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この状況… ジャイロのように……
タフなセリフを吐きたい


#67 新たな世界B





●トビラ絵は、現在の主要キャラ集合図!イメージとしては、17巻の表紙イラスト的とでも言いましょうか。それぞれのキャラが、1本の柱・軸のように集まって描かれています。ジョニィの顔が中心となり、彼の周囲にはディエゴ、『ACT4』、ルーシー、『ザ・ワールド』、大統領。そして、頂上部には今は亡きジャイロの姿が。
ラフ画ではありませんが、この絵は線も細く、ベタも塗られていません。まあ、ぶっちゃけ白い絵ですね。「SBR」では、今までの荒木作品と比べて、光の表現が極端になっています。このトビラ絵みたいな白い絵もそうだし、ピントが合っていない箇所を筆ペンでサラッと描いたり、逆に影の部分をガッツリと真っ黒に塗ったり。「xxxHOLiC読本」での対談でも、荒木先生は「黒と白がはっきりしてるところがいい」と、CLAMP先生のベタの使い方に感銘を受けた旨の発言もされていました。「どうしても線を入れて立体的にしてしまうから、自分にはなかなか出来ない」との事でしたが、荒木先生なりに新たな表現方法を模索し、確立していったんでしょうね。
そういう白と黒、光と影の対比が色濃くなった手法は、「光の道」「漆黒の意志」をテーマの1つとして描き出す「SBR」にはピッタリです。線が減った分、作業的にも体力的にも負担が減りそうだし、一石二鳥!?


●充分に距離を取っているにも関わらず、止まった時間の中で執拗に攻撃を仕掛けてくるディエゴ!ジョニィはまんまとワイヤー・トラップに掛かってしまいました。とっさに破壊した壁の破片でガードしたおかげで、直撃はまぬがれたものの、かすめた膝の肉をスッパリ持って行かれちゃいましたよ。これは痛そうだ。せっかく脚が治ったってのに。でも案外、脚に痛みを感じる事さえありがたく思うのかも。
ジョニィは落馬しながらも、すかさず爪弾を発射ッ!もちろん直撃などするはずもありませんが、弾痕はディエゴを追跡!その弾痕の中から手が現れ、ディエゴもちょっと驚きます。こ、これはお久しぶりの『ACT3』攻撃!?……という期待は、弾痕から覗く手のデザインを見て、あっさり砕け散りました。それは『ACT4』の手!落馬の最中についでに使えるくらい、ジョニィは「騎兵の回転」をマスターしている模様です。
『ACT4』の腕がディエゴに攻撃を仕掛けようとした瞬間、時は再び止められました。さすがにこんな強力な能力を持っているだけに、「無駄だ 無駄」と余裕綽々な態度のディエゴ。ところが、『ACT4』の腕を切断しようとしたその時、なんと『ACT4』の指がかすかに動いたのです!必要以上にビビるディエゴ。よくよく弾痕の「穴」を覗いてみると、『ACT4』がめっちゃこっち見てました。挙句、「チュミ ミ」と鳴き出す始末。大統領から「騎兵の回転」について教えてもらっていたディエゴは、その危険性にもすぐに思い至ります。どうやら『ACT4』、「重力」を支配しているために、止まった時の中にまでも入り込めるようです。まったく、節操のないスタンドです。


●時が動き出すや否や、ディエゴは『ACT4』から離れ、そのまま走り去って行きました。そして、『ACT4』を「あってはならない能力」と評し、わずかにでも触れたら敗北すると認めます。しかし、ディエゴの表情に絶望はありません。「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからです。ディエゴは「覚悟」を決め、この最大の試練を乗り超えると自分に誓います。う〜む……、やっぱりディエゴはいいキャラですね。常にギラギラしたハングリー精神を持ち、必死に頂点を目指そうとする姿勢。実にカッコイイ。吸血鬼とかではなく普通の人間だから、肉体的にも精神的にも、ジョニィとの一進一退の攻防を繰り広げてくれます。
一方のジョニィも負けてはいません。「この状況… ジャイロのように…… タフなセリフを吐きたい」。ジャイロから受け継いだ折れない心!不屈の闘志を瞳に宿し、ジョニィは再び馬に乗り、ディエゴを追うッ!なんか、このシーンが今月、一番印象に残りました。ジャイロとの旅路は、ジョニィを確実に強くしてくれたんだなあ、と。ジャイロとの想い出が、ジョニィを支え、導いてくれるのです。ジャイロの存在は、間違いなくジョニィの「心の中の地図」になっていますね。たった1コマの描写だけど、感動しました。
こんな2人が本気でぶつかり合い、死闘を演じるんです。そりゃあ、盛り上がらないワケがない!


●場面は変わり、スティール夫妻へ。スティールは電話でレースの状況を確認。大統領との戦いで死んだはずのディエゴが、今、堂々とニューヨークを走っている。つまり、異次元からの来訪者はディエゴ・ブランドー!その事実に気付いたところで、もはや彼らには何も出来ません。警察も護衛も、行方不明の大統領の捜索に駆り出されているとの事。スティールの権限をもってしても、今はディエゴの走行を止める事など不可能なのです。
「聖なる遺体」の意志が、ディエゴではなくジョニィを選んでくれる事を祈る。それだけが、今のスティール達に許された行為。しかし、ルーシーの胸中には一抹の不安が過ぎります。もし、「遺体」の意志が味方するのが、「遺体」を所有している者だったなら……?「遺体」を持たぬジョニィはどうなってしまうのか?
実際、「遺体」は大統領を味方し、そのせいでジャイロも死に、ルーシー自身も死にかけたんですからねえ。それは真っ当な疑問ですよね。これまでも、「脊椎」を手に入れたブラックモアの元に降臨したり、アクセルの体内に入っていったりと、これまた節操無しな面が垣間見えていましたし。ただ、逆に考えると、「遺体」に選ばれたからこそ「遺体」を所有できたと言えるのかもしれない。1つ言える事は、「遺体」を今、所有しているのはディエゴであるという事のみ。その事実が、どんな事態へと発展していくのでしょうか?
不吉な予感ばかりですが、希望だってあります。何せジョニィは、「遺体」を全て失っても尚、チュミーちゃんという守護精霊を失わずにいたのですから。そして、「遺体」の守護精霊を自らのスタンドにまで昇華させたジョニィならば、「遺体」の祝福を受けても、なんら不思議じゃありませんよ。


●場面は再び、市街地を疾駆するジョニィとディエゴへ!2人の前方には、3人の人影。無論、彼らより先にスタートしたスループ・ジョン・B、ポコロコ、ノリスケさんの3人です。先頭集団を捉え、ブルックリン橋も見えて来ました。橋を渡れば、そこはマンハッタン島ッ!
ジョニィは思考を巡らせます。ディエゴにこれ以上は近付けない。射程内に入ったら、またナイフやワイヤーでやられる。ヤツに見えないように、聞こえないように、お互いの姿が壁の死角に隠れた瞬間に爪弾を発射しなければ。そして、壁を貫通させて撃ち込むならば、使えるのは『ACT4』だけ!完全な「黄金の回転」だけが、きっとディエゴに到達できる!
――すると、ディエゴが突然、一斗缶を投げ捨てたのです。気付けば、何かが降り注ぎ、ジョニィの体を濡らしていく!この臭いとぬめりは……、「GAS」という看板の店から盗んだようですから、これはガソリンなのかな?そして、ディエゴの手元には大量のマッチ。不気味な微笑みを浮かべ、マッチに火を点けるッ!ジョニィが焦っても、時すでに遅し。いや、遅すぎて時も止まる!マッチをバラ撒くと、ディエゴは意味深なセリフを吐きます。「お楽しみはここからだ」と。「プランは出来た」と。どうやら『ACT4』抹消計画がいよいよ動き出す様子ッ!ただ、ディエゴにも「覚悟」が必要である事から、ディエゴ自身も大きな危険と痛みを負わざるを得ないプランでもあるようです。
時は動き出す。一瞬で炎に包まれるジョニィ!しかし、『ACT4』を地面に発射し、なんと道路をキレイに真っ二つに裂いちゃいました。「次元の壁」をこじ開けた時のように、道路を「空間」ごとこじ開けたのでしょう。すかさずジョニィは、道路の下に飛び込む!下水の中に逃れて、炎を消す算段らしい。とっさの機転も見事ではありますが、きっとこれはディエゴに読まれているんだろうなあ……。下水に逃れたのではなく、ディエゴに誘導されたに過ぎないはず。さすがはDio、恐るべき男です。ジョニィも言う通り、何をしてくるのか予想がまったくつきませんね。怒涛の凶悪トラップ・コンボが炸裂しそうな予感だけがビンビンしますね。
それでも必ずや『ACT4』をブチ込んでやると、燃えてる体以上にジョニィがハートをヒートさせつつ、今月はここまで。


★今月は33ページ!まあ、年末年始を挟んでるから、このページ数は予想の範囲内。これで23巻収録分は終わりかな。恐らく3月発売と思われます。
ページ数は少ないけど、内容は面白かった!結局、『ザ・ワールド』という無敵の能力を打ち破る術は、止まった時に入門する以外にないのかなと、正直、ちょっぴり残念にも思いました。でも、DIOという超越者とは違い、慎重に手を打ってくるディエゴは新鮮です。レースをしながらのバトルも、スピーディーでテンポが良く、かつ分かりやすい。お互いの能力ゆえにお互いに近付けない、一風変わった激闘です。『ザ・ワールド』とレースが、こんなにもマッチするとは。シンプルに燃えますね。ややこしい大統領戦をじっくり描き切った反動?
作者コメントは「謹賀新年。今年も『ジョジョ』をよろしくね。」との事。今年2011年は、荒木先生執筆30周年リアル6部イヤーという記念すべき年ッ!!「SBR」は完結するでしょうが、「ジョジョ」はまだまだ終わりません。もっともっと盛り上がりまくっていきますよ!どんなサプライズが待っているのやら。お楽しみはここからだ。
そうそう、今月は「SBR」の付箋セットがオマケで付いてきました。来月はなんと、ポケットティッシュBOXまで!えらい実用的で庶民派なアイテム揃いですね……、はい。




(2011年1月18日)




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