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望むといい…………… 大志を抱いて
くじけるなよ 上って行くんだ


#005 11月の雨(ノーベンバー・レイン)





●今回のトビラ絵は、こちらに視線を向けるジョディオ。流し目や、指を唇に当てる仕草がセクシーです。指先にが描かれていませんが……、露伴邸侵入以降、チームのみんなの爪も基本的には描かれなくなってます。恐らく指紋を残さないように、ピッチリとした薄い手袋を装着してるんでしょうね。
前回はほぼほぼ出番が無かったジョディオですけど、このトビラといい、サブタイといい、今回はしっかりメインを張ってくれそうな予感ッ!


●確かにこの手で掴んだはずなのに、何故か零れ落ちているダイヤモンド。不可解な現象に戸惑うドラゴナをよそに、露伴は淡々粛々とパコ&ウサギ先輩の両腕を結束バンドで拘束していきます。さらに、警察にも通報。10分ほどでパトカーが到着するという危機的状況に!
そんな絶望の中、ドラゴナは再びダイヤを拾って逃げ出すものの……、バッグに入れたはずのダイヤは、どういう事なのかテーブル上のカップの中に転がった!大混乱に陥るドラゴナ。しかも、さっきパコがくすねた露伴のお金も、そこらに散らばっています。ダイヤもお金も、露伴の元に戻って来た。何もかも、全てが理解不能!結束バンドを手に近付いて来る露伴に脅え、ドラゴナにはもう、悲鳴を上げる事しか出来ません。絶体絶命。
すると突然ッ!露伴の背後、リビングに大雨が降るッ!これはもちろんジョディオ!1人で逃げる事なく、仲間を助けに来たのです!露伴が振り向くと、ピタリと雨は止みました。露伴はひとまずドラゴナを放って、冷静にこの「雨」の分析。残りのもう1人のスタンド能力……、広い範囲ではないが狙いを定めて降らせられる……、スタンドには射程距離という自然のルールがある……。そして、今、なんのために「雨」を降らせたのか?う~ん、やっぱこの世界の露伴もスタンドバトルの経験豊富そうですね。


●当然、「雨」はカーペットにもたっぷり染み込んでいました。露伴がそこに来た時、カーペットはコンクリートの床をブチ抜きます!露伴はその穴にハマって落下!
瞬間、ジョディオの手がすかさず、露伴の首と手摺りの柱を結んで拘束しました!そのまま流れるように、露伴の両腕も縛って『ヘブンズ・ドアー』封じ!今までになく焦ってるところからしても、この世界の『ヘブンズ・ドアー』は、露伴が指で直接触れないと発動できないという解釈で間違いないっぽい。一見、無敵のようで、実は弱点もしっかりありますね。
「失礼」「大変」「えと」「どうも」なんて、文字通り、上から目線の挨拶で姿を表すジョディオ。露伴は、ジョディオの能力を理解。「重さ」の在る雨を降らせる能力。カーペットに染み込ませた「雨」を重くして、床をブチ抜いたってワケです。……でもなぁ~、「11月の雨(ノーベンバー・レイン)」という直球のサブタイだけに、いよいよ『ノーベンバー・レイン』の能力が明確になるかと思いきや、見たまんまだったなぁ。個人的には、「雨」と「重さ」を結び付ける何かが欲しいトコなんですけども。本当に、ただ単に「重たい雨」ってだけなのかな?それとも、そのうち『ソフト&ウェット』の「しゃぼん玉」みたいに原理が明かされる時が来るんでしょうか?現時点では、『ウェザー・リポート』と『エコーズ ACT3』が合わさったイメージ。


●『ヘブンズ・ドアー』が解除され、意識を取り戻したパコとウサギ先輩は激怒&大興奮ッ!自分達が侵入して来たクセに、露伴に対する敵意・殺意を剥き出しにしてます。この時ばかりは2人の息もピッタリ(笑)。しかし、ジョディオは「彼にはもう手を出さないでくれ!!」と、2人を止める。「オレが尊敬してるんだ」「今日は素晴らしい一日であるはずだ!」というジョディオの言葉に、露伴もちょっと反応を示す。
とは言え、あと数分でパトカーもやって来る。もう飛行機にも乗れない。名前も素性もバレた。ダイヤもどうやっても盗めない。絶体絶命の状況に、何も変わりはありません。露伴も冷酷に宣言。「僕に捕まっていた方がマシだった」「逆にもっと危険になる」「追われるんだ」、と。何一つ得る物も無いまま、いつまでどこまで逃げようと、警察に追われ続ける。それなら、とっととおとなしく捕まって刑務所に入ってた方がマシ。この言葉の意味は、シンプルにそういう事なんでしょうか?あるいは、あの謎の猫ちゃんのような第3勢力に目を付けられ、命まで危険に晒される的な意味?
全員が戦慄する中、ジョディオだけは「何も問題ない」と余裕綽々。スマホを拾い上げ、警察に「間違いでした」ともう一度通報するよう、露伴にお願い。……だが、「断わる」の一言。取り付く島もない露伴の態度に、それでもジョディオの謎の余裕は崩れません。鼻歌まじりに、スマホで自分の頭をコンコンしてリズム刻んでる(笑)。


●ジョディオはさっきiPadから盗み見た「ピンクダークの少年」の描きかけデッサンを褒めちぎり、こう言います。自分は露伴の作品をいつも好きで読んでるから「わかる」、と。尊敬してるからピンと来る、と。その発想や姿勢、哲学……、そういったものが天から降りてくるようにわかる、と。ちなみに、「4つの円」の短編(=「ホットサマー・マーサ」)も、ジョディオはかなりお気に入りらしい事が判明。
結局、ジョディオが何を言いたいのかというと、金庫にあった「溶岩」こそが真に価値ある物という事!iPadにたくさんの写真が収められていた「溶岩」と「火山」、しかも入山禁止の場所にまで勝手に立ち入っている程です。増してや、ダイヤと一緒に金庫に仕舞ってある厳重さ。露伴の好奇心を刺激しているものはどちらなのか?露伴のファンだからこそ、ジョディオは直感的に理解できたのでしょう。露伴がハワイに来た目的はバカンスなんかじゃなく、この「溶岩」のため。「溶岩」の実物を目の前に差し出すと、明らかに露伴の顔色が変わりました。
ここからはジョディオと露伴の取り引きです。露伴は、さきほどの警察への通報を取り消し、ジョディオ達の安全を保証する。それが守られず、もしオアフ島まで帰れなかったなら、ジョディオは直ちに「溶岩」を叩き割って海に捨てる。もはや対等な「取り引き」ではなく、人質を取っての一方的な「脅迫」ですがね。それほどまでに重大な秘密を持つ「溶岩」だとすれば、破壊されるよりも盗まれる方を選ばざるを得ない。ブッ壊されたらおしまいだけど、盗まれただけなら再び取り返す事も出来るでしょうから。
これが決してハッタリではない事を示すように、ジョディオは「溶岩」を1個砕いてみせます。「おまえイカれてんのかぁあ」「このクソ野郎ォオオッ」!!冷静な態度が一変し、露伴は慌てまくりの怒りまくり!その反応だけで、ジョディオの言っていた事が全てマジだと証明されました。


●かくして、有無を言わさずに「取り引き」は成立。残る1個の「溶岩」はジョディオが、ダイヤはパコが持って、さっさとトンズラです。すると……、露伴がジョディオだけを呼び止めました。「大切な話だ」と。
ジョディオを「こんなクズ系のクソガキ」と罵りながらも、「だけど君は面白いヤツだよ」と、どこか心惹かれている様子。大人と子ども、悪魔と天使、邪悪さと無邪気さ、狡猾さと誠実さ。相反する「黒」と「白」が同居したような奇妙な魅力を持つ人物ですもんね。その一種の危うさ、露伴が興味を抱くのも分かるなぁ。そして露伴は語ります。


もしその「溶岩」を君が大切に扱うなら

君は大富豪になれる



うおうッ!そ、そんなストレートな設定ある!?なんと、この「溶岩」を持っていれば、そういう「仕組み (メカニズム)」「自然の法則」が次第に手に入って行くらしいですよ。とんでもねぇな!
つまり、あの「溶岩」は富を得るメカニズムが形になった物……って事なのかな?大切に扱い、強く望み、大志を抱けば、その「高み」まで導いてくれるのかな?ただし、もはや1個しか無い物で、これを持つ者には「責任」も伴うようです。それに、「くじけるなよ」ってセリフが出るからには、くじけてしまいそうな出来事に必ず巻き込まれるって事ですよね。そりゃあ、この世界を牛耳れちゃうレベルの超ド級アイテムですから、リスクが付いて回るのは至極当然。「高み」に上るための「試練」「敵」まで引き付けるのかもしれませんし、相応しい人間で在り続けなければ「高み」から堕とされるのみなのかもしれません。御利益がヤバい分、反動もエグそう。


●この「溶岩」をくれてやるワケじゃない。「託す」だけ。―― カードを引いてしまったジョディオに、露伴が言葉を贈る。「また会おう」「きっとな」。2人が再会する時、果たしてジョディオはどうなっているのか?望み通り「大富豪」になっているのか?それが最終回だったりするのか?色々考えるとゾクゾクしてきますね!
しかし、露伴が最後に言い放った言葉がまた、意地悪というか何というか……。「溶岩」について知った事は他言無用。あの仲間達を信用できるのかな?僕ならしない。……まぁね~、兄:ドラゴナはともかくとして、パコもウサギ先輩も信用に足る人物とは言い難いよなぁ。「損得」や「利害」で行動を共にしてるだけだもんなぁ。いつか彼らから裏切られる時が来るのか、それともジョディオの方から裏切る時が訪れるのか。でも、そうなる前に「信頼」で結ばれた仲間になってもらいたいもんです。
こうして、露伴邸を後にする4人。ウサギ先輩はなんと、ちゃっかり露伴の直筆原画まで盗んでいたらしく、ジョディオに鑑定依頼。これにはジョディオも超ビックリ。「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のカバーイラストと同じポーズの少年の絵ですね。ファンならノドから手が出るほど欲しい逸品。しかし、ウサギ先輩はジョディオにプレゼントするでもなく、しっかり自分の物アピール!「マジか!」と悔しがるジョディオ。「信頼」や「信用」とは程遠い連中だな~(笑)。


●パコが持ち出したダイヤは、今のところ消えていない模様。これは即ち、ジョディオが「溶岩」を持っているためでしょうね。「溶岩」を持つ者の元に「富」は集まる。だから、露伴が所持していた時は、ダイヤもお金も露伴の元に戻ってしまった。そして今は、ジョディオが所持しているから、ダイヤも盗み出せる。つまり、ダイヤは「溶岩」に引き付けられた「富」の1つに過ぎず、「溶岩」さえ持っていれば、ダイヤも自ずと持って帰れるって寸法です。
それにしても……、この「溶岩」はそもそも何なんでしょうか?スタンド使いが引かれ合うのと同じで、理屈じゃなくそういう物でしかないのかな。あるいは、地球そのものの「起源」に関わるような、生命や運命の「根源」とでも言うような、とにかく途轍もないエネルギーから生み出された物だったり?露伴が勝手に入ったらしいハワイの火山が、その謎の答えを知っているのかもしれません。「溶岩」の真実に近付くほどに、「大富豪」にも近付いていく……のか!?


●意気揚々とトンズラこく4人を、屋根の上から見つめる影。それは……、あの謎の猫ちゃん!おやっ、なんと1匹ではなく3匹もいるーッ!猫ちゃんズは音も無く4人の背後を追うッ!
ただ、金庫ガラ開き状態のままなのに、「溶岩」を奪い取るでもなく、ダイヤを盗んだドラゴナ達を襲って来ていた以上、「溶岩」目当てで現れたワケでもなさそうですよね。かと言って、ダイヤが「溶岩」にくっ付いてきたオマケ程度の価値となった今、ダイヤを狙う敵って線もちょっとパンチが弱い。あり得るとしたら、むしろ「溶岩」の守護精霊って線かな。「溶岩」と相対した者達が、「溶岩」を手にするに相応しいかどうかを試そうとしているんです。新たな所持者:ジョディオにとって「信頼」に足る者かどうかを、さっそく試しに来ていたり?
そして、「試練」をクリアできたら、猫ちゃんが仲間になってくれるのです!シルエットに気品があるし、マスコットとしてもシンボルとしても良さげじゃないっスか?


★今月は45ページ!露伴とジョディオ、2人の間に流れる空気がスゴく好きでした。束縛されてるのに屈服しない露伴と、束縛してるのに敬意を払うジョディオ。敵味方を超えたところで認め合ってるみたいで、めっちゃカッコイイ。そして、ついに形を現した「大富豪」への道!仲間達との関係性も含め、どう展開していくのかまったく読めません。楽しみッ!
作者コメントは「食品のラップ、箱のヤツ。ノコギリの所から中に端が入るともう絶対ダメ。無理。この世の終わりの気分です。」との事。それ怖ッ!何のトラップ?って感じですね(笑)。荒木先生の日常的なコメント、やっぱ癒されるなぁ。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 7月号(2023年)
472ページ


今月は、露伴に語り掛けるジョディオのコマ。この表情がイイよね。とても穏やかな顔なのに、スゲー不穏なものを感じさせる。前述した、彼の相反する二面性がよく出てますよ。
クールで大胆不敵でメチャクチャしやがるクセに、彼なりの敬意や礼儀があって。残酷さ・冷淡さと同時に、年相応の愛嬌や葛藤なんかもあって。まだ何者でもない、これから何者にもなり得る、「可能性」だけの状態なんでしょう。そーゆー混沌としたジョディオの魅力が、このコマに描かれていると思います。




(2023年6月19日)




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