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『これは亜熱帯の島々でひとりの少年が大富豪になっていく物語』
まだ謙虚さが足りないだろうか…?
…いや……

オレが必ず手にするね


#001 仕組み (メカニズム)





●いよいよ今月より待望の「ジョジョの奇妙な冒険」第9部、その名も「The JOJOLands (ザ・ジョジョランズ)」がスタートです!ホントに待ったぜ~。リークを警戒して一週間前からネットは極力避けてきましたし、発売&配信日を迎える数時間は年越し前よりドキドキソワソワでしたよ。
当サイトとしましては、もちろん一切変わらず、いつも通り感想を書き続けていきます。ただ……、今年の2月10日でサイト開設から19年が経ち、ついに20年目に突入。だからってワケでもないんですが、ちょっと考えている事も別にありますんで、もし実現できそうなら改めてお知らせしたいと思います。無論、荒木先生や「ジョジョ」の名前で稼ごうなんて気はさらさら無いので、商売絡みではありませんよ。……ともあれ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
連載開始という事で、ウルジャン表紙はやっぱしカラーで飾ってくれました。小細工無用、堂々たる主人公のバストアップ!第7部「SBR」コミックス1巻のジャイロのように、無表情でまっすぐこちらを見つめてきます。う~ん、カッコイイわぁ。いわゆるメカクレ系の珍しいキャラデザですが、髪の奥から覗く両目の眼差しが強い!……ってか、最近の荒木先生の絵は、目がパッチリしてるのが可愛いな。そして、星型の髪留めに、「JO」の形(数字の「9」にも見える)のイヤリング。露骨にジョースターを主張しております(笑)。胸元に描かれた、翼の生えたハートマークも印象的だし、どこかジョルノを彷彿とさせますね。カラフルなファッションなのも意外性ありました。第9部でもカラーイラストがいっぱい観たいので、お願いしますね集英社さん!


●では、本編。記念すべき最初のページは、なんと「どこかの漫画家」(たぶんH・A氏)によるスタンド能力の説明
姿・形はあるが、目には見えない力。いつでも、どこの場所にも存在しているが、見ようとしない人が見ないだけ……とあります。ほうほう、これはいきなり新解釈だな。逆に言えば……、存在を知り、信じて、自ら見ようとさえすれば誰にでも見えるって事?でも、スタンド使いにならない限り、そんな事は極めて難しいですよね。あるいは、主人公によって後に語られる「仕組み (メカニズム)」の事を「スタンド」と重ねて言い換えているんでしょうか?もはや「スタンド」という存在は、この世界のルールやメカニズムの一環として組み込まれているのでしょうか?いや、逆か?むしろ荒木先生は、この世界のルールやメカニズムをも「スタンド」として表現しようとしてるっていう事なのかもしれません。
その真意はひとまず置いといて、名だたるスタンド達が大集合。『スタープラチナ』、『ザ・ワールド』、『キラークイーン』、『ゴールド・エクスペリエンス』、『ストーン・フリー』、『ホワイトスネイク』、『ボール・ブレイカー』、『タスク ACT4』、『D4C』、『ソフト&ウェット』といった主人公&ラスボスのスタンド勢を中心に、『エボニー・デビル』、『エコーズ ACT2』、『セックス・ピストルズ』、『ブラック・サバス』というサブキャラのスタンドも描かれています。まさに「ジョジョ」!って感じの画ヅラですな。
ちなみに、タイトルロゴはシンプルながらも上向きの矢印がデザインされていて、アゲアゲのストーリーってのが込められています。デザイン性が弱かった第8部「ジョジョリオン」のロゴより好き。


●ページをめくると、そこには先月号の予告カットで使用された絵。あ、コレ、本編の一部だったんだ。でも、カラーで見ると、また趣きが違うね。
「ひとりの少年が亜熱帯の島々で大富豪になっていく物語」である事が、本編でもさっそく明確に語られます。まぁ、それはいいんですが……、ここで主人公の名前が判明!その名は「ジョディオ・ジョースター」!!なぬッ!?これにはビビりましたわ。スゲー名前だな。「ジョジョ」「ディオ」で、しかも「ジョースター」ですよ?「ジョジョ」という物語の集大成とも言えるネーミングじゃん!9部で「ジョジョ」が完結するなんて、荒木先生が明言した事は一度もありませんけど、もし最後を飾るとなってもまったく遜色ない名である事は事実。
さらに、アオリによって舞台も明らかに!なんと、ハワイでした!鳩ねーちゃんのやらかしで東方家が行けなかったハワイですよ!もしかしたら夜露のチンコが流れ着いてるかもしれないハワイですよ!まさかこんな巧妙な伏線が、「ジョジョリオン」の頃から敷かれていたとはッ!(違う) まぁ、ハワイは亜熱帯というより、モロに熱帯な気もしますが……、ストーリーが進行したら亜熱帯の地域に移動するかもしれませんからねえ。第1話の時点でツッコむのも早計でしょうかね。


●ヤシの木が立ち並び、ヨットやサーファーが集う美しき海を擁する島。鳩ねーちゃんがハワイを日本だと勘違いする原因ともなった真珠湾もあります。ここはオアフ島
ホノルル警察のポリスメン2人が、路上に停まった1台の車に近付いて行きます。サーフボードを積み、音楽をズンズン垂れ流してる、ガラ悪そーな雰囲気を漂わせる車。ポリスメンが車をノックすると、乗っていたのは2人の人物。1人は、褐色の肌と黒い髪の可愛い女の子。花冠を付け、体のあちこちにはドラゴンをデザインしたタトゥーが入った、ビキニ姿の女の子です。車を運転していたのは彼女。そして、助手席に座ってのんきにロコモコを食ってるのは、我らが主人公:ジョディオ
ヒゲのポリスいわく、フラついて走ってたから職務質問しに来たらしい。素直に免許証を提出する女の子。フラついてたのは「デュア・リパ ノリノリで聴いてたからだ」と茶化し、「ケッケッケッ」と楽しげに笑うジョディオ。へー、ジョディオってこういうヤツなのね。面白い性格してそう。ヒゲの質問に答える形で、ジョディオと女の子の関係も明らかに。ジョディオはなんと彼女ので、年齢は15歳との事。ちなみに、彼女は18歳。パッと見、あんまり似てるように思わないけど姉弟だったんか。じゃあ、彼女もジョースター!?シートベルトでさりげなく「星のアザ」が隠されてるのが巧いよなぁ。
なお、彼女がコロナを心配している描写からするに、「ジョジョランズ」の時代はまさに思いっ切り現代ですね。2022年か2023年かな?


●ヒゲはなんかいちいち難癖つけてきて、彼女を身体検査し始めます。完璧にターゲットにされとる!だんだん怪しい空気になってきて、ヒゲは彼女の体を触ってハアハア言い出した。パンツの中に指入れとる!ヤバイ! 相棒のグラサンのポリスももちろんグルで、周囲を見張ってるっぽい。クズな警官に絡まれるって展開、2部の冒頭を思い出しますね。
「取り調べ」は続き、とうとう卑劣なヒゲの手は彼女のアソコに。なんたる事……!ところが、ヒゲの反応はちょいと予想外。何らかのモノに驚き、さらに興奮を増しております。……ん?これってもしや?
すると、彼女のピンチにキレちゃったジョディオが、ゆっくりと近付いて行く。「兄さんの身体からその手を…… どけろォ…」兄さん!!やっぱり彼女は彼だったのです!(何) 「お前…」「殺すからな」と凄むジョディオに、ポリスメンは銃口を向ける。そしてグラサンは、ジョディオの胸倉を掴む。その時、奇妙な事が起こりました。何かの水滴がグラサンに掛かったと思ったら、彼は突然、道路に倒れ込んじゃったのです。よく見ると、その体は無数の水滴に押し潰されているではありませんかッ!
ジョディオの背後にはスタンドの像(ヴィジョン)がッ!いや……、背後というよりも頭上?『ファン・ファン・ファン』に似た体型のデッカいスタンドで、下半身は無く、4本の長~い脚(腕?)で立っています。顔は『D4C』の素体にも近いイメージで、かなりイカしてますよ。上半身は葉のような物が伸びてて、シルエットはヤシの木っぽくも見えますね。あるいは、マグマ噴き出す火山か。このスタンドが「水滴」を降らしているみたい。押し潰されるって事は、「水滴」自体が重いって事?デザインも能力も主人公らしからぬ感じがして、それがむしろ面白い。


●相棒に起こった謎現象に焦り、ジョディオに気を取られるヒゲ。その隙に、ジョディオの「兄さん」は、ヒゲの顔に触れました。すると、ヒゲの両目の位置だけが大きくズレちゃった!両目は右耳の近くにまでズラされ、そんな状態で発砲したところで命中するはずも無し。これが「兄さん」の能力か。
そして、ヒゲも「水滴」で押し潰し、ジョディオは血気盛んに叫んでポリスメンをガンガン踏みまくる!「兄さん」が必死になだめた結果、ポリスメンは無事半殺し!クールな外見の割に、頭に血がのぼっちゃうと手が付けられないヤツなのね。その上、証拠隠滅でカメラやパソコンをパトカーごと焼き払うという、とんでもなく大胆な行動と性格。おお、イイねぇ~~。ジョセフやジョルノに通じる、スカッとするキャラになってくれそうで期待大です。躊躇が無いヤツって、それだけで魅力的だもんね。
ジョディオをなだめていた「兄さん」も「兄さん」で、もうポリスメンの事など気にも留めてない。それどころか、防犯カメラ対策として車のナンバーを変えてしまいます。現れたのは、4匹の小さなスタンド達!下半身は戦車のキャタピラーみたいになってて、面長の顔が犬か馬っぽくて愛嬌あります。こいつらの手が掴んだ物は、元の位置から離れ、別の位置にズラして固定する事が出来るようです。この能力によって、免許証も偽造していたのでした。これまた面白いスタンドだなぁ。


●自分を助けてくれたジョディオを抱き締め、お礼を言うと、「兄さん」は再び弟を乗せて出発。その後ろでパトカーは爆発。気絶したポリスメンだけが残されたのでした。不敵に微笑む「兄さん」と、無表情のジョディオ。一癖も二癖もある兄弟ですが、見てる分には楽しいコンビ!
2人が乗った車が着いたのは、自動車のスクラップ工場のような場所。銃を持ったコワモテの連中が集まる、いかにも治安悪そうな所です。2人が運んできたサーフボードをカパッと分解すると、その中からは大量の麻薬!札束を受け取る「兄さん」。つまり、2人は危険な「運び屋」をやってるってワケです。事の善悪は問うまでもありませんが、その土地にはその土地のルールや常識ってもんがあって、そこに暮らす者はそのルールや常識に従わなきゃ生きていけないんでしょうからね。
パトカー炎上の噂を聞いたコワモテが、何か知ってるかと2人に訊ねるも……、2人は顔を見合わせて「さあ」「知らな~い」とばかりに肩をすくめる。いい性格してるよ、コイツら(笑)。
―― と、ここまでが冒頭パート。ここからはついに、ジョディオ達の驚きの素性が明かされていきます。


●2人の母親の名はバーバラ・アン。空港免税店で働いており、息子達の事もしっかり愛しているようです。彼女が家を出ると、近所の少年が荷物を持ちにやって来る。雨の日には別の誰かが来て、バス停まで世間話をしながら、傘をさして送ってくれる。これは、近所の人達がバーバラさんに「敬意」を持っているかららしい。みんな彼女の事が大好きで、だから毎朝安全に通勤できる。
しかしそれは、ジョディオ達兄弟が母親の社会的安全を陰で保障しているからこそなのだそう。簡単に言うと……、この地域一帯を支配する連中にカネをたんまり納めているからこそ、守ってもらえているって意味なんでしょうね。そのために「運び屋」をやって稼いでるんだな。バーバラさんは、そんな息子達の苦労を知っているのかいないのか。超有名観光リゾート地ハワイと言えど、現実は厳しいねぇ。光が強けりゃ影も濃くなるってこったね。
「兄さん」の名はドラゴナ・ジョースター。彼はいわゆる「性的少数者 (セクシュアル・マイノリティ)」「LGBTQ」に属する人間で、もっと言えば「トランスジェンダー」なんでしょうか。けど、ジェンダー問題をことさら声高に叫ぶでもなく、「女の子のようなファッションが大好き」という何気ない表現でさらっと済ませるスマートな荒木先生が好き。ヒゲみたいなゲス野郎もいるものの、周囲の人々は彼の個性として当たり前に受け入れてる感じですしね。まっ、「人間讃歌」を謳う「ジョジョ」の中じゃあ、誰もが「1人の人間」以外の何者でもないのです。わざわざ強引にカテゴライズする意味もないよね。ちなみに、おっぱいは美容注射で大きくしたみたい。
ドラゴナはカリヒのファッションブティック「アイコアイコ」で働いているとの事。このカリヒとは、ハワイの中でも治安が悪い地域で、ギャングやホームレスも多いらしい。なるほど、そういう場所で安全に生きようとするなら、どうしたって暗黒な事に関わっていかなきゃならんよね。


●さてさて、ここまで話を聞くと、1つの疑問が浮かんできます。ジョディオやドラゴナは、ジョースター家のどこに位置する存在なんだ?と。
その答えは、家系図をもって明確に示されました。なんと、ごく普通に文くん(ジョセフ)の孫だったのです!バーバラさんの本名はバーバラ・アン・ジョースター。恐らく、ホリーさんの妹。つまり、ジョディオとドラゴナは吉良吉影や虹村さんのいとこだったんですね!そうかそうか、これで納得…………できるかー!「ジョジョリオン」最終回で、ホリーさんのこと「ひとり娘」って言ってたじゃん!それじゃあ、いくら予想したって当たらんはずよね(汗)。
しかし、落ち着いてください。虹村さんだって、家系図からは存在が消されています。バーバラさんだって、何かの理由があってジョースター家から離れてしまったのかもしれません。例えば……、とんでもない悪党とハワイまで駆け落ちした挙句、勘当されたとか。その相手の男がディエゴ・ブランドーの血縁で、ジョディオ達の父親だったなら、ジョディオのキャラクター性も腑に落ちるというもの。「ジョジョ」と「ディオ」を合わせ持つ名前、「白」と「黒」を合わせ持つデザイン、「善」と「悪」を合わせ持つ性格……、2つの真逆の要素を合わせ持ったジョディオは2つの血を同時に色濃く受け継いでいるのかもしれません。
色々あってバーバラさん1人で息子達を育ててきたようなので、とっくに離婚してるんでしょうし、ジョディオ達が父親の事をどこまで知ってるのかも謎ですが……、ひょっとするとジョディオ・ブランドーという名だった頃もあったのかもね。その謎の父親、実は「ジョジョリオン」の「記憶の男」だったりしたらアツくない?


●15歳のジョディオは、毎日、バスで学校に通っていました。もっとも、勉強するためでもなければ、友達や仲良しカーストを作るためでもない。バスの中で、1人の先輩がジョディオに声を掛けてきます。ダイバーのような全身スーツっぽい服を着た男。カネをちらつかせ、「あれ」を持ってるかと訊ねてくる。ジョディオはいきなりブチギレて先輩に飛び掛かり、乱闘騒ぎに。
学校に到着し、バスを下りた時点で、ジョディオはさっきのパイセンを呼び止めます。ここで改めて商談。ヤバい物を扱う以上、ジョディオも「体裁」「形式」にこだわっているようで……、空気の読めないパイセンがバスの中でおおっぴらにカネを出して来たもんだから、ケンカって形にしてごまかしたワケですね。で、そのカネも「貸してたカネを返してもらった」という体(てい)で受け取り、ブツも直接渡さず、方向を指示するだけ。そこにキックボードに乗った男が通り掛かり、すれ違い様、ブツの在り処を教えてくれる。こうして、滞りなく取り引きは終了したのです。
ジョディオは校内で校長先生に挨拶すると……、パイセンから受け取ったカネを挟んだノートを、素早く校長に手渡す。という事は、この校長がヤクの売買にもガッツリ絡んでいるって事か!本当にヤバいヤツってのは、こうやって世の中に当たり前に溶け込んでるんだなぁ。


●ジョディオが学校に行く理由は、「仕組み (メカニズム)」のため。彼が11歳になった時、どこからともなく近所の誰かに誘われて「パシり」をやったら、褒められて小遣いがもらえた。モノを運んで、誰かに渡す。その単純な役目を淡々とこなし、余計な事を言わなければ、それだけで信用される存在として認められていった。
この「信用」の「メカニズム」には力があって、法律が守ってくれなくても、この街では「信用」が安全を保障してくれる。この「信用」が無ければ、いくら体格が立派で頭が良く小遣いもたくさんもらえるヤツであっても、バカにされてイジメられ、マトモに暮らしていく事は出来ない。恐らく、土地のルールや常識に逆らわずしっくり馴染みつつ、街を支配する連中の得になる事をして「使えるヤツ」と思われる事により、初めて守ってもらえるって事なんでしょうね。 「メカニズム」を滑らかに回す小さな「歯車」の1つとして、その役目を全うする事がまず重要……と、ジョディオは捉えているんだろうなと解釈しました。 (ちなみに、「メカニズム」の説明のコマにコンビニ「オーソン」がある!)
……ただ、それは結局、強者にいいように利用されている弱者に過ぎません。彼が目指す「大富豪」とは、単なる大金持ちという意味以上に、「メカニズム」の頂点という意味合いが強いようです。普遍的で、奪われたり崩れたりしないもの。富が流れ込んで来る、生態系にも似たこの世の「理」。1ページ目で解説されたスタンドと、ジョディオが語るこの「メカニズム」……、これらには共通点が多いんですよね。力がある点、目には見えない点、姿・形がある点。とすると……、いつでも、どこの場所でも存在しているが、見ようとしない人が見ないだけという点もまた、「メカニズム」に対して当てはまるはず。それは即ち、見ようとして見た者は「メカニズム」の姿・形に気付く事が出来る、という事になります。そこに気付ければ、「メカニズム」をうまく利用する事だって出来る。イジメられてた生徒とジョディオに違いがあるとするなら、その一点なんでしょう。
いまいちピンと来ない抽象的・精神的な話にも聞こえますが、非常に具体的・物質的な話を我々もかつて読んできましたよね。第7部「SBR」での、「聖なる遺体」ですよ!あれこそがまさしく、この世の「理」の最上級であり、姿・形のある「メカニズム」の究極!「遺体」を揃えた者は、あらゆる者に「尊敬」され、真の「力 (パワー)」と「永遠の王国」を手に入れられる。実際に「遺体」を揃えた大統領は、全ての「害悪」を退け、全ての「吉良」を集めていましたしね。したがって、ジョディオの「「メカニズム」が「姿・形」として現れて来る」「オレが必ず手にする」というセリフも、「遺体」そのものか、あるいはそれに準ずる何かを示していると推測されます。それを手に入れ、「メカニズム」の下層から頂点へと、替えの効く「歯車」から「メカニズム」の管理者・支配者へと、一気にのし上がれッ!


●さきほどキックボードに乗ってた男の紹介が、唐突に始まりました(笑)。彼の名はパコ・ラブランテス。2年ほど前までは太っていたけど、今はバッキバキに肉体を鍛え上げているようです。当然、ジョディオとは商売上の仲間ではあるものの、友達というワケでもなく、19歳の高校生である彼が1年間何をしていたのかはジョディオも知らないそう。
帽子やベルトには「PACO」と名前が刻まれ、上半身のファッションには溶けたアイスクリームが「PACO」の文字を象ったアイコンが描かれています。両目の下には、これまた溶けたようなデザインのペイントが。左耳は父親からのDVで噛み付かれて、一部欠損しています。う~む、こいつもこいつで大変な人生送ってるな。
パコにもスタンド能力があり、それは異常な筋肉。どうやら自分の筋肉を自在に操る的な能力っぽい。筋肉をドロドロに溶かして動かして、どんな形にもなり、その筋肉でモノを掴んだり出来る……といったところでしょうかねぇ?もっとストレートな肉体派マッチョイズム全開能力かもだけど。手の甲や肘や二の腕なんかでも掴めたりするため、その能力を使って盗みを働いているのです。「盗みが大好きな泥棒のゲス野郎」とのジョディオからの評価ですが、『クリーム・スターター』にも近い気がするので、うまく使えば回復役としても活躍できそう。筋肉を弾丸にして発射したりも出来るかな?
一見怖そうな風体ですが、ドラゴナとのやりとりを見ると、意外と普通の悪ガキっぽさがあって好感が持てますね。


●登場したのは、さっき学校ですれ違った校長先生。なかなかの巨体を誇るおばちゃんでございます。この場所は、ドラゴナも働くブティック「アイコアイコ」。放課後に集まるよう3人を呼び出したのが、他ならぬ校長先生でした。
彼女の名はメリル・メイ・チー。49歳。本業が校長先生で、副業がこのブティックの経営者。と同時に、ジョディオ達3人のボスでもあります。デザイナーとしての腕も確かなのに、黒い所得隠しのために店をやっているイカレたスーパーウーマンなのです。底知れんなぁ。どうやらジョディオ達はチームで、メリル・メイの指令を受けて動き、成功報酬を得る……という活動形態みたい。ポルポの命令に従うブチャラティチームに似てますよね。まぁ、あちらは遊びの無いガチのギャングで、こっちは悪ガキ共の秘密のアルバイトって感じ。でも、やっぱ「ジョジョランズ」は5部っぽい香りが漂っています。
メリル・メイは証拠を残さないらしく、指令を与える際もメモや画像などは一切記録させません。あくまで、見て聞いて記憶する。プロフェッショナルな姿勢。メリル・メイには空港の税関とのコネがあり、そこから得た情報からの指令です。1人の日本人がハワイ島にある別荘に休暇に来た。その日本人が600万ドル(今のレートなら8億円相当!)もの価値のある天然ダイヤモンドを持っていると言う。要は、それを盗んで来いという指令。報酬は3人で2%。たった2%であっても、1人頭4万ドル。日本円なら500万円ほどですよ。これだけの盗品を闇で捌くのはかなり難しいので、それをメリル・メイがやってくれて、その分の経費まで持ってくれるってんだから、十分すぎる金額と言えるでしょう。もっとも、彼女の取り分は18%みたいだけど。


●ダイヤの所持者である日本人とは、何者なんでしょうか?たぶん我々が知ってる人物なんじゃないかって気がしますよね?個人的に推したいのは、東方常秀その人ッ!あいつなら、なんだかんだ大成して富豪になっててもおかしくないし、調子こいてハワイに豪遊しに来ても自然です。何より、またあいつが見たい(笑)。橋渡し役としても、ちょうどいいんじゃないっスか?定助や康穂だと、なんか強すぎちゃうもの。もしそうだったら、第7部以降の「新世界」では初の橋渡し役にもなりますよ。常秀はかつて「飛行機には絶対乗らない」なんて言ってましたが、あいつなら主義主張を簡単にひっくり返しても許されるでしょ。
そして、さすがに考えすぎかもですが……、ダイヤモンドと言って思い出すのは「隣りの世界」です。「隣りの世界」の「SBR」レースで「聖なる遺体」の代わりに集められていた物が、ダイヤモンドでしたよね。大統領が次元を超える際、「隣りの世界」のダイヤモンドを「基本世界」に持ち込んでいたとしたら。そのダイヤモンドに、「遺体」ほどではないにせよ、奇妙なパワーが宿っているとしたら。さっき「メカニズム」の話題の中で「「遺体」そのものか、あるいはそれに準ずる何か」と書きましたが、それがダイヤモンドであっても不思議ではなくなるワケです。


●一応、この指令を受けるかどうかの選択はさせてもらえるようで。案外、良心的。ただ、年上のパコとドラゴナはすっかりやる気満々なので、ジョディオには選択の余地もありません(笑)。
行く事に決定した時点で、メリル・メイからさらなる命令が下されます。それは、4人チームで行けというもの。そこに満を持して登場したのは、なんと、バスでジョディオに絡んできたパイセン!ホットドッグ的な物をほおばりながら、「ちイィィィィ~~~す」と軽ゥ~いノリ!こいつ、絶対アホだな!なんとなく常秀と同じ臭いがする(笑)。ま、メリル・メイほどの人物が推すぐらいなので、いくら何でも常秀よりは使えそうだけど……ってか、使えなきゃ死ぬかもしれんからな!事実、ヤベー事になる予告もされてますもんね。
当然、パイセンもスタンド使い確定ですよね。ダイバーみたいなスーツ着てるから、パイセン自身がどこでも泳げる能力とか?まんま「ドンブラ粉」や「スイスイの実」になっちゃうか。「ストッキングとガーターベルトを履いた女性の下半身」らしきものをデザインしたアイコンがあるので、物質をストッキングのように薄く引き延ばしてスケスケにしちゃう能力なんかも予想できる。そもそも、こんなにスタンドの存在がメジャーって事は、ハワイにも「壁の目」のような土地があると考えて良いんでしょうか?荒木先生がどうしてハワイを舞台に選んだのか、理由を知りたいところですね。


●パイセンを除く3人のスタンド名も、最後に判明ッ!
ジョディオのスタンド名は『11月の雨 (ノーベンバー・レイン)』!元ネタは「ガンズ・アンド・ローゼズ」の曲名です。11月と言えば、ジョニィが死んだ11月11日を思い出しますが……、何か関係あるのでしょうか?悲しみの涙雨?能力の方は、現状よく分かりませんねぇ。見たまんま「重たい雨」を降らせて押し潰す、って事なのか。あるいは、「信用」の「メカニズム」からの予想として……、「生態系のピラミッド」ならぬ、ジョディオにとっての「信用のピラミッド」があると仮定し、その者の「ピラミッド」における位置に相当する物理的位置を強制するような能力とか。例えば、冒頭のポリスメンは「信用のピラミッド」では底辺も底辺なワケです。だから、物理的に「下げられて」しまった。だから、めっちゃ「信用」できる人に能力を使えば、逆に空中に浮き出す=物理的に「上げられる」という結果になるのです。『ノーベンバー・レイン』のデザインも、4つの脚から成る「ピラミッド」に見えなくもないですからね。
ドラゴナのスタンド名は『スムース・オペレイターズ』!元ネタは「シャーデー」の曲名っぽい。この4匹にもそれぞれの個性があれば可愛いだろうな。でも、スムースなオペレイターズだから、余計な事はせずに仕事だけをキッチリこなす主義だったり?
パコのスタンド名は『THE ハッスル』!元ネタはヴァン・マッコイの曲名。かつてないレベルで頭の悪そうなスタンド名なのがイイなぁ(笑)。これでパイセンのスタンド名がやたらカッコ良かったら笑いますね。


★今月は69ページ!表紙も含めりゃ、なんと70ページもの超大ボリューム!1話あたりのページ数で考えても、「ジョジョ」史上最長じゃないですか?読んでも読んでも全然終わんないんだもの。ありがてえありがてえ。拝んどこ。でも、おかげで感想もたぶん過去最長になっちゃったよ(汗)。いやぁ~、マジで疲れた。頭がクラクラする。
純粋な感想としては、「面白かった!」ですね。最高ッ!みんないいキャラしてる!不遇な環境の中でも逞しく生きていて、クヨクヨ悩まずに突っ走ってるのがスッキリサッパリしますね。すでに各キャラの目的や関係性が構築されているから、会話を見てるだけでも背景まで伝わってきて楽しい。この辺は「ジョジョリオン」よりもだいぶキャッチーです。前の部からガラッと変えてくる「ジョジョ」ならではの味わいでもあるよね。還暦過ぎの人が描いた漫画とは信じられないほど現代的で最先端ッ!
作者コメントは「JOJO第9部よろしくお願いいたします。自分的に描いてて特に好きなのは〔パコ〕です。」との事。荒木先生はパコがオキニの模様。スタンドもシンプルっぽいし、ポルナレフやミスタの枠かな?どんどん魅力的に育って、物語を引っ張ってくれそうですね。ちなみに、今のところ私が一番好きなのはジョディオです。ジョディオの印象を端的に言うなら、「パリピ」ですかね(笑)。思っていた以上にノリのいいヤツで、しかし自分を客観的に俯瞰できる冷静な視点とマグマの如き熱い野心も秘めていて、次はどんな言動を繰り出してくるのかワクワクします。ナレーションも読者に直に語り掛けてくるスタイルなので、親しみも湧きますよ。あとはパイセンがダークホースですね!愛すべきアホになりそうな予感!





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 3月号(2023年)
26・27ページ


ハイッ!このコーナーは、個人的に一番グッと来たコマ、ただただ「絵」として一番好きなコマを紹介・解説するコーナーです!
今月は、ジョディオの『ノーベンバー・レイン』発現シーン。やっぱこのインパクトはスゴイ。今までの主人公スタンドと比べ、明らかに異質。樹のような虫のような山のような神様のような、得体の知れない感じがイイのよ。どう考えてもラッシュは出来ない腕だから、バトルがどう展開していくのかも注目です。
そして、水滴がパラパラと降り注ぎ、ジョディオがまったくの無表情ってのもポイント高し!この圧倒的な「静」の表現力!ジョディオの「只者ではない感」を見事に演出してくれました。



またこうして荒木作品を、「ジョジョ」の新しい冒険を、毎月読める日々が訪れた事が本当に幸せです。荒木先生、ありがとうございますッ!!
果たして「ジョジョランズ」がどのくらい続く物語なのかは分かりませんが、最後の最後まで読み切れるよう、健康に平和に生きたいもんですね。もしも先生が「70歳になったら定期連載はやめよっかな~」みたいにお考えだったなら、7年くらいの連載になるのかも。「SBR」と同程度だから、あながちあり得なくもないかなぁ。……まぁ、そんな先の事はともかく、今は目の前の話に夢中になりましょう!




(追記)
ウルジャンも爆売れで重版決定という事で、非常に盛り上がってますね!そして、私の方も大盛り上がりでして、まだまだ語り足りねえッ!追記しまっせ!!


『エボニー・デビル』について。
1ページ目のスタンド集合絵に『エボニー・デビル』がいる事を、不思議に思っている人がやたら多いようですね。この絵はスタンド解説のための絵ですから、主人公&ラスボスのスタンド達をメインに据え、個々のシルエットや全体のバランスなども考慮した上で、いろんなタイプのスタンドを並べたってだけだと思いますよ。『エコーズ ACT2』は極めて珍しい成長・進化するスタンドとして、『ブラック・サバス』は自動操縦型スタンドの代表として、『セックス・ピストルズ』は群体型スタンドの代表として、配置されたのでしょう。
で、『エボニー・デビル』はと言うと、新書「荒木飛呂彦の漫画術」の中に記述があります。167ページの内容を要約すると、「第3部では、ただ強いだけじゃない、弱いからこそ狡猾で恐ろしい敵も出した。そういう敵は、破壊力やスピードは最低でも恨みの念で攻撃する『エボニー・デビル』あたりから登場してくる。」というものです。単純なパワーとパワーのぶつかり合いとはまったく違う戦い。スタンドならではの攻防。荒木先生にとって『エボニー・デビル』は、まさしくスタンドバトルの象徴的なスタンドなのでしょう。そのような前知識があったので、あの絵に『エボニー・デビル』が描かれている事に特別違和感はありませんでした。むしろ順当な人選だな、と。


舞台のハワイについて。
荒木先生はなぜ、ハワイを舞台に選んだんでしょうか?単に、旅行に行ったら気に入った、みたいな単純な理由なのかもしれません。でも、もうちょい突っ込んで考えてみたいと思います。
まず前提として重要なのは、6部で究極に達してしまった物語を、「SBR」で一旦リセットしたという事実です。文明社会から離れ、自然に還る。そこから生まれたのが、「SBR」という大陸横断による再生の物語であり、自然への敬意そのものと呼べる「黄金の回転」の技術。続く「ジョジョリオン」では、大震災という自然現象発生後の世界が描かれ、襲い来る敵は「生ける土地」とすら言える「岩人間」や「岩生物」達。そして最終的には、「厄災」という「自然の摂理」「この世の理」が、乗り超えるべきものとして立ちはだかりました。このように、第7部「SBR」以降の「新世界」において重要なのは、「自然」というワードだと思っています。
そう考えると、ハワイは、あらゆる生命の源である「大海」に囲まれた島々であり、地球最大のエネルギー「マグマ」を秘めた火山の島でもあるワケです。それに加えて、独特の文化と悲しい戦争の爪痕を今に遺す土地。多くの人々が世界中から集まる、超有名なリゾート地。自然のみならず、歴史と文明も同時に描ける場所。それがハワイ。舞台に選ばれるのも不思議じゃないですよね。ストーリーによってはハワイ以外の土地へ移動する可能性もありますが、ハワイ諸島のみが舞台であっても全然いいなぁ。


ジョディオの精神について。
盗みはするが、麻薬は許さないジョルノ。ジョディオはその真逆で、麻薬は平然と売りさばいてるくせに、盗みをするパコを内心罵ってます。普通の倫理観から言えば、ジョディオの方がより明確に悪党ですよね(笑)。
ただ、ジョジョが「正義」の魂を持っていたのは6部まで。「SBR」以降の「新世界」において、ジョジョは「正義」のためなんかじゃなく、あくまで「自分」のために動いています。自分が再び歩けるようになるため、一国の大統領と争ったジョニィ。自分が何者かを知るため、そして自分の「母」を救うため、多くの人々が求める公益と言える「ロカカカ」産業を破壊し尽くした定助。彼らは、社会的な基準では「悪」です。ジョディオの場合、その「悪」度が歴代ジョジョの誰よりも高い。半身不随のジョニィより、記憶喪失の定助より、マイナス値が大きい。
もっとも、社会や法律がジョディオ達を守ってはくれず、それどころか理不尽に牙を剥けてくる事は、冒頭のポリスメンによって象徴的に描かれています。真っ当でない環境の中では、真っ当に生きようがないワケです。その中で自分と家族の暮らしを守ろうとするなら、悪事に加担し、その悪のルールに守ってもらう以外にない。彼らを責めるのは簡単ですし、身近にいたら関わりたくもありませんが、「じゃあどうすりゃいいのよ?」って話になっちゃう。だから、ジョディオに期待したいのは、「法」を守る事より「正義」の道を歩む事より大切な何かを、バシッと示してほしいって事ですかね。カネとか「メカニズム」とかは、その何かを実現するための手段でしょうから。家族が大切だというのなら、その想いと動機をより具体的に描いて見せてほしいですね。きっとそこにこそ、「ジョジョ」や荒木作品において最も重要な「気高さ」「誇り高さ」が現れてくるはず!


ジョディオの肉体について。
当サイトの掲示板に書き込んでいただいた予想なんですが……、個人的にめっちゃ驚嘆したので、ここに書かせていただきます。
それはジョディオ女性説!兄:ドラゴナの体が男性であるように、ジョディオの体は女性という説です。ドラゴナがトランスジェンダーなのか女装家なのか何なのかは判断が難しいところですし、そんな枠組みにどれほどの意味があるのかも分かりませんけど、仮に「心は女性」としましょう。ドラゴナは体が男性、心は女性。一方、ジョディオは体が女性、心は男性。兄弟で正反対のジェンダーという事になります。なんか、マジであり得そうくない?
今のところ、ジョディオが男性である証拠は何もないんですよ。自分で「少年」と言ってるだけ、ドラゴナが「弟」と言ってるだけ。15歳という年齢も相まってか、中性的な顔立ちと体付きですしね。実際どうかは謎ですが、可能性の1つとしてとても面白いと思いました。


『ノーベンバー・レイン』の名前とビジュアルについて。
『スタープラチナ』、『クレイジー・ダイヤモンド』、『ゴールド・エクスペリエンス』、『ストーン・フリー』……、主人公の固く美しい意志を表した「鉱物」由来のネーミング。これが6部までの主人公スタンドの名付け方でした。しかし、「SBR」からは一変!『タスク (牙)』、『ソフト&ウェット (柔らかくてそして濡れている)』、『ノーベンバー・レイン (11月の雨)』……、より原始的というか回帰的というか、生命や自然の瑞々しさを感じさせるようなネーミングとなっていますね。
そして、『ノーベンバー・レイン』の奇っ怪なビジュアル。「雨」だけに「アメンボ」をモチーフにしてるという意見も目にし、スゲー納得したんですけど。いずれ成長して、『タスク』みたいに逞しい両腕が出来て、ラッシュをかましてくれるんじゃねーか?……といった予想をする人も多い。だとしたら、ジョディオのラッシュもたぶん「オラオラ」でしょうね。第1話だけでも「オラ」を2回も言ってますし。ブチギレてヒゲを蹴りまくってる時は「ウオオ オラァ」、スクールバスの中ではパイセンに飛び掛かって「オラアアッ」。ほぼ間違いないでしょう。
……とは言え、「SBR」以降はもはや、ラッシュの重要性・必要性がすっかり薄れちゃってます。事実、ジョニィにしても定助にしても、オラオララッシュで敵にとどめを刺した事は一度たりとありません。オラオララッシュは少年漫画的カタルシスのためのものであって、青年誌に移籍した「SBR」からはそこから脱却しようという先生の明確な意志を感じます。なので、『ノーベンバー・レイン』に至っては、そもそもラッシュ自体しないんじゃないかな、と。それに何より、せっかくの面白いデザインなんだから、最後まで変えずにこのままでいてほしいって気持ちが正直強いですね。


『ノーベンバー・レイン』の能力について。さらに考えてみました。
「メカニズム」という概念にこだわるジョディオですから、そのスタンド能力もまた「メカニズム」を持ったものなのだと思います。例えば……、逆円錐状の胴体部の先っちょから物質を吸い込み、内部でそれを熱して溶かし、スタンド上部に移動させつつ冷やして、葉っぱか羽根みたいな部位から放出し、それが「雨」となって周囲に降る。これら一連の流れをあっと言う間にやってのける。そういう「水の循環」「雨の降る仕組み」に似たメカニズムのスタンドなのかも。
つまり、作中でジョディオは、大気中の水分を吸い込み、それを「雨」にして降らせていたって事ですね。石を吸い込めば、石つぶてや冷え切らなかったマグマが「雨」のように降り注ぐ。誰かの体から毒素を吸い込んで治療しつつ、毒の「雨」を降らせる。そんな使い方も出来るかもしれません。
ポリスメンの体を「雨」が押し潰していたのは……、『ノーベンバー・レイン』の4本の脚が届く範囲が1つの「小さな世界」になっているからです。「メカニズム」とは、それ自体が1つの体系・枠組みであり、独自の世界といっても過言ではありません。通常の世界ではごく普通の雨でも、この「小さな世界」においては、相対的に凄い量・勢い・重さの雨になるワケです。ポリスメンはこの「小さな世界」の内部に入ってしまったため、「雨粒」に押し潰されちゃったんですね。逆に言えば、『ノーベンバー・レイン』は敵の超至近距離にまで近付かないと真価を発揮できないという、なかなか使いどころが難しい能力とも言えそう。
ちなみに、この「小さな世界」という「メカニズム」の管理者であるジョディオ自身は、能力の影響を受けないものと思われます。ある意味、『ノーベンバー・レイン』の「小さな世界」もまた、「JOJO」「Land」(=ジョジョの領域、JODIOの世界)と言えるでしょう。


チームメンバーについて。
ドラゴナのスタンド『スムース・オペレイターズ』。傷口をズラして別の物質に移動させ、治療に使う……という予想を見て、「なるほど、ありそう!」と思いました。他には、目鼻口の位置をズラして変装にも応用できますよね。ただ、ドラゴナ自身のおっぱいやチンコに能力を使っていないところからすると、能力を解除するとすぐ元に戻っちゃうか、あるいは『クレイジー・D』のように本体には使えないといった制限があるのかもしれません。
パコのスタンド『THE ハッスル』。イメージ的には、全身が「手」みたいなもの?弾丸をブチ込まれても、筋肉でうまいことキャッチできそうです。または、ハシゴなんかも背中の筋肉だけで上れて、両手足がフリーのままだと便利ですよね。成長すれば、「柱の男」レベルに無茶な動作も可能になるかも。
メリル・メイはスタンド使いである可能性が高そうではありますが、スタンドを持たないスーパーウーマンだったとしてもカッコイイなぁ。その頭脳と手腕のみでスタンド使い達を従える……。う~ん、只者じゃないな。ひょっとしたら、スタンドは使えないけれど、スタンドを見る事は出来るとか。1ページ目のスタンド解説で言うところの、「見ようとする人」だったり。


ダイヤモンドと日本人について。
ダイヤモンドが「隣りの世界」の物っていう考えに絡んで、実は今いるこの世界が「隣りの世界」と受け取る事も出来そうです。ホリーさんがひとり娘ではなく、バーバラさんの存在がいるのも、パラレル・ワールドだったからとすれば納得です。それとはまったく別の予想としましては……、あのダイヤモンドは擬態した「岩昆虫」というオチもあるかもしれません。ジョディオもこの任務を振り返り、『これが始まり』と語っているくらいですから、その後の運命を決定付けるほどのよっぽど衝撃的な出来事であったはず。存在すら知らなかった別ルートの生物に出逢い、今後も関わっていく事になったとなれば、それはさぞかしショックな事でしょう。
そして、そのダイヤの持ち主である日本人。一応、私は常秀説を推してますけど……、「憲助」の名を継いで新当主となり、ちょっと貫禄が増していたら、個人的には嬉しいっスね!もしダイヤが「岩昆虫」で杜王町に現れ、その出自を康穂が調べてハワイにあると突き止め、常秀が1人で調査にやって来たのだとすると、常秀の自信のほども窺えるというもの。性格の悪さとねじ曲がり具合なら、悪ガキ共とは年季が違うってもんですよ(笑)。


「メカニズム」について。
「メカニズム」「システム」の違いって、何なんでしょうかね?個人的な勝手な解釈だと、「メカニズム」は人の意思が無くても自然に働くルール、「システム」は人の意思があって初めて正常に働くルール……みたいな。何かしらの「メカニズム」を人のために利用したものが「システム」……みたいな。そんなイメージ。まぁ、そうは言っても「生態系」は英語で「Ecosystem (エコシステム)」らしいので(笑)、ジョディオもどのように解釈しているのかは分かりませんけど。
その両者の違いはひとまず置いといて……、大統領が語ったナプキン理論にしても、憲助さんが語った「流れ」の話にしても、『ワンダー・オブ・U』の「厄災」にしても、全ては「メカニズム」に通じるものだろうと思いますね。社会の、世界の、宇宙のルール。ジョディオの言う「メカニズム」が詳細に語られる時が待ち遠しいです。どんな内容なんだろう?



―― ふぅ。こうやって「ジョジョ」をあれこれ考えて語りまくれるって、やっぱマジに楽しいな~。




(2023年2月17日)
(2023年3月5日:がっつり追記)




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