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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




スパイス・ガール / 本体: トリッシュ・ウナ
< 物質を「柔らかく」する能力 >





<特徴>
生まれついてのスタンド能力である。
しかし、本体:トリッシュ・ウナが自分のスタンド能力を認識し、ハッキリと発現したのは15歳の時であった。


射程距離2m程の近距離パワー型スタンド。
優れた「基本スペック」を有し、そのパワーとスピードで繰り出す手刀は人体をも容易く切断する。


柔らかでしなやかな、女性的フォルムの人型ヴィジョンを持つ。
頭部や肩、肘、膝など、体のあちこちに配置された四則演算の記号(「+」「-」「×」「÷」)が特徴的。


得意技は、両拳から放たれるパンチのラッシュ。その掛け声は「WAAANNABEEE (ワアアアナビィ―――)」
トリッシュが『スパイス・ガール』を発現するに至った大きなキッカケの1つに、ジョルノ・ジョバァーナの存在がある。自分の未来や安全よりも、自分が「正しい」と信じる事のために迷わず行動するジョルノの気高い姿が、トリッシュの精神を成長へと導いた。「WANNABE」とは、そんなジョルノ達のようになりたいと願う、トリッシュの心の表れとも言える魂の叫びなのだろう。




<能力>
物質を「柔らかく」する能力



本体:トリッシュ・ウナは、イタリアのギャング組織「パッショーネ」のボス:ディアボロの娘である。ディアボロは「悪魔」の血と魂を受け継ぐ男であり、その「邪悪さ」と「毒性」は、彼の娘であるトリッシュも引き継いでしまっている。同様に、生来の二重人格者で、自分の魂を自在にコントロールできる「特技」を持つディアボロの性質もまた引き継いでいる。
しかし、トリッシュの中のそれらは、母親との穏やかな暮らしによって程良く薄まった。この世界にとって、彼女の存在は、より良い方向へ向かう「変化」を生み出すための適度な「刺激」となった。その「刺激」がスタンドとして発現したのが『スパイス・ガール』である。


『スパイス・ガール』は、トリッシュの魂の性質を他の物質に与える事が出来る。それは「柔」の強さである。何事にも決して挫けず躊躇わない、「剛」の強さを持つジョルノ・ジョバァーナ達とは異なる強さ。彼女は、時には挫け、躊躇い、不安や迷いに押し潰される事もあった。しかし、それでも折れない・壊れない心は、逆境をバネにして成長できる「柔軟さ」を誇っている。その性質を与える事で、物質を「柔らかく」する能力なのだ。
スタンドとは、本体の「生命」や「精神(魂)」のエネルギーから生まれる「スタンドパワー」によって形作られ、「意志」や「感情」のエネルギーによってコントロールするものである。『スパイス・ガール』は、自らを構成し操作するために用いられるトリッシュのこれらのエネルギーを、体内で抽出・調合(ブレンド)し、「魂のスパイス」とでも呼ぶべき結晶を精製する。そして、その「スパイス」は『スパイス・ガール』の「手」から滲み出て、触れた物質に浸透していく。その結果、物質は「スパイス」の刺激に反応し、変化を起こす。トリッシュの魂の性質そのままの、「柔軟」な強さを獲得するのである。


「魂のスパイス」は、自分の魂をコントロールする父:ディアボロの「特技」を引き継いだ事の証左とも言えよう。ディアボロが「別人格」のヴィネガー・ドッピオに、自分の魂の一部を分け与えたように、トリッシュは他の物質に自分の魂の性質を分け与える事が出来る。父の「特技」「特異体質」を、スタンド能力として受け継いだものが『スパイス・ガール』なのだ。
そしてディアボロ同様、魂のコントロールの精度は高く、器用な芸当が可能である。エネルギーのブレンドの加減によって、様々な「スパイス」が精製される。それゆえに、「柔らかくする」と一口で言っても、実際は色々な「柔らかさ」を与える事が出来るのだ。それはあたかも、無数の組み合わせによって作り出されたスパイスが、多種多様な効果・効能を発揮するかのようである。(そしてそれは、数学における加減乗除にも似ている。)
具体的には、ゼリーやコンニャクのような「潤滑性」、ゴムのような「弾性」、紙のような「破れやすさ」、パラシュートのような「破れにくさ」、粘土やスライムのような「変形しやすさ」、ガムのような「粘着性」……等、その時々の状況に応じた「柔らかさ」を使い分け、与えていた。これらの性質を組み合わせたり、部位によって異なる性質を持たせたり、「柔らかさ」の強弱を調整したりする事も出来る。


「柔らかさ」を与えられた物質は、元々の性能・機能も失われる事なく保持している。
例えば……、「時計」をスライムのように柔らかくした場合、どれだけ変形したとしても「時計」として時を刻み続ける。「テレビ」を紙のように柔らかくしても、破かれない限り、「テレビ」として普通に番組を映し続けるであろう。


単純に「スタンドパワー」でもって物質に変化・変質を起こす他の多くのスタンドとは一味違い、『スパイス・ガール』は本体の「魂」そのものをも物質に分け与えるスタンドである。そのため、あまり連発すると、トリッシュ自身の健康・生命に危険を招いてしまうだろう。
また、生物が持つ「魂」は、トリッシュの「魂のスパイス」への抵抗力として働いてしまう。生物の肉体だろうと何だろうと、この世のあらゆる物質を「柔らかく」する事が可能ではあるが……、生物に対しては、能力が効果を発揮するまで時間が掛かったり、効果が今ひとつだったりするものと思われる。そういった事情もあり、作中では、自分や仲間の肉体を「柔らかく」する事はなかった。
だが反面、能力の持続性や応用力は非常に優れ、その気になれば半永久的に「柔らかく」したままにしておける。どんなに強いパワーでも壊せない、無敵なまでの「柔らかさ」にする事も可能である。そして、能力射程の概念も恐らく存在しない。


「魂のスパイス」の精製は、トリッシュの心理状態・精神状態の影響をダイレクトに受けてしまう、繊細さ・敏感さも併せ持った能力である。
不安定で乱れた心 ・ 散漫な意識のまま能力を使おうとすれば、「スパイス」の調合具合や使用量でミスを犯してしまう。その場合、「スパイス」を与えられた物質は……、時には「刺激」が弱すぎて、何の反応も変化も起こさない。時には「刺激」の強さに耐え切れず、蒸発するかのように焼き消されてしまう。作中でも、プロシュート&ペッシ戦の後や、『ノトーリアス・B・I・G』戦での『スパイス・ガール』発現直前に、トリッシュは地面や座席の一部を焼き消してしまっている。適切に使用しなければ、スパイスも「毒」になってしまうし、せっかくの料理も台無しになってしまうというワケだ。
不安や恐怖に屈する事なく、クールな精神状態で心を決め、意識を集中した時にのみ、「魂のスパイス」は正しく精製される。「柔らかく」する能力とは裏腹な、「固い決意」こそが不可欠な能力なのである。


本体:トリッシュに自身の能力を正しく理解・使用してもらうため、『スパイス・ガール』には独自の人格が備わっている。基本的には丁寧な口調で優しくナビゲートしてくれるし、トリッシュにスタンド使いとしての自覚が無い時には代わりに能力を使ってサポートもしてくれた。だが、トリッシュが弱気になると、奮起させようと強い口調で発破をかける。また、敵に対しては乱暴で下品な言葉遣いになり、凶悪・凶暴な性格に豹変する。
この『スパイス・ガール』の人格も、父:ディアボロの「二重人格」の影響である。トリッシュ自身は二重人格者ではないが、父から僅かに受け継いだ「悪魔」の魂はスタンドの中に宿ったのだ。トリッシュが「潔癖症」のように他者との接触を嫌っていたのも、この忌まわしい力を表に出さないための本能的な防衛行動・回避行動だったのかもしれない。スタンド使いとして目醒め、人間としても成長を遂げた後の彼女は、もはや「潔癖症」などではなくなっていたであろう。
なお、トリッシュが「固い決意」のもとに能力を使いこなそうとすれば、『スパイス・ガール』の人格は隠れ、トリッシュが直接『スパイス・ガール』をコントロールする事になる。


暗殺チームは、トリッシュのスタンド能力がボス(ディアボロ)の正体のヒントになると確信し、彼女を拉致しようと襲って来た。一見、両者には何の共通点も無いように思えるが、「自分の魂を分け与える力」や「別人格の存在」からボスの秘密を推理する事は不可能ではない。さらに、トリッシュとディアボロは(ジョースターとDIOのように)互いの存在を感知し合える。もし暗殺チームが生き残ってトリッシュを拉致できたとしたなら、常識に囚われずにトリッシュをしっかり観察・理解したなら、きっとボスにも辿り着けた事だろう。
……ちなみに、自分の「生命」や「魂」の一部を物質に分け与えるという意味で、『スパイス・ガール』はジョルノの『ゴールド・エクスペリエンス』にも似た能力と言える。トリッシュは「悪魔」の血を引き、ジョルノは「吸血鬼」の血を引く、共に奇妙な出自を持つ者同士である。まるで父親の「罪滅ぼし」をするかのような自己犠牲を伴う能力になっているが、先祖や肉親のあまりにも深い「罪」「業」を子孫は背負わなければならない「運命」にあるのだろうか?




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