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ジョジョの奇妙な冒険
ストーンオーシャン (TVアニメ)






Episode36  メイド・イン・ヘブン その①



今回はまさしくこのサブタイ通り。『メイド・イン・ヘブン』発動から、『メイド・イン・ヘブン』の名乗り口上まで。ここまで来たかと感慨深い。
原作に忠実で、作画の方もクオリティが上がり、クライマックスに相応しい面白さ!時の加速を映像で見ると、美しいけど恐ろしい、この世の終わり感がスゴイですね。人の理を超えた「神」なる存在を信じてしまいそう。
しかしながら、今回のメインはそんな想像を絶する超常現象ではなく、徐倫を巡る承太郎とアナスイの些細な諍いだったりします。やはり人の心を描いてこその「人間讃歌」。今にして思えば、ウェザーとアナスイは、ここから続く「SBR」や「ジョジョリオン」のテーマの先駆けともなっていたワケです。「呪い」からの解放を願い、「救い」「再生」を求めるその姿。「ブッ飛んだヤツだ」と笑えていたはずのアナスイも、その心の底の切実な想いを聞いてしまうと、一転して「哀しい男」に見えてくる。無論、父親の立場からしたら、とてもじゃないけど結婚なんて許可できんだろうけどね(笑)。
ただ、バトルを通じて、承太郎が少しずつアナスイを見直していくのも巧い構成ですよね。『メイド・イン・ヘブン』が相手じゃなければ、承太郎もここまで追い詰められないし、あんなに必死で泥臭い姿も見られないでしょうから……、まさに「今」「この状況」だからこその展開!設定とキャラクターとバトルがしっかり噛み合って回転している。

不満と言えるほどの不満もない出来でしたが、気になった点をいくつか(笑)。
スゲーどうでもいい話ではあるんだけど、ロッキーの名前がバニー(?)に変わったのは何故?どんな理由や意味があるの?
時の加速中に降ったにわか雨、なかなかの勢いで降ってましたね。もっとパラパラっと降る程度にしといた方が、「えっ、なんでこんなにズブ濡れに!?」って驚きが生まれると思います。
最後に徐倫達に向かって語るプッチの表情、さすがに原作があまりに良すぎた。怒っているようでもあり、憐れんでいるようでもあり、微笑んでいるようでもある、あの絶妙すぎる表情がとにかく好きなんですよ。感情が読み切れない、底知れない顔してる。その再現は叶わず、残念でした。


さあさあ……、次回はついにアレですよね?パーティー全滅(エンポリオ以外)、ですよね?徐倫達の最期の勇姿、心して観届けなくてはッ!!

(2022年12月10日)






Episode35  C-MOON その②



今回はプッチと徐倫の一騎打ち。承太郎とエルメェスの到着。そして、とうとう訪れる『天国』の時ッ!
素晴らしかったです……。正直、これまでの35話中でベスト回でした!毎度の如く、シーンによって作画レベルの差があり過ぎなのは気になりますが、それを補って余りあるパワーが溢れていました。

まず、アナスイが『C-MOON』に攻撃される直前、徐倫の手がプッチの顔に触れるシーン。この瞬間、完全に無音なんですよ。呆気に取られたプッチの、理解が追い付くまでの時間もゆっくりと経過。ホラー的な演出がバシッとハマッてました。ホントに嬉しくなったもんね。こういうのが見たかったのよ。ここで完璧にスイッチが入り、ドンドン盛り上がっていきます。ジワジワとプッチを追い込んでいく徐倫、BGMにはなんと3部の曲ッ!「メビウスの輪」を作り出すシーンは、輪が回転して流れ、まるで宇宙のような神秘的な美しさッ!徐倫だからこそ可能な『C-MOON』攻略、なんか勇気が湧いてテンションが昂ぶってしまうほどの感動がありました。カッコ良すぎるぞ!
満を持しての承太郎登場で、いよいよ長きに渡る「因縁」がこの地に集束してきます。承太郎の父親らしい仕草と言葉、徐倫の心も報われた事でしょう。なんなら、もっと優しげに語り掛けてくれても良かったくらいだけど。
そして、「突っ込まれて正解!!」からのプッチのターン!スペースシャトルに乗り込み、浮き上がり、神聖さすら纏う超絶怒涛の神展開です。讃美歌っつーか、「エヴァ」を彷彿とさせるBGMが、これまた最高にマッチしてました!1人だけ別の世界にイッちゃってるプッチに、ただただ圧倒されるのみ。


残る3話でクライマックスの『メイド・イン・ヘブン』戦が描かれるワケですが、『C-MOON』でこれなら、期待しちゃっていいよね?スッゲぇワクワクしてきたぞ!

(2022年12月9日)






Episode34  C-MOON その①



今回は『C-MOON』との接近戦。徐倫の心臓が裏返り、瀕死に陥ります。
『C-MOON』戦は大スケールで恐ろしい能力のくせに、やってる事はチマチマした小細工なのが面白い。タイル飛ばしたりとか、足が抜けないとか、アナスイを重りにして首絞めとか、「糸」を掴まれるかどうかとかね。作画が際どい部分もありつつ、止め絵も使いながら、「格闘」「肉弾戦」を華麗に魅せてくれました。徐倫の肝っ玉ガールっぷりが超カッコイイ!たびたび心震わせてくれた処刑用BGMも、たぶんこれが聞き納めかなぁ?
徐倫の心臓が裏返って落下していくシーンは、非常にショッキングだった!全部分かってるにも関わらず、「あっ、これヤバい」って思ってしまうほどのインパクト。死んで当然のダメージというのが、画面から伝わってきましたよ。そんな絶望感の中だからこそ、承太郎の復活がとてつもなく頼もしいです。
あと、細かい点ではありますが、墜落したヘリが水平方向にズリ落ちていくという原作に無い描写がなんか良かった。異常重力下でのリアリティがあったね。

しかし、決して良い点ばかりってワケでもなく、ツッコミ入れたい箇所もありました。ゴメンね、イジワルで言ってるんじゃないのよ(笑)。
アナスイが『ダイバー・ダウン』で「裏返り」を引き受けたシーンですが、「糸」を引っ張って『C-MOON』を押さえ付けるという肝心なところが抜けちゃってます。なのにアナスイは、「オレがそいつの体を起き上がらせたりはしないッ!!」などと見当違いの勇ましいセリフを吐いてる始末。いやいや、『C-MOON』普通に起き上がってるってば(汗)。
『C-MOON』とプッチの頭部周囲に謎バリアーが張られてるのも意味不明です。なんかメチャ強烈な斥力でも発生してるのか?単に、プッチから見た頭上方向に「重力」が働いているってだけなのに。

(2022年12月8日)






Episode33  新月の重力



今回はケープ・カナベラルにて、『C-MOON』との邂逅まで。いよいよここまで来ましたね!
6部の脱獄後は、ファンタジー・ヒーローが溢れる世界、地下を飛ぶ飛行機と戦闘機、カタツムリだらけの地獄絵図、重力逆転の世界、加速する時間……といった具合に、ぜひとも映像で見てみたかったシチュエーションが目白押し。全ての物が水平に落下していく様が、臨場感たっぷりにド迫力で描かれ、かなり満足度の高い回となりました。なんか分かんねーけど、とにかくなんかヤバい!そんな大スケールの大ピンチが味わえるのが、6部の面白さの1つだと思いますよ。

徐倫と再会したアナスイはすっかりギャグ担当になっちゃいました。本人は至って真剣なんだけど、壮絶な空回りっぷりが笑える。車の運転をするエンポリオには、木の板とロープでペダルと足を固定するという繊細な心配り。しかも、シートベルトがちぎれて落下したエンポリオをエルメェスが助け、徐倫に放るという流れになり、エルメェスの落下&戦線離脱も説得力が増しました。また、スパイダーマンのように「糸」で滑空する徐倫の姿も見られ、爽快で気持ち良かったです。『C-MOON』の禍々しさもたまらんね!声色や喋り方が『ホワイトスネイク』とは違っているのも芸が細かい。
現在時刻と「新月」までの残り時間の具体的表記、こりゃあ親切。これが明確に示されていると、初見の方達もまさかのタイミングでの『メイド・イン・ヘブン』発動にビビるでしょうし。発動してからも、まさにこの時間の進みが重要になってきますしね。

贅沢を言っちゃえばキリがありませんが、概ね満足のいく内容だったので、あんまりツッコミどころやネチネチと語るようなところが無いなぁ(笑)。うん、面白かったですッ!

(2022年12月7日)






Episode32  ヘビー・ウェザー その③



今回で『ヘビー・ウェザー』編完結です。という事は……、そう、ウェザーが天に召されてしまいました。
記憶を取り戻したウェザーは、とにかく眼光が鋭くてカッコイイんですよ。プッチに対する、世の中に対する、自分自身に対する「呪い」「殺意」に満ちてる感じ。その眼が、アニメでもしっかり描かれていたのが嬉しかった。生き残ろうとすら考えていないから、傷付く事も厭わないし、憎きプッチを自らの手で始末する事しか見えていない。その姿がなんとも哀しい。でも、彼は最期の最期に、『ウェザー・リポート』の「DISC」を徐倫に託していけました。全てを呪っていたのに、死の間際に自分以外の誰かを想っていたのです。やっぱり彼の心の底には、優しいウェザーがいたんですよね。
結末が結末なだけに、6部は特にバッド・エンドと評される事も多いワケなんですが……、そうじゃないんですよ。たとえ目的を果たせなくとも、志半ばにして息絶えようとも、「望み」に向かって生きた事それ自体が「幸福」なのです。そして、自分が生きた証を遺せたのなら、誰かに願いを託せたのなら、それはもう超絶ハッピー・エンドなのです。個人の生き死には大した問題じゃない荒木哲学に触れると、生きる事がちょっと楽になります。良い「結果」が残せたらそりゃあベストでしょうが、「結果」はどうあれ、正しい「過程」を歩もうという意志そのものに意味があるって事ですからね。だから、プッチへの復讐こそ果たせなかったけれども、ウェザーは確かに「幸福」だった。


壮絶なる兄弟バトルは見応えたっぷりで、大いに盛り上がりました。で、特筆すべき変更点は次の通り。
『ヘビー・ウェザー』の能力自体が微妙に違っているっぽいのが気になりました。「オゾン層」の屈折率を変化させて、地上に降り注ぐ日光の中にサブリミナル映像を混じり込ませるというのが、原作での説明。ところが、今回のプッチの説明には「屈折率」というワードも出て来ず、「虹」を見た者がカタツムリになると思い込むらしい。つまり、「虹」の中にサブリミナル映像が存在しているって事か。まぁ、思い返してみるに、原作ではプッチ戦あたりに来ると、「虹」がもうまったく描かれなくなってましたもんね(笑)。「悪魔の虹」の異名に相応しい改変、と言えるのかもしれません。
マイマイカブリは空を飛ばない事に修正された模様。リアルに考えればそうなんですが、それを言ったらマイマイカブリは日本固有種なんだし、ケレン味優先でも良かったんじゃ?その分、アニメでは数で勝負といったところでしょうか。
血槍の作成方法もちょっぴり変更。単なる乾燥ではなくて、冷気によって固められている設定になりました。うん、カサブタより氷の方が固そうだしね。
原作ではずっと気絶しっぱなしだったエンポリオも、普通に起きて行動してます。ウェザーの死をちゃんと目の当たりにし、悼む。エンポリオのストーリー上の役割的にも、その方がより良いという判断だったのでしょうか。事実、アニメでは『ウェザー・リポート』のあのポーズまで出て来ましたからねぇ。

あと、不満って程ではないんですが……、ウェザーの死について語るアナスイの声、やけに感情的でしたね。個人的には、もっと淡々と喋ってほしかったかな。仲良しでもなければ仲間でもないし、別に死んだって悲しくもない。けれど、どこかで通じていた。ウェザーとアナスイの2人はそんなんで十分です。他人事のようにそっけなく、でも自分事のように当たり前に確信を持って、その事実を徐倫に伝えてくれるだけで良かった。
徐倫の涙もそうですし、6部に限らず3部や5部なんかでも顕著でしたが、アニメ版は「死」の演出がウェットでクドい部分があるんですよ。もうちっとドライでもいいと思う。とは言え、見れば普通に感動しちゃうんですけど(笑)。

(2022年12月6日)






Episode31  ヘビー・ウェザー その②



今回はプッチとウェザーの過去編。シリーズ屈指の超ヘビーなエピソードです。心して観させていただきました。
やっぱ胸が痛くなるなぁ……。産まれたばかりで死んでしまった赤ちゃんもその子を失った母親も気の毒だし、赤ちゃんをすり替えられた事を知らずに過ごしてきたプッチ家もかわいそうだし、兄妹とは知らずに出逢って恋をしたウェザーとペルラも切ないし、よりにもよって最悪な結末を迎えてしまった彼らの運命があまりにも辛い。「誰が悪いのか?」と訊かれたら……、赤ちゃんを交換した母親と、後ろ暗い手段でペルラ達を別れさせようとしたプッチ、そして黒人差別してる連中でしょ。でも、どこかで何かがほんの少しズレていたなら、最悪の事態には至らなかったはず。そう考えれば考えるほど、「引力」というものの大きさが分かる。
アニメ化に当たり、過去編を時系列に沿って描いていたため、原作よりも流れが理解しやすくなっていました。プッチ少年の純朴さとDIOの妖艶さの対比がエロティック。寝てたDIOの足が「ドシュンッ!」と勢い良く引っ込むところも笑いました。清らかな恋心を告白するペルラと、それを祝福してあげるプッチも、なんか穏やかで温かい空気が流れてたよね。そして……、かなりセンシティブで際どい問題であるにも関わらず、黒人差別を逃げずに描いてくれた点も高く評価したいです。さすがに頭巾をかぶせたりとかはNGだったようですが、それでも話の趣旨は変わりませんからね。
プッチとウェザーの鬼気迫る叫び声や表情も、2012年にまで続く「呪い」の強さと「業」の深さを感じさせました。痛ましいまでに重厚な人間ドラマもまた6部の魅力。

ただ、ペルラの友人2人のセリフがゴチャゴチャになってて、どっちがウェザーに気があるんだかサッパリ分からなくなってるのはダメですね。「え?こいつら何しゃべってんの?」って混乱しちゃったよ。これ、スタッフさんや声優さんの誰も疑問に思わなかったのかな?


ちなみに……、何故か昔から勘違いしてる人が多いんですが、プッチもウェザーも黒人の血は入ってないよ。プッチは単なる地黒の白人だよ。 黒人の血が入っていたであろう子は、ウェザーと交換された、産まれてすぐに死んでしまった赤ちゃんだよ。誤解なきよう!

(2022年12月5日)







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