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なるほど…………
別荘にひとりで籠もってるワケだ

あいつ 漫画家だ


#002 ハワイ島にいる日本人





●今回のトビラ絵は、ポーズを決めてこちらにビシッと指差ししてるイケイケのジョディオ。背景には、南国っぽい植物の葉っぱがいっぱいです。
さすがのカッコ良さだなぁ。明確な目標・野心があるだけに眼差しが強い上、ルックスは歴代ジョジョの中でもトップクラスと評判ですからね。こうなると、歴代ジョジョ9人勢揃いの絵も早く見たいものです。


●ある晴れた日、オアフ島はサウスキングストリートにて。自転車で軽快に走るお姉さん。長い髪をなびかせる彼女は、水着姿でめっちゃ爆乳ッ!しかも、あからさまに美人さんッ!いかにも人の視線と心を集めそうなこのスーパーセクシーガールがやって来たのは、我らが主人公:ジョディオくんの元でした。ジョディオは樹に寄り掛かって座りながら、なんかゲームやってます。
この場所、カメハメハ大王像や後にチラッと描かれるコロネーション・パビリオンという建物との位置関係を考えると、恐らくイオラニ宮殿の敷地内と思われます。そんな由緒正しき場所で何やってるのかというと……、やっぱしヤベぇ「取り引き」でした(笑)。いつもは学校の校庭だけで売っているし、それが一番安全・安心なんだけど、メリル・メイが「たまには大学生とかにも手を広げろ」と言ってくるらしい。閉じられた場所での経済は停滞する。新鮮な風も必要。まぁ、商売をする者の心構えとしては当然なんですが、売ってるモノがモノですからね~。ジョルノやブチャラティにとっては、もうパーフェクトに粛清対象ですよ。
そんなジョディオ、前回のパイセンの時と同じような流れで麻薬をお姉さんに売っていきます。一度は取り付く島もない冷たい態度を取って情熱チェックしてみるものの、結局は親切に説明して売ってあげるんだな。……ところが、カネを出すでもなく質問ばかりしてくる彼女に、ジョディオの警戒アラームが鳴り出した!この女、警察じゃね?


●半ば被害妄想(パラノイア)気味に疑われまくったお姉さんは、もう買う気も失せてしまったようで「もういいわ!帰るわ!」ってなっちゃった(笑)。しかし去り際、ジョディオに真剣な面持ちで話し掛ける。警察は正義の人だから、捜査中もウソはつかない。撮影や録音のデータの中でもしウソをついていたら、それは法廷で証拠として使えない。つまり、「警察官ですか?」と質問をすれば、警察官は「はい、そうです」と答えなければいけない。それが法と正義
彼女の言葉がそれなりに響いたのか、ジョディオは促されるまま、彼女に試しに「お姉さんは警察官ですか?」と直球で質問。彼女の答えは……、「いいえッ!」「警察官ではありませェェ~~~ん」!ただの大学生だと主張し、ノリノリでカネを出しました。可愛いなオイ。彼女の情熱を認めたジョディオ、疑うのはやめた模様。パコを通じてヤクの場所を教え、無事に取り引き終了!
ところがどっこい!ヤクをゲットしたお姉さんは、なんと急に態度を一変!ヘルメットに隠してた拳銃と警察章を取り出し、銃口をジョディオに向ける!彼女はアメリカ麻薬取締局(DEA)の人間だったのです!パコもまた、潜んでいた警官に取り押さえられる。これにはあっけに取られてしまったジョディオ、あえなく御用となりました。ジョディオがさっきパラノイア気味に疑ってた通り、そのものズバリ、自転車にはカメラとマイクが仕込まれ、近くのアイスクリーム屋のキッチンカーからはゾロゾロと警官達が現れた!余計な指紋が付着しないよう、手袋を着けてからヤクを持ち上げるお姉さん。ジョディオは苦々しい表情を浮かべ、「ウソつきだ」と彼女を責める。法と正義をあれだけ演説しといて全てウソだったとは、彼女もやり手だな~。しかし、ヤクという「物証」は何にも勝る。もはやジョディオ達に言い逃れは不可能です。前回の終わり方からのまさかの展開、思わず笑っちゃったよ。


●しかも、ジョディオを押さえ付けていた警官は、なんとヒゲ&グラサンだった!半殺しにボコされたくせにもう回復してるようで、あれ以来、ジョディオを捜し続けていたみたい。とは言えヒゲ氏、ジョディオへの恨み以上にドラゴナへの執着の方がもっと強く、毎夜 夢に見ているらしい。吸い付くようなケツの皮膚の感触が忘れられないんだと。その上、「股間もスリスリしたい」などと語っており、相変わらず欲望フルスロットルです。ただ、「特におまえの兄貴にな」と言ってますから、ジョディオでも基本OKっぽいな。このヒゲ、相当の熟練者だな。ある意味、誰よりもキャラ立ちしてんじゃねーか!
絶体絶命のジョディオ……と思いきや、ここから逆襲開始です。周囲にポツポツと「雨」が降り始め……、お姉さんが手にしたヤク入り袋に雨粒が伝うと、突然、袋は破れて地面に落ちる!雨水によって、証拠のヤクはどんどん流されていく!愕然とするお姉さん。警官達には誰にも見えていないし、何を言ってみたところで「いつまでも見ない」けれど、そこには彼らを見下ろすように『ノーベンバー・レイン』が立っていたのです。雨粒で靴がヘコむのを見て、ヒゲ&グラサンもトラウマが蘇り、恐怖の悲鳴をあげて逃げ出しました。窮地を救ってくれたジョディオの働きに、パコは御満悦。ジョディオの事が好きになってきたらしい(笑)。
今回の描写を見る限り、『ノーベンバー・レイン』の「雨」の効果は対象を選択可能のようですね。無差別に何でも押し潰すワケではなさそう。生物にも無生物にも能力を使える事も確定。まだまだ詳細は不明ですが、そこまで使いにくい能力じゃないかも。でも、こうやってあっさり警官に取り押さえられてしまうのだから、ジョディオ達のスタンドそれ自体は物理的パワーがほとんど無いんですね。例えば『スタープラチナ』や『クレイジー・D』だったら、能力なんて使うまでもなく、スタンドの手でヤクを奪い返して終わりですし。そもそもスタンドで殴っとけば捕まりもしませんから。『THE ハッスル』の筋肉も、盗んだ小物を挟み込む程度の力しか無いって事なのでしょうか?そう考えると『ノーベンバー・レイン』の「雨」って、チームでも貴重な攻撃手段ですね。まぁ、そういう、言ってしまえば「弱い」スタンドしか持たない彼らが創意工夫で危機を乗り超えていくのも燃えますよ!


●唐突にジョディオのモノローグ。彼は学校の心理カウンセリングで有料の心理テストを受けたところ、「反社会性パーソナリティー障害」の可能性ありとの結果だったようです。要するに「サイコパス」って事。う~ん、身も蓋もない……。これにはジョディオもけっこうショック受けてる模様。何せ、20個のチェックリスト中18個も当てはまっちゃったみたいなので、けっこうドップリじゃないスか。母:バーバラさんはテスト結果を信じず、怒って返金を求めてますけどね。
サイコパスとは、その名の通り反社会的な性質が強く……、良心・罪悪感が欠如し、不安や恐怖を感じず、無責任かつ自己中心的で、他者への共感が無く、違法行為や危険行為を平然と行い、衝動的な行動が見られ、自信に溢れ、人を支配しようとする……といった特徴があるらしい。うん……、確かにジョディオっぽいわな(笑)。ちょっと調べてみたら、サイコパシー・チェックリスト改訂版なるものがあって、次の20項目で判断するようですよ。

  1. 口達者/表面的な魅力
  2. 誇大的な自己価値観
  3. 刺激を求める/退屈しやすい
  4. 病的な虚言
  5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る)
  6. 良心の呵責・罪悪感の欠如
  7. 浅薄な感情
  8. 冷淡で共感性の欠如
  9. 寄生的生活様式
  10. 行動のコントロールができない
  11. 放逸な性行動
  12. 幼少期の問題行動
  13. 現実的・長期的な目標の欠如
  14. 衝動的
  15. 無責任
  16. 自分の行動に対して責任が取れない
  17. 数多くの婚姻関係
  18. 少年非行
  19. 仮釈放の取消
  20. 多種多様な犯罪歴

ジョディオが受けたテストがこれとまったく同じかどうかは分からんけど、もしこれに18項目も該当してるとなると、正直かなりヤベーな(汗)。キャラとしてはめっちゃ魅力的ですが、やっぱ現実に関わり合いたくはないタイプです。
しかし、ジョディオは本当にそこまでサイコパスなんだろうか?彼はむしろ、社会という「メカニズム」の一員であろうとしていると感じますし、だからこそ「反社会」って言葉に傷付いてるワケでね。彼は自分の置かれた環境の中で、自分なりに大切なものを守ろうと考え、幸せになろうと願い、それを行動に移してるだけなのに。無論、麻薬を売りさばくなんて行為は正当化できませんし、「反社会」と言われるのも当然ではあるんですけど……、じゃあ「社会」側が本当に正義なのかと言ったらそうでもない。事実、法と正義を守る立場であるはずの警察が、ウソをつき、騙し、理不尽に不公正に虐げて来るんですから。ジョディオはきっと、そこに納得できない強い怒りを覚えているんでしょう。オレを「悪」だ「反社会」だと言うのなら、せめてそっちは常に「正義」であってくれよ、と。正々堂々と悪をやっつけてくれよ、と。そんな、どこか自虐的な悲しみさえも感じます。果たして彼は、今のままで「幸せ」になれるのか?彼の「幸せ」とは何なのか?


●ここで「The JOJOLands」のタイトル・イン。どうやらここまでが物語のプロローグだったみたいです!即ち、ここからがいよいよ本番ッ!情熱が熱くなって来たねッ!
とんだハプニングはありましたが、ようやっとミッション開始です。場所はハワイ島のコナ空港。時刻は13時5分、真っ昼間。すでにジョディオ・ドラゴナ・パコの3人は揃っているのに、パイセンだけが遅れて登場です(笑)。整備の点検とかで飛行機が1本遅れちゃったと言い訳してますが、本人は至って脳天気。帽子を被り、メールを打ったり、買って来たドリンクを飲んだり、どこまでも観光気分のマイペース野郎。3人は無言で冷たくノー・リアクションですよ。
作戦だと、ダイヤモンドを昼のうちに盗んで、夕方の最終便でオアフ島に戻る予定らしい。いくら面積が広いと言っても、ハワイ島は島。盗品を抱えて、盗んだのと同じ島で夜を明かすのは危険度MAXですからね。時間は限られているワケです。しっかり者のドラゴナがパイセンを叱りますけど、当人は「まぁまぁまぁ」と楽観的。そしてパイセン、レンタカー屋へ車を手配しに行きます。割り勘って事で、1人30ドル。
なお、パコの質問のおかげでパイセンの名前と年齢が発覚!名前はなんと、ウサギ・アロハオエ。ウサギぃぃぃ!?アロハオエぇぇぇ!?マジでぇぇぇ!?どーゆーネーミングなの?アロハオエはハワイだからまだ分かるとして……、いや分からん!ウサギって、今年2023年が卯(うさぎ)年だからですか?作中の年代も2023年という事を暗示してるんですか?さすがにブッたまげたな。じゃあ、まぁ、ウサギ先輩(パイセン)とでも呼ぶ事にしようか。年齢は17歳なので、ジョディオにとってだけ先輩だけど。
借りてきたオープンカーに4人で乗り込み、いざ出発!店員さんの呼び込みを聞く限り、レンタル料は1日90ドルみたい。ん?1人30ドルだから……。ウサギ先輩だけ払ってねーじゃねーかッ!(笑)


●パコの運転で車はひた走る。なんか、この辺の描写がイイんですよねぇ。チーム感・パーティー感があって、南国の熱気と風の涼しさが感じられて。これから犯罪しに行くっつーのに、見てて楽しそう。こういう空気、意外と今までの「ジョジョ」には無かったかもしれません。ただ、この岩場の景色、ちょっと「悪魔の手のひら」や「壁の目」に似てる気もします。
目的の別荘地に到着すると、車を日陰に停める。ジョディオは見張り、他3人は一時休憩です。パコは後部座席で仮眠。ウサギ先輩は地べたに腰掛けてゲーム。ドラゴナはボンネットに寝転んで読書してたけど寝オチしちゃったみたいな。体勢もまたキュート。こういうのも、いかにも旅行っぽくて好きだなぁ。
そこにジョディオが戻って来て、状況報告。ダイヤを所有しているという日本人は、1人きりでずっと別荘に籠もっている様子。ただし、プールサイドのテーブルに飲み物が並んだところから、これから泳ぎに出て来るはず。しばらくはプールでくつろぐはず。盗みの時間はその時!滞在は15分以内とし、でかい主寝室狙いで、金庫があれば開ける!最年長のパコが色々と取り仕切っていきます。アホそうに見えても、それなりに頼もしい男じゃないですか。
イヤホンと覆面(マスク)をつけるよう、ドラゴナからみんなへの指示。そして、絶対に名前を呼ばないように釘を刺します。ウサギ先輩はスパイごっこでもやってる気分なのか、ドラゴナを「ピンクちゃん」、自分を「ブルー」と呼称し始める。すかさずパコから「てめーはしゃべるな」とツッコミ入れられてるのがウケる。やっぱウサギ先輩、好きなキャラだわ。


●別荘の入口には監視カメラが設置されていました。すると、ウサギ先輩がドラゴナに、「『カメラが欲しい』って言ってよ」と要求。「ハァ?いきなり何言ってんだコイツ」って感じのムッとした表情を浮かべるドラゴナですが、ウサギ先輩は妙にマジなトーン。何かしら察して、要求通り「カメラが欲しい」と言ってあげるのでした。やっぱ気が利くし、優しいよね。
ウサギ先輩の手のひらから、小型のスタンドが出現ッ!小鳥か何かの小動物を思わせるフォルム。前回とは逆さまになったアイコンもボディに描かれ、両翼を上げた姿にシルエットがちょっと重なる気もする。「ニュゥゥゥン」と鳴きながらピョンピョン跳ねてますよ。監視カメラに触れると、その姿が同じカメラに変身!スタンド名は『THE MATTEKUDASAI (ザ・マッテクダサイ)』!本体に続いて、スタンドもとんでもねえネーミングだな!元ネタは「キング・クリムゾン」の曲「Matte Kudasai (待ってください)」でしょうね。あと、「ゴールデン・ハーフ」という70年代の日本アイドルグループの「チョット マッテ クダサイ」という曲のジャケ写は、思いっ切りハワイでアロハな感じなので、ひょっとしたらそれも掛かってるのかもしれません。
その『THE MATTEKUDASAI』の能力とは、ウサギ先輩が言うには「在るモノで誰かが欲しいと思うモノ」に変身する能力だそう。より厳密に言えば……、「この世に実在するモノ」あるいは「射程内に存在するモノ」で、「誰かが『欲しい』と要求したモノ」に変身って事かな?ウサギ先輩自身の願いは聞いてくれないみたい(笑)。つまり、この能力を使う際、ウサギ先輩は必ず誰かと行動を共にしていないといけないって事になります。本体とスタンドの名前からしても、根っこは寂しがり屋で、誰かと一緒にいたいと願い、誰かのためになろうと頑張ってる人なのかもね。もし1人で戦う状況になっちゃったら、いかにしてその敵に「○○が欲しい」と言わせるかっていう駆け引きも生まれそう。
面白い能力だとは思うんですが……、ぶっちゃけ今回の使い方ってどうよ?監視カメラが2台になって、撮れてる映像も「本物 (リアル)」と「偽物 (フェイク)」の2つになり、どっちが本物か分からなくなったぜ!という理屈。確かに、変身した「フェイク」の映像は、ジョディオ達の顔やファッションが微妙に違ってますよね。でもさぁ、正直、違いがあまりに微妙すぎよ?それでOKってんなら、そもそも覆面(マスク)をつけて顔を隠しときゃいいじゃん?本物の映像も残っちゃってる時点で、けっこうヤバくね?


●そんな私の疑問も残されたまま、場面はプールで泳ぐ日本人の姿に。その顔をコッソリ双眼鏡で確認したジョディオは、自分が知っている人物であると気付きました。彼の交友関係が広いとかってんじゃなく、その日本人は有名人だったのです。原作本もうちにあるし、ネットのアニメもいつも見てる。そう言います。…………ん?……って事は?
そう、その日本人は漫画家なのです。それなら別荘に籠もってても納得だね的な見解を示すジョディオ。しかし、そこに現れし顔は……、なんと岸辺露伴ッ!!何イイィィィイイ―――ッ!?いやいや、「岸辺露伴」と明言してるのはアオリ文だけで、作中で名乗ったワケじゃないけども!でも、あのギザギザヘアバンドとペン先ピアスは、紛れもなき岸辺露伴ですよ!いくら5月には「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」劇場版が公開を控えてるからって、4月にはコミックスと電子版も発売するからって、さすがに衝撃展開すぎる。「えええっ、ここで!?」みたいな。「ジョジョリオン」に出なかったのなら、もう本編登場はないだろうと思ってたら、まさかの「ジョジョランズ」出演かい!じゃあ、前回冒頭のスタンド解説の「どこかの漫画家」ってのも、実は露伴だったりすんの?
まぁ、当然、彼は「新世界」の岸辺露伴(に当たる存在)であって、「旧世界」の岸辺露伴本人ではありません。恐らく、「岸辺露伴は動かない」の露伴とも厳密には別人でしょう。それでも、この超絶インパクトよ。存在自体がもうズルいよね(笑)。世界が変わっても、こんなに変わらないヤツなんて露伴ぐらいのもんだろうな。ただ、そう考えると、かなり前提がズレてきちゃいますね。相手はその辺にいる普通の富豪じゃなくて、漫画家:岸辺露伴なんだもの。ダイヤを手に入れた理由もハワイに来た理由も全部、「漫画のネタになるから」という好奇心以外にあり得なくなりましたよ。大方、南国が舞台のバトル漫画を描くにあたり、現地のマジモンの犯罪組織を取材したいとかそんなんよ。世界中がビックラこくようなダイヤを買って持って行けば、取材対象が向こうから勝手に近付いて来てくれる……とかさ。
そういう人間はジョディオにとって、理解の外の異次元の存在でしょうね。カネなんて、ネタを手に入れるための一手段に過ぎないワケですから。しかし、そんなヤツがダイヤや別荘を買えるほどの莫大なカネを得ている。即ち、露伴は「メカニズム」の頂点に位置する存在でもあるのでしょう。異次元でもあり、同時に大目標でもある。警察に顔バレして完全にマークされちゃったであろう今、より重要な何かを学べる絶好の相手なのです。この出逢いがジョディオの一生を決定付けるものになってくれるなら、ここでの露伴の登場にも大いに意味があったって事になりますよ。


★今月は51ページ!ラストの露伴に全部持ってかれちゃった感はありますが、それを度外視しても面白かったです。やっぱりですね、とにかくキャラクターが良い!ジョディオのモノローグだけでも楽しいのに、チームの会話シーンにもなったら最高の楽しさです。とりわけウサギ先輩が強烈ッ!愛嬌たっぷりの純真なアホなので、常秀と近いようで随分違いますね。それでいて実力はまだ隠してる風でもありますから、今後の活躍に期待です。
作者コメントは「無縁だったけれど今年花粉デビューしたみたい。これ辛いね。」との事。なんたる事……ッ!先生、どうかお大事に。しかし、その花粉症の辛ささえも漫画のネタにしてくれるかもしれませんね。地味に恐ろしい攻撃になりそうだし。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 4月号(2023年)
69ページ


今月は、キレそうにはなってるジョディオのコマ。このコマは、半分は雨が降り、もう半分は降っていない。さらに、ジョディオの半分が影となり、もう半分が光に照らされている。白と黒。そういう2つの相反するものが、そしてそれらの境界が描かれたコマと言っても良いでしょう。
もっと踏み込むと、それがそのままジョディオというキャラクター自体をも表現しているワケですよ。「ジョジョ」と「ディオ」という2つの相反する名前を冠する者。劣悪な環境で逞しく生き抜く強さと、自分の心や社会が抱えた闇&病みに儚く翻弄される弱さ。大人っぽさと幼さ。ジョディオのモノローグを読んだ後だと、『ノーベンバー・レイン』の「雨」が、行き場のない怒りと悲しみの涙にも見えてきます。「キレそうにはなるぜ」っていうモノローグと、ジョディオの切なげな表情とのギャップも要注目です。現代的で複雑なキャラ造形が象徴されたかの如き1コマとなっていますね。




(追記)
●よっしゃー!また妄想全開で次回の展開を予想していきましょうかッ!



別荘に侵入し、ダイヤの在り処を探すパコ・ドラゴナ・ウサギ先輩の3人。案の定、主寝室に金庫を発見。パコが手際良く開錠し、あっさりダイヤをGET!ところが、金庫に入っていたのは、それだけではなかった。……ジョディオは依然、ターゲット:岸辺露伴の動向を見張り続ける。露伴は現在、プールサイドでチェアに寝そべり、音楽を聞きながら読書に耽っている。イヤホンからダイヤGETの報告が届き、「楽勝だったな」などと思っていると、さらにパコの声。「……ん?何だこりゃ?……マンガの原こ」。声が途切れる。パラパラッと、何かがめくれる音がする。呼び掛けても返答はない。
すると突然、プールサイドにパコ達3人が姿を現した。混乱するジョディオ。その手にはダイヤを持ち、顔は漫画本のようになってページがめくれている。全員、意識は虚ろだ。3人に気付いた露伴は「おっ、ようやく来てくれたか。思ってたより若いんだな。ようこそ我が別荘へ。」と、嬉しそうに彼らを迎え入れ、パコの手からダイヤを受け取る。岸辺露伴もスタンド使いだったのだ!露伴のスタンドは、少年のヴィジョンを持つ『ヘブンズ・ドアー』。あらゆるものを「本」にして、情報を読んだり、命令を書き込んだりする事が出来る。その能力をあらかじめ漫画の原稿に込めて、ダイヤと一緒に金庫に入れておいたのだ。ダイヤを盗みに来た者を自動的に「本」にする罠。そしてその時、「ダイヤを露伴に返す」「露伴を攻撃できない」という命令も同時に書き込んだというワケだ。


3人をわざわざ貴賓室に招いて、丁寧にもてなす露伴。彼の目的は漫画のネタ集め。漫画の舞台となるハワイへと取材に訪れ、リアリティある悪人を描くため、ダイヤを餌にして現地のリアル悪党を待ち構えていたのである。パコ達はまんまとそれに嵌った!絶好の取材相手の登場で、もう用済みとなったダイヤはポイ捨て。露伴は狂喜の表情を浮かべ、3人の「本」を読み進めていく。そこに、「『ピンクダークの少年』……、大好きなんだけどな……。こんなヤツが作者だなんてショックだぜ。」と、ジョディオの声。「やあ、待っていたよ。君が残りの1人、ジョディオ・ジョースターくんか……。ハワイにもぼくの漫画のファンがいてくれるとは光栄だな。君の記憶もぜひ読ませてほしい。」と露伴。
ジョディオは問答無用で、『ノーベンバー・レイン』の「雨」で攻撃を仕掛ける。露伴を「雨」で押し潰し、3人の顔のページに書き込まれた露伴からの命令も「雨」で洗い流していく。正気に戻った3人!ダイヤに手を伸ばす!……が、そこに露伴が平然と立ち塞がった。唖然とするジョディオ。「この雨ェェ……、執筆に疲れた体に最高のマッサージじゃあないかァ~。」と、露伴はうっとり顔。ジョディオの体にも、いつの間にか「露伴を攻撃できない」と命令が書き込まれていたのだ。露伴の能力は、あまりにも素早く正確だ。
しかしジョディオは、露伴と真正面に向き合う。「あんたに隠し事は出来ないらしいね……。そう、オレの名はジョディオ・ジョースター。あんたが持ってるダイヤが欲しくてここに来た。オレ達がマンガのネタになるってんなら、代わりにそのダイヤはオレ達に譲ってくれないか?もう必要ないんだろ?」と、堂々と交渉を始める。だが露伴は、ダイヤを拾いながら「おいおい、ぼくはこれでも健全な少年少女読者のために漫画を描いてるんだぜ?彼らがなけなしの小遣いでぼくのコミックスを買ってくれるから、ぼくはお金をもらって生活できるんだ。そのお金で買ったダイヤを不健全な連中にみすみす渡すのはシャクだし、何より彼らへの裏切りってもんだ。だから断る。」と一蹴。
すると、ジョディオは「行けッ!」と叫ぶ。即座にパコ達3人が走り出す。『スムース・オペレイターズ』がダイヤを床ごと引っ張って飛ばし、パコの筋肉がキャッチ!露伴が拾い上げたダイヤは、『THE MATTEKUDASAI』が変身した「偽物 (フェイク)」のダイヤだったのだ。さっきジョディオが口にした「ダイヤが欲しくて」という言葉で変身していたのだ。


よし、あとは逃げるだけ!勝利を確信するも、露伴は余裕の表情。それもそのはず。3人の「本」を読んでいる際、顔以外のページに「別荘から外に出られない」とすでに書き込んでいたのである。「さて、次の命令で王手だな。書き込む内容は、『警察に自首する』……だ!」。露伴の冷たい宣告。3人だろうが4人だろうが、まるで歯が立たない。この男、無敵すぎる。住む世界こそ違えど、彼は間違いなく頂点の1人なのだ。
ジョディオは観念し、露伴に頼み込む。「ダイヤは返す!オレに何をしてもいい!だから、3人は見逃してやってくれ……。」と。その意外な言葉に、露伴も少なからず興味を引かれた。『ヘブンズ・ドアー』で「本」にし、その言葉が確かに嘘偽りない本気である事を確認。そして、ジョディオの過去と現在、秘めた野心を知る。ちょっぴりグッと来た露伴、3人への能力を解除。その上、ジョディオが自分のファンだったからと、特別サービスで「仕組み (メカニズム)」の頂点へのヒントを与えるのだった。―― どんな分野だろーと、頂点を目指すなら道は同じ。「審美眼」を磨け。いろんなものを見聞きし、学び、「美しさ」を知れ。自分の心が「美しい」と感じる方に向かえ。 ―― と。今のジョディオには、言ってる事の全ては理解できないが、それでも心に迫る真実味を確かに感じた。
ただし、引き換えとして、露伴はジョディオに「犯罪行為はもうしない」と書き込むのだった。「汚い手でのし上がった無法者がぼくの作品のファンだなんて知れたら、純真な読者に対して失礼だろ?もっと真っ当な手段で上り詰めてみなよ。このぼくが、読者達に、君を誇れるくらいにね。」と、激励する。「まぁ、せいぜい頑張るんだな。ぼくはもう数日もしたら日本へ帰るが……、気が向いたら、君がどうなったかまた取材に来てやるよ。」と言う露伴に、「……そんな必要はないね。あんたが会いに来るより先に、オレの名前は世界中に知れ渡るからな!」とジョディオは減らず口を叩く。それを見て、露伴はニヤリと笑った。「フッ!そうかい。楽しみにしてるよ『大富豪』!」
露伴は4人を見送り、自分のサイン色紙をプレゼント。「ダイヤはやれないが、取材のお礼だ。……おっと、転売はするなよな。」 イラッとするパコ。気落ちしまくるドラゴナ。大喜びのウサギ先輩。ジョディオは無表情&無言だが、内心「……ちょっと嬉しい」と思っていた。



―― という感じの内容。正直なところ、個人的にまだ露伴に対しての違和感異物感が強いので、いっそ露伴にしか出来ないドえらい事をやってもらいたいな、と。
犯罪行為の上に初めて成り立っているジョディオの平穏な生活。それを封じられてしまった時、ジョディオはどう生きていくのか?転落してしまった彼が、どうやって幸せになるのか?そのまま道半ばで潰れてしまうのか、合法的な正義の道を行くのか、はたまたグレーな際どい道を探すのか?悪の道しか知らないジョディオにとっては、何よりも厳しい旅になるはず。チームの仲間やメリル・メイもどう反応するかですしね。これほどのエグい転機なら、前回『これが始まり』とか言っていたのも納得でしょ!




(もうちょい追記)
●追記に書いたような具合で、露伴からダイヤを盗むミッションは失敗に終わると見ています。しかし!第1話ラストを読めば分かる通り、メリル・メイはある事を予測していたらしい。思うに、露伴が恐るべきスタンド使いで、ジョディオ達チームであっても失敗する可能性がかなり高いという事を予測していたんじゃないでしょうかね。だからこそ、新たなメンバーを1人加える事までした。
でも、メリル・メイほどの大物が、それしか対策を打っていないとは思えません。実は、ジョディオ達さえも囮(おとり)に過ぎず、彼らのドタバタのどさくさでダイヤを盗み出す本命が他にいるのです。その役目が、あの麻薬取締局のお姉さんだったりしたら面白くないっスか?彼女はメリル・メイの息が掛かったスパイで、警察内部の情報をメリル・メイに流してくれているのです。今回、ジョディオ達を捕まえようとしてたのも、未熟な彼らを試し、鍛えたいというメリル・メイからの指令。たぶん彼女もスタンド使い。……そんなワケで、ジョディオ達と露伴の戦いをこっそり覗き見して、ダイヤの在り処や罠の存在、露伴の能力などをキッチリ把握した上で、気付かれぬうちにダイヤをまんまと盗み出してしまうのでした。
ダイヤは見事、メリル・メイがGET!そういう意味で、メリル・メイは露伴よりも1枚上手(うわて)なのです。そして、お姉さんが5人目のチームメンバーになっちゃうのです。まぁ、立場が立場だけに、常にみんなと同行は出来ないでしょうが、たまに現れる心強い味方……的な。

そんな予想はどうでしょう?「ビーティー」の恐竜化石泥棒事件の時の、ビーティーのおばあちゃんと謎の美人女性みたいなイメージで考えてみました。メリル・メイの底知れなさが伝わるし、あのお姉さんも好きなキャラなので、けっこうイイんじゃないかなと。




(2023年3月17日)
(2023年3月19日:追記)
(2023年3月21日:もうちょい追記)




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