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この『ダイヤモンド』について 何を知っている?
『どこまで知ってて ここへ来た?』


#004 vs.岸辺露伴





●今月のウルジャン表紙を飾るのは、我らが「ジョジョランズ」でございます。背景や文字が水色を基調としているためか、なんとも涼しげで爽やかなイメージ!夏を先取りだぜッ!
ジョディオと露伴が並び立つという……、連載開始間もない第9部「ジョジョランズ」と、映画公開間近の「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のダブル主人公ズのイラスト。まさしく第9部 VS 露伴!今、最もイケイケな2人です。露伴は、意味深に体中をロープで縛られていながらも余裕顔。これは露伴をふん縛っておきたいジョディオ達の願望の表れ?それとも、例の猫ちゃんの能力にやられてる的な?一方のジョディオも超クールですね。でも、せっかくなら、第1話の時の表紙イラストとは別カラーで見てみたかったかな~。まったく同じカラーリングだと、ちょっぴり物足りなく感じてしまうという荒木ファンのサガなのです。


●今回のトビラ絵は、水辺の茂みに佇むジョースター兄弟です。第1話の表紙イラストや前回のトビラ絵にあったシンボルマークと同じ、フードを被って両手を上げたジョディオ。これがジョディオを象徴するポーズになるのかな?そして、水面に横たわるセクシーなドラゴナ。
こうして改めて見比べてみると、2人のデザインがまさに対極になっているのがよく分かりますね。パッと見の性別はもちろん、髪の毛や肌、ファッションに至る全てのカラーが真逆です。さらに、ほぼ全身が真っ白なパコに、ボディの大半がスクリーントーンなウサギ先輩。チーム4人のバランスも絶妙!いい兄弟、いいチームだよなぁ。


●露伴を足止めするため、「雨」を降らせたジョディオ。その「雨」の不自然さを感じ取り、もはや確信にも近い疑惑を抱いた露伴。すぐさま邸内に戻る露伴を見て、ジョディオは急ぎ、みんなに連絡を入れます。「彼は「スタンド使い」だ」と。前回の感想で、「スタンド使いって意味じゃなく、「メカニズム」が見えているって意味だ」とドヤ顔で追記までしたってのに、あっさり否定された(笑)。いや……、第1話を読んだ感じ、「メカニズム」と「スタンド」はほぼほぼ同義みたいなもんでしたから、「メカニズム」が見えている=スタンドも使えるっていう当然の流れなのでしょう。……と、言い訳してみる。
邸内では、謎の「糸」に締め付けられているパコとドラゴナ。どんどんキツく締め上げられ、巻き込まれたブーツの皮さえもちぎれてしまいました。ウサギ先輩からハサミを受け取り、パコは「糸」の切断を試みます。
ちなみに先輩、監視カメラに化けた『THE MATTEKUDASAI』をすでに回収していたのか、ハサミに変身できる旨をドラゴナにも提言。ここで判明したのが、『THE MATTEKUDASAI』が変身可能な能力範囲。あくまで「周囲に在るモノ」じゃないとダメらしい。「周囲」ってのもフワッとした表現ですが、監視カメラに変身した際の距離から考えるに、半径10メートル程度の範囲はありそう。欲する人か、あるいはウサギ先輩が視認できるぐらいの距離、って事かな?


●大方の予想通り、ハサミなんかで突破できるような「糸」じゃありませんでした。ハサミは容易く曲がり、逆にヘシ折られてしまう。この期に及んで、まだ事態を把握できずにいるパコとドラゴナ。ウサギ先輩が何度も「猫のスタンド能力だ」っつってんのに、一向に理解できずにいます。「妙な妄想」だの「惑わす情報」だの、散々な言いっぷり。こりゃあマジでウサギ先輩以外の3人は、スタンドバトルのド素人なんだな。ここにウサギ先輩がいなかった事を考えると、メリル・メイの采配がいかに適切だったか。
ジョディオの警告がようやく彼らに届き、3人はすかさず覆面(マスク)装着!……つーか、こんなギリギリじゃなくて、最初から付けときなさいよ(笑)。そうすりゃ、わざわざ『THE MATTEKUDASAI』をカメラに変身させる必要もなかったろうに。このチームの面々は、スタンドバトルのド素人という以前に、自分達の力を過信してるトコがありますなぁ。悪ガキだからか、その場のノリだけで考えがまだまだ浅く、世の中を甘く見てるっていうね。なんだかんだ「自分達はうまくいく」「何とかなる」などと、根拠の薄い自信に満ちてそう。まぁ、そういうトコも含めて、見てて楽しいし好きなんですがね。


●露伴と鉢合わせする前に、窓から脱出しなければ!しかし、「糸」をこのままにしとけば、右足首と左手首をここに置いて行く事になります。やっべえぞ!
ドラゴナは『スムース・オペレイターズ』を発現ッ!もはやスキ間もゆるみも無く喰い込む「糸」……、いくら『スムース・オペレイターズ』と言っても、スライドなんか出来るのか?そんなパコの心配もよそに、ドラゴナは「糸」ではなく自分の手をスライド!親指の位置を付け根ごとズラす事で、「糸」に僅かなゆるみを作り出し、どうにか手首を引き抜く事に成功しました。「糸」はそれでも締まり続け、最後はギュッと結ばれたかと思うと、そのまま消滅。
どうやらこの「糸」、「糸」そのものをどうにかしようとしてもダメ。どんなに引っ張ったり切ったりしようとしたところで無駄無駄。しかし、「糸」に縛られている肉体部位の方を動かせば攻略可能な模様!それに気付いたパコも、『THE ハッスル』発動ッ!行くぜハッスル!折れたハサミの刃を「糸」と肉体の間にねじ込んで、自らの筋肉を操作。筋肉は激しく小刻みに振動し、それに伴ってハサミも激しく動きます。電動ノコギリ状態!そして、ついに「糸」を切断!なるほどね、『ノトーリアス・B・I・G』みたいなもんか。アイツも動いている物には無敵だけど、止まっている物に自分から当たるとダメージを負いますもんね。ちょうど肉体操作が出来る能力持ちの2人でラッキーでした。パコのハッスルぶりが笑える。


●「糸」から解放され、あとは逃げるだけ!ところがドラゴナは、パコのリュックが開いている事に気付きました。後方では、ダイヤモンドが廊下に転がっています。リュックのジッパーは確かに閉じた、はずなのに。
落っこちているダイヤに手を伸ばすと……、そこにはもう1本の腕。ドラゴナの指と触れ合う、何者かの指。なんと、露伴が顔を覗かせ、こちらに手を伸ばしていたのです。あの金庫を開けた腕前を素直に賞賛する露伴ですが、無論、ダイヤをおめおめとくれてやる気はない様子。ドラゴナは、これで露伴を縛るしかなくなりました。パコとウサギ先輩も慌てて戻って来ます。しかし、何人集まろうが、露伴の顔色は変わらない。次の瞬間、触れられたドラゴナの手がパラパラとめくれ、「本」になってしまいました!ドラゴナの素性や目的も速攻バレちゃった!
露伴がスタンド使いである事実に焦りまくりの3人。露伴は静かに語り、近付いて来ます。3人の身体に書かれている事を読ませてくれ、と。ダイヤの事をどこまで知っているのか、と。これってつまり……、ダイヤそれ自体に何かとんでもない秘密が隠されているって意味ですよね。知られてはマズい秘密が。
迫って来る露伴に、パコは「動くなっつってんだ!!」「こらァッ!!」「さもなくばバイオレンスしかなくなるぜッ!」と怒鳴って最終通告。でも露伴はそれをガン無視で、当然のように『ヘブンズ・ドアー』を発現ッ!まぁ、だよね。スタンドのヴィジョンはやっぱ少し大人っぽい気もするけど。名前も能力も今までと一緒。露伴は露伴って事で良し!


●パコは露伴の攻撃を避け、上方より反撃!なんと、天井にある蛍光灯かエアコンかのスキ間を、背中のムキムキ筋肉で掴んだのです。空いた両手で、露伴の首を掴んだ!侵入者が全員スタンド使いだと察し、パコの腕に触れようとする露伴。しかしパコは、その指が触れる前に、腕の側面の筋肉で露伴の右手を掴んでガード!おおっ、何気にスゲぇ。パコの性格といい、『THE ハッスル』の能力といい……、シンプルで荒っぽくて、確かにいかにも荒木先生が好きそうなタイプだよなー。
ウサギ先輩が結束バンドを取り出すも、露伴はダイヤを先輩にポイッと放る。ダイヤに気を取られた瞬間、露伴の左手に触れられ、先輩の顔は「本」にされた!そのままパコの腕も左手で触れ、パコも結局「本」に。「新世界」の露伴の『ヘブンズ・ドアー』は、直接触れないと「本」に出来ないという弱点がありそうです。にも関わらず、さすがに露伴の凄みはハンパない。ただ、右手を掴んだだけで油断して、左手への注意を怠っていたパコ達も未熟ですよねぇ。
気絶するパコ達の「記録」を読み、彼らの目的が「1人3万ドルの分け前のため」という単純なものである事に安堵する露伴。あのダイヤ、それほどのヤバすぎる裏事情があるのか……。事実、ウサギ先輩が取りこぼしたダイヤをキャッチしたと思っていたドラゴナの手の中には、ダイヤはありませんでした。何故か床に転がるダイヤに、ドラゴナは大混乱。深まるダイヤの謎!!ダイヤモンドは掴めない!!


●さてさて、目下最大の謎となっているダイヤモンドについて考えてみましょうか。
最初に読んだ時の私の直感では、あの超有名な量子力学の思考実験である「シュレディンガーの猫」を真っ先に連想しました。箱の中の猫は、箱を開けて観測するまでは「生きている猫」と「死んでいる猫」の2つの事象が重ね合わせに存在している……みたいなヤツです。今回のダイヤも、ドラゴナの手の中に在るうちは触れている実感が確かにあったようですが、手を開いて観測した途端、ダイヤは床に転がっていました。観測した時点で事象が収縮し、「手の中に無い」という結果に確定されたワケです。そーゆーのを現実に起こす不思議なダイヤ。逆に言えば……、ほんの一瞬たりとも目を離す事なく、ずぅ~っと観測し続けてさえいれば、ダイヤを盗み出せるのかもしれません。
でも、パコのリュックから出ていたり、ドラゴナの手からこぼれていたりと、やたらと邸内に落ちているって事は……、そもそも、このダイヤ自体が露伴のそばから離れたがらないという事なのかな?露伴はダイヤに選ばれた、もしくは呪われた。それを解決するために、ハワイを訪れて研究している。そんな感じ?このダイヤはハワイで採掘されたのでしょうかね?
そして、あの猫ちゃんですよ。「シュレディンガーの猫」と、謎の猫ちゃん、いかにも関係ありそうじゃん。あの猫ちゃんは実は、ダイヤモンドのスタンドなのです。ダイヤモンド(に宿る意思)が本体。もっと言えば、あの「糸」こそがダイヤのスタンドの正体であり、猫ちゃんは「糸」が集まり束ねられて作られた姿。ダイヤ自身を守り、露伴の元から離れさせようとする者に対して発動します。その能力の本質は、「確率」の操作。その者が露伴邸に存在する「確率」、さらには、この世界に存在する「確率」を操り、消し去ってしまうのです。ドラゴナとパコは辛くも逃れたけれど……、あのままだったら肉体を切断されただけでは飽き足らず、「糸」と共に存在ごと消滅させられていた事でしょう。
この世の「理」「メカニズム」をも根底から揺るがしかねない、あまりにも恐ろしい力。ひょっとしたら、ジョディオは露伴からダイヤを受け継ぎ、その力を使って「メカニズム」の頂点を目指そうとするのかも。


★今月は43ページ!とうとう露伴との直接対決が始まり、謎もますます深まり、先が気になる展開になってきました。チームの個性もより際立ってきて、好きなキャラばっかだなぁ。ページ数的には、これでコミックス1巻収録分は溜まったね。6月ではないようなので、発売は7月19日になりそうです。楽しみ!
作者コメントは「フランスのバンド・デシネのために描いた作品が映画になるとはね。凄いね。」との事。いよいよ来週、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」が公開ですね!こっちも楽しみです。全ての始まりであった2009年から足掛け14年か。感慨深いな~。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 6月号(2023年)
234ページ


今月は、背中の筋肉で天井にぶら下がりつつ露伴を捉えるパコ氏。「ジョジョ」らしい、荒木先生らしい、奇妙な1コマです。
パコのファッションっつーか、佇まいっつーか、なんか好きになってきてましてね。下の露伴と比べても、パコのデカさやガッシリ具合がよく分かります。能力全開にしたら、もっとマッチョになれそう。
また、天井に描かれている線が翼や後光のようにも見え、パコがまるで降臨してきた天使みたい。どことなく宗教画チックなところも、このコマの魅力と言えるでしょう。




(2023年5月19日)




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