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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




ソフト・マシーン / 本体: マリオ・ズッケェロ
< 物質を「擬似平面」化する能力 >





<特徴>
スタンドが発現した経緯は不明。
だが、本体:マリオ・ズッケェロは、イタリアのギャング組織「パッショーネ」の構成員である。組織の幹部:ポルポが所有していた『矢』に貫かれて発現した可能性が高い。


射程1~2m程の近距離パワー型スタンド。
しかし、スタンドパワーの大半を「能力」の方に費やしているため、パワーやスピード等の「基本スペック」はかなり低い。直接的な戦闘には不向きで、身を隠しながら不意打ちする戦法を取る事が多い。


全身の至る箇所に、「コブ」か「イボ」のような大きな突起を生やした人型ヴィジョン。
右手には常に、レイピアを短くしたような形状の「針」が握られている。この「針」こそが『ソフト・マシーン』の能力の要なのだが、能力を発揮せずに、ただの武器として使用する事ももちろん可能である。




<能力>
物質を「擬似平面」化する能力



右手に持ったスタンドの「針」で物質(生物含む)を刺すと、そこに空いた「穴」から「厚み」「奥行き」の概念が抜けていき、「立体」は「平面」化してしまう。その様はまるで、空気が抜けた風船が、みるみるうちに萎んでいくかのようである。つまり、「幅」「高さ」「奥行き」を持つ3次元的存在から「奥行き」を奪い、2次元的存在に変換する能力と言えるだろう。
もっとも、3次元的存在である人間には、2次元や4次元といった異なる次元を正確にイメージ・実現する事は出来ない。そのため、『ソフト・マシーン』の能力も完全な「平面」化・2次元化は不可能であり、実際はペチャンコに薄っぺらくする程度の効果で留まる。それは言わば、2次元と3次元の狭間の2.5次元という概念。よって厳密には、物質を「擬似平面」化する能力なのだ。能力射程は十数m程度と思われる。


「針」で「穴」を空けられるのは、あくまで物質のみである。何も無い空間に「穴」を空ける事は出来ない。
また、液体や気体に「穴」を空ける事も出来ないようだ。つまり、固体の物質に対してだけ能力を発揮できる。


「針」は物質に対し、物理的な穴を空けるワケではなく、概念的な「次元の穴」を空けるものである。だから、物質の硬さには一切影響を受けずに、容易く「穴」を空ける事が可能。(「穴」で物質を貫通してしまえば、その「穴」を通って向こう側に抜け出る事も出来る。) しかも、「穴」を空けられた物に物理的ダメージはまったく無い。
こうして「擬似平面」化された物質は、もともとの材質や強度とは無関係に、コンドームのようにベロベロに薄く、軽く、柔らかくなってしまう。持ち運びも楽になり、細く狭い隙間をも簡単に通り抜けられるだろう。また、その状態になっても機能そのものは損なわれないため、テレビも映るし無線機も使える。ただし、生物は2.5次元のまま思考・行動する事は不可能で、意識を保つ事すら出来ない。ほんの数秒で、ほぼ仮死状態に陥ってしまうようだ。


「針」で「穴」を空けた物質の、「擬似平面」化のスピード調節が可能である。最速で数秒だが、逆にゆっくりゆっくりと「擬似平面」化させる事も出来る。
これを応用すれば……、壁に「穴」を空け、そこを通り抜けて敵を襲って速攻でペチャンコにし、壁が萎む前にそのまま壁の向こう側へと戻って姿を消す、などといった行動も取れる。壁はゆっくりと、敵は即座に、「擬似平面」化のスピードの違いを利用した闇討ちである。


能力を解除すれば、「穴」は閉じ、「擬似平面」化していた物質は数秒のうちに膨らんで元通りの状態に戻る。異物が内部に侵入していたとしても、膨らむ際に、外部へと排出される効果もあるようだ。
また、本体:マリオ・ズッケェロの意志1つで、「擬似平面」化したままであっても「穴」を閉じる事が出来る。


本体:ズッケェロを「擬似平面」化する事も可能。本体だけは例外的に、その状態のままで思考や行動が出来る。とは言え、ペラペラペチャンコの2.5次元的存在のまま、「立体」の3次元空間を自由に動き回るのは困難であろう。だが、それをカバーする方法がある。
「擬似平面」化したズッケェロは、「擬似平面」化した他の物質と同じ次元(2.5次元)に属しているため、それらの物質を通常の3次元空間にいる時と同じように認識・体感できるのだ。2.5次元的な動作の制限・束縛を受けずに済むという事だ。作中では、「擬似平面」化したヨットの内部に潜んでいたが……、彼にとっては、普通に「立体」のヨットの内部を歩き回っていただけなのである。しかも、たとえズッケェロがパイプの中のような細く狭い場所に入り込んだとしても、その場所はズッケェロにとってはスムーズに行動できる広さの空間として体感する事になる。
ただしこの現象は、「擬似平面」化したまま「穴」を閉じた物質同士でなければ起こらない。「穴」を空けっ放しにしていると、その物質は『ソフト・マシーン』の能力に絶えず押し潰される事になる。たとえ、「擬似平面」化して同じ次元になったズッケェロから見ても、ペチャンコの状態をずっと保持し続けているのだ。つまり作中では、自らペチャンコになって「穴」を閉じたズッケェロが、同じく「穴」を閉じたペチャンコなヨットの中を3次元的な「立体」として捉えつつも……、「穴」が空きっ放しのペチャンコなナランチャ・ギルガ達を2.5次元的な「擬似平面」として捉え、折り畳んで持ち運びながら動き回っていたのである。
(逆に言えば……、「穴」を空け、次元を超えて敵を観察・攻撃する時には、どうしてもペチャンコの状態での行動を強いられる事になる。無駄のない行動が要求されるため、動作の訓練も積んでいたはずだし、用心深い振る舞いを心掛けていたに違いない。)


「擬似平面」=2.5次元とは、『ソフト・マシーン』の能力によって創り出された特殊な次元である。言い換えれば……、「擬似平面」化された物質は全て、『ソフト・マシーン』の能力に支配・汚染されているという事にもなる。そのため、「擬似平面」化された物質を他のスタンドが透過する事も出来ない。もし、「擬似平面」化された物質に囲まれた狭い空間内にスタンドが閉じ込められたなら、その空間に見合うサイズに強制的に縮小させられるらしい。
原則的に、この2.5次元と3次元との行き来をする事は、『ソフト・マシーン』の能力を持つ者にのみ可能である。「針」で空けた「穴」が次元のトンネル・抜け道としても機能し、そこを通って行き来できるのだ。「穴」を通り抜ける際、「穴」の内側からか外側からか、抜け出る先を選択する事も出来る。
ただし例外的に、どのような「形」にも「厚さ」にもなれる不定形の物質、つまり液体と気体は、2つの次元を自由に行き来する事が可能である。空気の振動である音も、次元を超えられる。これらは「穴」を通らずとも、どこからでも2.5次元へと入り込んで来れるようだ。もっとも、どれだけ空気や水が物理的に入り込んだとしても、それによって「擬似平面」化された物質が膨らむ事はない。


上記を補足すると……、2つの次元を行き来できる例外がもう1つだけ存在した。それは、レオーネ・アバッキオのスタンド『ムーディー・ブルース』である。その能力によって、「擬似平面」化された人物の過去を「再生(リプレイ)」したため、期せずして2.5次元側へ入り込む事が出来た。物理法則に縛られない存在であるスタンドは、2.5次元の中でも意識を保ったまま行動可能のようだ。この場合は、本体も同様に意識を保っていられる。ただし、『ムーディー・ブルース』は空気や水とは違い、次元を移動する際に「穴」を通過しなければならなかった。
実は『ソフト・マシーン』は、「穴」の適用単位・効果範囲を器用に設定する事も可能である。例えば、敵の右腕に「穴」を空けたとして、その敵の肉体全身をペチャンコにするか、右腕だけをペチャンコにするか選ぶ事が出来るのだ。そして、ヨット全体を「擬似平面」化している状態での「穴」の効果範囲も、同様にコントロールしていた。パイプやどこかの隙間に改めて「穴」を空け、そこを3次元との抜け道として確保しておいたのだろう。そうすれば、「穴」を空けたその箇所・部品単体は「擬似平面」として捉えざるを得ないが、すでに「穴」を閉じているヨット全体は依然「立体」として体感できる。
ズッケェロにとって便利で都合が良い「抜け穴」をそのまま残してしまっていたがゆえに、『ムーディー・ブルース』に侵入を許してしまったワケだ。油断、と呼ぶにはあまりにもか細いほつれ。ほんの1点の隙。そこを突かれてしまったのだ。ある意味、『ムーディー・ブルース』は『ソフト・マシーン』の天敵とも言えるスタンドなのである。


『ソフト・マシーン』は、自身の能力で「擬似平面」化し支配・汚染した物質を、かなり自在に扱う事が可能なようである。例えば作中では、ペチャンコにしたヨットをもう1隻のヨットにかぶせ、1隻に見せかけていた。この一連の作業も恐らく、数秒程度の短時間で完了する。そしてズッケェロは、自らも「擬似平面」化した上で、表面のペチャンコなヨット内に潜み、ブローノ・ブチャラティ一行を襲った。
この時のヨットは、絨毯を敷くように、あるいは風呂敷で包み込むように、物質的に「かぶせている」ワケではない。次元の異なる物質同士を、概念的に「重ね合わせている」状態なのである。それゆえに、ヨットのありとあらゆる部分が二重に存在するという、物理的にはあり得ない奇妙な状態となっていた。もっとも、この現象は大きさや形状、構造などが近似した物同士でなければ起こらない。しかも、実際にはそうではないのだが、ズッケェロからすると「かぶせている」「覆っている」という意識・イメージが強いためか……、外側にだけは「擬似平面」化した物質の方の見た目が現れてしまうようだ。
以上の事を踏まえ、より正確に記述するなら……、ズッケェロは主に、通常の「3次元のヨット」に重なって存在する「2.5次元のヨット」の表層のパイプ内や隙間などに潜んで移動し、攻撃時は「穴」を通って3次元に姿を現していたという事だ。船外にいたナランチャ達を捕えるにはもってこいの場所であり、アバッキオの血糊がデッキの表面で途切れるのも当然なのである。


上記の状態では、互いに「重なり合っている」以上、3次元のヨットを破壊すれば、2.5次元のヨットも同時に同じ箇所が破壊される事となる。物理的な破壊や変化は、2つの次元で共通して起こるのである。
ただし、「擬似平面」化したヨットは『ソフト・マシーン』の能力に支配・汚染されているため、それが他のスタンド能力に対する強い抵抗力となってしまう。そのせいで、スタンド能力の効果だけは2.5次元側には届かない。たとえ3次元側のパイプをスタンド能力で切り裂いてみても、2.5次元側の同じパイプは閉じられたままという現象も起こり得る。
いずれにせよ、2隻のヨットは次元的に断絶されており……、3次元にいる人間は、2.5次元に存在する「擬似平面」化したヨットを発見・観測する事すら出来ないだろう。たとえ、船体を物理的に真っ二つに切断して断面を覗き込んでみても、何らかのスタンド能力で表面を切開してみても、決して2.5次元に辿り着く事は無いのだ。


『ソフト・マシーン』が他のスタンドとは違い、「概念」や「次元」にまで干渉できるのには理由がある。それは、スタンドパワーの一点集中である。
実は『ソフト・マシーン』の人型ヴィジョンは、表皮・外殻のみで、中身がほとんど空っぽなのだ。本来ならば「ヴィジョン」の形成に回されるはずのスタンドパワーをも費やし、「針」を創り出した。この「針」は、ズッケェロのスタンドパワーのほぼ全てを極限までに束ね、細く鋭く捻って固めたものである。もっと言えば、その「針」の先端部・切っ先の一点にのみ、スタンドパワーを集中させている。即ち、「針」こそが『ソフト・マシーン』のメインのヴィジョンであって、もしも「針」を破壊されようものならズッケェロの命も無いはずである。それほどのリスクと引き換えに、この「針」は通常のスタンドでは持ち得ない高次な「能力」を獲得した。
反面、人型ヴィジョンの方は飾りかオマケに近い存在に過ぎず、「基本スペック」も極めて弱いものとなってしまった。体中にある無数の突起は、それをごまかし偽るために風船のように膨らみ、ヴィジョンをより大きくゴツく見せかけているのだ。ズッケェロの虚栄心やハッタリの現れと言えるだろう。


ズッケェロと、その相棒:サーレー。この2人の名は、イタリア語で「砂糖」と「塩」を意味する。それらは言わば、細かな「粒」・1つの「点」の集まりである。その名が示す通り、2人のスタンドはどちらも「点」の能力になっている。『ソフト・マシーン』は、たった1点に集中させたエネルギーでもって「次元」に「穴」を空ける能力。
どちらのスタンドも、他人を見下す本体の傲慢さが反映されているが、その能力の方向性は対極である。自分の存在する地点を上げる『クラフト・ワーク』に対し、『ソフト・マシーン』は他人の存在する地点を下げる方向に働いているのだ。ズッケェロが持つ、安全に一方的に他人をいたぶって服従させたいという「卑劣な欲望」は、あらゆる者を低次元の役立たずに変える能力を生み出した。動く事も考える事も出来なくなった者達をも道具として利用し、ズッケェロは他人を下へ下へと引きずり込んでいく。現に、ズッケェロは終始、位置的にも次元的にも低い場所からブチャラティ達を襲って来ていた。




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