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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




ティナー・サックス / 本体: ケニー・G
< 「幻覚」を創り出す能力 >




タロットや「エジプト9栄神」などのカードの暗示は持たない。第3部に登場するスタンドとしては異例とも言える、珍しいスタンドである。
しかし、エジプトまではタロット・カードを暗示するスタンドが、エジプトではタロットの起源である「エジプト9栄神」のカードを暗示するスタンドが、DIOを守護するためにジョースター一行を襲っていた。DIOに近付くごとに、時を遡って「世界」や「生命」のルーツに近付いているかのようでもあるのだ。そして、この『ティナー・サックス』は、DIOの館という最もDIOに近い場所を守護する役目を持ったスタンドである。
タロット・カードが「精神世界の成長過程」を意味し、その起源とされる「エジプト9栄神」のカードが「物質世界の成り立ち」を意味するのだとしたら、DIOの館を守るスタンドにも何らかの重要な意味があって然るべきであろう。全てのルーツを辿った究極たる「宇宙の真理・法則」を意味しているのかもしれない。




<特徴>
@スタンドが発現した経緯は不明。


A一瞬のうちに倒されてしまったため、スタンド・ヴィジョンについても不明。ヴィジョンとして存在するスタンドなのか、あるいは本体:ケニー・Gの肉体と一体化したスタンドなのか、まったくの謎である。
ただ、積極的に攻撃して来るでもなく、自身が創り出した「幻覚」に隠れていた事から、スタンド自体は戦闘向きではなさそうだ。




<能力>
「幻覚」を創り出す能力



@「幻覚」を創り出す能力を持つ。
――この宇宙では「運命」というものがあらかじめ決定されており、その「運命」に導かれるがまま、宇宙は誕生消滅を繰り返している。全ての「始まり」と「終わり」は「特異点」として繋がっていて、「無」から「有」は生まれ、「有」は「無」へと還るのだ。この『ティナー・サックス』は、「有」「有限」の概念を象徴する能力なのである。


A『ティナー・サックス』は、その能力射程内の空間に「幻覚」を創り出す事が出来る。恐らく、能力射程は数十mほどであろう。
作中では、広いDIOの館の中を「幻覚」で埋め尽くしていた。


B創り出す「幻覚」の内容は、本体:ケニー・Gの思うがまま。イメージ次第でどんな「幻覚」でも創り出せる。
しかも、その迫真のリアリティーたるや、「本物」と区別が付かないほどである。単純な見た目だけでなく、音声や匂い、温度、感触に至るまで、「本物」同然の現実感を有するのだ。つまり、『ティナー・サックス』の「幻覚」は、相手の全ての感覚を惑わし、実際には有りもしないモノを実在するかのように錯覚させてしまうのである。
例えば……、狭い室内を、「小さな無人島」に変えてしまう事など造作もない。波の音や潮風の匂い、砂を踏みしめた感触、海水の冷たさや濡れた触感……、それら全ての感覚が「仮想現実」の世界を生み出すのだ。その実在しない海水を舐めれば、きっと味覚すら塩辛く感じるだろう。また、現実的には有り得ない、どこまでも延々と広がる「迷宮」のような空間すらも創り出せる。全ての感覚を惑わし狂わせてしまうため、実際は同じ場所をグルグル歩き回っているだけなのに、当の本人にはその自覚さえないのだ。


Cこの能力にも弱点・欠点は存在する。詳細は下記DFに記す。


D「ダービー(弟)」ことテレンス・T・ダービーが空条承太郎に敗北し、オラオララッシュを喰らった際、部屋の壁が突き破られた。この壁の穴は「幻覚」で隠されて補完されるという事もなく、開きっぱなしのままであった。
つまり、少なくとも視覚的な「幻覚」は、実在する物質(壁や床や天井など)の表面に投影されるという事である。よって、物質が破壊されれば、その上に映し出された「幻覚」も欠けてしまうのだ。
どんなにリアルでも、「幻覚」は所詮「幻覚」。周囲を手当たり次第に攻撃されたりしたら、あっけなく「幻覚」は見破られてしまうだろう。


E「幻覚」の中に潜んでいたにも関わらず、ケニー・Gの存在がイギーにバレてしまっていた。
視覚的な「幻覚」が実在する物質の上に投影されているように、聴覚的・嗅覚的な「幻覚」も、実際の音声や匂いの上に重ねられているのだろう。実在するケニー・Gの匂いを別の匂いの「幻覚」で隠す事は出来ても、匂いそのものを消す事は出来ないのである。そのため、犬の鋭い嗅覚まではごまかし切れなかったのだ。


F上で挙げた2つの弱点にも絡んでくるが、「生物」の表面に直接「幻覚」を投影する事も出来ないようだ。
ケニー・Gが倒された後も、彼の周囲には砕けた「実物」の石壁の破片が散らばっていた。ケニー・Gはこの石壁を立て掛けて「幻覚」を映し、その影に潜んでいたらしい。つまり、ケニー・G本人の上に「幻覚」を映し出して、姿を消す事は出来なかったのである。視覚的な「幻覚」は、命なき「物質」の表面にのみ投影可能なのである。


G弱点があるとは言え……、創り出す「幻覚」によっては充分に脅威となる能力である。
「猛吹雪の冬山」や「灼熱の溶岩」、「深海の底」などの「幻覚」ならば、敵を錯覚で殺す事も不可能ではないはずだ。「虐殺の現場」や「ゴキブリだらけの密室」などの目を覆いたくなる「幻覚」で、精神的ショックを与える事も出来るだろう。または、「金銀財宝の山」や「酒池肉林のハーレム」、「親しい者との団欒」などの「幻覚」で敵を油断させて、その隙に直接殺す事だって出来る。
しかし、作中では「舞台装置」程度の使い方しかされなかった。ダービー(弟)とヴァニラ・アイスという、敵を殺すには最適の仲間がいるからこそ、彼らのサポート役に徹していたのだろうか?敵を殺すほどの強力な「幻覚」はスタンドパワーの消耗が激しくなるため、持続性の高い「舞台装置」としての使い方があの場では有効と判断したのかもしれない。


H作中での描写や説明が少なすぎるため、謎もいくつか残されている。その辺についても考えてみよう。
ダービー(弟)の初登場時、何をどうやったのか、彼は空中を滑走してやって来た。これは、実際にはスケボーか何かで滑っていたのだが、それを「幻覚」で覆い隠し、見えなくしていたものと推測される。スケボーか何かのローラー音も、「シュゴオォ――ッ」という音の「幻覚」で隠したのだろう。
ダービー(弟)が承太郎達を地下に引き込んだ時、床に突然「穴」が開いていた。しかし、実際の館の間取りを見ると、入口近辺に地下に続く階段は存在しない。もしかすると、彼らはあらかじめ館に「隠し扉」や「隠し階段」ならぬ「隠し穴」を仕込んでおり、そこから承太郎達を地下に落とした……のかもしれない。それをやはり「幻覚」の「穴」によってカモフラージュしていたのである。




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