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お… おまえ  ウサギ
も… 戻って来たのか……よ?


#007 ジャングルの攻防 その②





ウルジャンの表紙は、なんと前回のトビラ絵の連作ッ!やったぜッ!「この絵、9部で一番好きかもしんない。8月に発売されるコミックス1巻のカバーも、こんな風な絵がイイなぁ。」と感想を書いたくらいオキニの絵だったので、コミックスの表紙にはならずとも、カラーで観られてハッピーです!なにせ、仲間3人は記念すべき初のカラーですからね!
ジョディオはあんま変わってないけど、ウサギ先輩は右手でまた「ちイィィィィ~~~す」やってます。全身タイツのグリーンに、パンツや靴のレッドが鮮やか。で、ドラゴナとパコは立ち位置が入れ替わり、2人ともオレンジ基調のファッションがイケてますね。背景は、前回の紙幣とフェンスではなく、そのフェンスの向こう側ってイメージ。向かって右手がフェンスになり、左側はヤシの木が並んでいます。人間社会から自然に還って来た感じ。やっぱりこの4人チームは絵になるし、大好きだなぁ~。


●今回のトビラ絵は、コミックス1巻のタイトルページにもあった9つの角を持つエンブレム風のジョディオ。今さらながら、「ジョジョ」が第9部まで繋がってくれているという事実に、第9部を読む事が実現されたこの世界に、感謝したいですわ。
デッカいエンブレムの下には、火山の島が描かれています。つい先日、前代未聞の山火事に見舞われ、多くの犠牲者を出したマウイ島が心配ですね。いつかマウイを作中で描く際、この事件が反映されるんでしょうか?


●3匹の猫ちゃんズに逆さ吊りにされたジョディオ。なんでいきなり猫にスタンド攻撃されなきゃならんのかと、当然の疑問に駆られています。猫ちゃんズの目的は何?ダイヤモンドなのか、それとも自分達を狩って喰う事なのか?
ひとまず『ノーヴェンバー・レイン』の「雨」で難を逃れたパコ&ドラゴナでしたが、雑木の陰から「ワイヤー」はなおも接近中!漂う「ワイヤー」は、絡まった雑木を同時にまとめて切断!この切れ味が恐ろしい。ドラゴナは「枝の方を砕け」とジョディオにアドバイスを送りますが、『ノーヴェンバー・レイン』よりも高い位置にある枝は能力射程外。やっぱ4本の脚の下に「雨」を降らせる、って事なんでしょうね。猫ちゃんズはこの射程まで計算に入れて襲って来たとでも言うのか!?
このままではジリ貧でどのみち殺られると判断したのか、パコは幹のそばへと移動を開始。ジョディオの警告にも耳を貸しません。「この脳筋ヤロー!」なんて思ってたら、パコの狙いはジョディオの救出でした。いいヤツじゃん。まだ予備があったのかハサミを咥え、『THE ハッスル』の背中の「筋肉」でムキムキと木を登り、ジョディオの高さまで到達!しかもドラゴナを担いで、ですからね。さすがのマッスルですわ。


●どうにかジョディオの足首の「ワイヤー」を切断しようとするパコですが……、木の上に猫ちゃんズが勢揃い。厄介すぎる能力の本体が複数いる事に焦りを隠せません。ジョディオ達との間合いもキッチリ取っています。
すると、おもむろに猫ちゃんズのしっぽがプルプルと震え出し、しっぽの毛が幾本もの「ワイヤー」となってニュニュッと伸びていく。そして、その「ワイヤー」をジョディオ達めがけて落とし、降らせたッ!今までのような風に漂わせる横方向ではなく、重力に任せて落下させる縦方向からの攻撃ッ!明らかに高い知能を持ち、明確な殺意を抱いて襲って来ているのが怖すぎ。ジョディオ達は猫ちゃんズの策略にまんまとハマり、全身に「ワイヤー」が絡まります。どんどん体に食い込み、もはやハサミも『スムース・オペレイターズ』も効果無し。パコとドラゴナは喉に食い込む「ワイヤー」で意識喪失です。
しかしジョディオは、必死に体をブランコのように揺らし、水平にまで達すると、すかさず『ノーヴェンバー・レイン』の「雨」を発射ッ!猫ちゃんズとは逆で、これまでの縦方向ではなく横方向に「雨」を降らせる形。ジョディオ本体が横になれば、『ノーヴェンバー・レイン』も横になり、その脚に対しての「下」に「雨」は落ちていく模様。面白い応用が出来そうですが、逆さ吊りされてても空に向かって「雨」は降らせられなかったワケで。どう頑張っても水平が限度なのかも。……ともあれ、その「雨」は1匹の猫ちゃんに命中!木の向こうへブッ飛んでいきました。でも、「雨」じゃ肉体を貫通は出来ず、ヘコませるのが限界っぽいね。


●その時、「ワイヤー」がわずかに緩みました。どうやら「ワイヤー」は、絵的に1本に見えても、実際は3匹分の「ワイヤー」が絡み合って編み込まれて作られた物らしい。即ち、猫ちゃんを1匹ブッ飛ばしたって事は、「ワイヤー」のパワーも1匹分弱まるって事!ブンブーン一家の『トゥーム・オブ・ザ・ブーム』みたいなスタンドだね。複数人で1つの能力を使い、全員揃えば最大のパワーを発揮できるタイプ。逆に言えば、全員いないとパワーを発揮できない。おかげでパコとドラゴナの意識も戻りました。
さらに追撃と言わんばかりに、再び攻撃態勢に入るジョディオ!ところが、大事な仲間(家族?)をやられたせいか、残る2匹の猫ちゃんズは大マジにブチギレちゃいました。なんと、しっぽのみならず全身の毛を逆立てて「ワイヤー」と化し、それをみるみる「網(ネット)」状に編んでいきます。その「網」にジョディオとパコが捕獲されるッ!ドラゴナだけは、パコが木の幹の裂け目に隠そうとしてくれたおかげか、無事でした。とは言え、全身に食い込む「網」に苦しむジョディオ達に、ドラゴナは名前を叫ぶ事しか出来ない。絶体絶命の大ピンチ!こんな序盤も序盤で全滅エンド!?猫ちゃんズ、強すぎでしょ!


●その時、猛スピードで飛び込んで来たのは1台の車ッ!それはそのままの勢いで木に突っ込んだッ!その衝撃で、猫ちゃんズは木から落下ッ!「ワイヤー」もかなり緩んでほどけて、全員辛くも助かりました。窮地を救った車は、ジョディオ一行が乗ってきたレンタカーです。ドアが開き、そこから出て来たのは……、ご存知!ウサギ・アロハオエ!!
「ちィィィ………」「すっ」と、いつものノリで挨拶かますウサギ先輩に、パコは想像以上に大感動です。裏切り行為にあんだけ殺意剥き出しだったくせに、涙浮かべて「お… おまえ」「ウサギ」「も… 戻って来たのか……よ?」と心底嬉しそう。荒っぽくてガラ悪くて単純おバカな脳筋だけど、やっぱいいヤツじゃん。過去に変に固執せず、「今」だけを見てくれる感じがね。怒らせても、ちゃんと謝れば笑って許してくれそう。で、前よりも親しげに接してくれそう。イヤな言い方すれば、チョロいヤツ(笑)。そんなパコが好きよ。
ウサギ先輩は余裕たっぷりで、「網が欲しい」と言うようにドラゴナへ促します。猫をフルボッコにするために必要な物に、『THE MATTEKUDASAI (ザ・マッテクダサイ)』が変身するからと。当の猫ちゃんズが周囲を回り込んで来るもんだから、慌ててパコがウサギ先輩に叫んで忠告。しかし……、ウサギ先輩の余裕は一切揺るがず。自分は決して「逃げた」ワケでも「戻って来た」ワケでもない。目的があって車に一旦「行った」だけ。そこんとこを誤解するな、と弁明。うん、それ大事。ウサギ先輩のキャラ的には、裏切りであってもなくても面白くなりそうでしたが……、彼は信頼に足る人物と明確に示されましたね!損得勘定だけなら、ここでわざわざジョディオ達を助けに来るメリットなんか全然ないからね。


●さて、ウサギ先輩が車に行った理由とは何なのか?それは、空港で買っていたハンバーガーにありました。あの紙袋かッ!言われてみりゃあ、あの時、いかにもバーガー店で買ったようなドリンク飲んでたもんな!後で食べようと車に置いておいてたハンバーガー、そのにウサギ先輩は「何か」を混ぜ、バラまいて、すでに猫ちゃんズに食わせていたらしいのです。
その「何か」とは……、キャビア!露伴邸でドラゴナに釘を刺されつつも、実はこっそりくすねて来ていたみたい。パコといい、ウサギ先輩といい、ドラゴナの言う事ちょっとは守ってやれや(笑)。キャビアとは、チョウ鮫(ベルーガ)の卵で、成魚まで20年も掛かるもんだから非常に貴重。たった40gで400ドルもするのです。ワイキキのホテルなら倍の値段。つまりは、カネ目の物ってワケ。そう……、これは「溶岩」に秘められた力の実験!混ぜて食わせるだけなら薬でもいいんだけど、ついでに実験も兼ねての行動でした。お気楽な性格とは裏腹に、なんとも計算高くしたたかな男だぜ。
猫ちゃんズは、隙だらけのパコやドラゴナを跨いで通り過ぎ、ウサギ先輩の元へまっすぐ近付いていきます。いや……、正確には「キャビア」が、それを食べた猫ちゃんズごと、ウサギ先輩の持つ「溶岩」の元に引き寄せられていきます。あんだけ凶暴に襲って来た猫の、急に自分達をガン無視するこの態度に、パコも信じられないといったリアクション。それでも再度「網」を作り出し、ウサギ先輩に襲い掛かろうとする猫ちゃんズでしたが、それを見てドラゴナも『THE MATTEKUDASAI』に「網」を要求します。近くに「網」が無いと、「網」には変身できませんからね。
ウサギ先輩が「溶岩」を手放して落とすと、それに引き寄せられるように猫ちゃんズも地面に落下!そして、「網」に変身した『THE MATTEKUDASAI』で無事に捕獲ッ!お見事でした。ただ……、ウサギ先輩が車に行っていた時、猫ちゃんズはウサギ先輩の方に引き寄せられるでもなく、ジョディオ達に向かって行ってましたからねぇ。「溶岩」の力が強く働く射程距離・有効範囲みたいのがある、と考えるべきなのかな。 (「溶岩」を持つ者の「器」が大きくなるほど、その距離・範囲もより広くなっていくとかあり得そう。) 逃げるでもなくあっさり捕獲されちゃったのも、「溶岩」との距離が近すぎて、もはや「溶岩」のそばから離れられなくなっていたからなのでしょう。


●「ワイヤー」が解除され、ようやく自由の身となった3人。「こいつは絶対に儲かるヤツだぞッ」と、ゴキゲンなポーズで御満悦のウサギ先輩。しかし、いくら捕獲したと言っても、それはあくまで「とりあえず」です。まだもう1匹残ってますし、息の根を止めるか何かして無力化しない限り、脅威が完全に去ったとは言えません。第一、食べられたキャビアの金銭的価値が、どの時点まで保たれるもんなのかも未知数ですからね。その辺の細かい判定や作用は、現在「溶岩」を持つ者の価値基準に従うのかもしれませんが……、さすがにすっかり消化されたら価値を失い、「溶岩」からの縛りも無くなってしまう事でしょう。早急に次の手を打たないと!
ちなみに、猫ちゃんズの「網」が消えても、『THE MATTEKUDASAI』の「網」の変身が解けるワケではないんですね。一度変身してしまえば、その後に「本物」が破壊・消滅させられても、『THE MATTEKUDASAI』の「偽物(フェイク)」には一切影響がないという事が判明しました。付け加えれば、誰かのスタンド能力で作り出した物にも変身可能なんですね。だんだんと特徴が分かってきました。
ワイワイ騒ぐパコ達をよそに、ジョディオは1人、思考を巡らせております。この「溶岩」は、そもそもどこで見付けた?ハワイ島の物?露伴先生は「他言無用」だなんて言ってたけれど、あの別荘はとっくに「何か」に見張られてたんじゃあないの?……謎は深まるばかり。その「何か」が、猫ちゃんズを差し向けた御主人なのかな?そして、メリル・メイが予測していたのは、その「何か」が動き出して来るっていう事なのか?永遠不滅の「富」を得ようとする大富豪か、貧困の中で人生一発逆転を狙う野心家か。金銭とはまったく異なる価値基準や目的を持っているかもだし、人間かどうかも定かじゃないけど。う~ん、どんなヤツか楽しみッ!


★今月は47ページ!今回はもう、ウサギ先輩が全部持ってっちゃったな!チームのみんな好きだけど、やっぱしウサギ先輩が一番好きなキャラだわ~。紙袋とキャビアと「溶岩」、今までさりげなく示してあった情報を布石として、痛快な大逆転を描いてみせた荒木先生の衰えぬ手腕よ。なんか、今回でチームがちゃんと「仲間」になれた感じがして嬉しいですね。正直、キャラとしての個性が無い猫ちゃんズが敵だと、バトルが今イチ盛り上がらんな~とは思ってたんですが……、チーム4人の個性や関係性を集中的に深掘りしたいからという理由もあったのかも。
作者コメントは「今年は本当に生命的な暑さでヤバいです。個人的対策はほぼ無い。森に逃げたけれどスズメバチ居るし。」との事。もう地球全体が沸騰しそうな勢い。冷房効いた部屋に引き篭もるくらいしか出来ませんよ。先生もどうか熱中症にはお気を付けて。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 9月号(2023年)
202ページ


今月は、怒り狂う2匹の猫ちゃんズ。インパクト絶大ですよ。可愛い猫ちゃんが完全にモンスターだよ。猫好きには絶対描けない絵だ(笑)。
このあまりにも獰猛で凶悪な鬼気迫る顔付き、そして逆立つ毛から焔の如く「ワイヤー」が溢れ出す異様さ。直感的になぜかバオー犬を思い出しました。狛犬っつーか、ケルベロスっつーか、妖怪じみた姿がマジいかつくってカッコイイです。




(2023年8月19日)




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