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ジョジョの奇妙な冒険
ストーンオーシャン (TVアニメ)






Episode30  ヘビー・ウェザー その①



今回は『ヘビー・ウェザー』発動後の大混乱。マイマイカブリ登場、そしてウェザーVSプッチへ。
ここで一気に原作を大きく改変しましたね。まず、スタンド使いにはカタツムリ化への耐性があるという設定になり、エルメェスを普通に動かしていました。また、徐倫もエルメェスをかばって「虹」に触れるというシーンが追加。この状態で車が突っ込んできて、2人ともカタツムリに触れてしまい、同時にカタツムリ化。しかも、突っ込んできた車が街燈のパイプをヘシ折り、その中に徐倫が入ってヴェルサスに追い付く……という流れになっています。なるほどなるほど、なかなか上手い再構成ですね。軟らかくノロくなってしまったスタンドで、どうやって街燈を切断したのかって疑問がありましたもんね。
さらに、原作では塩を掛けられたダメージがいつの間にか消え去っていましたが、この部分の補完もありました。『キッス』のシールをあらかじめ徐倫自身の肉体に貼っていて、スポーツ・マックス戦のエルメェスよろしく、それを剥がして元通り!そのシールも、ちゃんと病院を脱出する際に受け取っていたっぽい描写があります。だいぶ強引な気もしますけど、なんとか理屈を付けようと苦心したんだろうなぁ。お疲れ様です。
ただ、ヴェルサスをカタツムリ化させる時に徐倫が言ってた、「感触を実感して……」「一気に」というセリフの意味がよく分かりません。つまり、いくら耐性のあるスタンド使いだろうと、カタツムリに直接触れてしまうと急激にカタツムリ化するよって事なのかな?自分達がそうだったように、カタツムリに確かに触れたという「実感」がカタツムリ化を進行させる、と。だから、エンポリオに触れたという実感が当然あるヴェルサスも、すぐさまカタツムリ化しちゃったワケですな。う~ん、かえってややこしくなる説明ゼリフ(笑)。

そんな具合で、はしょるところははしょり、設定も改変し、展開の順番も入れ替え、原作とは印象も違ってくるレベルなのでした。「お先にブルルン!!」も無かったしね。
まぁ、『ヘビー・ウェザー』編は長いエピソードだから、全体の構成を考えれば、テンポ良く進めなきゃいけないって都合もあるんでしょう。そういう制約の中でも、カタツムリのセックス話とか、車泥棒の話とかはちゃんと拾ってくれてるのが嬉しい。気合いガッチガチだけじゃない、徐倫の「普通」っぽさが垣間見れてクスッと出来る部分ですから。
作画も、ヒドい絵もあるっちゃあったものの、かなりイイ感じでしたよ。どなたの絵か分かりませんけど、線の強弱まで原作に近付けてくれてる絵もあって好印象ッ!
無数の「虹」の美しさと、カタツムリの海のおぞましさもしっかり描かれていて、アニメで見られて良かったなと思いました。

(2022年12月4日)






Episode29  アンダー・ワールド



今回はヴェルサス戦の決着、そして『ヘビー・ウェザー』発動まで。
これまた原作に忠実で、アニオリと言えるほどのアニオリも無かったため、取り立てて語る事も少ないです。でも、メッチャ面白かった!飛行機墜落というド派手なシチュエーション、迫るタイムリミット、畳み掛けるヴェルサスの悪意。動きや演技も加わって、ますますドキドキハラハラでした。これまでずっと気になってしょうがなかった作画の方も、今回は非常に安定したクオリティーを保ってくれていたと思います。うん、かなり理想的な回だった気がするなぁ。
今回の主役は、なんと言ってもヴェルサスですよね。彼の悲惨な過去、そして、それゆえの幸福への強い強い希求心。「SBR」の言葉を借りれば、まさしく「飢えた者」です。プッチのために戦ったウンガロ・リキエルとは一線を画し、むしろプッチすらも出し抜いて、ガムシャラに自らの勝利を手に入れようとしています。そこが彼の大きな魅力。無関係の子どもさえ犠牲にし、徐倫達の心を殺そうとする作戦も……、身も心もズタボロになって生きてきた「弱者」の彼だからこそって感じで、最高に最低でサイコーです!ヴェルサスも大好きなキャラ!

不満らしい不満も無いんですけど……、2点だけ。
冒頭のウェザーとアナスイの病院前でのシーン。このシーンはやっぱ、徐倫達とのニアミス・すれ違いとして描いてほしかったところ。救急車を隔てたすぐそこにお互いがいるのに、お互いに気付けずにまた離れていく。そのもどかしさが良いんですよ。そこに「運命」の妙があるワケですよ。
発音というかイントネーションというか、そんな話になりますが、エンポリオの「神様の気まぐれ」 「真空地帯」ってセリフ。私はずっと「神様の気まぐれ真空地帯」と繋げて、1つの単語として認識してました。「世界のフィンガー『くたばりやがれ』よ」の時と同様、アニメとは解釈が違ったな。


……以下、アニメじゃなくて、原作の方へのツッコミになっちゃいます。
飛行機のドアを開けて、徐倫がヴェルサス目掛けて飛び込んでいきましたが、あれって少し不思議ですよね。戦闘機の脱出装置は、「作動した」という事実がなかったから作動できなかったのに。つまり、飛行機のドアは「開けた」という事実があったから開けられたって事のはず。阿鼻叫喚のパニックの中で、誰かが勝手に開けちゃったのかもしれませんね。
「糸」化した徐倫がエルメェスの体内に入って身を守るって、なかなかの力業(笑)。それよりなら、看守の服に化けた時みたく、「糸」でエルメェスの体全体を繭のように覆った状態で「事実」の中に隠れるとか、子ども達の座席のシートベルトに化けるとか、もっとやりようがあったんじゃないかとも思っちゃいます。

(2022年12月4日)






Episode28  天国の時 新月まであと3日



今回はヴェルサス戦序盤。徐倫とエルメェスが飛行機の「記録」に閉じ込められるところまで。
原作の3話半分くらいなので、テンポ的にもちょうど良い。原作に忠実で手堅いアニメ化だった分、語る事がそんなに無いかも(笑)。飛行機墜落事故という、デリケートと言えばデリケートな話もキッチリ描いてくれて安心しました。作画も、今回はかなり濃厚でカッコ良かったですね。まぁ、相変わらずシーンごとの落差が激しく、統一性が無いのが気になりますが。
マイクくんの父親が撃たれた後、病院の人が警察に通報するというくだりを追加しているおかげで、これからマッコイ巡査達が駆け付ける展開もよりスムーズになりましたね。……にしても、このエピソードはマイクくんのお母さんが気の毒になるなぁ。
あと、今の今まで意識してなかったんですけど……、『アンダー・ワールド』の「ウリャアアアアア!!」って叫び、父親:DIOの「WRYYYYYY!!」っぽいね。そういうところでも親子の繋がりを感じさせてくれるのは嬉しい。

些細な不満点としましては、パトカーがガンガン走ってる脇でウェザーとアナスイがのんきに歩いてるところ。オイ脱獄囚ども、もっと危機感持てや(笑)。
エルメェスが穴に落ちる時は、スポーツ・マックスに引きずり込まれた感じを出してほしかったですね。あれじゃあ、自分から落っこちたようにしか見えないよ。

(2022年12月3日)






Episode27  スカイ・ハイ



今回は丸々リキエル戦でした。1話で終わらせちゃうとは思わなかったし、しっかりまとめ上げてくれてたのも素晴らしい。
リキエルやっぱ熱いなぁ~。6部キャラの中でもトップクラスに好きなヤツですよ。このたった1話に、彼の人生や成長、魅力がこれでもかと詰め込まれています。声優の古川慎さんの必死な演技も最高で、なんかいちいち心を震わされました。ちょっと運命が違えば、徐倫の仲間に、いやいや……、なんなら主人公にさえなれそうな器。3兄弟の中で、ハートはジョースター家に最も近く、顔は最もDIO似なんだよな。
『スカイ・ハイ』のスタンド・ヴィジョンが作中で発現していたのも、けっこう新鮮味がありました。あれがあった方が、「ロッズ」を操ってる感が増してる気がします。その代わり、リキエルの手首に巻き付く「ロッズ」が描かれなかったのはちょっと残念ですけどね。あの子、甘えてるみたいで可愛かったんだけど(笑)。
あ、「ロッズ」の正体は虫の残像だろ……みたいなロマンの無い不粋なツッコミは禁止ですよ。「ロッズ」という生物の不在証明にはならないし、少なくとも「ジョジョ」の世界には確かに実在してるんです。何せ、「柱の一族」や「吸血鬼」なんかも存在する世界なんですから。

炎上する徐倫が「星のアザ」の感覚でリキエルを捉えるシーンは、非常にカッコ良かったんですが、目は閉じたままでいてほしかったところ。「見なくていい」と言って目を閉じたんだからね。まぁ、でも、最後の一騎打ちも含めてド迫力でした。
エルメェスが投げた石の軌道が逸れた際のエンポリオのセリフが、ちゃんと「それたッ!!」になってて良かったです。原作だと、何故か「それだッ!!」になってるもんね。ただ、石がリキエルの顔面に命中するシーンでは、片側だけに当たってたのが不満。シールを剥がしたんだから、2つに増えた石が引き合って1つに戻るワケで、リキエルの顔面をサンドイッチしなきゃダメじゃん。
尺の都合か、リアルな病人さんへの配慮なのか、徐倫達が喰らう「病気」の描写が減ってました。一方で、エルメェスの足の感覚が無くなっているというセリフを追加した事で、彼女が戦線離脱した理由付けが上手く説明できていますね。原作では、しれっと座り込んで行動不能になってましたもんね(笑)。
それにしても、種崎敦美さんの爽やかであどけない演技のおかげでエンポリオのキュートさが急増中!原作じゃ絶妙なウザさがあったけど(笑)、アニメ版は素直な可愛げがあるな。


このように、今回はかなり楽しめました!作画も、多少気になる点はあるものの許容範囲内で、概ね良かったです。このぐらいのクオリティーを毎回保ってもらいたいなぁ。

(2022年12月3日)






Episode26  自由人の狂想曲(ボヘミアン・ラプソディー) その②



今回はウンガロ戦決着、そして徐倫とロメオの再会。う~~ん……、正直言ってビミョーでしたね。
まず、内容より何より作画が酷すぎる。いや、たまには良さげな絵も確かにありましたよ。でも、「ナメとんのか?」ってぐらいデッサン狂ったヘタクソな絵がわんさと出て来るもんだから、話に入って行けない。荒木先生の絵が好きであればあるほど、これは苦痛ですわ。6部に限らず、今までもこういうのはあったけど、ホントにゲンナリするな~。
絵的な話で言えば、アナスイが逃げ込んだパトカーの警官達もヤバい。さっきアナスイに職務質問してきた警官達らしいのですが、似ても似つかないまったくの別人状態(笑)。彼らも「分離」してキャラクター化しちゃったというアニオリ展開です。1人はフェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」のような姿、もう1人はミュージカル版「ライオンキング」みたいな姿。……それはいいけど、せめて元の警官達と少しは似せて描いてくれよ。もうワケ分からん。
ただ……、「ゴッホの自画像」の質感がちゃんとそれっぽくなってたのは良かったですね!

予想に反し、バッグス・バニーの登場は無し。バットマンもトゥウィーティーも名前だけ。ピーターパンとティンカーベルもNGで、アラジンとランプの魔人が代役を務めてくれました。せっかくの『ボヘミアン・ラプソディー』映像化の割には、ちょっと寂しい感じでしたね。ワーナーと集英社の権力をフルに使って、二度と実現し得ないカオスの極みな「お祭り回」にしてほしかったんですが。でも、ケンシロウのニュースを読み上げる人が千葉繁さんだったのは笑いました。
そして、ウンガロ戦から間髪入れずにロメオとの再会。原作では、ウンガロ戦と時間が前後している事が記されていますが、アニメじゃそれが謎のままですね。まぁ、それはいいとして……、個人的には、舌からシールを剥がす時の雰囲気をもうちょいおどけた雰囲気にしてほしいところでした。「行くわよ!!」の徐倫の絵も、原作の通りわずかに口角が上がってる感じに描いてほしかったです。前から思ってたけど、どうも徐倫の気合いがガッチガチに入りすぎてて、原作でふと見せる彼女の柔らかな空気が感じられないのが残念。

(2022年12月2日)






Episode25  自由人の狂想曲(ボヘミアン・ラプソディー) その①



さあ、とうとう最終シーズンの開幕です!シーズン2が9月で、このシーズン3は12月の配信。期待通りというか、本音を言えばあまり期待してなかったにも関わらず、スピーディーな配信が実現されました。
この12月は、荒木作品絡みの予定が目白押しです。「ジョジョマガジン」第2号発売、スピンオフ「クレイジー・Dの悪霊的失恋」2巻発売、「ジョジョの奇妙な問題集」発売、小説「岸辺露伴は倒れない」発売、露伴が表紙の「このミステリーがすごい!」発売、年末ドラマ「岸辺露伴は動かない」第3弾放送……と、枚挙に暇がありません。ひょっとしたら、「ジョジョ」第9部のアナウンスもついに流れちゃうかもしれません。そんな黄金なる12月の切り込み隊長が、この6部アニメの最終シーズン配信なワケですよ!否が応にも盛り上がるってもんです!
イッキ見しちゃってはもったいないので、またまた1日1話(休日は2話)のペースでじっくり堪能しようと思ってます。……では、さっそく感想に行ってみましょう!


今回は「DIOの息子達」の登場から、『ボヘミアン・ラプソディー』による混乱の序章。オオカミと化したじいさんをアナスイがブッ殺すところまででした。正直、作画は相変わらず怪しいところもあったものの、トータル的には完成度が高く、非常に楽しめましたね。
まず、最初に語るべきはOPでしょうか。変わりましたねぇ。バンド「sajou no hana」のsanaさんが歌う「Heaven's falling down」!これまでの「STONE OCEAN」と比較すると、元気さ・軽妙さ・ポップさは消え失せ、スローテンポでドラマティックで重厚感たっぷりな楽曲です。『メイド・イン・ヘブン』が発動して特殊OPになった時、テンポアップしてまったく違う印象になったりするのかな?
脱獄直後の徐倫達が描かれるアニオリも見逃せない。これって、ねぇ……。最終回の布石をここでも打ってきたか~。こういうのはシンプルに嬉しいね!

今回はとにかく細やかな修正や調整があちこちにあって、ニヤリとさせられました。
例えば、プッチのもとに硬貨と指輪と弾丸が転がってくるシーンでは、指輪を落としたのがリキエルだと明確に描かれています。これは私と解釈が一致してて良かった。また、ウェザー達が立ち去ったトイレのマークが消えているカットを挿入する事で、敵の脅威が静かに迫って来ているというサスペンスを自然に上乗せさせていました。
ピノキオを殺すシーンでは「こんなのストーリー通りじゃない」というセリフが、オオカミと化したじいさんを殺すシーンでは「ストーリー通りだ」というセリフが、それぞれ追加。『ボヘミアン・ラプソディー』のさらなる恐怖をほのめかし、予感させます。この辺、原作をだいぶ改変してまして……、精神と肉体がいったん1つに戻る展開も無くなり、オオカミに襲われたのも肉体の方じゃなく精神の方になっちゃってます。不満が無いワケではないけれど、まぁ、パッと見の分かりやすさを取ったんでしょうな。

『ボヘミアン・ラプソディー』のカオスっぷりもちゃんと表現できてて安心しました。さすがにミッキーは無理でしたが、ピノキオもこびと達も、そしてアトム鉄人マジンガーもキッチリ登場ッ!EDにも、「協力」として会社名のテロップがありましたよ。素晴らしいッ!
「実在」化したキャラ達の輪郭線がちょっとボヤけてるのも、現実と空想の間って雰囲気が出てます。ピノキオがあんまり口を動かさずに喋ってるのは、そういう演出なのか、作画の手抜き的なアレなのか分かりませんが……。キャラ達の動きや効果音なんかもコミカルなので、いかにも「キャラクター」っぽい。


EDの方は、曲自体は変わりませんけども、映像に変化がありましたね。が飛び、イルカが海を泳ぐ。まさに6部を象徴するような……。なんかグッと来ました。

(2022年12月1日)







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