岸辺露伴は動かない
エピソード#05 富豪村 （OVA）
原作の第４部をTVアニメ化した「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」。多くの原作ファンを楽しませ、また新たなファンを獲得してくれました。2016年12月、惜しまれつつも堂々完結したワケですが……、まだこれで終わりではなかったのです。なんと、Blu-ray＆DVD全巻購入特典として、完全新作OVAのDVDをゲットできると言うのです！それがこの「岸辺露伴は動かない エピソード＃05 富豪村」！
私はもとよりBlu-rayを買い集めているし、「富豪村」も「動かない」シリーズで最も好きな話です。これをゲットしない手はありません。キッチリ応募を済ませ、2017年9月21日にとうとう届きましたッ！さっそく鑑賞し、感想を書こうという次第です。
まず、キャラクター・デザインが４部アニメから一新。「富豪村」執筆時の荒木先生の絵柄に近付けてくれています。だからこその「なんか違う」感もあるものの、原作への敬意を感じるのは嬉しい点ですね～。
冒頭はもちろん、漫画を描く前の「準備体操」から。それが終わると、ミステリアスでシャレオツなOP映像。テーマ曲もサスペンス＆ホラーな雰囲気たっぷりで、４部アニメとはまったくの別物に仕上がっています。
ストーリーは原作通りなので、今さら細かく語りませんが、アニメで観てもやっぱり面白いな。マナー対決というテーマゆえ、ド派手で激しいアクションなんかは無いけれど、そもそも「マナーは守るべきもの」「破ったらマズイもの」って感覚があるだけに緊迫します。静かな、不気味な、奇妙な、気品漂う緊迫感。カラーや動きが加わると、余計にリアルに感じられますね。完璧な行動を取らなければならないのだから、ホント息が詰まりそう。姿見えぬ「山の神々」の存在感が確かに滲み出ており、京香ちゃんがあの村に魅入られていくヤバさも伝わって来ます。
アニメ・オリジナルの部分もちょこちょこありました。序盤のカフェでは、音石らしき男の後ろ姿（笑）。富豪村への山道の途中では、「山の神々」を祀っているかのような石が描かれていました。いよいよ異界の住人の領域が近付いて来たってムード。また、2人が一究さんに案内された館も、原作より広く豪華になっていて、日本家屋の美しさが際立っています。「本」にされた一究さんが、露伴を「マナー違反」と断ずる時の描写も迫力満点。露伴がトウモロコシ掴む時には、「ルーヴルへ行く」の表紙イラストのポーズまで決めてくれてましたよ。
そして、原作には無いエピローグも追加です。仗助・億泰・康一くんの3人とカフェしながらダベる露伴。康一くんの家にいつまでもお邪魔できんので、今度は億泰の家に居候？？
全体的に非常に満足の行く出来でしたが、個人的に残念な点もいくつか。
カフェから山に場面転換するシーンは、山の風景から映すのではなく、足を映してほしかったですね。「どうやって村まで行くんだ？」の答えがコレなんですからね。「やっぱ徒歩かい！」ってすぐに思わせてほしかった。
それと、決着が付いた際の一究さんの「これはイカサマだ…」「イカサマは神々の怒りを買うぞ…」ってセリフは、もっと脅すかのように凄んでほしかったです。ずっと敬語を使っていた一究さんが、ここで急に態度を変えるからゾッとするワケですし。
EDは新曲「FINDING THE TRUTH」！作詞：青木カレンさん、作曲＆編曲：菅野祐悟さん、歌：Codaさんという超豪華制作陣によって爆誕した名曲です。歌詞は全て英語。しっとりとして清々しい、優しい曲ってイメージ。完全アウェイの富豪村、狭い部屋、マナー……、そんな圧迫感が終始付き纏っていた今作ですが、それらからの解放感に溢れた楽曲です。気に入った！
―― TVアニメ1話分のわずか24分。でも、なんかイイ映画でも観終えたかのような爽快な気分です。もういっそ全エピソードやってほしいなぁ～（笑）。５部アニメ化の前に「動かない」シリーズでも全然OKっスよ！
（2017年9月22日）