TOP  戻る



ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




ザ・ワールド (世界) / 本体: DIO
< 「時間」を止める能力 >




21番目のタロット「世界 (THE WORLD)」のカードの暗示を持つ。
カードには、不敵な笑みを浮かべる謎の人物が中心に描かれている。その人物を取り囲むかのように、その人物と繋がるかのように、「女性(天使)」「牛」「獅子」「鷲」の姿も描かれる。「女性(天使)」は「風」を、「牛」は「地」を、「獅子」は「火」を、「鷲」は「水」を示し、それらは自然界の四大元素を意味しているのだ。
また、背景に描かれた模様に注目すると……、謎の人物の下には鋭い突起が、両サイドには玉を抱えるような滑らかな曲線がデザインされている。突起は「男性器」を、曲線は「女性器(子宮)」を表しているのだ。
即ち、謎の人物はあらゆる要素を兼ね備えた完全なる存在なのである。「男」でもあり、「女」でもある。「人」でもあり、「神」でもある。(DIOもまた、「吸血鬼」でありながら、元は「人間」であった。彼自身は男性だが、「女性」も「男性」も性の対象となるらしい。彼もいろんなものを超越した存在なのだ。)
このように、「完全」「究極」「完成」「統合」「成就」「新たな始まり」などを象徴するカードなのである。




<特徴>
@1980年代中盤〜後半、100年の眠りから目醒めた本体:DIOが『矢』に貫かれた事で発現したスタンド能力。
DIOの首から下は、かつての宿敵:ジョナサン・ジョースターの肉体である。そのため、ジョナサンの子孫達に対して強い「引力」が働いており、彼らのスタンド発現のキッカケともなった。


A人型ヴィジョンを持つ近距離パワー型スタンド。しかし、そのパワーの割に射程距離は10mもある。


B筋骨隆々で逞しい体躯に、プロテクターや三角柱型のマスクを纏ったヴィジョン。
両手の甲には「時計」がデザインされている。また、顎やベルト部分、両膝、股間にはハートマークがちりばめられている。ダイバーが使用する酸素ボンベのような、2本の円柱を背負っている。


C歴戦のスタンド使い達をも恐怖させるほどの、全てのスタンドを超える凄味を放つ。
「エンジン音だけ聞いてブルドーザーだと認識できるよう」とは、花京院典明の言である。


D得意技は、両拳から放たれる、世界を揺るがすかの如きパンチのラッシュ。その掛け声は「無駄無駄」


Eその性質や能力など、あらゆる意味において、空条承太郎の『スタープラチナ』と同じタイプのスタンドである。


F「吸血鬼」であるDIO同様、『ザ・ワールド』も太陽光「波紋」を弱点とする。


Gこの『ザ・ワールド』は、第7部「SBR」のディエゴ・ブランドー(異次元)のスタンド『THE WORLD』とほぼ同一のスタンドと思われる。
微妙に異なってはいるが、スタンドのデザインや能力もほとんど同じ。ただし、『THE WORLD』はパワーやスピード等では大きく劣り、「世界」のタロット・カードの暗示も持っていないものと思われる。




<能力>
「時間」を止める能力



@このスタンドは、厳密には「能力」というものを持たない、極限にシンプルなスタンドである。そして同時に、完全無欠の究極のスタンドでもある。
「スタンド」とは基本的に、本体の「生命」や「精神(魂)」のエネルギーから生まれる「スタンドパワー」によって形作られ、強い「意志」や「感情」のエネルギーによってコントロールするものである。そのスタンドパワーは、本体の持つ才能・個性・欲望に最も適したバランスで、スタンドの「ヴィジョン」、「基本スペック」、「能力」にそれぞれ振り分けられる事になり、そうして1つのスタンドとして顕現する。したがって、「能力」の方にエネルギーを多く使うタイプのスタンドは、スタンドそれ自体の「基本スペック」が低い場合が多い。(無論、その本体が生み出せるスタンドパワーの総量にもよるが。)逆に、「能力」が無いスタンドは「基本スペック」だけにエネルギーを注げるため、純粋なパワーやスピードが優れている。
『ザ・ワールド』は、「吸血鬼」と化した本体:DIOの並外れた生命エネルギーから作られるスタンドである。それに加え、DIOは他者の生命エネルギーまで吸い取って、我が物としてしまう。そのため、パワー・スピード・精密性・成長性などがケタ外れとなっている上、なお余りあるスタンドパワーは10mもの射程距離をも実現させた。全てにおいて、空条承太郎の『スタープラチナ』以上なのである。


Aエンリコ・プッチとの出逢いの時、彼の曲がった左足の指を治してみせたのも、恐らく『ザ・ワールド』を使ったものと思われる。
『ザ・ワールド』の規格外のスピードと精密動作によって、あの場で瞬時に的確な手術を施したのである。
(しかも、麻酔と治癒力アップの目的で、DIOの生き血をほんのちょっぴりプッチの左足に注入。見事に足は治り、DIOの血の影響で傷口もあっという間に塞がった。ごくごく少量の血液であるため、プッチを「吸血鬼」化・「屍生人(ゾンビ)」化する事もなく、自然と薄まって消え去ったのだろう。)


BスタンドをマスターしたDIOは、自身のスタンドパワーのコントロールにも長けている。スタンドパワーを集中・凝縮したり、解放・爆発させたりも自由自在である。そして、この「スタンドパワーの爆発」を極めた技こそが「時間停止」なのだ。
爆発的に高められたスタンドパワーは、DIOの「精神」と「肉体」にも満ちていき、同時に『ザ・ワールド』の「基本スペック」をも更に飛躍させる。その「爆発」は、時間にして一瞬にすら満たない刹那の出来事。だが、その「爆発」により『ザ・ワールド』は、絶えず流れ続ける「時の歯車」にさえ追い付くスピード、ピッタリと噛み合わせる精密性、「歯車」の動きを止める程のパワーを持ち得る。
つまり、「基本スペック」の究極性ゆえ、時間と時間の「隙間」(限りなく「ゼロ」に等しい時間の中)に潜り込めてしまうのだ。結果として、相対的に時間を止めてしまうワケである。DIOはその停止時間内にて、数秒分もの思考と行動を起こす事が可能となる。


C「爆発」させたスタンドパワーの大半を「時を止める」事に費やすため、停止時間内で発揮できるスタンドの「基本スペック」は通常時と同程度である。
また、この「スタンドパワーの爆発」は細かい調節が出来ないらしく、そこそこの「爆発」で時間の流れをゆっくりにする……などといった応用は不可能


D最初はほんの一瞬に過ぎなかったが、ジョナサン・ジョースターの肉体がDIOに馴染んでいくにつれ、停止できる時間(=「停止時間内」で行動可能な時間)の長さも伸びていった。
第3部最終決戦開始時では5秒、ジョセフ・ジョースターの血を吸った後では9秒ほど、時間を停止できた。DIO本人としては……、1分、10分、1時間と、やがては思いのままに時を止められるようになる確信があったようだ。
ただし、連続で時間停止は出来ず、数呼吸の間(「爆発」させるスタンドパワーのチャージ時間)が必要となる。そのため、時を止めるタイミングを誤ると危険である。


E光も空気も何もかも停止した世界。それでも、飛躍的に向上した「感覚」「止まった時を認識する力」として機能し、世界を通常通りに捉える事が出来る。しかし、時が止まった世界は、通常の世界とはルールも異なるようだ。
時が止まっている以上、必然的に「因果」「運命」さえも停止している。投げたナイフが相手に突き刺さらず、直前でストップしてしまう……といった奇妙な現象は、この影響によるものである。「因果」が止まっているため、「原因」が発生しても「結果」にまで到達できない。時が動き出すと同時に「因果」も動き出し、そこでようやくナイフが相手に刺さるという「結果」が起こるのだ。そんな世界の中で、『ザ・ワールド』だけが、他の物質や「因果」を直接動かす事が出来る。『ザ・ワールド』に満ちる「止まった時の中で行動する力」に、他の物質や「因果」が強引に動かされるのである。
ただし、「力場」(「重力場」「電場」「磁場」など)を発生させる物質の場合、それとは少々違う動きをするらしい。「力場」とはまさに、この世界の基盤を形作るもの。それゆえ、『ザ・ワールド』が持つ「止まった時の中で行動する力」にも敏感に反応して引っ張られ、『ザ・ワールド』にとっての「通常の世界」で在ろうとして働く。この働きにより、『ザ・ワールド』の周囲(ごくごく短い距離)に限っては、「力場」は通常通りに発生する。磁石などの互いに引き合う性質を持つ物質同士なら、停止時間内であっても、普通に引き合ってくっ付く事になるのだ。
ともあれ……、この力は、ほんの僅かな間だけ「運命」から解き放たれる力、とも言い換える事が出来るであろう。


F「止まった時を認識する力」「時を止める(止まった時の中で行動する)力」は、その性質が若干異なる。
スタンドパワーは「精神」の方から湧き出て来るエネルギーであるため、「スタンドパワーの爆発」はまず、DIOの「感覚」を極限まで研ぎ澄ませ、鋭敏にする。息子:ジョルノ・ジョバァーナのスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』による「感覚暴走」をどこまでも突き詰めたような、そんな状態になるのだ。つまり、世界のありとあらゆる動きが、超スローどころかストップしているかのように感じられるのである。「感覚」のみならば、ただ力任せにスタンドパワーを「爆発」させるだけで停止時間内に入り込める。仮に「爆発」が不十分であったとしても、(承太郎のように)止まった時をなんとなく認識する程度は可能なのだ。
しかし、「爆発」させたスタンドパワーを「肉体」にまで満たすとなると一筋縄ではいかない。スタンド使いとして目醒めつつある者にとって、「スタンドを見る事」は難なく出来ても、「スタンドを発現し操作する事」は困難であるように……、膨大なスタンドパワーを制御し切れるだけのセンス慣れが必要なのだ。どんどん「感覚」に流れ込んでいくスタンドパワーの流れを変え、「肉体」の隅々にまで巡らせ、留める。研ぎ澄まされた「感覚」に、「肉体」を追い付かせ、寸分の狂いもなく同調させる。力任せではない、そんな卓越した技術をこそ要求されるのだ。
だから、止まった時の中を自由に動く事の方が遥かに難しいのである。(そのため、「止まった時の中で行動する力」が「肉体」から尽きても、「止まった時を認識する力」が数秒分は「感覚」に残っているという事もあり得る。)


Gこの「時間停止」は本来、唯一無二の強大なスタンドパワーを有し、かつ正確無比なコントロールを完璧に極めた者のみが到達できる境地と言える。
そのため、他のいかなるスタンドであろうとも、この技を再現する事は不可能である。そのスタンドにしか出来ない技ならば、それはもはや「能力」と呼んでも差し支えないだろう。「能力」を持たないスタンドであるがゆえに可能な技、であるがゆえに「能力」にほぼ等しい。(ただし、例外的・運命的に、『ザ・ワールド』と同じタイプのスタンドである『スタープラチナ』だけは、この「時間停止」を再現できる。)
あるいはもしかすると、「スタンドパワーの爆発」の「技術」(時間が止まったかのように動ける技)を極めた事により、本当に時間を止める「能力」として開花したのかもしれない。「料理」を極めたトニオ・トラサルディーが『パール・ジャム』を発現させたように、「暗殺風水」が『ドラゴンズ・ドリーム』として発現したように、「鉄球の回転」が『ボール・ブレイカー』として発現したように……、「技術」は究極にまで達すると、「能力」の域へと至る事さえあり得る。「能力」を持たぬスタンドを極める事で、(奇妙な話だが)それが「能力」として新たな力を齎した可能性も否定は出来ないだろう。


H―― 「時間」を止める能力を持ち、停止した世界で唯一「因果」や「運命」を直接動かせる資格を持つ『ザ・ワールド』。そして、その身に宿す「世界」のタロット・カードの暗示。だからこそ『ザ・ワールド』には、さらなる力を生み出す可能性が秘められている。それは「時間」を加速させる能力であり、「運命」を超越する力
DIOはその力を『天国』と呼称し、『天国』へ行く方法の研究を密かに続けていた。道半ばにしてDIO本人は命を落としてしまったが、親友:エンリコ・プッチが彼の遺志を継ぎ、それを実現させるために第6部の物語が始まるのである。
(なお、『天国』へ行く方法の詳細については、コラム「『天国』へ行く方法の研究」にて述べる事とする。)




TOP  戻る

inserted by FC2 system