジャイロは大統領目掛けてスタートダッシュ!ジョニィ同様、意外とあっさり「黄金長方形」の走行形(フォーム)を完成させ、爆走していきます。鉄球は1発あれば充分、とジャイロは言っているものの……、同じ頃、ジョニィは正反対の事を考えていました。自分の耳に起きた事に気付かれたなら、鉄球は1発じゃ足りない。馬を殺されて、二度と「騎兵の回転」を投げられなくされてしまう。
大統領に「騎兵の回転」を気付かれた事に気付いていないジャイロ。これはマズイ……ッ!こんな気になるところで、続きは次号!なんてこった!


★今月は35ページ!ページ数は少ないのに、えらく盛り上がっちゃいましたよ。すごいボリュームを感じました。ここ数ヶ月、絵のド迫力に圧倒されっぱなしだったけど、今回はとりわけヤベえ。絵のみならず、ストーリーの方もいよいよ動きが激しくなってきました。神がまたまた荒木先生に降臨してるね、こりゃ。「SBR」のクライマックス、テンションうなぎ上りです!21巻で完結するのかなあ?22巻になりそうな気もしないでもない。ただ、出来ればもっとページ増やしてほしいですね。
作者コメントは「好きな政治家のキャラクターは伊の「ベルルスコーニ」首相。ハッピーそう。」との事。調べてみると、濃ゆいキャラですが、やたらいい笑顔してますね。
最後に荒木祭り3発目!特別付録の記念ミニブック「ジョジョ100.5巻」!表紙は「ジョジョ」20周年記念の時の「ジョースター家&ツェペリ家ポスター」のイラスト。描き下ろしじゃないのはちょっと残念。うっすい本ではありますが、ウルジャンの漫画家さん達のお祝いイラストが見れて面白いです。どうせならもっともっと厚くて豪華な特別本でも出してほしいけど、しょーがないか。荒木先生自身、何巻とかってのは大して気にしてないみたいだし、これからもずっと荒木先生の作品を読み続けていければそれでいいかな!
ではでは、荒木祭り4発目にしてメインディッシュ「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の感想の方も、また後ほど書きたいと思います。後ほどっていうか、すぐ書きます。



(追記)
ジャイロは死なないという予想を、もうちょい突っ込んで。この戦いで「ジャイロが死ぬ」という事は、ジョニィにとって、「ジャイロを死なせてしまった」という意味になります。それどころか、「自分がジャイロを殺してしまった」と、自分をますます呪ってしまうでしょう。それは正に、ニコラスの時の二の舞い。それじゃあ、ジョニィはいつまで経ってもマイナスのまま、歩き出せません。だから、ジャイロは死にかける事はあっても死ぬ事はないはず!
ジョニィが自らの魂を縛る呪いから解放されるには、ジャイロの窮地を救い、最後まで守り抜く必要があります。自分の意志で、自分の力で。それが出来た時、初めてジョニィは兄の幻影から解き放たれるのです。そしてその前に、白ネズミが偶然、ジョニィの活路を開いてくれるってシチュエーションが描かれると思います。すでに大統領の気を逸らし、とどめの攻撃から救ってくれてますけど、ジョニィ自身もハッキリと気付くような形で再び何かが起こるでしょう。悲しい運命の象徴だったはずの白ネズミが、自分を祝福してくれている。そう感じられるようになってこそ、ダニーの辛い想い出も克服できるはず。その時、ついにジョニィは脚で力いっぱい鐙を踏ん張り、「騎兵の回転」は成功!見事、大統領を打ち倒すのです。
倒れるジャイロの元へ、よろよろと立ち上がり、一歩一歩歩いて近付いていくジョニィ。ジャイロの生存を確認し、自分が成し遂げた事への自信と誇りを抱き始めます。ジョニィに必要だったのは「遺体」なんかじゃなく、「誇り」。そして、心の奥で湧き上がり始める、もう1つの気持ち。ジャイロが「オレはレースに戻るぜ。ジョニィ、オメーはどうする?」と訊くと、ジョニィは体を武者震いさせながら答えるワケです。「もっともっと、走りたい…!」と。それを聞いたジャイロは満足気にニョホっと笑い、「じゃあ、オレらの協力関係はここで終わりだ!こっから先はお互いライバル、敵同士ってこったな」とさっさと走り出してしまいます。ジョニィも馬に跨り、ジャイロの後を追います。こうして、スティール・ボール・ラン・レース再開ッ!

……と、そんな感じで。ダニーのトラウマから抜け出したジョニィが、「騎兵の回転」を繰り出す際、走る事の純粋な楽しさを思い出すって展開。自らに流れる馬乗りの血=ジョースターの血統を受け入れ、自分の存在を認め、さらに前に進む事を望むワケです。そして、その想いがレースへと帰結するためにも、ジャイロの生還は必須だと思うんです。ちなみに、ルーシーもスティールも無事。H・Pも生き残るかと。みんなの回復役としても、ジョニィの嫁候補としても、やっぱ必要だしな〜。ディエゴはさすがに厳しいか……。


●せっかくなので、レースの行方も予想してみたいと思います。

「女神」ルーシーの能力によって引き寄せられた世界は、大統領との決着と共に元の姿に。うやむやになっていたレースも無事に再開します。
怒涛の8th.STAGE!「遺体」を巡る戦いで大きく生長したジャイロにとって、もはやポコロコすらも敵ではありません。このまま独走で1着かと思われたその時、ジャイロの背後から迫る1つの影。「やっぱりな……。このレース、最後の敵はオメーだと思ってたぜ。……ジョニィ・ジョースター!」。しかし、ジョニィの表情は、この状況に似つかわしくない爽やかなものでした。草の上を自然体で走って喜ぶような、この大地と空の下に生まれて来た事を感謝するような、そんな清々しく穏やかな表情。ジャイロはジョニィの中に「美しいもの」を見ます。そしてジョニィ、8th.STAGEにして初の1着!2着はジャイロ。ポコロコは3着でゴール。
レースはそのままFINAL STAGEへ突入ッ!それぞれのポイントは、ジョニィが365P、ジャイロは321P、ポコロコは353P。優勝争いはこの3人に絞られた!タイム・ボーナスも1時間ずつ持っているため、実質、このSTAGEを制した者こそが優勝者になる!ゴールを目前にしたジャイロの脳裏に、祖国の記憶とこれまでの長い旅の想い出が過ぎります。そんな己との対話の中で、ついにジャイロは、自分の納得できる「答え」に繋がる何かを掴み取るのです。その瞬間、ジャイロは「光の道」へ!嵐の4th.STAGE、ディエゴとの対決の時以来です。
ジョニィもまた、「光の道」を走っていました。ただただ、走る喜びを全身で感じています。そんなジョニィの目に映ったものは、なんと馬を走らせる兄・ニコラスの背中。それは夢か幻か、それとも兄の魂なのか。涙を流しながら、兄の姿を追い駆けるジョニィ。徐々に近付く兄の背中。しかし、どんなに呼び掛けても兄は返事もしてくれないし、こちらを振り向いてもくれない。ジャイロを守り抜いた事で克服したと思われた「罪」の意識が、再び頭をもたげて来ます。呼吸は激しく乱れ、その顔は汗と涙でグシャグシャ。スピードもガタ落ち。
兄さんはやっぱりぼくを憎んでいるんだ……!兄さんじゃあなく、ぼくが死ぬべきだったんだ!絶望の底に堕ちそうなジョニィの心。そんな時、不意にジョニィも今までの旅を思い出すのです。この3ヶ月間の道のり、遥か6,000kmの旅路。ボロボロになって這いずり回って、それでも手にした確かなもの。それが、折れそうなジョニィの心を最後に支えてくれるんです。ジョニィの瞳からは涙が消え、その代わり、闘志の炎がメラメラと燃え上がる!兄さんは死んだ。もういない。でも、自分は今、生きている。ぼくは生きて、兄さんを超えたい!その瞬間、ジョニィは光の「先」へ!兄に追い着き、追い越し、振り向きもしないまま前へ走り続けるジョニィ。その姿を見届けたニコラスがふっと微笑み、消えていきます。
そして、ついに運命の時!なんとジャイロとジョニィが同時にゴール!大勢の観客の目にも、数人の審判の目にも、写真判定でもまったくの同時にしか見えません。協議の結果、異例の同着1位に!最終的なポイントは、ジョニィが465P、ジャイロが421P、ノリスケさんが348P。ポコロコは途中でリタイアしちゃいます(その後、優勝よりラッキーな事が起こる)。―――つまり、優勝者はジョニィ!世界中の人々がジョニィに惜しみない歓声と拍手を浴びせ、祝福します。ジョニィはまたも号泣。生まれて初めての嬉し涙。敗れたジャイロも、何かに納得したような、悟ったような、吹っ切れたような表情。勝者であり英雄であるジョニィを称えるのでした。

……こんな妄想です。ジャイロは惜しくも優勝を逃してしまうものの、納得できる「答え」は見付かるワケです。どんな「答え」になるかは分かんないけど。そして、選ばれた奇跡。ジャイロの行動から様々な偶然が重なり、マルコの無実が明らかにされるんです。こういったハッピー・エンドが「SBR」には合ってると思います。ジャイロとジョニィが生きて、別れ、それぞれの道を歩んでいく姿が見たいですね。




(2010年3月18日)
(2010年3月30日:追記)




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