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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




フー・ファイターズ / 本体: フー・ファイターズ
< 「水分」を操作する能力 >





<特徴>
エンリコ・プッチのスタンド『ホワイトスネイク』が、湿地帯のプランクトンに「記憶DISC」と「スタンドDISC」を与えた事で生まれたスタンド。
プランクトンである本体自身と一体化しており、そのため、射程距離の概念も無い。もはや「ミュータント」「新生物」とでも呼ぶべき奇妙な存在と化している。
ちなみに、正式名称は『フー・ファイターズ』だが、後に空条徐倫達から「F・F (エフ・エフ)」という愛称で呼ばれるようになった。


『フー・ファイターズ』の本体は、より厳密に言うなら、プランクトンではなくミジンコである。プランクトンとは、水の流れに逆らって泳ぐ事が出来ない、水中を漂うだけの浮遊生物の総称に過ぎない。広い意味でクラゲさえもプランクトンに含まれる。ミジンコもまたプランクトンの一種で、カニやエビと同じ甲殻類である。
ミジンコは基本的にはメスのみで、単為生殖する生物だ。環境が悪化した時のみオスが産まれ、メスと交配して強い卵を作るという。ゆえに、『フー・ファイターズ』もメスである可能性が高い。


「ジョジョ世界」はある超越的・絶対的な力で満たされており、ありとあらゆる存在がこの力を共通して保有している。『フー・ファイターズ』自身(が引用した天文物理学者フレッド・ホイル)の言葉を借りるなら、その力とは「知性」である。全ての物質や生物はこの「知性」に導かれて生まれ、やがて滅んでいく。
有機物は、自らの内に宿る「知性」によって、自分自身や外界の存在を感知し、認識し、記憶し、思考できるようになった。それが「生物」である。そして、より大きく、より複雑な構造の頭脳を持つ生物であるほど、「知性」をより高度に発揮する。自分の内的世界を外界に表現・創造し、外界からの刺激を自分に取り込んで変化・成長し、活動する事が出来るのだ。ところが、ミジンコは非常に小さく単純な生物で、本来ならば「知性」を発揮できる余地は極めて少ない。しかし、『フー・ファイターズ』の場合、与えられた「DISC」が頭脳の代わりとして機能しているため、人間同様に高い「知性」を発揮できるようになっている。


水棲生物のミジンコが元であるためか、「水」をエネルギー源としている。水さえあれば、パワーもスピードも最大限に発揮できる。(後述する能力も、「水」に深く関わるものとなっている。)
逆に、乾燥には非常に弱い。陸地ではどんどん水分を失っていくため、絶えず水分を補給し続けなければならない。完全に水分を失うと死んでしまう。電気や高熱も弱点である。


最初は、まさしくミジンコのような極小で単体のスタンドとして発現する。「水」がある場所ならどんどん分裂・増殖でき、それらが集まり固まって、大きな人型のヴィジョンを形作る。
黒く堅そうに見えるボディーだが、実際は弾力があり、グニャグニャと自在に変形する。どれだけ傷付いても、「水分」がある限りは、すぐに修復・回復が可能。極小のスタンドの集合体であるため、狭い隙間にも入り込め、そこから無理矢理広げてこじ開ける事も出来る。
以下、この『フー・ファイターズ』自身の細胞・肉体であり、同時にスタンドのヴィジョンでもあるボディーを、「プランクトン体」と仮称する。


「プランクトン体」を複数に分け、それぞれの「分裂体」を独立して動かす事が出来る。「分裂体」は、「頭脳」「司令塔」の役割を受け負った「プランクトン体」(=「頭脳体」と仮称)からの命令に従う。その「頭脳」の位置は、基本的には「スタンドDISC」と共にあるようだ。だが唯一、「DISC」を与えたプッチだけは、それを無視して「頭脳」の位置を強制的に変更・決定できる権限を持っている。
「分裂体」の知能は低く、まともに話す事も出来ず、本能的・動物的な行動が多い。顔付きにしても、スマートでキリッとした「頭脳体」とは異なり、なんとも頭の悪そうな顔をしている。よく「フーフォアア」と鳴く。


「分裂体」の知能の低さをカバーするためには、他の人間の肉体を乗っ取る必要がある。そうすれば、その人間の記憶や知識に基づいて行動でき、「頭脳体」からの命令にもより忠実に正確に従うようになる。
また、乗っ取った肉体の水分を利用して、乾燥した場所でも自由に行動が可能。もっとも、車の給油と同様に、水分の補給自体はこまめに繰り返さなければならない。この肉体の乗っ取りは、「頭脳体」も行う事が出来、作中ではエートロという女囚の死体を乗っ取って生活していた。


「DISC」のおかげで自分の存在がある。『フー・ファイターズ』はかつて、その恩のために行動し、機械のようにひたすら「DISC」を守り続けていた。
しかし、徐倫達と出逢い、共に過ごす日々の中で、彼女は強く成長し、自分だけの「知性」と「思い出」を手に入れる。その影響を受け、与えられた「記憶DISC」はいつしか、完全に彼女自身の記憶と知性になっていた。彼女の心・魂と1つになったのだ。そのため、彼女の体内にある「DISC」は、『フー・ファイターズ』の「スタンドDISC」だけとなった。
そして、それに伴い、「プランクトン体」そのものも自然とエートロそっくりの姿に変化していった。あの姿こそが自分だ、という意識が反映されたのだろう。しかも、「分裂体」ですらも、短時間であれば「頭脳体」さながらの「知性」を発揮できるようになっていた。全身に、全細胞に、彼女の溢れんばかりの生命エネルギーがくまなく巡っていたのである。彼女は紛れもなく、生きていた。




<能力>
「水分」を操作する能力



物質や生物に宿る「知性」は自身の「情報」を絶えず記憶し続けている。「知性」が保有している「情報」とは、主に「形状」「材質」「座標」を意味し、自身を自身として存在たらしめる「設計図」とも言える。つまり、全ての物質・生物は、霊的な「最新の設計図(情報)」と、物質的な「今の様相」とが、常に等しい状態を保ち続ける事になる。それがこの世のルールなのだ。
そして、この「知性」は大なり小なり互いに反応し合い、影響し合い、「物質世界」において1つの巨大な流れを形作る。何者にも抗えぬ「因果の流れ」、なるべくしてなる「必然の連続」。人はそれを「運命」と呼び、「運命」を決定付ける「知性」そのもの(が持つ意志のようなもの)を「神」と呼ぶのである。
スタンド使いとはこの「知性」「運命」に選ばれた存在であり、それゆえ、スタンド能力は多かれ少なかれ「知性」に働き掛ける力を有しているという事になる。そして『フー・ファイターズ』は、「水」に宿る「知性」に対し、強く働き掛ける能力を持つ。


『フー・ファイターズ』は「水」と溶け合い、一体化する事で、その「水」に宿る「知性」に働き掛ける事が出来る。
それは、端的に言ってしまえば、「水分」を操作する能力である。取り込んだ水分を使って「鏡」を作り出し、空中に浮かばせたりもしていた。


人間の肉体は約70%が水分である。その水分と溶け合う事で、他の人間の肉体を乗っ取る事も出来る。
これには大きく分けて2つのパターンがあり、乗っ取った肉体が「死んでいる」か「生きている」かの違いによるものである。


死体を乗っ取る場合は、単に着ぐるみのように身に纏うだけである。
ただし、まるで粘土か何かのように死体を変形・加工して、まったく別人の姿に作り変える事も出来る。これは、自らと溶け合った「死体の水分」に宿る「知性」を操り、その「形状」を自在に変化させるためである。上記で述べた通り、「知性」という「設計図」そのものが変われば、物質的にも同様の変化が起こる。物質を変容・変質させるスタンド能力とは、『フー・ファイターズ』に限らず大概、そこに宿る「知性」の方に刺激を与えて変化させているのだ。


生きた人間の肉体を乗っ取る場合は、その人間と一身同体となって共生する形になる。
体内を循環する血液や分泌される体液と溶け合った「プランクトン体」が、全身の隅々にまで流れる。当然、脳にも流れるため、その人間の記憶や知識、感情などを詳しく読み取る事も出来る。作中のエートロは、爆死して、魂もすでに「あの世」に逝ってしまっていた。だが、損傷がそれほど激しくなく、まだ新鮮な死体であった事から、生命活動をしているに近い状態にまで修復できたようだ。ただ、2人の存在が混合・融合しているような状態であり、その影響で『フー・ファイターズ』自身の性格まで変わってしまった。
死体と同じく、乗っ取った肉体をある程度作り変える事も出来る。胸を巨乳にしたり、背中に小さな手を作ったりもしていた。それだけでなく、常人の関節の可動域や常識を超えた、突拍子もない人間離れした動作が可能となる。
それでも、不定形の流動体であった「プランクトン体」が、「人体」という枠の中に縛られている事は事実である。乗っ取った肉体がダメージを受けたら苦痛を感じるし、「プランクトン体」にとってもダメージになってしまう。


肉体の変形・加工により、乗っ取った肉体のダメージを修復・回復できる。ただし、回復させるダメージが大きいほど、多くの水分を消耗してしまう。
致命的なダメージを受けると、体内の「プランクトン体」を優先的に生かそうとして、水分を大量に消耗する。そのため、余分な水分が無くなり、肉体の修復は滞り、傷口から血がほとんど流れなくなる。そういう意味では、出血する方がまだ安心なのだ。


乗っ取った肉体の指先から、「プランクトン体」の一部を弾丸のように発射できる。『フー・ファイターズ』はこれを、「フー・ファイターズ弾」あるいは「F・F弾」と呼んでいた。
最初はただ指先に切れ目が入って、そこから撃つだけであった。だが、指を実物の銃のように変形・硬質化させる事で、指先が固定され、より狙いを定めやすくするという工夫を加えるようになった。
この「F・F弾」は、敵を撃ち抜く攻撃手段として有用である。また、弾丸となった「プランクトン体」も『フー・ファイターズ』の一部である事に変わりないため、着弾した地点にある水分で増殖する。たとえ、敵を撃ち抜く事が出来なくても、そのまま敵の肉体に入り込み、血液で増殖する事が可能なのだ。そうすれば、体内を浸食して攻撃する事も出来る。ただし、池沼や河川、海などの水とは異なり、血液での増殖には限界がある。元が弾丸程度の少量の「プランクトン体」では、敵の肉体を乗っ取れるほどの量には増えない。


他者の負傷箇所に「プランクトン体」を詰めて、応急手当が出来る。他者にとっては「プランクトン体」は異物に過ぎないため、より繊細で精密な治療が必要となってくる。
まず、その負傷周辺の水分と溶け合わせる事で、そこに宿る「知性」の情報を読み取る。『クレイジー・ダイヤモンド』のように過去の「設計図」を開く事までは不可能だが、読み取る事だけはなんとか出来るのだ。傷付いて失われた部位の「形状」や「材質」を読み取り、それに似せて「プランクトン体」を変形・変質。仮の肉体パーツを作り出し、元の健常な状態を再現するのである。そのため、単に傷口を埋めて塞ぐのとは違い、肉体の機能自体も回復できる。「設計図」に非常に近い状態だからか、「プランクトン体」は肉体とけっこう馴染む。『フー・ファイターズ』が寝たり死んだりしたとしても、この治療が解除される事はない。
もっとも、完全な治療ではない以上、傷の痛みは残るし、本人の本当の肉体として再生するのはあくまで本人の生命力・治癒力次第である。


乗っ取った肉体が修復不可能なほど損傷したり、もうその肉体が不要になったりしたなら、肉体を捨てて「プランクトン体」のみに戻る事となる。
その時、ついでに肉体の水分を奪い取る事も出来る。全て奪い尽くせば、その肉体はカラカラに乾燥したミイラと化す。


『フー・ファイターズ』というスタンドの本来の使い手は、恐らく人間だったと思われる。プランクトンを「媒体」にした、遠隔操作タイプの実体化スタンドだったはずだ。
そして、「水」そのものをもっと自由自在に色々な形で操っていたのかもしれない。水が足りなくなっても本体が死ぬワケではなく、水への執着や親和性もそれほど強くはないため、激しい分裂・増殖も行えず、最大でも数十cm程度の大きさだった可能性がある。他者の肉体を乗っ取る事なども出来なかっただろう。
そんなスタンドの「DISC」をミジンコ(プランクトン)自体に入れたため、そもそもの自己の存在保持の方が重要視され、スタンドパワーもそちらに多く配分されたのである。このように、元々の『フー・ファイターズ』の能力とは大幅に変わってしまっている事が推測される。スタンドの歴史上でも極めて特殊な例と言えよう。どんどん増殖し、合体して形作られる存在。ちっぽけな者達が集まって、1つの巨大な塊となって生まれた存在。彼女は、小さな無数の物質や生命によって形作られる「世界」や「宇宙」の象徴とも呼べる存在になった。




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