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ありがとう……
ありがとう ジャイロ 本当に…
……本当に……
「ありがとう」… それしか言う言葉がみつからない…


#61 LESSON5A





トビラ絵は前号に引き続き、これまでの2人の長い旅路を振り返るような1コマ。広い草原を愛馬と共に歩く、ジャイロとジョニィの小さな後ろ姿が描かれています。彼方にそびえる山々を見据え、馬車の轍に沿って次なる目的地へと向かっているようです。2人の背中は、何も言わずとも、いろんな事を物語ってくれますな。タイトルバックに咲き乱れる花々も美しい。男のフロンティア・スピリッツがツンツン刺激される1枚ですね!そして同時に、切なさをも感じさせてくれます。
空には太陽が浮かんでいますが、これは朝日なのか夕日なのか?SBRレースは西から東へ向かうレースで、太陽は東から昇って西へ沈むワケですから、方角的にはたぶん朝日なんでしょう。夕焼けに照らされる男達、って絵の方が好みではあるけど。朝日を浴びて新しい旅に挑む男達、って絵もまた清々しい。スゲーいい絵だ……。


●さて、いよいよ大詰めの本編です!ジャイロの「LESSON5」の真意を知り、ついに「騎兵の回転」に到達したジョニィ。彼の心を満たすものは、ジャイロを失った絶望や悲しみでもなく、大統領への恐怖や殺意でもなく……。ただただ、自分をここまで導いてくれたジャイロへの感謝だけでした。

ありがとう……
ありがとう ジャイロ 本当に…
……本当に……
「ありがとう」… それしか言う言葉がみつからない…


……あかんわ、泣けるわ。ジョニィは今まで幾度となく、道を誤ってきました。父との約束を破って、ダニーを食堂にまで連れてきたり。父に愛されず、自暴自棄になってグレちゃったり。それがさらなる不幸の連鎖を招いてきたワケで。ジャイロと出会ってからも、ジョニィは常に危うさを秘めていました。リンゴォが見抜いた通り「漆黒の意志」を宿していたジョニィですが、「遺体」を強く求めるあまり、目的のためなら手段を選ばぬドス黒い精神に傾きそうになっていました。さも当然のようにシュガーを撃とうとしたり、ほんの一時とは言え、「遺体」のためにジャイロを見捨てたりもしました。それどころか、躊躇いなく自分の人間性や命さえも捨てられるほどでした。ディエゴから「左目」を奪おうとする時など、ディエゴを殺す事を前提にしており、ジャイロには「オレらはテロリストじゃねえ!」とたしなめられていました。
そんなジョニィが今、ジャイロの遺志を受け取る事で、本当の「敬意」を知ったのです。ジャイロは「ジョニィがいたから、自分は正しい道を渡って来れた」と言っていましたが、ジョニィもまた、ジャイロがいたから正しい道に辿り着けたのです。「正義」も「悪」もどうだって良かったジョニィが、そのくせ、自分が「邪悪」な者であると嘆いていたジョニィが、「正義の道」への第一歩を印した瞬間とも言えるでしょう。「敬意」を忘れなければ、もう決して道を誤る事はない。正しい「過程」を歩み、その先にある正しい「結果」へと辿り着けるはず。きっと、それこそが女神の祝福であり、選ばれた「奇跡」
トビラ絵含め、このたったの3ページだけで今月は大満足です。ジャイロとジョニィの、滑らかな螺旋を描くような関係性。最高です。


●放たれるジョニィの「騎兵の回転」!かろうじて「光」の中へ逃れた大統領ですが、爪弾の威力たるや半端じゃありません。爪弾が「次元の壁」に直撃した衝撃は、向こう側の大統領にまで届いています。その凄まじいエネルギーが、大統領や『D4C』の皮膚を幾重にも切り裂いていく!チュミーさんは「次元の壁」にベッタリ張り付き、強引にこじ開けようとしてきます。まるで、奥様に怪しげな商品を売りつけるべく、一度開かれたドアを閉じさせまいと必死に押さえ付け、営業トークを続ける悪徳セールスマンのよう(勝手なイメージです)。次元を超えるエネルギーがこんな風に描写されるとは面白い。
ジョニィ曰く、これぞ『タスク ACT4』!めっちゃ久しぶりに『タスク』って呼ばれた気がします。でも、「牙」とは呼ばれず「爪」でした(笑)。「敬意」を学び、「正義の道」を歩み出したジョニィの瞳には、もはや恐れや迷いなどカケラもありません。今までで最も男前な顔付きで、バッチリ決めてくれました。

『生け贄』は……… ……ヴァレンタイン大統領!
どっちになると思う?


とうとう「次元の壁」を無理矢理超えてきたチュミーさん!「隣りの世界」へ逃げようとする大統領に、すかさずオラオララッシュをかまします!まさか「SBR」でオラオララッシュを拝めるなんて……。こりゃあ、大統領も言ってるようにジョニィのスタンドですね。もともと「遺体」の守護精霊であったチュミーちゃんが、「騎兵の回転」によるジョニィのエネルギーと一体となり、ジョニィ自身のスタンドと化したのがチュミーさんなんでしょう。
そのパワーは『スタープラチナ』並みなのか?ズメシャアっと『D4C』をブン殴り、しまいにゃ地面に大穴空けちゃいましたよ!なんつー熱い拳だッ!『太陽』戦でのものすんごいパンチを思い出しました。さんざん無敵だの反則だの言われてた『D4C』すら手も足も出ない強力さ。笑っちゃうくらい爽快です。


●しかし、大統領もさすがです。チュミーさんが次元を超えそうになるや、すかさず服を脱ぎ出し、オラオララッシュを利用して「隣りの世界」へ移動しちゃいました。服と地面の間に挟まったのです。この素早く的確な決断力。これこそが大統領の恐ろしさです。ところが、大穴を空けられた地面から次元移動したという事は、当然、「隣りの世界」じゃ土の中。ギリギリのところで「隣り」の大統領に『D4C』を託し、老いた大統領は地中で窒息死。死んだ事が分かりやすいように、わざわざ親切に「がくっ…」と喋ってくれてます。
五体満足の肉体に戻った大統領。振り返ると、そこには「隣り」のジョニィ達の姿。この世界のジョニィは、左手ではなく右足を切断されています。スロー・ダンサーは健在ですが、やはりジャイロはすでに倒されているようです。また、「遺体」のない世界なので、ルーシーは「遺体」化する事なく、ジョニィに寄り添っています。髪型もちょっと違いますね。『ラブトレイン』も発動しないので、戦闘場所も林になっております。いろんな違いが興味深いですが、この状況を考えると、やっぱ「隣り」の大統領がスタンドを持ってないとは思えないなあ。生身の人間がどうやって無傷でジャイロを倒し、ジョニィの脚を切断できるのか?自由に次元移動は出来ないけど、『D4C』そっくりのスタンドを使えるのではないか?そう思います。
――それはともかく。新たに「基本」となった大統領は、全てを理解します。次元を超える力を操るジョニィ。「遺体」の価値と意味を理解もしていないジョニィ。取るに足らない小僧の分際で。絶対に許せん。「遺体」の部位以上にバラバラにしてやる。大統領には珍しく、ジョニィへの憎悪と殺意に燃えてらっしゃいます。最終決戦はこれからなのか!?


●馬のパワーももう得られず、爪も生え揃っていない今!ジョニィに「騎兵の回転」は使えない!これはヤバイです。つーか、スロー・ダンサーは殺されてる模様。この物語の幕は、最終的にレースで降ろしてほしいので、なんとかジャイロ共々復活してくれる事を願いますよ。
すぐに「基本の世界」に戻って、ジョニィを殺す!復讐を誓う大統領。……しかし、大統領の身に異変が起こります。突然、足がグルンとあり得ない方向に曲がってしまったのです。見ると、『D4C』が『ハイウェイ・スター』やソルベなんて目じゃないくらいに薄くスライスされてるじゃありませんか。スライスされた部分が回転し、逆方向を向かされます。この現象はもちろん、本体の大統領にも!どっちが前で、どっちが後ろなのか?混乱のまま、大統領はさっきの大穴へダッシュし、落っこちちゃいます。上に這い上がろうとしても、再びスライス回転現象により体が組み替えられ、上下さえも逆転!結局、穴に戻らされてしまうのです。これまたスゴい絵ですよ。さぞかし荒木先生は楽しんで描いてたんだろうな〜。
これはチュミーさんのオラオララッシュの後遺症であるらしく、大統領の体内で細胞の1つ1つが回転させられているとの事。そして、強制的に土の中へと戻らされる。地味にイヤな能力です。……が、生き埋めになるという事は、土と土に挟まれるという事。次元移動は可能!さらに「隣りの世界」へと逃げ、そこの大統領とタッチすれば良い。
今度の世界は、物事のタイミングが少し遅い世界のよう。大統領も服を着たままだし、ジョニィも大きな負傷はしていません。バトル・フィールドは工場前の土地。こっちの世界では、何がどうなって今の状況になっているのか。気になりますね。しかし、どんなに世界を変えても、次元を超えても、スライス回転現象からは逃れられないのです。これが「重力」と結び付いた「騎兵の回転」ッ!どう足掻いても、必ず土の中へと戻ってしまう!この効果は『D4C』自体に与えられたものであるため、「基本」の大統領に逃れる術は無し。なるほど。本体を替えても『D4C』がボロボロのままなのも、チュミーさんの能力に囚われているからなんでしょうね。この能力は一体、どこまで、いつまで続くのか?


★今月は47ページ!まだ大統領との決着が付かないとは予想外でしたが、これはほぼチェック・メイトでしょうね。死から逃れるため、延々と次元移動を繰り返し、『D4C』を譲り渡していくか?それとも、潔く死を選ぶか?この2択ってオチかな?さらにもう一捻りくらいはありそうですが、ジョニィの勝利は揺るがないでしょう。今回は本当、ジョニィの感謝の言葉に感動しました。だからこそ、ジャイロには生還してほしいんだよなあ(しつこいけど)……。ジャイロとジョニィに、死に別れは似合わないよ。
作者コメントは「最近、ラッキー・ランド災難続き。上の階で漏水。仕事場に水が降って来た。」との事。大統領が弾いた「害悪」が時空を超え、荒木先生の仕事場にまで吹っ飛ばされて来たようです。




(2010年7月16日)




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