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ジョジョの奇妙な冒険
ダイヤモンドは砕けない (TVアニメ)






第36話  アナザーワン バイツァ・ダスト その2



今回は『バイツァ・ダスト』編の中盤戦!いやぁ〜〜〜……、最ッ高に面白かった……。今までずっとアニメ版「ジョジョ」を見て来た中でも最大級のドキドキハラハラでした。原作を何度も何度も読んでるのに、こんなに緊張したり興奮したりするのって不思議。
まず、いきなりビックリさせられたのは、何と言ってもOPでしょう。「何か」はやってくれるだろうと期待していましたけど、まさかこれほどの大仕掛けとは……。『バイツァ・ダスト』にちなんで、最初から最後まで逆行しまくりです。大方の予想通り、この曲は『バイツァ』を意識してたんだなぁ。完全に吉良のターンっていう絶望感が味わえる、実にグレートな改変でした。

内容の方も、もちろん大盛り上がりです。やっぱり最終決戦は丁寧に描いてくれているようで、かなり原作に近いペースとクオリティで進行。それでいて、より理解しやすいように気を使われている印象も受けます。おかげで安心して緊迫感が堪能できました(笑)。
とにかく早人に感情移入してしまうんですよね。母を守るため、自殺までしようとする悲壮さがたまりませんよ。しかも、それすら出来ないという圧倒的な絶望と孤独がね。そして、そこからの逆襲に鳥肌がスタンディング・オベーション!カッターに反射した光が天井を照らしているシーンは、早人の殺意と覚悟が齎す一筋の光明!電話を取る人物も、割れるコーヒーカップも、しのぶさんへのキスも、早人が吉良から主導権を奪っていく感じで燃えます。この時点ですでに「電話のコール音」も布石として聞こえていますな。
ここまでしておいて、最後は吉良の強運によって作戦失敗という絶対的窮地で終わり!またイイところで……ッ!「運命に勝った」ところまでやってほしかったけど、まぁ、これはこれで先が気になって良し。


ちょっとした不満としては、自殺しようとした早人を守る『バイツァ・ダスト』を承太郎達が目撃するシーン。早人が振り向いて、止まってるカッター部分から『バイツァ・ダスト』がシュンって現れるように描かれていました。でもここは、早人がこちらを振り向くにつれ、彼の影に隠れていた『バイツァ・ダスト』のヴィジョンも次第に見えてくるって風にしてほしかったかな。
あと、猫草が前より凶悪な見た目になってるって説明も入れてほしかったですね。あれだと、初見の人はいきなりのデザイン変更に戸惑っちゃいそう(笑)。
吉良が「空気弾」を喰らうシーンも、もっと大袈裟にド迫力でキメてもらいたかったところ。少々あっさりしてたのが残念。せっかくの満を持しての反撃なんだし、視聴者にも「よっしゃ!やったぞッ!」とぬか喜びさせてほしかったですね。


それにしても、この「こうすればああ返す」「ああすればこう返す」の連続がスゴすぎる。お互い全力で知恵と能力を振り絞り、運すら味方に付け、ぶつかり合う。奥の手を出しても、相手はさらに上を行き、勝つためにはそれすら超えなければならない。激しい衝突が生み出す上昇気流が、我々のテンションをもアゲアゲにしてくれる。これぞ「ジョジョ」の大きな魅力の1つです。
さあ、次回はいよいよ「クレイジー・D(ダイヤモンド)は砕けない」!このサブタイトルを見ただけで勇気が湧いてきます。どんな恐怖や絶望でも、決して砕けぬ高潔なる意志!ここから先は仗助達のターン!

(2016年12月3日)




第35話  アナザーワン バイツァ・ダスト その1



今回は、とうとうやって来ました『バイツァ・ダスト』編!これを楽しみに待っていた方は多いと思いますが、ご多分に漏れず私もです。その期待に応えるように、想像以上にじっくり丁寧に描いてくれました。いやぁ〜、先の展開は分かり切っているのにドキドキした!
けっこうオリジナルシーンも挟んでおり、全体の構成がキッチリ整えられている印象を受けました。写真の親父が露伴達の動向をキャッチするシーンや、康一くんが仗助に翌日の待ち合わせをして来るシーンなんかもそうだし、『バイツァ』の能力もより理解しやすくなる説明も加えられています。やっぱ初見の方々には、余計な疑問よりも、絶望と恐怖こそをたっぷり味わってほしいですからね(笑)。

特に良かったのは、露伴の登場から爆死まででしょうか。完全に追い詰められた早人の孤独を表すように、背景の色が徐々に失われていき……、そこに映っていた車から露伴登場!早人を「本」にして読み進めていくと、そこに書かれていた通りの事が起こる。唐突な【警告】から立ち込めていく、ジワジワ迫る不気味で不穏な空気。そして、予告される露伴の死!画面に無音で1文字ずつ現れるところが、また衝撃を増してくれていました。
出来る事なら、露伴の後頭部や背中が爆破されてからも、しばらく無音のまま、雨音だけが静かに周囲を満たすって風にしてほしかったけど。もっと言えば、そうして爆破された露伴が、虚ろな表情と意識で「康一くんたちとここで落ち合う約束だった」とつぶやいてから、『バイツァ』の説明を入れてほしかったけど。その方が衝撃の余韻と、死の直前の悲壮さがより強く感じられるんじゃないかなぁ。
でも、露伴の濡れた髪が乱れていたところは、それだけで異常事態・緊急事態って事が明確に伝わってきますね。素晴らしい緊迫感でした。


不満らしい不満はそんなに無かったんですが、残念だったのは、「杜王町は出ない」と宣言する時の吉良の爪に「か」「つ」という文字が刻まれなかった事。これは、争いを好まず勝ち負けにもこだわらない吉良の心の奥底にある、プライドや飢えが垣間見えて好きなシーンなんですよ。だからこそ、『矢』が再び彼を選ぶ説得力にも繋がるワケで、そこはカットしないでほしかった。
でも、この調子ならイイ感じにラストまで突っ走ってくれそうだな、と思わせてくれる良回でした。次回が待ち遠しいですね。


ちなみに、EDでは今回から裕ちゃん+3人のスケ、乙雅三、未起隆、億泰の親父さん、ジャンケン小僧、「鉄塔」+鋼田一豊大、宮本輝之輔、猫草、そして何故か吉良の同僚達まで一気に大量追加ッ!
いやいや……、吉良の同僚なんてネット上でネタにされてるだけなんだから、別にそこまでせんでも(笑)。ま、そういう一般人達もいてこその「町」だし、いいんだけどね。

(2016年11月26日)




第34話  7月15日(木) その4



今回は『チープ・トリック』戦決着早人危機一髪
「7月15日(木)」編の怒涛の同時多発進行は、単に尺合わせというだけじゃなく、全ての状況が盛り上がりのピークに向けて進んで行くため、進めば進むほど動けば動くほど面白さも倍乗されていく事になります。そんなメリットがしっかり活かされ、4部クライマックス直前として最高の仕事をしてくれたんじゃないでしょうか。実に面白かったです。

まぁ、いつものように「間」が無さすぎって不満はありました。露伴が交差点を渡る時、悪口を言ってやったのに一向に振り向かない男に『チープ・トリック』が驚くってシーンも、ちょっと「間」を削りすぎ。猫や犬に襲われた露伴を康一くんが助けに来るシーンも、最初っから「3 FREEZE」って言っちゃってるし、『ACT3』や康一くんがシルエットから徐々に姿を現していく感じにしてほしかったところ。
あと、ついでに言うと、戻って来てくれた康一くんに感動した露伴には涙ぐんでほしかったなぁ〜。


でも、『チープ・トリック』戦では、露伴がついに狂ったんじゃないかって気にさせる不穏・不吉な演出が見事でした。ただ「喋る」だけの非力な敵に為す術なく、どんなに強いスタンドに助けを求めても意味がない。ある意味、スタンド・バトルの本質を突いた戦いであり、「強さ」ではなく「恐ろしさ」を描いた戦いでもあります。そんな恐るべき『チープ・トリック』に、完全に露伴が屈したかのようなイッちゃってる表情。背中から壁に付着する血。そして、サイケデリックな色と動きを見せる背景。これはヤバかった(笑)。……それだけに、あの逆転勝利はスカッと爽快でした!
ファン待望の、吉良が美那子さんの彼氏を爆殺するシーンも、3視点からの爆破でカッコ良かった。さらに、吉良の自然な凶気と変態性が滲み出る森川智之さんの演技は言うに及ばず(笑)……、美那子さん役:朝井彩加さんの恐怖と絶望の演技も素晴らしかったです。美那子さんが死ぬ瞬間、手が僅かにピクッって動くところも、なんかリアルな感じで怖い。承太郎が早人とニアミスし、美那子さん達がいた部屋を調べるオリジナルシーンも追加です。正直、美那子さんの行方不明者設定は必要とは思えんけど、承太郎も何もしてないワケじゃないって事や吉良との接点を(強引にでも)見せたかったんでしょうね。
早人と吉良の入浴シーンは、冷たい緊張感が張り詰めていました。早人にとって、こんな窮地もないですよね。一番安心できるはずの我が家で、しかも最も無防備な風呂場で、父に成りすます殺人鬼と2人っきりの水入らずだなんて。しかも、吉良から『キラークイーン』の影が伸びていたのも芸が細かい。でも、そこからの早人の胆力は凄まじいですね。最大の窮地を、逆に吉良にお返ししてやったワケですから。一介の小学生だってのに、めっちゃめちゃクールでした。

そして、いよいよ次回は『バイツァ・ダスト』編ッ!このサブタイトルが画面に現れただけでテンション上がります。さあ、あとはラストに向けて突っ走るのみ。

(2016年11月19日)




第33話  7月15日(木) その3



今回は『チープ・トリック』登場『エニグマ』戦決着。そして、いよいよ吉良と早人も動き出す。オリジナルシーンもちょくちょく挟んできて、第1話冒頭の再現なんかもあったりして、アニメならではの面白さも出してくれています。
すでに美那子さんが行方不明者になってるようですけど、レポートの内容を読むと、どうやら親父さんとケンカして家出したかららしい。それで彼氏の所に転がり込んでいる、と。吉良は不運にも、わざわざ承太郎に目を付けられてる女性を選んでしまう事になるんですね(笑)。

その能力からしても、「恐怖」に立ち向かう「勇気」がズバリ描かれている『エニグマ』戦は、実に「ジョジョ」らしいバトルです。自分の安全ばかりを考えていた裕也が、仗助の言動を通じて、人を救うために戦う決意を抱く。裕也の行動原理は「正しいかどうか」「賢いかどうか」じゃなく、「オレがカッコイイかどうか」。しかしそれは、取りも直さず「自分自身を誇れるかどうか」という事。人間としての誇り、町の誇り、仲間の誇り、自分の誇り。それらを守り抜くために戦い続ける「黄金の精神」が、ついに裕也にも伝播しました。そして、これはそのまま、最終話のジョセフの言葉をも体現してるワケです。
そんなテーマ的にも重要な一戦、なかなか巧くまとめられていたと思います。『エニグマ』発動シーンも凝っててミステリアスだし、裕也の戦う姿にはグッと来るしね。裕也が紙にされてシュレッダーに手を突っ込めたという決着シーンも、ぶっちゃけ原作より納得しやすい形になってました(笑)。ペラペラな裕也が仗助達の紙をガッチリ掴み、同じく紙にされた『ハイウェイ・スター』がシュレッダー内から押し出す。見事な連携です。自分の「恐怖」や敵の能力さえも利用して、次へと繋げる裕也の敗北する姿は、間違いなく「カッコ良かった」ッ!


不満点としましては……、いつもの事と言えばそれまでですが、衝撃的なシーンもあっさり描かれちゃうところ。今回は特に、乙雅三の背中が裂けて血が飛び出すシーンなんか顕著です。もうちょっと、こう……、「ドドォ――ン!」って感じに出来ないもんかなぁ。
それから、『エニグマ』戦で『クレイジー・D』が受け止めた弾丸が球形だった点。ベアリング弾じゃないんだから。銃には詳しくないけど、弾頭があんなに丸いんじゃ殺傷能力も低下しちゃうんじゃない?その辺はリアリティーに欠ける描写で残念でした。
あと、車道に捨てられた「広瀬康一」と書かれた紙を見て、「恐怖」する仗助。でも、その場にただ突っ立ってただけなんで、「助けようとした」感じがまったくありません。裕也の心を動かす大事な場面なんだから、ちゃんと車道に出てくれないとダメだよ。そして、『クレイジー・D』で紙から脱出しようと藻掻いている仗助を見て、かすかに「恐怖」する輝之輔。出来ればこの時点で、片目を薄く閉じるくらいの描写を入れてほしかったですね。原作でもそうなってるんだしね。

(2016年11月12日)




第32話  7月15日(木) その2



今回ももちろん3者同時進行。『スーパーフライ』戦・『エニグマ』戦・『チープ・トリック』戦のそれぞれの続きです。前回はこのオリジナル構成に馴染めず、少し苦言を呈したりもしましたが、一週間経ったら私も慣れたみたい(笑)。
またも作画監督は11人、絵コンテと演出は3人ずつという、まさしく劇中同様にスタッフも総力戦となった今回。そのおかげで、ほとんど不満も違和感もなく楽しむ事が出来ました。

まあ、残念だった点は、『スーパーフライ』の反射エネルギーを撃ち返すシーンですね。『クレイジー・D』がただ両腕でガードしてるようにしか見えないから、エネルギーの逆行と言われても説得力が全然ない。殴ってるっぽいSEは聞こえたので、作画が間に合わなかったんかな?ここはキッチリ殴ってほしかったです。せっかくの逆転劇なのに、インパクトが弱かったし。
あと、鋼田一撃破後に仗助が鉄塔から落ちそうって部分は丸々カット。尺の問題もあるし、無くっても影響はないけど、やっぱ見たかったなぁ。


『エニグマ』戦に雪崩れ込む直前、康一くんを捜す億泰が必死に走り回ってる姿が良かったです。友達想いな感じがね。一方、未起隆は何故か、鋼田一と一緒に鉄塔でお留守番(笑)。まあ、もしかしたら写真の親父が鉄塔に戻って来るかも分かりませんから。
そして、素晴らしかったのが噴上の裕ちゃん。取り引きに来た仗助をキリッと怒鳴る声、あっさりスカされた後の間抜けで情けない声、完全回復したナルシストで甘〜い声。さすがは声優さん、見事にキャラクターの様々な側面や感情を演じてくれます。見てるだけで、聞いてるだけで面白かった。こいつは次回の「カッコイイ裕ちゃん」も期待できそうですよ。乙雅三宮本輝之輔も、実にキャラに合った変態的な声と演技でした。
楽しみにしていた『エニグマ』発動シーンも丁寧に作り込まれ、なかなかに期待以上です。決して抜け出せない無限の迷宮に迷い込んだかのようで、『エニグマ』の無敵の攻撃がちゃんと絵で表現されていたと思います。しかもスゲー気になるトコで終わっちゃうし。展開は分かってるけど、いい引きでした(笑)。

(2016年11月05日)




第31話  7月15日(木) その1



今回は『スーパーフライ』戦……と言いたいところですが、サブタイトル通り、原作とは異なる構成になっていました。
まず、写真の親父が仗助サイドの動向を窺いつつ、ついに息子:吉良吉影を発見。顔や名前は違えど、その後ろ姿や指を見ただけでも、親子の絆で直感的に分かったようです。しかし、同時に早人の尾行にも気付き、息子の置かれた危機的状況を理解。いよいよ吉良サイドが本気で攻める手番に!……そして、そこからは『スーパーフライ』戦・『エニグマ』戦・『チープ・トリック』戦の3者同時進行という大胆な構成でした。
つーか、『スーパーフライ』戦が放課後じゃなく朝の出来事ってのはともかくとして、朋子の帰宅を早朝にしたのは驚きだし、『チープ・トリック』戦までも同日にしちゃうとは予想外です。それじゃあ康一くんがハードすぎじゃない?(笑) アニメの制作陣もなかなか無茶をする。

日時が表示され、3者3様に進展していくのは、サスペンス風味たっぷりで非常に面白いアイディアだと思います。もうじき描かれる『バイツァ・ダスト』の布石としても機能しますしね。仗助サイドに次々と襲い来る異常事態の波状攻撃が、まさしく吉良サイドの本気を示しており、クライマックスに向けてテンションも上がるというもの。また、原作とは異なる構成だからこそ、原作を知っている者にとっては新鮮に楽しめました。
ただ、いくら親切に日時を表示しているとは言え、あまりにも場面転換が多すぎる。しかも、時間もけっこう前後するもんだから、かえって混乱を招きかねない。なんかフワフワコロコロと落ち着きなく、取り留めもなく、素直に集中して観れなかった。せめて時間軸通りに進行してくれれば、ここまでゴチャゴチャにはならなかったんでしょうけど。やっぱ目の前の「1つのエピソード」に集中させてほしい気持ちがありますね。


――と、まぁ、構成についてはこの辺にして、内容の方も少し。あちこち場面は飛ぶけれど、基本は『スーパーフライ』戦が中心です。シーンやセリフは色々カットされてはいるものの、やはり手堅くまとめられていました。
鋼田一豊大役の遠近孝一さんもイイ演技してくれてますし、鉄塔でのアクションも躍動感ある描写でカッコ良かったです。特に、鋼田一が未起隆にボルトを撃ち込むシーンが好き。この調子で、『エニグマ』のエッシャー的描写も期待したいです。

(2016年10月29日)







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