TOP  <<#65 戻る #67>>



わたしの 子供の名前は 『ジョニィ・ジョースター』
遥かなる 西海岸の端から この大陸を 渡り切って
たったひとりぼっちで 今!この! ニューヨークへ やって来ました ………………


#66 新たな世界A





●トビラ絵は、怪しい煙の立ち込める街に佇む『ザ・ワールド』!……いやあ〜〜、実に『ザ・ワールド』です。この圧倒的存在感、見事に『ザ・ワールド』です。
絵柄の変化と荒木先生の忘れっぽさゆえか、ディティールは変わっちゃってます。肩や拳の時計のデザイン、手首のデザイン、膝のデザイン、靴のデザインなんかは特に顕著!体格にしても、ナイスなガタイだった3部の頃とは違い、すっかりスタイリッシュに!しかし、6部や「JOJO A-GO!GO!」、あるいは3部・改訂版なんかでも描かれたりしてたから、そんなに違和感はありませんね。まさか今、こうして生きた『ザ・ワールド』が拝めるとはなあ……。


●異次元より現れたディエゴが発動させた『ザ・ワールド』!時は止まった!全てが停止する世界で、ディエゴはジョニィに無数のナイフを投げ付けるッ!前回は、そんな驚愕の展開で幕を閉じました。そして、待ちに待った今月!さあ、祭りはまだまだ続きますよッ!
「フン」と鼻で笑うクセはそのまま!そしてディエゴは、手に持ったナイフで強引に爪弾の軌道をそらしてやると、「基本の世界」のジョニィをじっくり品定め。爪弾の通った軌道そのものをナイフでコンコンやってるけど、すげーマンガ的な表現で面白いっスね。現実的に考えりゃ、そこには何もないワケだし。いや、爪弾によって生じた空気の歪みか何かなのかな?
……まあ、それはともかく。どうやら、ディエゴがやって来た次元のジョニィと、特に違ったところはない様子。でも、異次元のジョニィは「騎兵の回転」を使っていないはず。このディエゴが、DIOのようにお遊び好きだったりすれば、油断してるところに「騎兵の回転」を思いっきしブチ込んでやれるかも!?


●――ここで、ディエゴが異次元から「基本の世界」へと現れた理由が描かれます。なんと、大統領が彼を連れて来ていたのでした。『ACT4』によって、無限生き埋め地獄に落とされた大統領。いくつもの次元を渡り歩き、探し求め、ようやく出会えたのが生きたディエゴだったのです。やっぱり「基本の世界」で死んだ者は、「隣りの世界」においても程なくして死ぬ運命なんでしょうな。にも関わらず、この次元のディエゴがまだ生きていられた理由と、そのディエゴが『ザ・ワールド』持ちだったって事実は、決して無関係ではなさそう。相当に強い引力と生命力を、このディエゴは持っているんでしょう。「基本」の自分をも超える程の、例外的な存在。
大統領は自分の敗北と死を覚悟し、ディエゴに「遺言」を伝えたのです。「基本の世界」、「聖なる遺体」、「無限の回転」、「地下シェルター」……。自分の持てる情報を隠さずディエゴに話し、その上で、もし自分が死んだら「遺体」の所有者となり、世界の支配者となるように説得。全ては、「遺体」を決してアメリカから出さないため。私はどうやら、完全に大統領を見くびっていたようです。これほどの確固たる意志で、国を守ろうとしていたとは。「それならいっそ、アメリカ国民のジョニィに渡した方がいいんじゃね?」という気もしますが、ジョニィの場合、「遺体」を求める動機があまりに利己的です。加えて、下手すりゃ「遺体」をネアポリス王国に渡したり、あるいは破壊したりしかねんからなあ。ディエゴの方が、冷静でグローバルな視点を持ってそうだし、どこまでも高みを目指す貪欲さにも溢れてるし、ある意味で自分と利害が一致すると判断したのかも。ディエゴを信用してはいないが、野心だけはとても気に入っているらしい。まったく、とんだアメリカン・ドリーマー達です。
こうして、『D4C』の能力によって土の中に潜んだディエゴは、大統領の死を確認すると「基本の世界」へと飛び出したのでした。超危険人物・ディエゴに未来を託すほどのなりふり構わなさっぷり!肉体は死んでも、その魂は死なず。この期に及んで、大統領の魅力はアップしまくりだぜ。でも、もしうまい具合にジョニィを始末できてたら、大統領はどうしたんだろ?さすがに『ザ・ワールド』が相手じゃ、いくら『D4C』と言えど荷が重すぎる。おとなしく「遺体」を譲るはずもないし、「基本」のディエゴにやったみたいに、2つの世界の間に挟んで嬲り殺しとか?いやいや……、土の中に隠れてる状態なら、いつでも『D4C』で異次元に飛ばせるのかもな。


●『ザ・ワールド』の能力は、時を5秒ほど止める能力ッ!時が止まっているのに5秒と考えるのは理屈に合わない、と懐かしい感じがするセリフも。う〜ん、ますます『ザ・ワールド』ですね。ちなみに、『ザ・ワールド』はもともと異次元ディエゴのスタンドらしい。「遺体」を全て奪ったから発現した、とかではないようです。
時が動き出すと、突然の出来事にジョニィは大慌て。爪弾で数本は撃ち落としたものの、いきなり現れた無数のナイフを避け切る事は不可能でした。3部と比べると、投げ付けた本数自体が少なかったおかげで、ジョニィも致命傷には至らなかった模様。落馬しても、さらに爪弾で応戦する程度の余裕があります。爪弾で電柱を倒し、弾痕はディエゴを追う!上下同時攻撃です。しかし、ディエゴはまたも時を止め、攻撃を回避。『ザ・ワールド』が馬ごと持ち上げてくれてるのか、はたまた、馬も停止時間の中を動けているのか?その辺はちょっと謎。
まったく攻撃など食らってはいないが、ディエゴはジョニィを用心。爪弾を多少ヤバイと評し、一定の距離は取らなければ危険であると察します。だからこそ、さっきもナイフで攻撃したんですね。その上、大統領から聞いていた「騎兵の回転」への対策もバッチリらしい!これは……、お遊び好きどころか、めっちゃクレバーで用心深い!油断なんて期待できそうもないな。
ディエゴが走り去った後、ジョニィは思考を巡らせます。死んだはずのディエゴが現れ、しかも、スタンド能力もまるで別物。「テクニック」だとか「スピード」だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてありません。そしてジョニィは、いつもの超推理で全てを見抜きますッ!あれは大統領が連れて来た、異次元のディエゴ。自分が死んだ後も「遺体」を決して渡さないために。それだけならまだしも、レロレロの人が命懸けで解いた『ザ・ワールド』の謎まで一発で見破っちゃいました。レロレロの人の立場が……と思いつつも、これはリンゴォという前例と出会っていたからこその推理でもあったようで。時間を操る能力が存在すると、前もって知っているかどうかの差はデカい。確かに、ジョニィなら時止めにもすぐ気付けるのかもしれませんね。レロレロの人の名誉も守られました。


●ディエゴを追うジョニィは、いつの間にか8th.STAGEのゴール地点へ!着順は5位!しかし、今のジョニィには観客の騒ぐ姿も見えず、大歓声も耳には届きません。ただただ、憎き宿敵・ディエゴの姿を探すのみです。
冷めたジョニィは置いといて、ここで久々にレースの順位表が発表ッ!8th.STAGEの着順は、1位がスループ・ジョン・B!2位がノリスケさん、3位がポコロコ、4位がディエゴ、5位がジョニィ、6位がジョージー・ポージーという結果に。ところが、ここまでで得たタイムボーナスをここで使うというルールが急遽追加され始めからあったようで、それにより順位は変動。1位のスループ・ジョン・Bは変わらないものの、2位にディエゴが躍り出ました。自分自身のポイントでもないクセに、異次元ディエゴのちゃっかりぶりには閉口します。まさに「奪う者」の鑑。自分からすらも奪い取るとは。3位はノリスケさん、4位はポコロコ、5位はジョニィ、6位はジョージー・ポージー。これが8th.STAGEの確定順位です。ただ、ディエゴがタイムボーナス2時間を使っても、スループ・ジョン・Bを抜けなかったのは地味にスゴイな。どんだけ早くゴールしたんだよ?
総合順位を見てみると、1位がポコロコ、2位がディエゴ、3位がノリスケさん、4位がジョニィとなっています。(順位表からジャイロの名が消えているのが悲しい……。)優勝圏内にいるのは、この僅か4名ッ!ちなみに、5位はスループ・ジョン・B、6位はジョージー・ポージー。FINAL STAGEだけの勝利者にも10億円の賞金が出るそうなので、優勝圏外の選手も燃えている事でしょう。それなのに、スループ・ジョン・Bが未だにFINAL STAGEをスタートしていないのは何故なのか?これはどうやら、ある程度、選手がゴールして着順が確定してから、汽船が出発するという形を取っているためっぽいですね。FINAL STAGEは、8th.STAGEの1位から順番に15秒間隔でスタートしていくとの事。
そんな回りくどい事をするくらいなら、全員同時スタートにすればいいのに。とは言え、ディエゴを追うジョニィという構図を作りやすくしたいっていう荒木先生サイドの都合もあるのかなあ?だとすれば、スループ・ジョン・Bからすりゃ、とんだとばっちりですが。


●汽船に乗り、各選手はローワー湾を渡り、ニューヨークへ。航行時間は約2時間。その時間は体力温存の時間となります。対岸へと辿り着き、FINAL STAGEがスタートすれば、残るはたったの13km20分程で、全ての決着が付くのです!長かった、本当に長かったこの旅も、いよいよここまで来たんですね……。なんか感慨にふけっちゃうぜ。
船の上で、ジョニィは1人、やたらと気が急いている模様。前の船を追い越したり、妨害行為をしたりすれば、即失格という状況。でも、「もうレースなんて関係ないもんね〜」的な勢いで、ディエゴの乗る船に近付くよう、おなじみの係員に訴えます。(今回、5人確認。最低でも5つ子?)ついにはワイロを渡そうとするわ、係員がディエゴに買収されてると疑うわ、ドス黒さ満点のジョニィ。こいつ、成長してねえええ〜〜!係員じゃなくても怒るで、しかし。
係員のめっさ不愉快そうな顔を見て、ようやく我に返るジョニィ。自分に「落ち着けって」と言い聞かせてますよ。やっと冷静な思考を開始します。問題は、ディエゴのスタンド能力。ディエゴの裏をかかない限り、時を止められるヤツには勝てない。果たして、ジョニィに策はあるのか!?……我々の心配をよそに、当の本人は爪弾で撃ち抜いた新鮮な魚を捕らえ、その場で焼いて食い始めました。腹が減っては戦は出来ぬとは言いますが、なんともシュールな絵だ(笑)。


●とうとう選手達はニューヨークの地へ降り立つッ!6,000kmの道程も、13kmを残すのみ!賞金と栄冠は誰の手に渡るのかッ!?
そんな最後のスタート地点でジョニィが目にしたものは……、白いネズミでした。視界の隅で白ネズミが走り、ジョニィはそちらに目を向けます。すると、そこにはなんと、ジョニィの親父の姿があったのです。まったく想像もしていなかった、突然の父との再会。一体、何をしに現れたのか?……親父の目には涙が浮かび、申し訳なさそうに小さく手を振っています。そして、懐からニコラスのブーツを取り出し、ジョニィにコクッと頷いてみせました。そうです。なんと親父は、ジョニィを応援するためにニューヨークまで来ていたのです!走り出すジョニィの目からも涙が流れます。
親父はジョニィの姿を見送ると、周囲の観客達に熱く懺悔し始めました。自分が今まで息子を傷付けてきた事、そんな自分の愚かさにようやく気付けた事、そして、自分の立派な息子の名が「ジョニィ・ジョースター」である事を。親父の熱弁に心を動かされたらしく、周囲のみんなも涙ながらに拍手を送ってくれます。(片目からしか涙を流してない人が多くて気になるけど。)あの最悪親父がずいぶんと丸くなったもんです。ジョニィの頑張りを新聞やニュースで見聞きして、自分の過去を悔いるようになったんでしょうか?実際、一回泣いて謝るくらいでチャラになるもんでもないとは思いますが、ついにジョニィの心が救われる兆しが見えてきましたね。
白いネズミ、兄のブーツ、父の存在。ジョニィにとって忌まわしいはずだったものが、今、ジョニィに救いをもたらそうとしています。白ネズミなんかは、大統領戦でもジョニィの命を救ってくれましたしね。今までの苦難が、ようやく報われる瞬間が訪れそうな気配!これで初めて、ジョニィは「ゼロ」に戻れるのです。感動的ですねえ。でもやっぱ、ここまで過酷な道を歩き続けてきたジョニィには、もっともっと救いがあっていいはず。真の「全て」を得る資格があるはず。……となれば、もちろんジャイロを復かt


●親父とのわだかまりが解け、ジョニィの眼差しにはもう迷いはありません。前方を走るディエゴを追跡しながら、始末する方法を考えます。うん、親父と仲直りしてもジョニィはジョニィだな。実に漆黒。
近付けば殺られるが、近付かなければ殺れない。ギリギリの距離で、ディエゴの裏をかかなくては!ところが!裏をかかれていたのは、ジョニィの方だったのです。ディエゴはすでに、ジョニィの通り道にワイヤーを張っていた!このままでは、スッパリとキレイに切り刻まれちゃいます。すかさずジョニィは壁を撃ち、その破片で体をガード!しかし、切れたワイヤーがしなってジョニィに襲い掛かります。さらに、ガードしたは良いものの、反動で馬から落っこちそう。これは恐らく、ディエゴが言っていた「騎兵の回転」封じの一手でしょう。まずは、ジョニィと馬を離す。シンプルながら、超効果的です。
次なる一手は、どう来るんでしょうか?私がディエゴなら、今度は爪弾を全て使わせます。距離を保ったまま、時間停止して、再び飛び道具攻撃が有効そうです。それを弾くために爪弾を撃ち尽くしたら、もうジョニィは何も出来ません。爪も馬もないなら、ジョニィなど恐れるに足らず!……と思わせといて、ジョニィはその裏をかき、ジャイロの鉄球を不意打ちでかましてくるかもしれない。でも、こんな予想をブッ飛び超える、息詰まる白熱した攻防を期待してます!


★今月は49ページ!めちゃんこ面白かったです。あんなに予想したのに外しまくりで最高。まず、大統領の高潔なる覚悟に敬意を表します。無論、悪の側面もあるけど、あんなに自国の事を想う人がトップに立ってくれると頼もしそうだなあ。異次元ディエゴの登場も驚愕でしたが、これすら大統領の意志だったとは。これからディエゴがどんなに派手に暴れ回っても、私にとって「SBR」最大の敵は紛れもなく大統領です。
そして、ディエゴと『ザ・ワールド』。先月は本当にビックラこきまくりましたけど、なんかもうすでに馴染んでしまってる。さすがの貫禄と存在感ですよ。今のディエゴはある意味、「基本」の自分と大統領の意志を「受け継いだ者」でもあるのかもしれません。ジョニィの手に負える相手なのか……?2人の戦いがどんな形で決着するのか、楽しみで仕方ありません。出来れば、親父とのわだかまりが無くなった事をキッカケに、ジョニィの中にレースへの情熱が湧き上がってくれると嬉しい。「遺体」争奪戦もいいけど、ジョニィとディエゴが最終的に、「ジョッキー」としてレースでケリを付けてくれると超燃えそうです。何にせよ、もうこの展開なら、確実に24巻までは続きますね。早く終わりを見届けたい気持ちと、まだまだ読みたい気持ちの両方です。
作者コメントは「映画『トワイライト』シリーズにハマりました。血吸いたいのに吸えないね。」との事。…………怖え。




(2010年12月17日)




TOP  <<#65 戻る #67>>

inserted by FC2 system