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絶対に渡さない ……………
決着をつける 権利は ぼくにだけあるッ!!

『THE WORLD』
オレだけの時間だぜ


#65 新たな世界





●トビラ絵は、スロー・ダンサーに跨るジョニィ。そして、彼にとっての勝利の女神様であるルーシーも一緒に乗っています。でも、そこにジャイロがいない。その事実が悲しいです。あと、ルーシーかわいいです。


●長かった大統領との最終決戦も、ついに幕が下りました。ルーシーと「遺体」は完全に分離。「遺体」は全てが揃い、ジョニィによって布に包まれています。そしてルーシーは、とうとう愛する夫・スティール氏と再会ッ!2人の負傷は肉スプレーで治療されたようで、涙を流して抱き合っています。思えば、シカゴの図書館でキスして別れて以来ですからねえ……。ようやく2人が平穏を手に入れられて良かった良かった。ただ、世間的にはルーシーは死んだ事になってるワケで。そこんとこはどうするんだろうか?奇跡の復活を遂げた聖女として祭り上げられるとか?
そんなスティール夫妻の姿を見つめるジョニィ。どこか寂しげな瞳です。きっとジョニィも、ジャイロと共に勝利と生還を喜び合いたかった事でしょう。大統領の死と戦いの決着を、淡々と夫妻に告げます。しかし、なんとジョニィはさも当然のように立ってるじゃありませんか!どうやら少しずつ立ち上がれるようになってきたらしく、ジョニィ自身も言う通り、それは実に何気ないものでした。再び歩けるようになる事を、あれほど強く願っていたジョニィなのに……、もはやその事自体には特別な感情も起こらない様子。やはりジョニィに必要だったのは、肉体的なものではなかったって事ですね。精神的な意味で、「自分の道」を歩いていける力を求めていただけなのでしょう。大統領との取引でも分かるように、ジョニィは未だそれを手に入れていません。本当に自分自身を赦し、認め、歩き出していける「誇り」が得られるまで、ジョニィの旅は終わりません。


●ルーシーは自分を救ってくれたジョニィに礼を言い、そっと寄り添います。旧世界のジョナサンとエリナと思うと、なんとも感慨深い絵ですな。でも、ルーシーにはやっぱスティールと幸せに暮らしてほしいな。
何事もなかったかのように、SBRレースは進行。ポコロコ、ノリスケさん、バーバ・ヤーガが激走中です。スティールにとって、このレースは夢そのものでした。それはいつしか大統領の思惑と陰謀によって、違うものに変わってしまいましたが、きっとレースは大成功で終わるはず。スティールも、まさか自分が生きてニューヨークまで辿り着けるとは思っていなかったとの事。いよいよレースの閉幕式も近付き、スティールの顔付きも神妙です。ある意味、スティールが最大の被害者かもしれませんからね。最後くらいは気持ち良くスカッと終わらせてあげたいもんです。
そして、ジョニィ。彼はこれからどうするのか?今となっては、ジョニィがレースを続ける動機はありません。それより、海で流されていくジャイロの遺体を見付け出し、埋葬してあげる事の方が大事。ジャイロがこの大陸でどんなレースをしたのかを、ジャイロの祖国と父親に伝える。それがジャイロに対する感謝と義務。マルコを恩赦で救うという、ジャイロの願いは叶えられませんでした。このSBRレースは、この「SBR」という物語は、実に厳しい道。自分の夢と祈りを叶えるために、他人の夢と祈りを打ち砕いてゆく旅路でもあります。部族の土地を取り返す事が出来なかったサンドマン、ルーシーの笑顔を得られなかったイケメン、祖国に帰って妹と再会する事が叶わなかったウェカピポ、弟に罪を許される事なく散ったH・P……。彼らと同じように、ただ、ジャイロも目的を果たせずに死んでいっただけなのです。
――とは言え、ですよ。やっぱしジャイロは、この物語の主人公の1人なワケで。志半ばに死んでもらっちゃ困るんですよ。ジャイロの歩む道は、ただレースに優勝してマルコを助けられれば全て丸く収まる……なんて、楽な道じゃないはず。もしまた冤罪で死刑宣告された人が現れたら、次はどうすればいいのか?ジャイロはこの先もずっと、死刑執行人としての任務を全うしていかなければならなかったのです。マルコ1人だけ助けて済む問題ではありません。では、「男の世界」を突き進んだその果てに、ジャイロはどんな「答え」「納得」を見出すのか?これを描かずして、ジャイロの旅を終えていいはずがないッ!友のために命を落とし、大切なものを伝えた。確かに立派です。見事なツェペリ魂!しかし、そんな「ツェペリ」の宿命なんてブチ壊してでも、ジャイロは生きなければならないと思ってます。死ぬ事なんかよりも遥かに厳しい道を、ジャイロには堂々と走り続けてほしいと願っています。だから、私はまだまだ奇跡を信じまっせ!


●ジョニィは不意に何かに気付き、驚愕します。なんと!何者かに「遺体」を奪われたッ!見れば、地面には馬の足跡。足音も気配さえも感じさせずに近付く技術を持つ者!「敵」はまだいる……!やっと大統領を倒したと思ったら、なんという予想外の展開ッ!まだ「遺体」争奪戦に幕は下ろされていなかったのです。ジョニィが見た限り、この謎の「敵」は東へ移動した模様。そして、この足跡はどこかで見た事のある、よく知っているはずの足跡。正体はレース参加者の誰かに違いない!
「遺体」は本当に必要なものだったのか?ジャイロも他の者達も、みんな「遺体」のために死んだ。これからも「遺体」のために誰かが死ぬのだろう。「遺体」を理解している者は、今となってはジョニィただ1人。「決着をつける権利は自分にだけある」と、奪い返す気満々です。ついさっきまで同じような事を大統領に言われてたのに、今やすっかり頂点に登り詰めちゃった感じ。ジャイロの捜索とヴァルキリーの面倒をルーシーに頼み、ジョニィは「敵」の後を追うッ!
スティール曰く、「敵」は大統領が造った地下シェルターに「遺体」を隠すつもりらしい。場所はニューヨーク・マンハッタン島はトリニティ教会!そここそ、SBRレースのゴール地点!大統領は教会の地下に、どんな軍隊でもスタンド能力でも侵入・破壊が不可能なシェルターを建築していたそうなのです。なるほど。今になって思えば、大統領がルーシーと共に向かおうとした地図の最終地点とは、まさにこの場所だったのでしょうね。ヨセフの地図にも載っているのなら、何らかのパワースポットでもあったりするのかな?最後の「悪魔の手のひら」的な?


●とうとうSBRレースも大詰め!8th.STAGEもゴール間近。THE Final STAGEとなる9th.STAGE「マンハッタン・ラプソディ」の開幕迫るッ!最後のレースは、8th.STAGEゴール地点のユニオン・ビーチからボートでニューヨークへと渡り、そこから15kmほどの距離を走るSTAGE!わずか30分で決着がつく、1st.STAGEのような短距離レースです。サンディエゴ・ビーチでは3,500人を超えていた選手達も、残るはたったの45人。死傷者の多いこのレースに非難の声もあるみたいですが、そんなものなど打ち消すかの如き人・人・人の波!!大勢の群衆がマンハッタン島に集まり、世紀のレースの終わりを見届けようとしています。でも、大統領を称えるヴァレンタイン・コールが虚しい。「遺体」になんか頼らない方が、いい大統領になれてたのかもね。
しかし、ちょいと不思議なのが現在の日時。本日は1891年1月18日!時刻は6時2分!……らしいんですが、これっておかしくね?8th.STAGEのスタートが1890年12月28日。8th.STAGEは2日間程度の日程を予定していたはず。なんでいつの間に年越して、しかも1月も中旬になっちゃってるの?まさかこれも『ラブトレイン』の影響だったり?空間がルーシーの元に集まって収縮していったように、時間までもが収縮されて、一気に20日くらい過ぎちゃったとか?まあ、こーゆーのは荒木作品にはありがちな事ですが、ミスならコミックスで修正してほしいですな。
さて、めっさ久しぶりのレース描写です。実況さんの熱さと語彙の豊富さは相変わらずですね!レースの裏側では陰惨な殺し合いが行われてきたのに、誰もがそれを知らずに熱狂する、輝かしきレースの表舞台。ところが、ニューヨークを目前にして、なんとバーバ・ヤーガがリタイヤ!闇夜での悪路の行軍により、愛馬・ナットロッカーが負傷してしまったそうです。今になって、ようやくちゃんと全体図が描かれたバーバ・ヤーガだけどカッコイイな。馬への愛情も伝わってくるし、もっと活躍しても良かったのにな。とにかく、お疲れさまでした。


●前方を走るポコロコとノリスケさんの足跡を確認するジョニィ。足跡の主は彼らではない。……しかし、ジョニィの視界は謎の人影を捉えました!気付けば、そいつはフェンスの向こう側を走っている。そしてよく見ると、鞍の前には「遺体」を積んでいるッ!
この「敵」は一体、何者なのか?大統領は「遺体」に関わった者を、敵味方関係なく抹殺してきたワケで、誰も信頼などしていませんでした。それなのに、この「敵」はシェルターの存在を知っていて、そこへ向かっている。しかも、ジョニィの爪弾の射程を知っているかのように、ギリギリの距離を保っている。爪弾でフェンスを壊し、ジョニィは「敵」の追跡を続ける!やがて、ついに射程に捉えた!……かに思えたのに、次の瞬間、なんと「敵」の姿は消えていました。こんな馬の乗り手がいるのか!?突然、途切れた足跡の後方から、ジョニィの後方から、「敵」が出現ッ!それは、額に星マークが入った白馬の姿!……ま、まさか?
場面は移り、スティール夫妻に。ルーシーは、謎の「敵」の足跡が、大統領の埋もれていった穴から出て来ている事を発見します。ジョニィも、大統領の死体は土に埋もれ、どこかの次元に消えていったと話していました。異次元への扉を開ける「カギ」たる『D4C』が崩壊した瞬間、次元を超えるエネルギーが放出され、どこかの次元への扉がわずかに開いてしまった……とかかな?あるいは、これも『ACT4』の力の一端?とにかく、あの穴は次元を繋ぐトンネルと化してしまったようなのです。なんという不吉な予感。
ジョニィが後方を振り返り、爪弾を発射!そこにいた人物……。それは、「なんと」というか「やっぱり」というか、別次元の「ディエゴ・ブランドー」だったのです!いや、驚くのはまだ早い!ディエゴの登場くらいならともかく、『THE WORLD』を発現させるなんて誰が予想できるよ?なんとなんとディエゴは『ザ・ワールド』によって時間を停止させ、あまつさえナイフ乱れ撃ちまで披露してくれちゃったのです!なにににに―――――ッ!!正直、「SBR」を読んできて最大の衝撃だったかも。あまりの超展開に我が目を疑いましたよ。これは賛否が分かれるだろうなあ。「世界キター!」って狂喜と、「過去の遺産の食い潰し」って批判で渦巻きそう。
でも、荒木先生は意味のない事はやりません。ここで『ザ・ワールド』使いのディエゴが登場する事は、物語にとって意味も必要もある展開なんでしょう。『ACT4』のオラオララッシュも、『ザ・ワールド』とのオラ無駄合戦のための布石だったのかも。まあ、スタンドに関してはファン・サービス的要素もありそうだね。けど、やっぱジョニィはディエゴを「走り」で超えてこそ、だよなあ。最後のレースで、ジョニィも「光の道」に至り、走る事の喜びを思い出してほしいです。そして、ついにディエゴを完全に超え、1着ゴールを果たしてくれたりすれば感動しそう。ジョニィの生長のためにディエゴは不可欠って事で。今後の展開に期待してます。


★今月は49ページ!思いも寄らぬ事態に、マジでポカ〜ンとしちゃいました(笑)。こりゃあ、ヘタすると23巻じゃ終わらないぞ。24巻まで行っちゃうかも。ただ残念なのは、最後まで「遺体」がレースに絡んできちゃうのね。最後だけは純粋にレースをやってほしかったけど。でも、この展開もスゴイ。「ジョジョ」の敵はあくまで「ディオ」!一体、どうなっちゃうんでしょうか?こうなったら、どんな風にでも転がせそうだよな〜。
それにしても、承太郎じゃあるまいし、『ザ・ワールド』なんてどうやって倒すんだろ?まさかの『タスク ACT5』で停止時間に入門?つーか、そもそも『ザ・ワールド』を発現したディエゴがいる世界なんて、ずいぶんと遠くの次元なんじゃないでしょうか?よりにもよって、大統領も最悪の置き土産を残してくれちゃったもんです。でも、完成した「遺体」の影響で発現した可能性もありますしね。いずれにせよ、来月号次第です。楽しみにしとります。
あと、今月はちょっと絵が荒れ気味っぽく感じました。小さいコマの絵の線とか特にね。ピントの合っていない部分を筆ペンで描く手法が、今月は多く使われてたけど、それはけっこう好き。
作者コメントは「インフルエンザの予防接種、「痛くない」と言ってたのに痛かった。泣いた。」との事(笑)。お体には充分に気を付けて、「SBR」を完走していただきたいですね!



(追記)
●あまりにも突然で唐突な登場を果たした異次元ディエゴ!そして『ザ・ワールド』!多くのジョジョファン達を月までブッ飛ばしてくれた彼らですが、現時点では全てが謎だらけ疑問だらけです。なので、いろいろ考えて予想してみたいと思います。



疑問1:おい!そもそもあのディエゴは何なんだよ!?
予想1
まず「基本の世界」のディエゴは、大統領との戦いで列車に轢かれ、胴体真っ二つで死にました。スタンドはご存知、恐竜化能力の『スケアリー・モンスター』。無論、この「基本」のディエゴが復活したワケではありません。彼もジャイロ同様、奇跡でも起きなけりゃ、復活する事はないでしょう。
言わずもがな、今回のディエゴは異次元のディエゴ。ただ、『D4C』で行き来できる「隣りの世界」より遠くの次元っぽい気が……。これまでの描写を見る限り、「隣りの世界」は「基本の世界」と非常に近い運命の流れを辿っている世界と推測できます。「遺体」の有無が最大の違いであり、それ以外は多少の差異はあるものの、ほぼ同じ出来事が起こっているようでした。つまり、「隣りの世界」の運命は「基本の世界」に準ずるという事。まあ、だからこその「基本」なんでしょうけど。
そう仮定すると、ディエゴが『ザ・ワールド』を発現させる世界が、どれほど「基本の世界」から掛け離れたものであるかが窺えましょう。「隣りの世界」のジョニィやH・Pも、スタンドは「基本の世界」と同じでした。そして、「基本」のディエゴが連れ込まれた「隣りの世界」においても、その世界のディエゴは恐竜を生み出していましたしね。スタンドがまったくの別物って事は、ある意味、本体もまったくの別人とさえ言えます。スタンドは本人の無意識の才能であり、魂・精神のエネルギーの形なんですから。「基本」のディエゴと別人レベルで異なるディエゴが存在する世界……、そこはもはや「遠くの世界」と表現しても良い異次元なのかも。性格も「基本」のディエゴよりDIOに近い、純粋な悪である可能性が高そう。


疑問2:じゃあ、なんでそんな遠くの異次元から「基本の世界」に来れたんだよ!?
予想2
この辺の経緯は、次号の冒頭とかで描かれるかもしれませんね。後述の疑問3の答えも含めて。
でも、予想1で書いたように、本来なら『D4C』ですらも行けない「遠くの世界」であるとすれば、大統領が意図的にやった事ではないと判断できます。そして、ジョニィの「大統領は死んだあとに、どこかの次元に消えて行った」という発言。つまり、大統領の死後も異次元と繋がっている状況だったようなのです。これについては前述の通り、『D4C』の次元を超えるエネルギーが、スタンド崩壊時に暴発してしまったせいなのかも。そのため偶然にも、あの穴がわずかの間だけ異次元と繋がってしまったと。
『ACT4』の能力の作用と考える事も可能かもですが、そうすると、ジョニィは自分で開けた次元の穴で自分をピンチに追い込んじゃった事になります。それもなんかマヌケで締まらない話。それに、ジョニィが自分で次元を超えられるんなら、大統領との取引自体が無意味になっちゃうしなあ。なので、私としては『D4C』暴発説を推したいところです。


疑問3:どうして異次元ディエゴが「遺体」やシェルターの事を知ってるの!?
予想3
これはもう、完全なる憶測・妄想になります。『ザ・ワールド』を発現させた異次元ディエゴは、その次元のジャイロやジョニィ達と戦い、勝利を収めました。当然、戦ったジャイロ達は始末されちゃってます。ちなみに、このジョニィとの戦いから、爪弾の射程とかも知り尽くしたワケですな。
で、ディエゴはいよいよ大統領を襲撃!ところが、そこに「基本」の大統領の死体が現れるのです。異次元の大統領は愕然としますが、ディエゴはこの異常事態に興味を抱くんですね。なぜ大統領が2人いるのか?どこから現れたのか?……数々の疑問を、大統領へぶつけます。『ザ・ワールド』の圧倒的能力の上、「答えなければ殺す」などと脅せば、もはや大統領に選択の余地もありません。『D4C』を持つ「基本」の自分が死んだ以上、次元を超える事も「別の自分」とバトンタッチする事も出来ない。死んだら終わりなのです。止むを得ず、大統領は「遺体」や「基本の世界」の存在、そして地下シェルターの在処を、ディエゴに話したのでした。
ディエゴは即座に大統領を殺し、次元間トンネルとなっている穴へとダイブ!こうして、はるばる「基本の世界」へとやって来たのです!そんで、優れた乗馬テクニックと時間停止能力を駆使し、ジョニィから「遺体」を奪い、地下シェルターへと走ったというワケ。
「基本」の大統領が、異次元ディエゴを呼び出したとか取引したとかって意見もあるようですが、私的にはそれはないと思ってます。自分以外は信用しない大統領が、「貧乏人のカス」であるディエゴ如きに「遺体」を揃えるチャンスなんて与えるはずがない。どんな理由があっても、そんな事は出来ないでしょう。増してや、異次元のディエゴに「遺体」の事を教えたり、「基本の世界」へ送り込んだりしてる余裕があるなら、その世界の自分に『D4C』を受け渡した方が手っ取り早いかと。


疑問4:ジョニィは『ザ・ワールド』に本当に勝てるんですか?
予想4
どうでしょうねえ?勝たなきゃ物語が成立しなくなっちゃうから、勝つ事は勝つんでしょうけど。でも、どうやって『ザ・ワールド』を上回るのか?
「遺体」によって、『タスク』が最後の進化を遂げる?異次元からジャイロが助けに来てくれる?はたまた、死んだはずの「基本」のジャイロが復活?……どれもあり得そうですよね。なんとな〜く異次元ディエゴの存在は、ジョニィが「遺体」のパワーを覚醒させ、手に入れるための人柱のような気もするしなあ。
ただ……、よくよく考えてみれば、いくら『ザ・ワールド』が無敵でも、ディエゴ本体は普通の人間。「本体を叩け」!凶悪スタンドと戦う時のセオリーです。ジョニィはただならぬ気配を感じ、すでにジャイロの形見の鉄球によって、皮膚を硬質化させていた!これでナイフ乱れ撃ちも防げます。そして、『ACT3』による変則的な不意打ちでディエゴを狙撃!それでもダメなら、今こそ「騎兵の回転」です。脚がほぼ治ったジョニィならば、もう馬に蹴られずとも使いこなせるはず!異次元ディエゴすら知らない「騎兵の回転」がカギを握るッ!?
いやいや!「騎兵の回転」までもが破れるものの、地球の回転の力をも上乗せした「究極の回転」=「星の白金の回転」なんて編み出しちゃったり?そんで最終的に、「もしお前のスタンドが恐竜の能力だったら、ぼくはやられていた……」的な展開になったりしたら、皮肉で面白いかもしれませんね。第一、DIOの『ザ・ワールド』と異次元ディエゴの『ザ・ワールド』の性能が同じとは限りません。デザインも微妙に違うしね。う〜む、先が読めないだけに妄想が止まらん。



――こんな予想でした。次号までまだまだあるので、もうしばしこの祭りを楽しませてもらいましょうッ!



(もうちょっと追記)
●さっそくですが、祭りの続きです。またいくつか疑問について考えてみましたよ!



疑問5:異次元ディエゴさんは何故、シェルターに向かってらっしゃるのでしょうか?
予想5
これは確かにちょっと不思議でした。「遺体」をGETしたなら、どこへでもさっさと逃げちまえば良いものを、わざわざ大統領が用意したシェルターに行く理由・動機があるのかと。まあ、誰にも奪われる心配のない保管場所があれば、そこに隠したいと思うのも当然の心理なのかもしれませんがね。でも、今までみたいに、「遺体」が誰かの体内に入ったりはしないのかな?
もう1つの可能性も考えてみました。前述したように、地下シェルターのあるトリニティ教会とは、恐らく地図の最終地点。「遺体」はその地点へ向かうために、大陸を渡りたがっていたと推測できます。つまり、シェルターこそが「遺体」の辿り着くべき場所。きっとトリニティ教会は、「三位一体」の名を冠するに相応しい神聖なるパワーを宿す場所なのでしょう。そこに「遺体」を運び、安置した者こそが、「遺体」の真の所有者と認められるのかもしれません。単なる厳重な保管場所というだけでなく、「遺体」の所有権さえ決定付ける場所であるならば、ディエゴが最優先で向かっているのも納得です。


疑問6:どんな軍隊でもスタンド能力でも通用しないって、一体どんなシェルターだって言うのよ!?答えなさいッ!
予想6
う〜ん、それはさすがにオーバーな表現なのかも。所詮はスティールが言ってるだけだし、大統領だって全てのスタンドを知ってるはずもないしね。めちゃ頑丈なシェルターだとしても、『クリーム』や『ザ・ハンド』、『スティッキィ・フィンガーズ』みたいな空間系の能力には破られるだろうし。ただ、「どんな力であっても侵入・破壊が不可能である事」をコンセプトに、このシェルターが造られたのは間違いないでしょう。
ここで思い出すのは、6部にて登場した、「地獄の門」を守る「真の看守」ことミューミュー。あらゆるスタンド能力を封じ込める能力として、『ジェイル・ハウス・ロック』が描かれました。ならば、このシェルターにも何らかのスタンド能力が働いているのでしょうか?……でも、それも違う気がします。自分以外の「誰か」に頼るようなマネをしたら、その「誰か」に裏切られ、「遺体」を奪われてしまう。大統領なら、きっとそう考えるはず。第一、それじゃあ、その「誰か」が生きている間しかシェルターは無敵でいられません。国家の永遠の繁栄を望む大統領にとって、それでは意味がない。
思うに、これはごくごく単純。とんでもなくブ厚くて硬い壁や天井に覆われてるシェルターなのです。そして、一度閉じたら最後、二度と開く事が出来ないシェルターなのです。扉を開くカギも方法も一切ない。大統領でさえ、「遺体」を安置した後は二度と取り出せない構造になっているのでしょう。アメリカに「遺体」が永遠に存在し続けていればいいワケですからね。


疑問7:異次元ディエゴ殿が『ザ・ワールド』を持っているのは、もしや6部の『天国』と何か関連があるのではござらぬか?
予想7
過去キャラに似たポジションのキャラなら、「SBR」には大勢いました。けど、さすがにそのものズバリの過去スタンドが登場するとは予想外すぎでした。しかも、それが『ザ・ワールド』と来たら、『天国』との関連性を疑ってしまうのも無理なからぬ事。DIOの復活だとか、旧世界への回帰だとか、いろいろと物議を醸している模様です。まあ、現時点では、否定も肯定も出来ないってのが正直なところ。
ですが、個人的な心情としては、特に関連性は無いのではないかと思ってます。いや、無いと思いたい……っつーか。「DIOは承太郎が倒したものだから、再登場はない」と荒木先生が言っていたのと同様に、『天国』もまた、徐倫達の遺した希望を受け継いだエンポリオが打ち砕いたものであるはずだから。
まず前提として、1〜6部の世界と「SBR」の世界が繋がっている事は、「青マルジャンプ」でのインタビューで保証済み。作中で明言はされないものの、6部ラストでエンポリオがプッチ神父を殺した事によって、一巡後の世界は新たな世界として生まれ変わります。この新世界では、徐倫はアイリンとして、アナスイはアナキスとして存在し、過酷な運命から解き放たれていました。そして「SBR」は、この新世界の1890年の物語というワケです。これに関しても諸説ありますが、少なくとも、一巡後の世界が「SBR」の世界である事は絶対にあり得ません。一巡後の世界は、前の世界と同じ歴史を歩む運命だからです。だからこそ、プッチは『メイド・イン・ヘブン』によって、全人類に未来の運命を知らせ、覚悟させようとする事が出来たんです。その点、「SBR」は、1〜6部の旧世界の運命から、あまりにも大きく掛け離れてしまっています。一巡後の世界なんて、廊下でズッコケる程度の小さな出来事すら、運命として再現されていたくらいですからね。
DIOとプッチの意志に囚われているのが、一巡後の世界。『メイド・イン・ヘブン』により、全人類が運命を覚悟する世界こそプッチの『天国』。そして恐らく、『メイド・イン・ヘブン』により、自分だけが運命を超えた存在になる事こそDIOの『天国』。プッチの死により、それらから解放された世界が、新世界。完全に一巡する前の時点で、運命という枠の外側にいる状態で、プッチは死んでしまいました。そのため、プッチは運命の流れの中から抹消。世界はプッチが存在しない運命へと再構築された。……と、私はそう解釈しとります。徐倫達の愛や意志が生み出した世界でもあると思ってるので、やっぱDIOとプッチの野望は完璧に潰えていてほしいし、今さら旧世界に後戻りなんかしなくてもいいんです。
異次元ディエゴが『ザ・ワールド』を発現させたのは、あながちトンデモでもないのかもしれません。もともとディエゴは、他キャラとは違い、旧世界の自分(=ディオ)と見た目も性格もそっくり。ジャイロやジョニィ、ルーシーなんかと比較すると、違いがより顕著に分かるでしょう。それだけ、彼の存在や魂には強い強い引力が宿っているって事なのかも。そして、無限に存在するパラレル・ワールドの中には、とりわけ強力な引力を持つディエゴがいたんです。そのディエゴは、ディオと見た目や性格のみならず、スタンドまでもが瓜二つだったと。で、強力な引力ゆえに「基本の世界」をも引き寄せたと。そう考えると、そんなに不自然でもないのかな?



――はい、こんな感じです!今回は考え甲斐や語り甲斐があり過ぎる回ですね。自己満足だけど、やっぱ楽しいもんです。




(2010年11月18日)
(2010年11月20日:追記)
(2010年11月25日:もうちょっと追記)




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