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パコ… ねえ… 心を決めなよ…………
どっちかハッキリと決めなくては 進めない時がある


#009 溶岩の持ち主





●待ちに待った2ヶ月ぶりの「ジョジョランズ」です!今回のトビラ絵は、「溶岩」入りペンダントを手に持つドラゴナ。ビシッっと決まった1枚絵というより、普通のコマの1つみたいな。事実、丸コマになってる。
掲載も2ヶ月ぶりだし、恐らくこの話からコミックス3巻スタートだと思うんで、ストーリーをド忘れしちゃった読者に「あ、そういやドラゴナがピンチだったっけ」と思い出してもらおうという荒木先生の配慮なのかもしれませんね。


●ドラゴナ・ウサギ先輩組はもちろん、ジョディオ・パコ組も大ピンチの現状。しかし、そんな時にジョディオに、母:バーバラ・アンから電話が掛かって来ました。ドラゴナに掛けても出ないので、ジョディオに掛けたようです。
ついさっきヤバい物を目にして戦慄しまくりだろうに、そんな事はおくびにも出さず、冷静にいつも通り接するジョディオ。にしても、さすがに母の安全のために犯罪やってるだけあって、親子仲はとても良さそうですね。サイコパスの犯罪者とは思えないほど、ジョディオもごくごく普通の男の子に見える。しかし、バーバラ・アンはパコの事は好ましく思ってないらしく、一緒に遊ぶのはやめるよう息子に忠告。彼の空白の1年も、刑務所的な所にいたんじゃないかと噂されているみたいです。まぁ、パコは漫画のキャラとしては大好きだけど、リアルではあまり関わりたくはないよなぁ(笑)。
で、肝心の要件は、今晩の夕食のメニューは何が良いか。息子達の状況も知らず、実にお気楽ですな。でも、ここで「チキンブリトー」というワードを出して、ジョディオに迫る危機にさりげなく繋げてくる荒木先生の手腕よ。パコが持って来たチキンブリトーの袋が映ります。その中には、猫ちゃんズの惨殺死体……ッ!


●母からの電話を切ると、パコと共に激ヤバな現況を整理。パコはこれがマフィアの手口だとビビッてます。自分の掟だけをほのめかして脅して来る。社会の一切の価値観を無視し、猫ちゃんズの飼い主だってのに愛情を少しも持っていない。そんなマフィアにも劣るクソ野郎に、ずっと見張られていたのです。自分達だけじゃなく、特に露伴はずっと……。では、あの「溶岩」はそもそも「飼い主」のモノだったのか?
ジョディオはふと、露伴のiPadの中にあった「地図」の存在を思い出しました。あの時はスルーしていたものの、あれはハワイ島のどこかの山岳地帯だった、と。もしかすると、その場所は「溶岩」のルーツに関わる重要な場所?「飼い主」を撃破したら、次はここに向かうのかな。このコマに描かれている地図をざっと見た感じ、なんとなくマウナ・ロア山あたりなのかな~っと予想。よくよく調べてみると、マウナ・ロアは世界最大の活火山らしいし、ちょうど2022年11月27日に38年ぶりに噴火したようなので、場所やタイミング的に相応しい雰囲気もありますね。
「自分達の狙いはダイヤだけ」 「手に余る「溶岩」は返した方がいい」なんてビクついた事を言い出し、すっかり迷って後ろ向きなパコ。しかしジョディオは、「心を決めなよ」とクールに言い放ちます。「どっちかハッキリと決めなくては 進めない時がある」、と。くぅ~っ、ジョディオってカッケーなー!


●ジョディオは確信めいたように語り始めます。あの「溶岩」は露伴が見付けた物であって、「飼い主」の物ではない。露伴は「溶岩」を調べている途中だった。そんな露伴をずっと見張っていたのは、「飼い主」も「溶岩」について何も知らないから。露伴を通じて「溶岩」の事を詳しく知ろうと考えていたっぽい。なるほど、理屈は通ってる。あの露伴なら、放っておいても勝手に色々調べまくって、すぐ核心に辿り着いてくれそうだもんね。それを知ってから奪えばいい、って事ね。そこにジョディオ達がやって来ちゃった、ってワケだ。
「こいつらのモノなんかじゃあない」 「それなのに『返せ』とか オレたちをなめるなよ」。「飼い主」への怒りすら燃やし、至極真っ当な主張をするジョディオ。露伴に警告した「もし飛行機に乗れなかったら「溶岩」を叩き割って海に捨てる」という言葉……、それは「飼い主」にとっても同じ意味を持つため、そう簡単には手を出してこれないはず。しかしながら、この「溶岩」を失うという事は、ダイヤも一緒に失うという事でもあります。ましてや、こいつがマフィアなのだとすれば、そもそもジョディオ達を生かしておく気など初めから無い。家に帰るまでに殺る気満々でしょう。つまり、「溶岩」を返そうが返すまいが、もうどのみち殺し合いは避けられないワケです。向こうは今、虎視眈々と殺る機を窺っているワケです。
ジョディオはパコに告げます。オレたちはもう、立ち位置としてただのケチな空巣や売人なんかじゃない。心を決めなきゃ、もう前には進めない。……う~ん、自分の置かれた状況をキッチリ把握できてるジョディオがさすがだなぁ。自分にとって不利な事さえも「事実」として受け入れた上で、速攻で覚悟を決められる胆力ッ!あくまでも前に進み、上を目指そうとする野心ッ!魅力的な主人公ですわ。


●さて一方、時計店のドラゴナ&ウサギ先輩はと言うと。腕時計窃盗の疑いを掛けられ、荷物チェック中。ウサギ先輩のリュックやポッケの中の物が、ズラリと並べられております。腕時計はどこにも無く、怪しい物も特に無し。でも、触れておきたいポイントはありますね。あのお守り、荒木先生がデザインした「和の守り」じゃないっスか!(⇒これ) 先輩ってば、露伴の事はロクに知らなくても、荒木先生のファンではあったのか!?そして、リュックにはいつの間にやらワインの瓶が2本。思わずドラゴナもツッコミ入れてますが、露伴邸からくすねて来たのはキャビアだけじゃなかったんかい!油断も隙もないやっちゃな。
ドラゴナの荷物にも腕時計は見当たらず、店員さんやガードマン達が慌てて周囲を調べています。ドラゴナ達自身も腕時計の行方は分かってません。いよいよ露骨にイラ立ちを隠さなくなった店員さん、警察に通報!……と思いきや、ドラゴナ達が必死の抗議。ただソファに座ってただけなのに、人権もなく容疑者扱いして監禁してる。逆に警察に訴えてやる、と。結局、まずは監視カメラの映像を確認する事に。ドラゴナ達としても、むしろちゃんと見ておきたい映像なので望むところ。
テーブル真上のカメラ映像では、店員さん……もとい、店長さんの肩が死角になってて、腕時計消失の瞬間は見られず。そこで別角度からの映像を確認したところ……、なんと、ドラゴナの右腕のブレスレットに腕時計が引っ掛かっているじゃありませんか!まったく心当たりが無いドラゴナ、驚愕です。その上、胸の谷間に腕時計の実物を発見ッ!『スムース・オペレイターズ』が腕時計を持っていて、胸のペンダントのポケットにある「溶岩」の場所までこっそり運んで来た模様。そんな行動の記憶も、スタンドを使った覚えも無いのに。即ち、これは無意識下の行動。露伴邸でダイヤがいつの間にかコップの中に入ったりしてたのも、実は同じように、ドラゴナ自身の無意識の行動ゆえだったのです!


●第1話の変態ポリスメンよろしく、今度はガードマン達がドラゴナをボディチェック!つくづくそういう役回りなのね(笑)。ところが、ペンダントを調べられても、さっきまであったはずの腕時計はまたまた見当たらず。ワーワーやってる皆様に、ウサギ先輩が冷静に割り込んで、とんでもない事実を伝えて来ました。腕時計はなんと、店長さんの靴紐に引っ掛かっちゃっていたのです!しかも、拾おうとしても、何故かツルツル滑って行って大わらわ。
結果、ドラゴナ達への疑いは晴れ、店長さんやガードマン達も涙ながらに平謝りです。ここでも再び腕時計は床に落っこちて滑りまくり。ピカピカ過ぎて活きが良い!……その様子を見て、ドラゴナは少し分かりかけてきました。あんな風に腕時計が滑って、みんながアタフタする風景がなんとなく続き、時間は掛かるかもしれないけれど、いつかそのうち何かのドサクサで「溶岩」の所に戻って来る。カネ目のモノが、人の「感情」や「繋がり」を介して戻って来る。奪われた者は、奪われた事にすら気付けないんだろうなぁ。人の無意識に作用して、って事は……、もはやこの世の「理」「メカニズム」を利用しているに等しいですよね。いや、やはりこの「溶岩」こそが「メカニズム」そのものなのか。そして、あの腕時計の値段は「10万ドル」と明かされたので、あの4本の中で最高級って事も判明。カネ目のモノであればなんでもかんでも無差別にってワケじゃなく、より高価な物を優先的に引き寄せるのかも。
こうして、2人のショッピングは無事に終了。ウサギ先輩もドラゴナと一緒で楽しかったみたい。完全にデート気分だな(笑)。ま、先輩も言う通り、「溶岩」が大切に扱うべきモノである事は間違いないですね。


●店の外では、ジョディオ&パコが周囲を警戒中。「溶岩」を持つドラゴナ達を呼び戻さなくては。そんな話をしていたところ、そこに「お待たせぇ」とのんきこいて現れたのはパコ。……えっ?チキンブリトーが売り切れてたもんで、別の店でアワビを焼いてもらってて時間が掛かっちゃったようです。……えっ?ここでパコと話してたのに、向こうからパコ?……えっ!?
時間が戻ったとか、別の世界線とか、混乱して色々考えちゃいましたが……、答えは超シンプル。今まで話していたパコは偽物だったのです!ジョディオが振り向くと、パコの体の表面がパラパラと崩れ落ちているじゃないの!パコに変身して成りすましていたのは、恐らく「飼い主」その人ッ!どうやら、おとなしく「溶岩」を諦めていれば、見逃してくれていたっぽい。だからこそ、遠回しに脅しを掛けて来たんでしょうね。ただ殺すだけなら、余計な事はせずにさっさと殺ってたろうし。ジョディオが前のめりすぎて思い切りが良すぎたばかりに、そのチャンスも棒に振ってしまったようです(笑)。まぁ、みすみす「溶岩」を手放す選択肢なんて無いから同じ事だけど。偽パコは隠し持っていたナイフで、すかさずジョディオの首を切る!ジョディオが流血し倒れる!恐るべき奇襲は、前回からすでに始まっていたのでした。
いやいやいやいや、この展開にはビックリさせられました。ありがちっちゃありがちなのに、荒木先生の描写によって、かなりゾッとする展開になった。ついさっき初めて見た相手なのに、ここまでまんまと成り切れるのはちょっと怖いぞ。観察力と演技力がパネェ。しかも、自分の行いが他人にどう見られてどう思われるのかも分かってるからこその、あの偽パコのセリフだもんね。あまりにも自分自身を客観視できちゃってるのも怖い。ただ……、ナイフで物理攻撃して来た以上、「飼い主」の能力はあくまで変身でしかないのかも。そこが狙い目か?


★今月は43ページ!2つの局面が楽しめました!ドラゴナに早いとこ、ジョディオの首の傷を別の物に「スライド」でもさせて助けてほしいところですが、「ジョジョ」の場合、あれでもカスリ傷の可能性高そうだからな(笑)。さほど心配はいらんかな。それにしても、あの「飼い主」、ますます「岩生物」「岩人間」っぽくない?カネを欲するとか、愛情や倫理観が欠如してるとか、他人に成りすますとかもそうだし……、体表がパラパラポロポロ崩れる様は、康穂を襲った「髪留め」の描写にそっくりだし……。ひょっとすると、ひょっとするかもなぁ。
作者コメントは「仕事場まで徒歩通勤してるのだけれど職質されるんだよねェ。財布に何入ってるの?とか?60歳過ぎて職質される?」との事。もしや……、警察の中にも荒木ファンが大勢いて、職質にかこつけて先生に近付いてるのか?(笑)
そして、最終ページっつーか裏表紙の裏(?)には、12月19日発売「JOJO magazine」2023 WINTERのカバーイラストがお目見えッ!うおおおッ、超美麗ッ!前号は歴代ジョジョ8人でしたが、それを受けてか、今号は9代目ジョジョであるジョディオの独壇場ッ!ずっとブルー基調だったけど、これはエメラルドグリーン基調になってるのも嬉しい。背景のオレンジとのバランスが素晴らしい。『ノーヴェンバー・レイン』も記念すべき初カラーですね。「雨」の能力が効果線や色を使って表現されるので、なんかメッチャ映えます。生命力に溢れた絵で、見てるこっちの命も喜んでますわ!ウルジャン来月号は表紙も飾ってくれるそうなので、このカバーイラストやコミックス2巻との連作になるのかな?楽しみだッ!!





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 12月号(2023年)
100ページ


今月は、「溶岩」についてちょっぴり理解を深めたドラゴナの1コマ。無論、パコが偽物と分かるコマの衝撃は凄まじかったんで、確かにそれも捨て難かった。でもね、ドラゴナちゃんのキュートさには敵わなかったよ。
横アングルだからか、ドラゴナのボディーラインがハッキリ分かってSEXYなんですよね。背中 - 腰 - ヒップにかけての滑らかな曲線がね、イイんですよ。このお尻の、張りがあって、かつ柔らかそうなのが最高でしょ。荒木先生の並々ならぬこだわりが感じられます。……などと、変態ポリスメンの同志みたいな事を思ったとさ。




(2023年11月17日)




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