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この家で わたしの「言いつけ」は絶対だ
いいな


#007 東方家の人々





●今月は表紙&巻頭カラー!表紙イラストは、定助と康穂のアップです。2011年10月号の表紙イラストのように、定助が遠くに目を凝らしている絵。康穂は彼のすぐそばに寄り添っています。「SBR」並みにかなりリアルに描写されており、ちょっと怖いかも?セーラー服や帽子、康穂の髪に大胆に使われた水色が目を引きますね。
巻頭カラーの見開きトビラ絵は、東方家の人々が乗った車のボンネットに腰掛ける定助と、その横に立つ康穂。真っ赤な空、黄色い海、紫の大地……と、まさに荒木流カラーリング!そんな中で、モスグリーンの定助がいい感じに目立っててカッコイイ。康穂はピンクで可愛らしいんだけど、何故か微妙にしかめっ面(笑)。かなりお気に入りのイラストです。


●まずは今までのおさらいって意味もあってか、定助の「最初の記憶」の場所に、吉良吉影の死体が埋まっていた事が改めて描かれます。しかし、吉良の手首には謎のマークが……。文字のようでもあるし、人か何かを表す記号のようでもある。これは一体!?
――さて、場面は一転し、定助が東方家に向かう車の中。常秀の親父さんが運転する車に、定助と康穂が乗っています。ガンダムみたいな戦闘ロボのプラモと、鼻水を垂らしたクマちゃんのぬいぐるみ。そのどちらが好きか、親父さんが定助に訊ねます。「どっちかと言えばクマ」と答えると、親父さんは定助をヤンキー呼ばわり。これは一応、心理テストらしく、親父さんが言うには「ヤンキーはフワフワしたものが好き」との事。しかも、言ってもいないのに、定助は靴を脱いで車に乗っていました。ヤンキーにとって、車は「聖域」。そんな親父さんも実は裸足で運転しており、康穂も慌てて靴を脱ぐ(笑)。東方家の車は土足禁止のようですな。
ただ、ヤンキーとは言っても、いいトコの子じゃないとかではなく、そういう生き方や考え方をしているという意味のようです。まあ、単なるひとつの見方。4部の仗助は確かにヤンキーっぽい部分もありましたが、果たして定助にも当てはまるのかな?「なんスか?」って言葉使いは仗助を彷彿させたけど。
あと、親父さんは写真が好きなのか、さっきからしきりに写真を撮ってます。でも、指にレンズがかぶったり、手ブレしたりと、あまり上手くはなさそう(笑)。つーか、運転中に撮影すんな。


●いよいよ車は東方家に到着。身元が判明するか、記憶が蘇るまでは、定助はここで生活する事となります。東方家は相当デカい家らしく、定助の目算では門から玄関まで61メートルもあるそう。それもそのはず。親父さんのひいじいさんは明治の頃、馬による北米大陸横断レースに出場し、2位に入賞したという!その賞金と縁で、外国のフルーツを輸入するようになって、東方家は栄えたのです。そして、親父さんが「東方ふるうつ屋」の4代目である東方 憲助(のりすけ)!やっぱり「ジョジョリオン」の世界は、「SBR」の世界の未来だったんですね〜。
東方家は社会奉仕をして、この国と地域に恩返しをしたい。定助を引き受けたのも、奉仕の精神ゆえ。そうキリッと言い放つ親父さん。ちょっと変な人っぽいけど、気さくでいい人かもしれません。
東方家は「壁の目」のすぐそばに建っており、海岸線すら見える位置にありました。なんかもう、この時点でスタンド使い化フラグがビンビンに立ちまくってますね(汗)。そして定助は、「壁の目」を見たからか、吉良の事を思い返します。吉良には家族もなく、遺灰はどこかの寺に埋葬されるらしい。誰も捜してくれている人がいない自分も家族がいない人間なのかも、と定助。後ろ姿がちょっぴり寂しげです。


●定助が来た記念って事で、親父さんが家族写真を撮る事に。東方だよ、全員集合!
まずはお馴染みの常秀くん(18歳:次男)。康穂が飼ってた犬の名前が「ポン太」とか「ポチ」じゃなくて良かったなと、イヤミを言って大爆笑。お次は長女の鳩(はと)さん。24歳のモデルで、自分が表紙を飾ったファッション誌をわざとらしく見せびらかし、売ろうとしてきます。常秀との「バカ」「ブス」のなじり合いは、なんとも懐かしい気持ちにさせられるぜ……(笑)。二女の大弥(だいや)ちゃん(16歳)も、気配もなく背後にいきなり現れました。プログレッシヴ・ロックのファンで、「イエス」の曲について質問してきます。「イエ〜〜〜〜ス」ってギャグは、彼女なりの自信作なのでしょうか?そして、長男のお嫁さんである密葉(みつば)さん(31歳)と、その子どものつるぎちゃん(2歳:女の子)も登場。ちなみに親父さんは59歳。どいつもコイツも曲者っぽいオーラがムンムンです。ハートにダイヤに三つ葉のクラブ、スペードは「剣」だし……と、女性陣の名前はトランプが由来していますね。
さらには、家政婦さんもいました。その名も虹村さん!22歳の無表情なクール美人さんです。こんな形で「虹村」が登場するとは!名前は何だろう?「万里(まり)」とか「京子(けいこ)」とか?彼女が定助の帽子を預かろうとするも、定助は断固拒否。承太郎みたく、帽子に触られるのもイヤらしい。でも、康穂には普通に取って見せてたから、心を許してるかどうかの違いか。
いざ撮影しようとすると、常秀がダダをこね始めました。いつもセンターで撮っていたのに、今回は定助がセンターだからです。しかも、定助が康穂の手を引いて、一緒に写ろうとするもんだから、ますます常秀は嫉妬の炎をメラメラ燃やしてますよ。しっとマスクに変身できそうな勢いです。そんな常秀くんが兄貴の常敏(じょうびん)がいないと告げると、親父さんは「長男がいないのに家族写真を撮ってもしょうがない」と言って、あっさり撮影中止。全員、さっさとバラけてしまいました。このテンションの寒暖の差が異様で不気味だなあ〜。
親父さんの言葉からすると、長男にかなりの期待を寄せている印象ですね。家族の中心人物的に思ってる?前回の描写からすると、常敏さんはトゲトゲスーツ服を着た怪しい男でしょう。今回は描かれていないけど、新しい家族が来るって時に勝手に出掛けてるあたり、協調性はなさそうです。それと、トランプ由来の女性陣に対し、男性陣は「常」という文字が名前に使われる様子。「常に敏い」。「常に秀でる」。男の子には、いつでも優れた人物であってほしいと願っているのでしょうか。その割に「定助」の名はテキトーに付けてるのもいやらしいな(笑)。


●気を取り直し、今度は家の中へ。車は土禁なのに、家では普通に靴を履いてますよ。アメリカンな家ですな。リビングやキッチンを通り抜け、バスルームの隣が定助の部屋。広くて立派な部屋です。ところが、ここは常秀の部屋であったようで、常秀も大慌て。なるほど、「ごま蜜だんご」の箱が飾られてるのはそーゆー事ね(笑)。他には「コニえもん」(?)とかいう珍妙なマスコットや、スケボーにサッカーボールなんかも。意外と多趣味なヤツなのか。
とにかく、突然の出来事に常秀も大反発。ところが、親父さんはなんと、そんな息子をカネで買収!10万円程の札束をこっそり常秀に渡し、無理矢理ねじ伏せてしまいました。さすがに常秀も戸惑い顔。続いて、親父さんは定助にも接近します。そして、この家で自分の「言いつけ」が絶対である事を告げるのでした。まあ、タダ飯喰らいが増えるワケで、何でも好き勝手にやらせとくのも違うとは思いますが。でも、親父さんの腹黒さが怖いぜ。
親父さんの絶対の「言いつけ」が、さっそく定助に発動ッ!それは、大弥ちゃんの面倒を見る事。彼女は生まれつき目が不自由で、ほとんど見えていないというのです。設定といい、ビジュアルといい、シュガー・マウンテンを思い出しますね。いきなりそんな事を言いつけられて困る定助ですが、大弥ちゃんは定助に抱き付いて顔をスリスリ。それを見る康穂の胸中やいかに?そんな康穂も、虹村さんに見送られ、家を出て行くのでした。不安でいっぱいの定助。
さらにもう1つ、東方家のルールがありました。廊下の奥の階段に近付かない事。上の部屋に行く事も、覗く事も許されない。単にプライベートな理由とは言ってますが、これまた不気味な話ですよ。その上、よく見れば、その階段の手すりに謎のマークが刻まれています。そう……、それは冒頭の吉良の手首にあったものと同じマーク!このマークの意味するものとは……!?上の部屋には何が隠されているのか……!?吉良と東方家には何か関係があるのか……!?案外、姿のない常秀達の母親がいたりして?もしくは、虹村さんの親父さんが怪物化してて、隔離されてるとか?
そして極めつけ。見送られる康穂に、虹村さんから親父さんの伝言が告げられます。「うちの常秀を誘惑したりするな」「この家にも二度と来ることを許さない」「それと今後、定助にも絶対に会わないように」「余計なことはするな」「おまえの家族に危害が及ぶぞ」。……あっけに取られる康穂。親父さん、何者なんでしょうか?怖すぎるっていうか、気持ち悪すぎるだろ。家族を大事に思う気持ちが強すぎて、おかしな方向に突き抜けちゃったんでしょうか?つーか、今の今まで、康穂と東方家ってどういう付き合いをしてたんだろ?康穂、スゲー嫌われてるよ。
しかしながら、親父さんの伝言が本当かどうかの保証など、どこにもありませんからね。増して、虹村さんが東方家の家政婦になった経緯も不明。場合によっては、虹村さんのついた嘘って可能性も考えられます。謎だらけのファミリーだぜ。


●定助も謎のマークに気付いたようで、手すりの他にもどこかで見たと、必死に思い出そうとしていました。しかし、ゆっくりと考えてる余裕はありません。定助は大弥ちゃんの面倒を見なければいけないのですから。
リビングで彼女がお茶を入れようとするのを見て、定助が代わりにやろうとします。ところが、「面倒を見る」ってのは、彼女を気遣って色々してあげるって意味ではないみたい。むしろ逆に、気を遣わずに何もしないという意味だったのです。彼女は目こそ見えないものの、どこに何があるのかは完璧に分かっているとの事。だから、何もせずに自然体でいる事が、「面倒を見る」という事だったのです。簡単なようで難しいな。
しかも彼女、分かってるとか言いながら、実に危なっかしい。全然違う場所にお茶を注ごうとしてるし。定助もつい気を遣って、カップを動かしてあげます。ところが、彼女はそれが気に入らない模様。分かってて、あえて定助を試しているのかもしれないしなあ。彼女曰く、自然体でないという事は「地雷」。一度壊れて解散したプログレバンドが再結成しようとしても、もう二度と昔のようには戻れない……。それを聞き、素直に謝り、「もう余計な事はしない」と誓う定助。
その時ッ!彼女の持つポットから奇妙な何かが現れ、テーブルを滑り落ちて行くのが見えました!それは、愛らしいお顔や花柄の付いたオモチャっぽいスタンド!そのスタンドの行方を追うと、そこにはもう姿はありません。ところが、なんと大弥ちゃんの左脚が大きく傷付き、血を噴き出しているッ!大弥ちゃんは悲鳴を上げ、涙を流しています。あまりに唐突な出来事!一体全体、何が起こったのか!?
もしやこれは大弥ちゃんのスタンドで、彼女の言う通りの「地雷」の能力だったりするのかも。彼女の脚も爆破された?彼女に気を遣った行動をしてしまうと、彼女自らが傷付き苦しむ。そんな複雑な心理がそのまんま形となったスタンドなのでしょうか。だとすれば、彼女の心を満たし癒す事さえ出来れば、彼女の体も治るはず。厄介な女の子です。内心、親父さんもそんな大弥ちゃんを疎ましく思い、全てを定助に押し付けたのかもしれませんねえ。それとも、康穂の件とかも含め、もっと深い思慮があっての事??


★今月は47ページ!当分は、東方家での出来事が中心となりそうですね。杜王町なら、やっぱ「家」や「家族」が描かれて然るべきですし、家も家族もないっぽい定助の視点からそれを描くのは面白い展開です。でも、暮らしたくねえ〜〜!定助も災難ですね(笑)。康穂とも断絶させられそうですけど、彼女の活躍にも期待したいものです。こんなとんでもない一家ですが、ゆくゆくは理解し合い、互いを想い合える仲になれるんかなあ?先行き心配です。
作者コメントは「近所の「プラネタリウム」行ってみました。早くあるの教えてよ。感動しました。」との事。プラネタリウムって行った事ないけど、感動するほどスゴイんですね。私も行ってみたくなりました。
来月号は、「ジョジョ」25周年記念特大ポスターが付録です。絵柄は、渋谷駅前のスクランブル交差点にある「Q FRONT」壁面に彩られた、歴代ジョジョ集合イラストを希望ッ!



(追記)
吉良の手首と、東方家の階段の手すりに刻まれていた謎のマークについて、予想してみましょう。


●まず、話の前提として、第6話の感想(⇒こちら)に追記としてがっつり書いた予想を、今回も基本的に継続します。ただ、定助の記憶の中に過ぎった男が吉良の兄である、という部分だけは修正。どうやら吉良は、身寄りのない人物みたいですので。彼の名前を、仮に「川尻豊作」とでも付けときましょう。謎のマークとこの川尻は、密接な関係があるのです。
川尻はなんと、康穂や常秀の通う大学の教授。社会学部で民俗学を教えているってワケです。息子が通う大学の教授なので、親父さん(=憲助)とも知り合う事となりました。さらに親父さんは、吉良とも知り合いなのです。実は、親父さんの奥さん(常秀達の母親)は、奇病に侵されています。もしかすると、「壁の目」の影響で発現したスタンドが害になってしまっている、ホリィさん的な状態だったり?いずれにせよ、奥さんは病院に入院し、親父さんはそこで吉良と出会ったのです。船医である吉良が病院を訪れていた時、親父さんもたまたまお見舞いに来ていたって事ですね。そして親父さんが、吉良と川尻をも引き合わせたのです。結果的にこの2人は、妙に親しくなっていきます。
奥さんを治療しようにも、普通の医療では不可能。死は避けられません。どんな手段を使ってでも妻を治したいと、むせび泣く親父さん。それを見て、吉良と川尻は1つの提案を持ち掛けてきたのです。それが、「壁の目」を利用しての魂の移植。親父さんも半信半疑ながら、藁をも掴む想いでその方法にすがります。吉良と川尻としても、ちょうどいい実験台なので好都合。利害は一致しました。ところが、それを実行する前に、吉良が桜二郎に囚われるという予定外のハプニングが発生。吉良はどうにか脱出する事に成功しましたが、このままではデンジャラスすぎる。予定を変更し、まず吉良が自分の魂とキンタマを定助に移植する事にしたのでした。


●親父さんが定助を引き取ったのも、偶然だとか奉仕の精神だとかではありません。全ては、自分の妻を救うための必然。定助の中の「吉良」が目醒める時を待っているのです。定助を観察する事は、魂移植の経過や結果を知る事になり、それが妻を救う貴重な情報となるはず。また、「吉良」が目醒めれば、本来の予定通りに協力してくれるはず。定助の身に危険が迫ったなら、自己の存在を守ろうとして、「吉良」も早めに目醒めるものと思われます。だからこそ、あえて定助に大弥ちゃんの面倒を見させようとしたのです。
康穂を遠ざけたのも、よその子をそういったヤバい事に関わらせたくないからこそ、なのでしょう。親父さんは決して、悪人ではないんです。ただ、愛する気持ちゆえに、「道」を誤ってしまっているだけなのです。
……で、例の2階の部屋には何があるのか?まさに、奥さんその人が病床に伏せっています。このまま入院してても治らないのだからと、強引に連れて帰って来たのです。普段は虹村さんが主に、奥さんの世話をしているのでしょう。そして、虹村さんの重大な役目がもう1つ。それは、奥さんの魂の「器」になる事。定助が吉良の「器」にされたように、虹村さんも奥さんと1つにならなければならない。しかし彼女は、親父さんに命じられるままに、淡々とそれを受け入れるのです。そこまで自己を押し殺せる理由も不明ですが、彼女はよっぽど東方家に大恩があるのでしょうかね?


●さて、本題の謎のマークです。『ファン・ファン・ファン』の「印」のように、これもまた、川尻あたりのスタンド能力による効果なのでしょうか?素直に考えると、その可能性は割と高いのかもしれません。でも、ここはちょっと別の予想もしてみたいと思います。
あのマークそれ自体に、意味が宿っているのです。「壁の目」は魂の通り道であり、その事実は杜王町の古い伝承として遺されていると、前回の予想で書きました。恐らく、このマークに関する記述もあったのでしょう。このマークには、魂を引き寄せたり固定したりする作用があります。言わば、魂の道標。「壁の目」の機能を、より有効に利用するためのツールとも言えます。
実は、定助の玉袋の裏側あたりにもマークが刻まれています。吉良の魂は、自分の手首のマークから抜け出し、そのまま定助の股間のマークへ一直線!そうして、吉良は定助の中に侵入してしまいました。一方で、手すりのマークは、たとえ奥さんが死んでしまっても、その魂を一時的に東方家に留めさせておくために刻まれました。その後、同じくマークが刻まれた虹村さんが、奥さんの魂を受け入れる、と。……こんな予想をしてみました。




(2011年12月17日)
(2011年12月27日:追記)




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