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我が心と行動に 一点の曇りなし …………!
全てが『正義』だ

さようなら ジャイロ
………… さようなら


#64 LESSON5D





●トビラ絵は血塗れのジョニィと、後ろにそっと佇むジャイロ。前号のトビラ絵の続きっぽい印象の絵ですね。大統領の取り引きに対するジョニィの決断を、ジャイロはどんな想いで見つめているのかッ!?


●大統領の名演説により、ついにジョニィ陥落ッ!ダメ押しの父親トークが相当、効いちゃってる模様です。大統領はきっと「正しい道」を歩いている。そう信じる事に決定し、指には逆回転の爪弾が!
大統領を100%信じる事にしたジョニィですが、しかし、あと1%信じたい。大統領の「誓い」の裏のさらなる裏に、「騙し討ち」や「裏切り」が潜んでなどいない事を、もう1%信じたい。そこでジョニィは、大統領に1丁の拳銃を放り投げます。それは、さっきジャイロにとどめを刺し、そのまま捨てた銃。大統領の銃です。すでに弾倉が空になっているその銃を、ジョニィは大統領に「拾ってみろ」と命じました。状況はまるで違うけど、なんか1巻のジャイロVSスリを思い出すやり取りだな。
はてさて、このジョニィの命令にはどんな意味があるのでしょうか?――大統領は少しずつ銃に手を伸ばし……、拾い……ませんでした!そして、凛々しい顔付きで「我が心と行動に一点の曇りなし…………!全てが『正義』だ」と、堂々と宣言ッ!すかさず背中に隠し持っていた銃を抜き、ジョニィを狙撃したのです!なるほど、ジョニィの命令の意味がここで理解できます。もし大統領が銃を隠し持っていたなら、地面の銃を拾った瞬間、2つの銃が1つに重なり合って消滅してしまうはず。拳銃所持の事実がバレる上に、反撃のチャンスすら失われてしまいます。本気で「誓い」を守る気満々であれば、銃など隠し持たぬはず。地面の銃を拾っても何も起こらない。……ジョニィは大統領を信じたかったのに、その想いは無惨にも裏切られました。


●大統領は2つの銃が重なって消滅する前に、ジョニィへ向けて発砲ッ!と同時に、『D4C』のパンチも繰り出します!ジョニィも爪弾で応戦ッ!本当に最後の最後の一騎打ちです。大統領の弾丸はジョニィの腹に、ジョニィの爪弾は大統領の首に命中ッ!深くダメージを追いながらも、2人は己の弾丸を乱射!しかし、外しまくりの大統領に対し、ジョニィは大統領の心臓にキッチリ全弾命中。この最後の決闘を制したのは……、ジョニィでした。
そして、勝利を手にしたジョニィに語り掛ける声が聞こえてきました。それは、ジャイロの魂「オレはこっちへ進むぜ。そうゆう事なら、そうゆう事でいいんだ。」と、自分の人生の結末を受け入れる言葉。「オレの本名は…、約束したよな。誰にも言うなよ。」「じゃあな……。……元気でな。」――こうして、ジャイロは、消えていったのでした。
ああああ……、とうとう昇天してしまった……。なんか卒業式とか上京する時みたいな、割とあっさりしたノリのお別れだけど、それがなんともジャイロらしい。だからこそ、寂しい。ジョニィはジャイロに手を伸ばし、謝り、別れを告げるのでした。次の瞬間、今までの長き戦いへ決別の一撃を放つッ!爪弾は大統領の脳天に直撃し、ついに完全に息絶えるのでした。『D4C』は崩れ去り、大統領の死体はハンカチと共に、土の中へと埋まっていく。
後に残ったのは、勝者であるジョニィ。愛馬のスロー・ダンサー。主人を失ったヴァルキリー。意識のないルーシー。彼女と完全に分離した「遺体」。……これだけです。なんて虚しく、寒々しい光景。ジョニィの嗚咽が悲しく響き渡るのでした。勝者なき勝利……。


★今月は47ページ!長かった大統領との戦いに、終止符が打たれましたね!大統領は最期までドッシリと落ち着いて、威風堂々としてカッコ良かった。でも正直、やっぱウソツキだったってオチは残念でした。「ジョニィは大統領のウソを見抜けるか?」という話だったんでしょうか?「ジョニィはどんな未来を選び取るのか?」という部分に期待してたので、ちょっと肩透かしを食らった気分でした。結局は銃の早撃ち合戦だしなあ。でもまあ、大統領が父親のハンカチという「聖なるもの」を侮辱した時点で、紛れもなき邪悪であり、敗北する運命だったんだろうな。ハンカチへの「誓い」さえ守ろうとしてれば、全てを手に入れてたのに。それでも、彼は彼なりの「正義」を貫いていたのでしょうね。信念という意味では、大統領はジョニィを圧倒していたと思いますよ。
そして、確定してしまったジャイロの死!でもな〜、なんとかならんかなあ〜……。マルコの事も放ったらかしで、勝手に納得して昇天しとる場合か!こんな道半ばで満足するようなジャイロではないはずッ!もはや「遺体」の奇跡に賭けるほかありません。――涙をぬぐって、ジョニィはレースに戻る。ゴールのニューヨークに到着するというまさにその時、なんとジャイロが怒涛の勢いで追い上げて来る!唖然とするジョニィ。彼は知る由もないが、ジャイロは「遺体」に選ばれ、見事に復活を遂げていた!「さっきはあんな事言ったけどよ〜、オメーがオレの本名バラさねーか心配で戻ってきたぜ」――なんてね。そんな展開なら、「最初から最後まで本当に謎が多い男」ってフレーズにもピッタリじゃん?やっぱジャイロとジョニィは生きて別れてほしいっス!
作者コメントは「『お神輿』って元気もらえますね。この秋も担がせていただきました。」との事。どこのお祭りに参加したんでしょうかね?お神輿パワーで、このままラストまで一気に描き切っていただきたいものです。



(追記)
ジャイロ復活の目に賭ける私としましては、ただの願望だけでなく、その願望の依り処が欲しい。……で、考えてみました。ジャイロと、「遺体」=イエス様を結び付けるものを。それは、「ゾンビ馬」です。ただの小汚い糸なのに、傷を縫えば何故か治ってしまうという謎の回復アイテム。最近では、18巻でジョニィの治療にも使用されていましたね。
原理はさっぱり分かりませんが、ジョニィは「グレゴリオ父上のスタンドではないか?」との仮説を立てていました。そうなのかもしれません。しかし私は、それとは別の仮説をずっと唱え続けています。聖骸布説です。あのアリマタヤのヨセフが、磔刑に処されたイエス様の遺体を包んだという布です。その布は、イエス様の血を受けて聖遺物となりました。当然、ミラクルパワーが宿っているワケです。そんな聖骸布の糸の一部が「ゾンビ馬」として、ネアポリス王国に伝わっていたのではないでしょうか?イエス様の血が目に入ったら白内障が治ったなんて人もいるくらいです。聖骸布の糸にも、多少のケガを治す力があったって、なんら不思議はありません。
そして今、イエス様の「遺体」が完成ッ!その影響は言わずもがな、聖遺物にも現れるはず。イエス様の奇跡の力に共鳴し、「ゾンビ馬」のパワーもギンギンに漲る事でしょう。当の「ゾンビ馬」は、恐らくジャイロが懐に忍ばせていたと思われます。大統領との最終決戦に挑むにあたり、いつでも応急手当が出来るよう持ち歩くのが自然ですからね。これでお膳立ては整いました。いや、全ては必然なのです!
きっと「ゾンビ馬」は、ジャイロの遺体をグルグルと包み込み、覆ってしまうんです。そうして、奇跡の力はジャイロの全身にくまなく染み渡っていきます。死の3日後に復活したというイエス様さながらに、ジャイロも復活ッ!さすがに3日後ではレースも終わっちゃうので、大慌てで3分後にでも(笑)。今月ラストでは、ルーシーと「遺体」が完全分離したためか、『ラブトレイン』も完全に解除された様子でした。地形は元に戻り、海岸も遠くなってます。だから、ジャイロが海で復活しても、ジョニィもすぐには気付けません。
ジャイロも急いでレースに戻り、先を行くジョニィを追います。ちなみに、『ラブトレイン』でメチャクチャになってた地形や距離も、発動前の状態に戻ります。よって、ポコロコ達とも大して離れてはいません。また、スティールが大ケガしようが大統領が行方不明になろうが、ここまで来てレースを中止になんて誰にも出来るはずもなし。何事もなかったかのように、レースは普通に再開されます。
……と、まあ、こんな感じで。奇跡で復活なんて「ジョジョ」らしくない。そんな事は百も承知ですし、ジャイロが死んだままだからこそ描けるものもあるかもしれません。でも、私はそれでも、ジャイロにこのまま死んでほしくはないですね〜!レースを最後まで走り切ってほしい。ジョニィと笑顔で別れてほしい。死刑執行人として、医者として、「ジャイロ・ツェペリ」として、どう生きるか。その「答え」を見せてほしいッ!


●いろんな方々の感想や考察を読むのは、とても楽しいものです。自分1人では気付けなかった事・思い付けなかった事が書かれてあったりしてるから、ディ・モールト刺激になります。最近では「久保木牧師のblog 〜ゆるりと生きる〜」さんの感想を読んで、目から鱗でした。
大統領とジョニィの取引は、大統領が「正義」であるか否かを、ジョニィが自らの「審美眼」で見極める場面であると。また、最後の決闘についても、銃の早撃ちで勝ったところで、それが本当の勝利なのかという「問い」を提唱しているのだと。まったくもって納得です。荒木先生のインタビューは、ほとんど欠かさず読んでるにも関わらず、そこまで思考が至らんかったなあ〜。ついつい目先の結果に囚われてしまってました。
ただ、ジョニィの「審美眼」はまだ発展途上と言えるでしょう。確かに、大統領のウソを見破る事は出来たし、大統領が「正義」ではないと示す事も出来た。でも、もし大統領が本気であの取引を持ち掛けていたとしたら……?あの時、大統領が何事もなく銃を拾い上げてみせたら、ジョニィにとっての「正義」は大統領になっていたはず。そして、別次元のジャイロを連れて来てもらったはず。では、果たしてそれが本当に「正しい道」なのか?むしろ私は、そっちの「答え」をジョニィに示してほしかったんですね。今回、ジャイロが昇天する時も、ジョニィはなお「大統領を信じたかった」と言ってました。つまり、本当の意味でジョニィは大統領に勝利してはいないのです。大統領の思惑に、あり得たかもしれないもう1つの可能性に、屈したままとさえ言えるでしょう。
大統領を倒した今も、ジョニィの戦いは続いています。ある意味、大統領に打ち勝った瞬間、ジョニィの本当の勝利への戦いが幕を開けたのかもしれません。そして、その鍵となるのが「遺体」であり、「聖なるもの」。次号、「遺体」は何かしらの形で、さらなる究極の選択をジョニィに求めてくるのではないでしょうか?無関係の誰かを犠牲にする代わり、自分の願いが全て叶う……的な。名も知らぬ人間1人の命と引き換えに、願いを1つ叶えてくれる……とか。ほんの10人程度の他人の命を捧げるだけで、ジャイロ達みんなが戻ってきて、自分の脚も治り、家族とも幸せに暮らせる。それどころか、世界を意のままにする事も容易い。
しかし、ジョニィは「遺体」の力を使わない道を選び取るんですよ。「遺体」の力で、見知らぬ誰かを生贄にして得た幸福など、正しくもないし美しくもない事を悟るワケです。「遺体」を巡る戦いの果てに、ジャイロ達との絆の中で、初めて見出せた「答え」。それこそがジョニィの「誇り」となり、「聖なるもの」になるんでしょう。その時こそ、ジョニィが自分の道を自分の足で歩き出す瞬間なのでしょう。
……で、そんなジョニィの選択により、「遺体」の真の奇跡が発動するんです。「全て」を敢えて差し出した者が、最後には真の「全て」を得る。「正しい道」を歩む者達に祝福を。
――なんやかんやと書きましたけど、このSBRレースは世紀のお祭り騒ぎとして始まったものですから、最後もスカッとハッピー・エンドで終わってほしいってのが本音なのです。意外と「ジョジョ」は物哀しく切ないエンディングが多いですし、たまにはいいじゃんね?




(2010年10月19日)
(2010年10月23日:追記)




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