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「吉良吉影」
それが
あなたの名前


#002 Who am I?





●トビラ絵は、キッチリとオシャレなファッションに身を包んだ主人公くん。さすがに全裸に帽子という、不埒な変態スタイルではありません。海沿いの岸壁らしき場所で、堂々たる仁王ヒザ立ちを決めてくれています。左肩の上には、例の「星のアザ」ならぬ「星の泡」が浮遊中。第1話では何とも掴み所のない雰囲気でしたが、こうして見ると実にカッコイイじゃないですか。8代目ジョジョに相応しき佇まいですよ。
んで、1つ気になったのは、セーラー服のデザイン。両肩のピースマークとハートマークが描かれていないし、両胸下のイカリとコンパスも布っぽい質感になってます。てっきり金属的なアクセサリーかと思いきや、もしやプリントかアップリケ?まあ、どうでもいいっちゃいいんですがね。本編で描かれる時は、また微妙に変わってるかもだし。


●さて、本編は主人公くんのモノローグから始まります。第1話では、彼の心理描写どころかセリフ自体もほとんどなかったので、ようやく彼のパーソナリティーが覗けそう。病室でお休み中の彼は、自分自身の存在について考え出してます。自分の名前も、今いる場所も、どこから来たのかも何も分からない。ナースを見ても、どういう人達なのか意味を理解できず、「白い服の人」くらいにしか思ってない様子。また、院内を歩く幼い姉妹と母親を見ても、同じ服を着ていたせいか、同じ人物がどんどん大きくなっていると勘違い(笑)。記憶がないため、人間としての常識すら危うい状態です。
ところが、何も思い出せないくせに、どうでもいい知識だけはやたらと豊富である事が発覚!窓から見える鳥や蝶や木々の名前を完璧に知ってました。その上、なんと一目見ただけで、そのものの大きさを測れるっぽい。根拠はないけど、これはスタンド能力とは無関係の、彼の特技なのだろうと思います。自然や動植物に詳しく、大きさや距離を測る事が身に染み付いている。記憶を失う以前は、ハンターでもやってたんでしょうか?


●そこに康穂ちゃんが御登場。主人公くんの見立てでは、彼女の身長は166cmらしい。女の子の中では、ちょっと高めの身長ですかね。「ジョジョ」に出るだけあって、ナイス・プロポーション。
康穂が病室を覗くと、ベッドの上には主人公くんの姿は無し。不思議に思ってキョロキョロ捜すと、なんと主人公くんはベッドのマットの下に挟まって寝ていたのでした(笑)。第1話冒頭と同じように、またもや康穂は超ビックリ!そんな元気な彼女を見て、彼もニコッとスキっ歯を出しながら微笑みます。康穂の冷静なツッコミにより、やっとベッドの上で寝るものなのだという事実を知る主人公くん。でも、「その場合、どうやって体を圧迫させればいいのか」と訊ねるあたり、彼も圧迫祭りの才能がありそうです。前回は土に埋まってたけど、まさか自分で土中圧迫祭りを開催してただけなのではないかという疑惑も浮上してきますな。


●康穂は常秀のお見舞いついでに、主人公くんの部屋にも寄ったのだとか。お土産まで持参です。彼女が語るには、常秀と康穂は幼馴染みで、大学も同じなのだそう。社会性ゼロの人しかいない社会学部の1年生らしい(笑)。常秀はあれから丸2日間も眠りっぱなしだったため(今はもう目覚めた)、主人公くんの事も心配になり、お見舞いに来てくれたみたいです。さすがは広瀬の名を冠するだけあり、普通にお人好し。
そして、ズルズルとマットから這い出す主人公くん。ズボンがマットに挟まって脱げ、おケツ丸出しに。その光景により、康穂の脳裏には再び2×2が過ぎります。目をギュッとつぶって「う〜」「う〜」うなり、壁にゴンゴン頭をぶつける彼女(笑)。「袋が……」とブツブツ呟いているので、玉袋そのものが2セットあったんでしょうね。
主人公くんはそんな康穂をよそに、お土産の「ごま蜜団子」に興味を示します。杜王町名物の創業明治36年。ひと口サイズの餅の中に、蜜のようなごまや枝豆やクリームが入っている美味しいお菓子。これは岩手県の菓匠「松栄堂」さんの「ごま摺り団子」が元ネタみたいですね。同じ被災地である岩手へのエールでもあるのかもしれません。その素晴らしきお味、主人公くんも相当お気に入りの様子。でも、奥歯で噛まないと蜜が飛び出てしまうと康穂が繰り返し注意したのに、主人公くんは前歯で噛んで大変な事態に(笑)。康穂も大笑い。主人公くんは記憶がないせいか、すごく純粋で子どもっぽい感じで好感が持てるなあ。


●康穂は改めて主人公くんの素性について訊ねます。彼は震災での行方不明者かもしれないとの事で、捜索者願いや歯の治療痕、指紋等を調べられているようです。しかし、それでも全然分からず、彼を捜している人を捜している状態らしい。
彼は何故か、自分自身に関する記憶だけがスッポリ失われており、それ以外の記憶や知識は割と残っているみたいです。歴史上の人物は憶えているのに、家族や友人の事は何も憶えていない。この世界で知っている人は、康穂ただ1人。自分の置かれた状況に不安も感じているのでしょうか。主人公くんはすがるように、康穂をそっと抱き締めます。けど、彼の股間のBOYは思わず元気いっぱいになり、BOYが当たっちゃった康穂も赤くなってます。いくら落ち込んだ心境であっても、可愛い女の子とくっ付いていれば自ずとBOYが天を仰ぐ。それはいつの世も変わらぬ、男の悲しきサガなのです。致し方ない事です。ウルジャンで連載スタートした初の「ジョジョ」なので、やっぱ今までよりちょっとセクシャルですね〜。
……で、康穂が気付いたのは彼の帽子。彼女はこの帽子を知っているらしく、杜王町にもショップがあるとの事。買った本人は憶えていなくても、売った方は憶えているかもしれない。主人公くんは現在、常秀への傷害容疑を掛けられており、警官が病室を見張っていました。殺されかけたのはこっちだってのに、とんだとばっちり。いい迷惑ですな。そんなワケだから、康穂が彼の帽子を写メって、ショップに聞きに行くと言います。しかし、主人公くんは自分も行くと決意!他ならぬ自分の事。自分の目と耳で確かめたい。


●病室の外に座る女性警官を目視し、主人公くんは様々な距離や時間を瞬時に測ります。そして計算が終了したのか、「星の泡」を警官に向けて発射!どうやら主人公くん、自身のスタンド能力は理解した上で使っている模様。「星の泡」は警官に当たるとパチンと弾け、次の瞬間、警官の肉体には無数の小さい穴が空きました。蓮コラ画像や『バッド・カンパニー』にやられた億泰っぽくてキモイ。その穴からは、彼女の肉体の水分がどんどん流れていきます。すると、ノドが渇いた彼女は席を立ち、近くの浄水器へ移動。水を飲みまくります。その隙に、2人は堂々と病室から脱出!
「星の泡」が触れたモノを「泡」のように変化させ……、そんでまあ、色々するって能力なのでしょう。直接的・肉体的なダメージは与えられないけど、目玉を泡にして弾けば一定時間は視覚を封じられる。今回のように、皮膚を泡化させ、弾けた跡の穴から水分を垂れ流させる事も可能。ゆくゆくは、自分の肉体を泡化させ、分離したり飛ばしたりも出来そうですね。泡化させる事で、別のモノを混ぜ合わせたりとかも出来るかな?応用の利きそうな能力です。
何が起きたのかサッパリの康穂に、「君は何も出来ないのか?」と不思議そうな主人公くん。彼自身は、この能力をごく自然なものとして使っているみたいです。でも、「壁の目」以前の記憶が無いのだから、この能力は発現したても同然のはず。本能的に自分の能力を理解したのでしょうか?
あと、どうでもいいけど、康穂のバストは86cmのようですよ。う〜む、なかなかのものをお持ちで。詰めものしてるらしいので、実際はもうちょい小さいサイズっぽいですが、私的には一切問題ありません。つーか、主人公くんがそれを言い当てるシーンって必要あったの?何かの布石かと思ったら何もなかった(笑)。……でも、ナイス情報です。


●2人仲良くお出掛けする康穂と主人公くん。その姿を病室の窓から見つめるのは、噂の常秀くんでした。また嫉妬に狂い、ブツブツ言ってます。しかも、彼の左足のヒザには、なんと謎の歯形がッ!そうです。主人公くんの「星のアザ」周囲に付いている歯形と同じものが、今度は常秀にも!その歯形の傷のせいで、彼は眩暈と高熱の症状が出始めました。こうなってくると、歯形の意味が少し理解できてきます。この歯形はスタンド能力を目覚めさせるものなのでしょうね。「矢」や「悪魔の手のひら」、「聖なる遺体」のような存在。
問題は、「じゃあ誰の歯形なのか?」って事です。恐らく「壁の目」に深く関係する何者か、なんでしょうけど。私的には、以前から予想している「妖怪」の類であってほしい気持ちはあります。ただ、そもそも本当に歯形なのかどうかさえ不明ですしね。まだまだ謎だらけ。「壁の目」や「呪い」というものの根本に関わる秘密が鍵を握っているはず。康穂も第1話冒頭で眩暈を起こしていたので、スタンド使いになりそうだし。気になるなあ……。
常秀は激悪な体調なのに、康穂からもらった「ごま蜜団子」の事で頭がいっぱい。主人公くんより多くもらった事で喜び、「大切に食べるんだ」と言いながら、ベッドに倒れます。クセの強い性格だけど、根はそう悪いヤツでもないと思うんだよね。目覚めたらスタンド使いになってて、康穂を巡って主人公くんと戦うけど、次第にお互いに認め合い、やがてはナイス・コンビになってくれると期待してます。彼の再登場の時を待ちましょう。


●病院を抜け出し、町を歩き、辿り着いたのは帽子屋「SBR」。店内には多種多様な帽子が上品に飾られています。その中には、主人公くんが被っているものと同じ帽子も。ついでに、ジャイロやジョニィ、承太郎の帽子まで売ってますよ(笑)。品揃え良すぎ。この店、1891年開業らしいので、やっぱ第7部の「SBR」と関係あるんだろうな。10億円をGETしたスループ・ジョン・Bあたりが、その賞金を元手に速攻で帽子屋を始めて、それが世界的なブランドになったのかもしれんね。レースで活躍した選手達と同じ帽子なら売れそうだし。……とか考えたりして。まあ、「ジョジョリオン」的にはただの小ネタですが、色々と想像できて面白いです。
ともあれ、康穂は店のおっさんに聞き込み開始。すると、なんとあっさり主人公くんの名前が判明しました!やはり彼はこの店で帽子を買ったらしく、しかもそれはつい3日前との事。帽子の注文書から判明した彼の名は……、吉良 吉影ッ!!こいつはマジでビックラこきました。この衝撃はまさしく、10数年前に「デッドマンズ・Q」を初めて読んだ時と同じ衝撃!思えば、勃起しちゃったり記憶を失ったりするのも吉良っぽいし、そもそもお店でのこのシチュエーション自体も「靴のムカデ屋」を彷彿させるし、納得と言えば納得。大きさや距離を測るのも、4部のラストバトルで吉良がやってたな。「爆弾」の能力も、「弾ける玉」=「泡」になった?
でも、主人公が吉良吉影って……。本当にいいのか、それ?この世界では「SBR」からの120年の間に、ジョースターの血筋がどっかで吉良家と混ざっちゃったのでしょうか?それとも、実は吉良ではなく、まだ何かの謎があったり?まあ、便宜的にも、当面は「吉良くん」と仮称する事にします。


●名前を突き止めた2人は、今度は住所を調査!康穂は店のおっさんにカマかけて、まんまと情報GET!逞しいなあ。住所は杜王町258番地204。康穂がiPhoneで調べると、そこは「つつじヶ丘」という名の、一人暮らし用っぽいマンションでした。さっそく向かう2人。その道すがら、康穂はもし吉良くんの名前がなかなか分からなかった時のため、ニックネームを考えていたと話します。その名はジョースケ。彼女が昔飼っていた愛犬と同じ名前。顔がちょっと似てるようです。「そう呼びたかったわ」と彼女。やはり本名は吉良吉影ではなく、結局、当分はジョースケと呼ばれるって展開になるのかも。ジョースケと常秀で「ジョジョ」コンビ結成か?
マンション「つつじヶ丘」に到着。つつじヶ丘と言えば、仙台市宮城野区榴ヶ岡。杜王町ならむしろ「ぶどうヶ丘」でしょうに、これまた仙台をより強くイメージさせるネーミングにしてきましたね。ほんの3日前まで自分が住んでいたであろう場所。ここで生活していた自分の姿を思い浮かべます。何とか部屋に入る手段はないものかと、吉良くんは思案。すると、康穂は204号室のドアの上を探し始めました。そんな所に合鍵なんて隠してるワケないだろ、とツッコんだその時、康穂は合鍵を発見。自分の不用心さに驚き、愕然とする吉良くん(笑)。
部屋に入ると、そこには生活の跡が確かに残されていました。靴も服も吉良くんにピッタリ。ここが吉良くんの家で間違いなさそうです。セーラー服もハンガーに掛けられてます。……と、その時!奥の部屋から物音がッ!見れば、何者かの影がモゾモゾと蠢いているじゃありませんか。一体、その影の主は何者なのか?吉良くんの記憶に関わる者なのか?


★今月は47ページ!めっさ楽しかった!なんと言いましょうか……。「杜王町に帰って来た〜!」って気持ちになれました。第1話はとにかく謎、謎、謎の連続でしたが、今回はようやく主人公が動き出してくれたからなあ。吉良くんの天然っぷりや康穂の可愛らしさ、そしてこの2人のやり取りが杜王町の空気を感じさせてくれました。絵柄も違えば、時代も世界すらも違うけれど、でもやっぱり杜王町は杜王町ですよ。5部以降はシリアスな部が続いてたから、この穏やかで緩くてヘンテコな空気がとても懐かしいし、嬉しかったです。
はてさて、吉良くんの家にいたのは何者なのか?とりあえず3つの予想。1つ目は、歯形の主説。「壁の目」から出現した「妖怪」が、すでに吉良くんをターゲットにロックオンしており、彼の家に侵入したのです。ここでさっそくのバトル展開!吉良くんのスタンドの初お目見えです。戦うべき敵、そして「呪い」の意味も語られます。2つ目は、本物の吉良吉影説。主人公くんは実は吉良ではなく、たまたま同じ体型と同じ帽子の趣味の吉良吉影なる人物が別にいたのです。つまり、帽子屋のおっさんのミス。4部でラスボスだった吉良が、8部では最初の敵になるという展開。いや、そもそも戦いすらしないかもしれないし。それで本名は分からずじまいになり、ジョースケと呼ばれると。そして3つ目は、監禁された女性説。実は吉良くんは本当に吉良吉影で、記憶喪失以前は悪人だったのです。特殊な性癖ゆえ、好みの女性を誘拐・監禁していた犯罪者。吉良くんはそんな呪われた自分を知る事に恐怖を抱くのです。康穂も吉良くんの気持ちを察し、「吉良吉影」ではなく「ジョースケ」として新しい人生を歩むように諭すのです。しかし、徐々に戻るかつての記憶。自分自身との戦いがメインになりそう。――他に何かグッドな予想が思い付けば、また追記したいと思います。
作者コメントは「新書の〔奇妙なホラー映画論〕、初代担当・椛島氏との久々のお仕事でした。」との事。「荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論」、もちろん私もすでに購入済みでございます。じっくりと読ませていただきます。どんな視点や感性で先生が「恐怖」を見つめているのか、スゲー興味ありますよ。読むのが楽しみです。



(追記)
●吉良くんの家にいたのは何者なのか?1つ目の歯形の主説と、前回までの予想・妄想とを合わせて考えてみました。
まず、奥の部屋にいるのは「妖怪」と予想します。「妖怪」と表現するほかないような、奇妙な風貌のバケモノがいるのです。それを見て、吉良くんは「何だ、これ?オレも知らない生き物だ」と驚き、「ヤスホは知ってる?」とのんきに問い掛けます。ところが、康穂の目には映らない。吉良くんが何を訊いているのか、さっぱり理解できません。すると突然、妖怪は彼らに襲い掛かってきます。ワケも分からぬままにバトル開始!その戦いの中で康穂は妖怪に噛み付かれてしまい、そして、吉良くんのスタンドが完全に発現するのです。
そもそも「妖怪」とは何なのか?実は、古来より「人の悪意「恨みの念」を集め、封じ込める装置として機能していたのが「壁の目」。ところが、大震災の影響でブッ壊れてしまい、逆にそれらを撒き散らし始めました。これら人の心が生み出した負のエネルギーが凝り固まり、形と意思を持つ存在と化したのが「妖怪」なのです。「悪意」から生まれただけあって、人間の困ったり怒ったり悲しんだり憎んだり……といった思念が増えるほど、「妖怪」は元気ハツラツに。ヤツらは人を殺す事は目的とせず、なるべく生かして「悪意」を抱かせるために行動する迷惑極まりない存在。そして、生物や自然物と一体となる事で「実体」を持ち、より邪悪で不思議な能力(=「呪い」)を発揮するのです。
「妖怪」は、人間に噛み付くと、そのまま体内に侵入!そして噛まれた人間は、次の3つの道のうち、いずれかを歩む事となります。1つ目は「死」への道。「妖怪」の持つ負のエネルギーに、肉体も精神も絶えられなかったケースです。2つ目は「妖怪」と化す道。負のエネルギーに侵され、「妖怪」に取り憑かれてしまったケース。善のタガが外され、濃厚な「悪意」でもって、その「呪い」の力を行使してきます。(ただし、「妖怪」さえ倒せれば、取り憑かれた人間も元に戻れる。)3つ目は「スタンド使い」になる道。病原体に対する抗体のように、「妖怪」に打ち勝つための清い力を目醒めさせたケース。――要するに「妖怪」とは、「矢」がもっと厄介になった感じの役割なんですね。
死と悪意がどんどん蔓延していく、恐るべき「呪い」。大震災後の杜王町は、まさに最大の苦境と絶望の渦中にあるのです。しかし、そんな暗闇を打ち消す事が出来るのが、選ばれた者だけが持つ「スタンド」という力。「妖怪」とスタンドはかなり近い存在で、スタンド使いは「実体」を持たない「妖怪」も見る事が出来るし、スタンドなら「妖怪」だけにダメージを与えられるのです。冒険や挑戦を描いた「SBR」では「立ち向かうもの」と解釈されましたが、「ジョジョリオン」でのスタンドは「立ち上がるもの」と再解釈されるでしょう。どんな苦難に襲われようと、何度倒れようと、再び立ち上がる人間の強く清らかな力なのです。
荒木先生は「妖怪」を取材するために遠野にまで行ったくらいですし、マンガの題材として「六壁坂」だけで使うのももったいないし、杜王町にフィットする感じもあるので、個人的には是非とも「妖怪」モノで展開してほしいなと思ってます。


●続いて、吉良くんの名前と記憶について。「吉良吉影」というショッキングな名前を披露してくれた、我らが主人公・吉良くん。果たして、本名なのか偽名なのか?現時点では、どちらもあり得るでしょうし、どちらでも面白くなり得ると思います。ただ、あまりにも超ド直球なネーミングの上、なんかまぎらわしくなりそうなので、ここは偽名というスタンスで考えてみました。
まず、あの204号室には、吉良くんにサイズもセンスもピッタリの服や靴がありました。きっと、あの部屋が吉良くんの家で間違いないのでしょう。とすると、困った問題が……。自宅なら、身分を証明する物がわんさとあるはず。万一なくったって、マンションの近隣住人やら管理人やらが知ってるでしょうし、マンションの契約書とかだってあるはず。物語的に、本名を隠し通すにはちょいと無理がある。じゃあ、もう吉良吉影でいいんじゃねーかってな所ですが、そこはさらなる妄想で乗り超えますッ!
実は吉良くん、単純に記憶を失ったワケではなかったのです。「記憶」ではなく、「過去」そのものが空白になっているのです。つまり、「名前を思い出せない」のではなく、「名前を付けられたという過去が無くなった」のですよ。吉良くんに3日前より以前の記憶がないという事は、3日前より以前の彼を知る者も誰もいないという事。「誰かと関わり、接した」という「過去」が失われているのですから。よって、いくら家を探し回っても、彼の本名に繋がる物は存在しないのです。いや……、「過去」からの連続で「今」があるんだから、「過去」が消滅したら存在できなくなっちゃいます。実際は存在してるんだけど認識できなくなっている状態、という方が正しいのかな。
ところが、3日前より以前の吉良くんを知っている人物が1人います。そう、帽子屋「SBR」のおっさんです。何故か?……おっさんこそが、吉良くんの「過去」を奪った張本人だから。「壁の目」近辺で「妖怪」に噛まれ、彼は「妖怪」化してしまっていたのです。そして3日前、帽子を受け取りに来る吉良くんを誘い込んだのか、はたまた偶然にも「壁の目」で出食わしたのかは謎ですが、とにかくおっさんは吉良くんを襲いました。おっさんの「呪い」により、吉良くんの「過去」を失わせたのです。(ちなみに、その「過去」が結晶化した物が、吉良くんの4つの金玉のうちの2つ。)
この「呪い」を解く鍵が、「本当の名前」。おっさんが吉良くんの本名を喋る事こそ、能力を解除する条件なのです。だから、康穂に訊かれた時に「吉良吉影」という嘘の名前を教えたんですね。ただ、康穂の「過去」も奪おうと目論むおっさんは、吉良くんの住所を教えました。それにより、吉良くんと康穂だけは204号室を認識できるようになります。そしておっさんは、誰も知らない204号室に子分を先回りさせたのでした。子分と戦ってる隙に襲おうって魂胆です。んで、ついにバトル勃発!でも、今回は結局、おっさんには逃げられるでしょう。
「吉良吉影」という名は、2ヶ月前に吉良くんと同じ帽子を買った人の名前とかかもしれないし、あるいは、おっさんが好きで読んでた推理小説の殺人鬼の名前とかなのかもしれません。いずれにせよ、その名が本名ではない事を知り、吉良くんは「ジョースケ」くんになるのです。おっさんを倒し、「本当の名前」と「過去」を取り戻すのは中盤くらいまでのお楽しみ。


●オマケとして、吉良くん達のスタンド能力についても、ちょっと予想してみました。
吉良くんのスタンドが「泡化」の能力、という予想は前述した通りです。しかし、杜王町の物語であるなら、やっぱり回復系の能力は主人公に持っていてほしい。というワケで……、ゆくゆくは傷口周囲を泡化させ、無傷の部分と混じり合わせる事で、傷を埋めるなんて芸当も出来るようになると予想しときます。
常秀もスタンドが発現するとしたら、どんな能力か?しつこくてねちっこい性格してそうだから、物質をネバネバにする能力とか(笑)。スタンドや「妖怪」さえも絡め取り、縛り付けてしまう、驚異的なネバネバ具合です。地味に強くていやらしいスタンド。
そして、康穂もスタンドが発現するかもしれません。1話でも2話でもケータイを使う描写があるので、ケータイを活かした能力になりそうな予感。かつてはケータイを持たなかった荒木先生も、今では坂道を泣きながら写メるほどになりましたしね。とは言え、あまり多彩な機能では、何でもアリになって収拾が付かなくなります。せいぜい「写メ」に関する能力って所かな。写メやムービーに撮ったモノを立体映像的に映し出す、とかそんな程度。




(2011年6月17日)
(2011年6月24日:追記)




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