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猫の気持ちなんて オレがそんなの知るかッ!?
でも追って来てるッ!!


#006 ジャングルの攻防 その①





●今回のトビラ絵は、チーム4人の決めポーズ!うおっ、カッケー!この絵、9部で一番好きかもしんない。8月に発売されるコミックス1巻のカバーも、こんな風な絵がイイなぁ。ジョディオだけってのもイカすけど、チームで描かれてほしさがある。
そして、背景もまた秀逸!大量の紙幣と、有刺鉄線付きのフェンスに挟まれてます。まさに「富」と「危険」は紙一重。ジョディオ達はそんな僅かな隙間を縫って、大富豪を目指していくのです。


●露伴から謎の「溶岩」を託されたジョディオ。しかし、露伴の真意は読めません。「託す」という事は、そこには未来が在り、何かをさせたいという事。とは言え、少なくとも今のジョディオに、儲からない事をやる気はさらさら無い。
ジョディオがモノローグで語る事には……、自分達はただの小遣い稼ぎのために犯罪をやっているクズの集まりで、ジョディオ自身はその中でも下っ端の見張り役。周りの人間関係だってあるし、男として成長したい気持ちもあるので、いつまでもこんな事を続けるつもりはなさそうですが……、それはそれとして、今はカネが最優先ってワケですな。でも、そんな心配は無用でしょう。露伴の言葉から察するに、この「溶岩」を持つ者には莫大なカネが舞い込んで来るんでしょうからね。当然、それと引き換えに何らかのヤベぇリスクも負う必要はあると思いますけど。
それにしても、大富豪を目指し、大胆な行動を平然とやってのけるサイコパスだってのに、ジョディオってば意外と現実的な考え方よね。いや、刹那的と言う方が正確か?真っ当な道じゃない事は自覚しつつ、真っ当な人間として生きたいという想いもありつつ、結局は「危険でも手っ取り早く稼ぎたい」を選んじゃう。今は「小悪党」の彼がこれから選び取る道は、果たして「正義」への道か、「巨悪」への道なのか。露伴に託されし「溶岩」こそが、ジョディオの未来を分かつ「分水嶺」となりそうです。


●露伴邸を脱出し、車に戻るべく森を駆ける4人。サブタイにもあるように、この森はなかなかのジャングルらしく、ウサギ先輩はベニハワイミツスイという絶滅危惧種的な固有種の鳥を発見して驚いてます。やっぱ妙に博識だよね、ウサギ先輩(笑)。
さて、ここでまたもやトラブル発生!パコがリュックに入れたはずのダイヤモンドが、地面に落っこちていたのです。ダイヤだけでなく、ウサギ先輩が持っているはずの「ピンクダークの少年」の直筆原画までも……。ここでようやくドラゴナが気付きました。露伴邸では、パコのポケットから紙幣がこぼれて散らばった。まぁ、パコは「あ、ヤベッ」とばかりにスッとぼけてますが(笑)。とにかくこれは、自分達がウッカリ落としたワケでもなく、偶然でも事故でもなく、増してや露伴が仕掛けたトリックなんかでも決してない。カネ目のモノが、「価値」あるモノが、自分から「溶岩」のところに集まっていってる
今「溶岩」を持っているジョディオならば、ダイヤモンドを拾っても落とさないでいられるはず。前回の時点でそれは明白でしたけど、ハッキリと言葉にされましたね。ただ、仲間ですらアウトで、「溶岩」の所持者のみがセーフだったか。ここまで厳しいと、一波乱ありそうですよ。「溶岩」による莫大な富が得られるのは1人だけなら、仲間割れも簡単に起こりそうじゃん。前回の露伴の言葉が、早くも回収されちゃいそうな予感。


●ドラゴナに促され、ダイヤを拾おうとするジョディオ。ところが、一歩踏み出した右足に何かが触れる。ピンと張られた「糸」のようなもの。それは足に巻き付き、ジョディオの体ごと一気に引っ張り上げてしまう!体勢を崩したジョディオは地面に頭を打ち、「溶岩」もダイヤも原画も落とし、そのまま大木の枝に逆さま宙吊りの刑。このあたりの絵がド迫力で、平衡感覚が失われるようで最高です。
ジョディオ以外の3人は、さっき邸内で襲われた「ワイヤー」による攻撃と察知!宙ぶらりんのジョディオも、周囲に動物の影を見ます。状況からして、ほぼ確実に猫ちゃん!この期に及んで、まだあの「ワイヤー」を新型の警備装置とかぬかしてる脳筋おバカなパコに、猫ちゃんのスタンド能力だと改めて警告するウサギ先輩。何回言われりゃ理解すんだ!?(笑) 猫の目的も気持ちも知る由はありませんが、「狩り」が本能の動物であるだけに、危険な事は確実ッ!
足を締め付けられるジョディオを助けようと近付くドラゴナ。しかし、それもまた猫ちゃんのトラップでした。ジョディオの周囲にはすでに「ワイヤー」が何本も漂っており、近付いたドラゴナのお腹に突き刺さって貫通!すかさず助けに入ったパコですが、その「ワイヤー」で腕をドラゴナのお腹と一緒に縫われてしまう始末。単純に巻き付くだけではない、多彩な攻撃手段を発揮する恐るべき「ワイヤー」。風に乗って漂うばかりで、自由な移動が出来なそうなところが弱点か。さすがのパコも、ようやくこれがスタンド能力と理解できたようです。


●すると、パコはここでふと気付きます。ウサギ先輩がいない。それどころか、ダイヤも原画も「溶岩」までもが無い。そして、鳴り響く車のエンジン音。なんと、ウサギ先輩は1人でトンズラこいちまったのです!襲われている仲間を見捨て、お宝を独占して。この悪魔的裏切り行為に、パコは大激怒ッ!「ブッ殺してやるッ!!!」 「許さねェッ!地獄まで追いつめてやるッ」と、殺意剥き出しです。
でも、どうなんだろうなぁ~?私的には、安易に「裏切り者」と断ずるつもりはありません。ウサギ先輩にはウサギ先輩の立場や考えがあるでしょうしね。例えば……、アバッキオみたいに任務遂行を第一に考えているなら、この行動も正しいワケですよ。全員無事で帰る事よりも、メリル・メイの命令通りダイヤを盗んで来る事を優先するならね。もしくは……、逃げたように見えるけれど、実は反撃のための行動なのかもしれません。車でジャングルに突っ込んで、みんなを助けて一気にズラかろうって作戦とか。遠くまで逃げりゃ、「ワイヤー」の射程距離外になって消滅する可能性も高いだろうし。
逆に、ガチでジョディオ達を見捨てたのだとしても、それはそれで面白い。そーゆー欲深くて自分の都合最優先な信用ならないキャラ、ちょっと重ちーっぽくてイイですよ。ウサギ先輩の性格上、裏切っても湿っぽくならず、あっけらかんとしてそうなのも良い。つーか、そもそも「裏切る」も何も、まだまだ全然そこまでの関係でもないワケで。所詮はクズの集まり。固い絆で結ばれた仲間なんかじゃないんだから、油断した方がマヌケなんだよん……ぐらいの感覚かも。いくら必死に忠告しても聞き入れてもらえないしね(笑)。いずれにせよ、ウサギ先輩はのほほんとしてるようで、案外シビアでクレバーな一面がありそうです。


●さらに襲い来る「ワイヤー」!しかしジョディオは、2人を自分の真下に来るように誘導。そして、『ノーベンバー・レイン』の「雨」ッ!「雨」の重さにより、宙を漂う「ワイヤー」が地面に叩き付けられる!「ワイヤー」は消滅しました。
『ノーベンバー・レイン』の能力は、言ってしまえば、範囲内の好きな物を好きなタイミングで重くできる能力です。あの豪雨の粒を1つ1つ避けられるヤツなんて、そうそういないでしょうから。ある意味、『エコーズ ACT3』より便利。「重くする」という主人公らしからぬ能力ではあるものの、ジョディオの応用力や絵的なカッコ良さがスゴくて、メチャ有能なスタンドに感じます。しかも「雨」なので、「重くする」だけじゃなく「濡らす」事を何かに利用できる時もやって来そう。
しかし、宙ぶらりん状態からの脱出は難しい上、猫ちゃんズも姿を現しました。依然、大ピンチ!……にしても、気になるのが猫ちゃんズの行動。ダイヤや「溶岩」を持って逃げるウサギ先輩をまったく追わず、あくまでジョディオ達をターゲットにしてるのが奇妙です。それとも、3匹だけじゃなくもっといて、そっちはウサギ先輩を追跡中とか?正体と目的がマジで掴み切れんなぁ。「溶岩」の守護聖霊なのか、富を狙う敵なのか、はたまたそれ以外の何者か……。


★今月は35ページ!毎年、夏の時期はページ数が減りがちですが、荒木先生にはずっと健康であっていただきたいので、ゆっくり休養を取ってほしいなと。今回はそこまで大きな展開が無かった分、来月号は表紙を飾ってくれますからね!コミックス発売もあるし、楽しみッ!
作者コメントは「パルミジャーノチーズを衣に入れたフライドチキンを料理してみた。仕上げにレモンを搾って。ウマかったー。」との事。う~ん、優雅な過ごし方。先生の手料理、一度でいいから食べてみたい……!





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 8月号(2023年)
406・407ページ


今月は、「ワイヤー」で木の枝に釣り上げられるジョディオ。荒木先生お得意のダイナミックな構図がたまりません。木を思いっきり見上げる視点で描かれ、ジョディオが味わう成す術ない浮遊感が見事に表現されています。
ごく基本的な事ではありますが……、最低限の描き込みで、中心のジョディオに読者の視線を誘導しているのもさすが。人物、背景、擬音、フキダシ、それら全てがジョディオに対する集中線の役割を果たしているワケです。次ページのヒキで描かれたジョディオ達の見開きコマも素晴らしいけど、引っ張られる一瞬の躍動を切り取ったこのコマを選ばせていただきました。




(2023年7月19日)




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