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「STEEL BALL RUN」 コミックス感想
1〜5巻






●第5巻● (大統領の陰謀)



<カバーイラスト>
ウルジャン8月号の表紙そっくりのイラストです。個人的にはこっちの方が好き。巨大鉄球の存在が絵に奥行きを感じさせ、オレンジも良いアクセントとなっています。バックが白一色というのも大胆。その白がジャイロ達を際立たせ、夏らしい爽やかさをも演出してくれていますね。背表紙の困った顔したチュミーちゃんもかわええ…。

<作者コメント>
長期休載やウルジャン移籍、「ジョジョ7部」表記の件には一切触れず、何事も無かったかのように手の柔らかさについて熱く語る荒木先生。このマイペースっぷり…、「あー、この人は何があっても変わらないなー」と安心しました。
ジャイロの手はフワフワと判明。先生が今も、ジャイロを「能力者」ではなく「達人」「熟練者」として扱っている事が窺えます。サンドマンのかかとが柔らかいのも、走りの達人だからです。先生の中での「達人」とは、最小限の力で最大限の効果を発揮できる「卓越した技術」を持つ者なのです。余計な力を使わないからフワフワなのです。そう決め付けました。

<内容>
プロローグ編の「インタールード(間奏曲)」ってタイトルになんかグッときました。荒木先生にとってマンガを描くという行為は、きっと音楽家の演奏に等しい事なのでしょう。4巻まででプレリュード(前奏曲)は終わり、このインタールードを経て、いよいよ本編の演奏が開始されます。そういう意味では、この巻からの「ジョジョ7部」表記も必然かもしれませんね。プレリュードで描かれたレースとスタンドバトル。この2つを自然に結び付けるものこそが、本編からの新設定・遺体争奪戦なのでしょう。
ポーク・パイ・ハット戦、やはり燃えるし面白い!一気にまとめて読むと尚更です。砂漠に浮かぶ黒い羽根、そこから出現して襲ってくるカギ針、口に収納されるワイアー。アイディアももちろん、絵的なインパクトが強すぎ。ちなみに、聖マルコの説明部分など、セリフがいくつかビミョ〜に変わってました。
ラフ画が復・活ッ!やっぱこれが無いとね!話数と共にラフ画も当然少なくなってしまいますが、どれもカッコ良かったです。しかも今回は、それぞれのキャラがストーリーや性格が滲み出るセリフを喋ってました。でも正直、ラフ画は絵のみで楽しみたいところです。

(2005年8月7日)




●第4巻● (ジャイロ・ツェペリの宿命)



<カバーイラスト>
モデル立ちしたジャイロの脚にジョニィがしがみ付いているイラスト。ゲイの写真が元ネタらしいですが、さすがは荒木キャラ。様になってます。ジャイロの涼やかな視線と、風にたなびくマントがカッコイイなあ。
ただ、3巻も4巻もバックが青なので、イメージが被ってしまって残念でした。夜の砂漠って感じで内容的には合ってますけど、どっちかのカラーをうまく変えて、砂漠の熱気が立ち昇ってくるような絵だったら個人的にもっと良かったですね。
背表紙にはイケメンが登場ッ!ようやくマトモなカラーリングになれました。せっかくの出番なのに、ジョニィが無理矢理割り込んで来たのか、ちょっと迷惑そうな表情ですが。

<作者コメント>
今度は合気道の達人・塩田剛三氏と思われる人物のビデオを見た感想を語っています。頭を軽く回しただけで人を投げ飛ばした場面を目撃し、かなり衝撃を受けたみたいです。でも「あらゆる事を疑う」が信条の先生、そう易々とは食い付きません。ヤラセか演舞なのではと睨んでいる御様子。……と思いきや、1万円以上するビデオってだけであっさり手のひら返しました。どうも先生の判断基準がよく分かりません。
とにかく、3巻と4巻で「球体」のスゴさを我々に伝えてくれた荒木先生。きっとこれから、ますます鉄球や「回転」の可能性が広がってゆく事でしょう。というか、「球体って超スゴイから何でも出来るんだぞ!」的なノリになりかねませんね…。

<内容>
ジョニィの「スタンド(立ち向かうもの)」の目醒めに、ジャイロの生い立ち、イケメン爆発と、作品的に1つの節目を迎えた巻と言えます。バックボーンや目的が明かされて、ジャイロのキャラクター性もより深みを増し、物語の輪郭がおぼろげながら見えてきました。オエコモバ戦も短くスピーディーにまとめられてて、好きなバトルです。
ジャイロ一行の描き下ろしイラストも、3者3様の雰囲気と魅力があってステキです。この3人での旅ややり取りももっと見てみたかったですね。イケメンの早期復活を願ってやみません。

(2006年3月5日)




●第3巻● (2nd.STAGE アリゾナ砂漠越え)



<カバーイラスト>
全身ピンクのイケメンが目印。荒木先生のカラーイラストで、人物を一色で塗りたくるというのは初めて見た気がします。表紙の左半分近くがそんなイケメンに占められており、あたかもレース終了後の彼がジャイロ達を想い出しているかのよう。凛々しい顔付きで微笑む2人もカッコイイです。
背表紙では、ジャイロとイケメンの間からジョニィがなんとか顔を出しています。窮屈なのか、微妙に不満そうな表情を浮かべていますね。

<作者コメント>
バランスボールについての荒木先生の見解。私は使った事はありませんけど、なんとなく面白そうだな〜とは思います。でも「あらゆる事を疑う」が信条の先生、そう易々とは食い付きません。原理や理論をしっかり理解しない限りは納得できない御様子。……と思いきや、プロスポーツ選手が使ってるのを見たってだけであっさり手のひら返しました。やっぱり先生は基本的にミーハーです。

<内容>
2nd.STAGEがスタートし、我らがイケメン大活躍の巻です。この巻からレースらしさは鳴りを潜め、バトルに重きが置かれるようになりました。しかし、根本にあるのはキャラクターの個性の面白さ。各キャラの言葉や行動や思考が、見てて楽しいのです。
この3巻と4巻では、なんとラフ画がありませんでした。その代わり、しっかりと描き込まれたイラストがッ!コートを羽織るジャイロがカッコ良すぎです。そしてジャイロとジョニィのみならず、イケメンまで描かれているあたり最高です。メインキャラに昇格され、優遇されてると受け取ってかまいませんねッ!

(2006年3月5日)




第2巻● (1st.STAGE 15,000メートル)



<カバーイラスト>
1巻を「単」・「静」とするなら、2巻は「複」・「動」。鮮やかなまでに対照的です。
乗馬したジャイロ、ジョニィ、ポコロコ、ディエゴの4人が疾走しているイラストです。マトモに馬に跨らず、変なポ−ズを決めて乗っかってるって所が荒木チック。一目で変なヤツらが馬に乗って走るマンガである事が分かりますね。1・2巻ともに、「SBR」は「ジョジョ」とは一味違った作品なんだぞと主張しているかのような表紙です。
カラーリングは、ジャイロとジョニィが対の関係になっている色合い。とてもカラフル。ポコロコとディエゴは完全に脇役です。しかし、改めて思いましたけど、唇を緑や水色に塗っても違和感が無い絵ってのもスゴイですね。

<作者コメント>
今までも何度か似たようなコメントを目にしているので、新たに語りたい事は特にありません。荒木先生の考えが正しいのか否かは分かりませんが、何かを創作する上で確かな信念や指標を持つという姿勢はカッコイイですね。そういうものをトコトン貫いているから、荒唐無稽で収拾が付かなくなりそうな展開になっても、最終的にはビシッと筋の通った作品になるんでしょう。

<内容>
1st.STAGE編を通して読んでみると、主要キャラが多いためか、目まぐるしく視点が変わる事に気付きました。レースである以上、徒党を組まずに個人で戦う事になるので、1人1人をしっかり描く必要があるのでしょう。正義と悪が互いに向き合って直接的に戦う「ジョジョ」に対し、1人1人が同じ方向を見ながら間接的に戦うのが「SBR」なんだと感じました。
余談ですが、番外編が1ページ分増えたので、追加されたコマや絵もあります。ちょっと得した気分です。

(2004年5月22日)




第1巻● (1890年9月25日 サンディエゴビーチ)



<カバーイラスト>
色気漂うジャイロのドアップ。なんか「バキ」っぽいです。初めて見た時はビックリしました。荒木先生がこういう絵を描く事は、かなり珍しいのではないでしょうか?開拓精神や冒険心に溢れた挑戦に見えなくもありません。
奇妙なポージングも独特の構図も無く、ただただ無表情なジャイロ。顔のパーツが中心に寄り過ぎてて、ちょっと不自然さも感じますが、実に印象的な表紙です。シンプルな絵だからこそ、一目でジャイロが主人公である事が認識できますね。誰が主役かと悩まずに済みます。
カラーリングの方も、これまたシンプル。シックなブラウンの中で、ビビッドなグリーンが映えています。ついつい目が引かれる色の組み合わせです。この組み合わせは3話目の扉絵でも見られましたが、最近の荒木先生のブーム?

<作者コメント>
自画像もイケメンだ(SBR2巻に続く)

<内容>
特筆すべき事と言えば、「ジョニー」が「ジョニィ」になった点でしょうか。ま、いつもの事ですが。名前や設定が唐突に変更される事も含めてのアラキズム。「ああ、荒木作品を読んでるなあ…」と、しみじみ思いました。
それと、何故かサンドマン絡みのシーンでのセリフ追加が多かったのが気になりました。サンドマンを殺そうとしたインディアンの「なに……」「馬の中に……」というセリフは、絵だけでは分かりづらいとの意見があったから追加されたのかもしれません。受付のセリフもちょっと変わってますが、注目すべき点は「砂でもくらってろ」というサンドマンの心の声。彼のイメージ的には蛇足にも見えるセリフですが、これによって、彼が自身の能力をハッキリ認識して使いこなしている事が判明しました。無意識の能力ではないようです。

(2004年5月22日)







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