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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




トト神 / 本体: ボインゴ
< 未来を「予知」する能力 >




「エジプト9栄神」第7の神「トト神 (THOTH)」のカードの暗示を持つ。
カードには、トキの姿をしたトト神と、1冊の書物が描かれている。このトト神は「書物の神」であり、知識を司る。カードに描かれた書物も、彼が自らの叡智を書き記したものなのだ。トト神は他にも様々な役目を担っている。ヒエログリフを創り出した事から、「神々の書記」としても活躍する。また、「時の管理者」としての面も持ち、夜の時間は彼が地上を守護しているとも言われる。

なお、この「エジプト9栄神」とは「ジョジョ世界」独自の概念であり、カードとしても表されている。我々の世界には存在しない概念ではあるが、タロット・カードの起源・源流と言われているようだ。
各々の神の番号や位置付け、役割などについては謎が多いものの、その名からして、エジプトを栄えさせた神々である事は間違いない。恐らく、この9柱の神々による創世神話が、(「ジョジョ世界」の)エジプトでは古代より語り継がれているのだろう。「精神世界の成長過程」を意味するタロット・カードの前身として、「エジプト9栄神」のカードは「物質世界の成り立ち」を意味しているのかもしれない。
また、タロット・カードと同様に、「エジプト9栄神」のカードを用いる占いやゲームも存在している可能性がある。その場合、カードの縦横が違うものも混在しているため、タロットとは異なるルールなのだろう。




<特徴>
@スタンドが発現した経緯は不明。


A本体:ボインゴ自身と一体化したスタンドであるため、ヴィジョンは存在しない。能力のみのスタンドとも言えよう。


B本体のコントロールから完全に離れてしまった、自動操縦タイプに近いスタンドである。
何のパワーもない反面、持続力だけは特化している。その気になれば恐らく、本体:ボインゴが寝ようが気絶しようが、ずっと発現し続けていられるだろう。それどころか、ひょっとしたらこのスタンドは、ボインゴが死ぬまで決して解除されないのかもしれない。




<能力>
未来を「予知」する能力



@本体:ボインゴに関わる未来を「予知」する能力を持つ。「予知」の的中率は100%。
――自分達の知恵や歴史を「形」として表し、「記録」として遺し、それらを遠い未来にまで伝えるための「文字」「書物」を象徴する能力である。古代エジプトにおける「ヒエログリフ」「パピルス」を象徴する能力、とも言えるだろう。


A『トト神』は、ボインゴが手にした「白紙」に能力を宿し、ごく近い未来を自動書記するスタンドである。
「白紙」の上に文字がひとりでに浮かび上がり、ボインゴの趣味嗜好を反映してなのか、「マンガ」の形として表されるのだ。そのマンガを読んで「予知」の内容を知るのである。(このマンガは一般人にも読む事が出来る。)つまり、『トト神』のマンガ本は、それ自体がスタンドではない。あくまで、『トト神』の能力の「効果」に過ぎないのである。
そのため、マンガ本がいくら傷付こうと、ボインゴには何のダメージもない。


B作中での『トト神』は、ちゃんとした作りの1冊のマンガ本になっていた。
恐らく、面倒見が良く手先も器用な兄:オインゴが、何も描かれていない「白紙」の冊子を弟のためにこしらえてあげたのだろう。それが『トト神』の能力により、「OINGO BOINGO BROTHERS ADVENTURE (オインゴとボインゴ兄弟 大冒険)」というタイトルのマンガ本となったのである。
表紙のイラストは基本、オインゴとボインゴの兄弟2人が描かれている。しかし、ボインゴの現在の状況を反映しているらしく、オインゴから遠く離れた地まで来た際には、表紙イラストもボインゴ1人だけとなっていた。
ちなみに、本のページが埋まって、新しい別の本に能力が移動すると、その最初のページは必ず自己紹介から始まるようだ。


Cこの『トト神』の能力を解釈する上で最も重要なのが、「運命」の存在である。
「ジョジョ世界」はある超越的・絶対的な力で満たされており、ありとあらゆる存在がこの力を共通して保有している。『フー・ファイターズ』(が引用した天文物理学者フレッド・ホイル)の言葉を借りるなら、その力とは「知性」である。全ての物質や生物はこの「知性」に導かれて生まれ、物質や生物に宿る「知性」は自身の「情報」を絶えず記憶し続けているのだ。
そして、この「知性」は大なり小なり互いに反応し合い、影響し合い、「物質世界」において1つの巨大な流れを形作る。何者にも抗えぬ「因果の流れ」、なるべくしてなる「必然の連続」。人はそれを「運命」と呼び、「運命」を決定付ける「知性」そのもの(が持つ意志のようなもの)を「神」と呼ぶのである。


D『トト神』は、その「流れ」=「運命」の形を、影絵のように映し出すスタンドなのだ。これを読む事により、余計な回り道で苦労する必要なく、「運命」への最短の道を進む事が可能になる。ただし、あらかじめ決められている「運命」を変える事だけは、原則的に誰であろうと不可能である。「運命」に逆らう行動を取っても、逆に苦しむだけ。「運命」に抗おうとすればするほど、その反動は大きくなり、本来の「運命」に引き戻される力も強く働く。
作中でオインゴが願っていたように、仮に「予知」のページを破り捨てたところで、「運命」そのものにはまったく影響はない。「予知」のページは「運命」をただ映し出しているだけであって、「運命」に干渉できるような性質のものではないのだ。(第一、ページを破り捨てるという「運命」がなければ、どうやっても破る事さえ出来ないのだが。)


E一見、ほとんど存在価値がない能力にすら思えるが……、「ジョジョ世界」の「運命」とは物質的な内容のみを示すものである。時間の経過に伴う物質の動きエネルギーの流れこそが「運命」、と言い換えても良いだろう。そんな「運命」の「形」の裏には、人の心の揺れ動きやそれによって生まれる「意味」が隠れているものだ。「運命」の「形」は変えられなくても、その「意味」を変える事は出来るのである。
『トト神』の「予知」はそもそも、複数の解釈が可能な曖昧な内容になっている。だからこそ、「予知」を見た者は、「運命」に対して希望を抱けるのだ。「運命」を正しく読み取って解釈しようとし、より良い「運命」を引き寄せようと懸命に努力できるのである。そして、そんな希望を抱いて前向きに行動した結果だからこそ、流されるままではなく自らの意志で行動した結果だからこそ……、「運命」の「意味」は価値あるものへと変わっていくのである。
「未来」や「運命」を知るためというよりも、「未来」への心構えや「運命」に対する姿勢を学ぶための能力というべきなのかもしれない。


F余談だが……、ホル・ホースの「アーンド!くすぐりーの」の件について。
J・P・ポルナレフの鼻の穴に指を「つっこみーの」した後、「くすぐりーの」すると、ジョースター一行が血を流して気絶する。そんな「予知」がホル・ホースにもたらされた。しかし実際は、ポルナレフの鼻穴に指を突っ込んだところしか描かれていないのに、ジョースター一行はトラックに轢かれて気絶してしまった。「くすぐりーの」は一体どこに行ってしまったのか?
まず、少なくとも「予知」に表れた以上、たとえ描かれていなくても、「くすぐりーの」は100%絶対に起こった事は確実。「くすぐりーの」しなかったから「運命」に敗れた、などと考えるのは間違いである。ホル・ホースがポルナレフに「くすぐりーの」する事は「運命」で決まっており、したくなくっても「くすぐりーの」せざるを得なくなってしまうのだ。
恐らく、ポルナレフの体を掴み、頭を『エンペラー』でゴリゴリやって脅していた行為が、「くすぐりーの」と見なされたものと思われる。あるいは、コマとコマの間の「描かれていない僅かな時間」に、一応「くすぐりーの」をちゃんとやっといた……のかもしれない。




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