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「溶岩」でどうなるのか 見てみるだけ
必然だけ  でしょ?


#008 高級時計を見に行こう





●今回のトビラ絵は、ダンサブルなポーズを決めるジョディオ。なんとなく、荒木先生もジョディオ達を描き慣れてきたなというか、先生の腕に馴染んできたなという印象を受けます。他の部の絵にはない、第9部なりの、ジョディオならではのカッコ良さ・麗しさ・キュートさがあって好きですね。
背景には、「溶岩」を中心として、登場人物達の顔やハワイアン&トロピカルな物などが、エンブレム的に配置されています。このちょっと陽気な空気感、やっぱイイなぁ。


猫ちゃんズを退けた4人は、飲食街らしき所に来ていました。ありゃりゃ、猫ちゃんズとの戦いはあれで終わりだったのか。少し後でウサギ先輩も言ってますが、キャビア消化後はジャングルに逃げて行ったらしい。あんなに執念深く襲って来た割に、予想外の反撃を喰らうと弱いんですね。
さて、飲食街で1人突っ立ってスマホいじってるジョディオに、水着姿の女の子達が声を掛けて来ました。さすがはジョースター家のイケメンボーイ、当たり前のようにモテモテで逆ナンされてますわ。羨ましい限り(笑)。しかし、ジョディオが友達連れである事を知り、女の子達は去って行きます。手慣れた風に、微笑んで手を振って別れる爽やかジョディオ。……すると、そこに通りすがりの警官達が登場。露伴邸を強盗しちゃった手前、ギクリとしますが、警官はジョディオ達をスルー。レンタカーもフロントがベッコリとヘコんじゃってますけど、特に興味も示さず。通報しないという約束、露伴は守ってくれているようです。まずは一安心。


●飛行機のフライト搭乗まであと2時間ほど。空港にはギリギリに向かう事に決め、それまでテキトーに飲み食いして暇潰し。
唐突にウサギ先輩が、ピンクちゃんことドラゴナに「20ドル貸してほしい」と言い出します。状況的に余裕が出て来たからか、ここに来てようやくドラゴナも「ピンクちゃんって呼ぶな」と冷静にツッコミ。しかも、どこにもピンクなんて着てないらしい(笑)。以降、普通に「ドラゴナちゃん」呼びに戻りますが、次の任務の時はなんて呼ぶんだろ?それはともかく、ウサギ先輩はお金をあればあるだけ使ってしまうタイプだそうで、今回の仕事が終わるまでは空っケツ。そんな彼に、「あんたのお家って貧乏なの?」「親って何やってんの?」と、ド直球の質問をかますドラゴナ(笑)。どうやら父親は建設業だったけど、バスに轢かれて死んでしまったようです。その保険金のおかげで、今のところは生活に困っていない模様。その境遇に同情したのか、案外素直に20ドルを渡すドラゴナでした。
その20ドル札の上に、ウサギ先輩は「溶岩」を置く。そして、今までの事を一旦整理。この「溶岩」は、カネ目のモノを引き寄せる。ダイヤモンドも、漫画の原稿も、キャビアも、全て露伴のモノだったが「溶岩」はそれらを引き寄せた。この「溶岩」は一体何なのか?露伴はこれをどこで見付けたのか?「カネ目のモノ」と「そうでないモノ」の区別はどこにあるのか?……ジョディオも、ウサギ先輩の意図に気付きました。今ここで「溶岩」の実験をしてみようというのです。
以心伝心ですんなり気付いてくれたジョディオに気を良くしたウサギ先輩。「オレたち 親友になれるかな?」とゴキゲンですが、ジョディオは「いえ… そういうのは特に大丈夫です」「おかまいなく」とクールに拒否(笑)。


●ジョディオの仮説によれば、「溶岩」との距離が重要らしい。だからこそ、金庫の中にダイヤと一緒に保管されていた。例えば、「溶岩」に触れさせたモノを引き寄せるようになる、とか。ウサギ先輩も同じ事を予測し、20ドル札を「溶岩」に触れさせたってワケですね。また、「溶岩」は自らの所有者を記憶しているのかもしれない。つくづく謎の物体ですなぁ。それにしても、チームの中での頭脳派がウサギ先輩とジョディオになってるのが面白い。しっかりしてそうなドラゴナは、逆にちょいとニブいよね。
そんなこんなで、さっそく実験開始!20ドル札を丸めてポイ捨てしてみます。すると、1人の男が速攻でパクり、その20ドルで食べ物を購入。のんきに食べながら立ち去って行きました。まさかの展開に慌てるドラゴナ。「カネ返せ!!」と怒って、ウサギ先輩の首を締める(笑)。20ドルというのは、さすがに価値として安すぎたのか?そう思っていると、みんなの分のドリンクを買って来たパコが騒いでいます。スプライトの中に蠅が入って来て、少し飲んでしまったらしい。店をビビらせて返金してもらい、新品もゲット!意気揚々と戻って来ました。返金されたのは、さっきポイ捨てした20ドル札!なるほど~、「因果」が巡り巡って、時には「因果」さえ無視して、必ず「溶岩」の元に返って来るって事ね。


●そこで、もう1つ実験しようと提案するドラゴナ。もし「溶岩」を持って高級時計店に入ったら、一体どうなるのか?まったく予測がつかないけれど……、この「溶岩」がどんな物なのか、どう扱うべきなのかを、オアフに帰る前に知るべきだと。確かに、それを知らぬままだと、オアフに無事に帰れるかどうかも、帰った後に何が起こるのかも保証が出来ませんからね。全貌とまではいかずとも、大枠だけでも捉えてからじゃないと、うかつに行動するのも危険です。
ただし、もちろん盗んだり違法な事はしない。あくまで、「溶岩」が起こす事を見てみるだけ。その人選は、ドラゴナ&ウサギ先輩!パコは見た目が不審者すぎるからNG。って、身も蓋もねーな(笑)。まぁ、上半身ほぼ裸だからしょーがない。「ジョジョ」の世界観でも一応、そういう通常の感覚がある事に驚いた。ジョディオは15歳という年齢的にNG。高級時計を買いに行きそうには見えない。そーゆーワケでドラゴナは、胸のアクセサリーの裏にあるポケットに「溶岩」を入れ、ダイヤはバッグに入れて、いざ入店ッ!
ここで何故か、「The JOJOLands」というタイトルと、「これはひとりの少年が大富豪になる物語」という説明が再び繰り返されます。う~ん、なんか微妙に不穏だな……。結局、「溶岩」の力で大富豪に成り上がれるのは、露伴から託されたジョディオただ1人なのかもしれませんね。チームの他の3人はのけ者になっちゃう、と。だとしたら、ジョディオはどこかでチームと袂を分かつ事になってしまうんでしょうか?出来る事なら、最後まで仲良しな姿が見たいもんですが。
そんな読者の不安は置いといて、パコとジョディオは外でお留守番。パコがチキンブリトーをおごってくれるようで、ジョディオも現金に「はい… いただきます」なんて敬語使ってるよ(笑)。


●高級時計のあまりの美しさに圧倒され、「ふええ――」「ほあ――――」「凄ッ~~」と感嘆の声を漏らすドラゴナ。可愛いなオイ。ビビッちゃってるドラゴナに、ウサギ先輩はドヤ顔でアドバイス。高級時計は「今 何時か?」を見るためのモノじゃない。人生の「残り時間」を見るためのモノだ、と。カッコ良さげな格言だけど、意味が分からん(笑)。
慣れない高級店に戸惑っていると、店員さんが話し掛けてきました。ドヤ顔のウサギ先輩も実は全然詳しくないようで……、「ロレックス (ROLEX)」を「ポレックス (POLEX)」だと思ってたり、ワイヤレス充電のヤツが欲しいとか言い出したり、店内を勝手にフラフラ歩き回ったり。ドラゴナもすでに、ウサギ先輩と来た事を後悔し始めてますよ。結局、チーム内での常識人ポジはジョースター兄弟でしょうからね。
しかし、ここでドラゴナがさりげなくバッグのダイヤをチラ見せした事で、こいつらは金持ちのボンボンだと勘違いし、店員さんが俄然ハリキリ出しました。奥の部屋に通され、ソファでくつろぎながらドリンクのサービスまで。至れり尽くせり状態。いくつか見繕ってもらった時計を試着しては、胸元のアクセサリーにそっとくっ付けていきます。「溶岩」に直接触れさせなくても、それだけ近付ければオッケーなのかな?……にしても、4万ドルや8万ドルなんてえげつない値段の時計を躊躇いなく奪おうってんだから、ドラゴナもなかなか大した強心臓です。


●ところが、今まで上機嫌だった店員さんは急に顔色を変えると、ガードマンに何か耳打ちし、部屋の扉と鍵を閉めてしまいました。明らかにヤバい空気。なんと……、時計が1個無くなっていたのです!もちろんウサギ先輩もドラゴナも、まるで心当たりなんてない。ドラゴナがアクセサリーを確認するところでシーンが切り替わりますが、「溶岩」を入れたポケットに時計も一緒に入っていそうだよなぁ。だとしたら、言い逃れは出来ません。
不思議なのは、無くなった時計はドラゴナが触れてもいない時計だったという点。「溶岩」にはまだまだ未知のルールが隠されているんでしょうね。例えば、「溶岩」に認められた所有者があくまでジョディオだとすると、ドラゴナの意志や行動に依らず、ジョディオにとっての「カネ目のモノ」を優先的に引き寄せようとするのかもしれません。無くなった時計が、実はあの4本の中で最も高価だったとかね。


●一方、パコ&ジョディオにも異変がッ!買って来たチキンブリトーの袋を覗くと、そこにはなんと、猫ちゃんズの無惨な死体が入っていたのです!パコは吐き気を催し、ジョディオは恐怖で歯を鳴らす程の戦慄ッ!猫ちゃんズの「飼い主」がずっと以前から露伴邸を見張っており、さっきの森の中でも実は一緒にいた。そいつが「溶岩」を奪いに来たのだと、ジョディオは直感。そして、「警告」のために猫ちゃんズの死体を見せ付けたのです。つまり、黙っておとなしく「溶岩」を渡せ。さもなくば死ぬ事になるぞ、と。そんなメッセージなのです。
いよいよ明確な敵が登場し、物語が加速していく期待が高まりますね。誰にも気付かれずに見張り、さらに猫ちゃんズの死体をいつの間にか袋に入れていた。そんな芸当が可能なヤツの正体を考えると、「岩人間」の線もけっこう濃いんじゃないかと思っちゃいます。ここまでもったいぶって普通の人間のスタンド使いってオチなら、少々物足りなさというか、肩透かしな気がしちゃいますもん。いや……、無論、その敵のビジュアルや性格、動機、能力がスゴけりゃ、何だって納得させられるんですけどね!
なんか「溶岩」を取り戻しに来るだの、アオリ文では「返せ。」だの言われてますが、そもそもお前の物だったんかい!?って感じ。実は露伴がそいつから奪い取った物だったとしたら、全面的に露伴の責任だわな(笑)。


★今月は39ページ!ページ数こそ少ないけれど、4人がワチャワチャやってるのを見てるだけで最高に楽しかったです。マジでこのチーム好き。前回の活躍により、ウサギ先輩もチームの一員として認められ、みんなの態度も軟化。だいぶ打ち解けてるっぽくて、ウサギ先輩推しとしては嬉しい限りですよ。
作者コメントは「実写露伴の加地邸に行ってきました。やっても良いというので漫画は描かなかったけれど料理してきましたよ。」との事。1泊35万円ほどもする葉山加地邸。一般庶民ならともかく、荒木先生なら余裕で泊まれるでしょうし、それがまたサマになりそう。次号の「JOJO magazine」あたりで特集してほしいな~。それとも完全プライベートかな?
……残念ながら、来月は休載です。ダブルの大ピンチという超いいところでお預けかよ~。まっ、2ヶ月間、考察を深めつつ待ちたいと思います。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 10月号(2023年)
250・251ページ


今月は、時計店の前に佇むチーム4人の見開き。ストーリー上、絶対必要なコマってワケじゃないんですが、視界に入った瞬間のインパクトたるや絶大です。最高にCOOL!!
4人のスタイリッシュさといい、それぞれにまったく異なる個性といい、非の打ち所がない。4人をしっかり描きながらも、次なる舞台となる時計店に読者の視線が誘導される構図になっていて、これまたお見事なのです。ちなみに、時計店の隣の「LLC」は、「LUCKY LAND COMMUNICATIONS」の略ですね(笑)。




(2023年9月19日)




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