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このナビは「味方」だ
ナビでオレを助けてくれた


#013 追跡者





●2ヶ月振りの「ジョジョリオン」!連載再開は景気良くカラー表紙で決めてくれました。そこに描かれたるは、我らが定助と康穂。そして、無数の花々。エメラルドグリーンを基調にした2人と、真っ白な百合と真っ赤な薔薇の色合いが、お互いの存在を引き立てています。よく見りゃ紫の花もあるけど、これは何の花なんだろ?さらには、何故か大量の鯉のぼりが2人を取り囲んでいました。正直、意味が分かりません(笑)。鯉のぼりの季節でもあるまいに。ひょっとして「鯉」と「恋」を掛けて、2人の恋心を表現しているとか?でもまあ、なんとも杜王町らしい牧歌的な空気が感じられる絵ですね。
ちなみに、白百合の花言葉は「無垢」「純潔」「威厳」赤い薔薇の花言葉は「愛情」「情熱」「美」「貞節」。赤い薔薇の「純潔」「あなたに尽くします」。定助と康穂にピッタリじゃありませんか。それでいて、百合と薔薇の組み合わせってのは、ちょっと性的なかほりも漂います。これまた「ジョジョリオン」には相応しい。鯉のぼりにしても、ある意味で「男性」とか「家族」とかの象徴的な?それに、風に吹かれて舞い上がる姿も、前向きで雄々しいイメージがあるしね。……などと、無駄に深読みしてみるのも一興です(笑)。実際は、カラーリングやデザイン的な問題で、荒木先生が単になんとなく描きたかったってだけなのかもしれませんが。


●嬉しい事に、トビラ絵もカラーでした。表紙イラストとは対照的に、ロックでCOOLなイラストに仕上がっています。今回の敵に合わせて、バイクに乗る康穂と定助の絵。バイクを操るのは、なんと康穂の方。定助は彼女の後ろに座ってます。この康穂がまた超カワイイ。案外、こんなのも似合うのね。グローブや帽子もロックテイストだし、いつもとは違うワイルドな表情が見られた感じです。グリーンとブラックでまとまったカラーリングもイカシてますぜ。
さりげに、前回から急に追加された新タイトルロゴ(というかエンブレム?)にも注目です。しっかりカラーになってる上、ちゃっかり舵や旗や『ソフト&ウェット』まで描き加えられていますよ。カッケーなあ。これほどまでにを意識させるデザインになってるけど、ストーリー的にもやがては海が絡んでくるんでしょうかね?それとも、海は別の何かの暗喩?


●さて、いよいよ本編です。まずは恒例となった、これまでのあらすじ。実に分かりやすい。初めて読む人でも、話の意味は分からなくても、とりあえず現状は理解できるね。
定助を尾け狙う、謎の黒いライダー。まるで身に纏うかのように、ヤツの周りにはが吹き荒れています。その風は、倒れる定助に葉っぱを叩き付け、彼の体を強烈に冷やしていきます。しかし、やはり姿を消してしまうライダー。そして、鳴り続けるケータイのナビ。不気味すぎる……。定助は、後頭部に突き刺さった金具を引っこ抜くと、その傷にすかさず「しゃぼん玉」を埋め込みました。自分からは何も奪えないので、傷口を「しゃぼん玉」で覆って血を止めたって事なんでしょう。プランクトンより強引な応急処置です(笑)。でも後々、この「しゃぼん玉」が逆転勝利に繋がりそうな予感。
定助はすぐさま、康穂と電話で作戦会議。今、康穂と会えば、彼女にまで危険が及ぶ。自分はライダーを倒す事を優先し、病院へは康穂に先に行ってもらう事に。すると、ナビの声に異変が起こり始めました。さっきとは推奨するルートが変わっているようなのです。用心深く角を曲がる定助。ところが、ライダーはいつの間にか、すでに逆の方向にッ!後方から接近するライダー!再び吹き荒ぶ風!あまりの凄まじい強風で、まともに立っていられない。さらには、『ホワイト・アルバム』よろしく、流れ出る血すら凍り始めました。血が付着した瞼や指も冷凍されていきます。そして、足を滑らせた定助の脇腹を、ボールペンが貫いてしまいました。
やはり家系図を見た事がバレてしまったのか?東方家の誰かが、自分を殺しに掛かって来ているのか?「これ以上近付いたら、オレもお前を殺すつもりで攻撃する!」と警告する定助。しかし、そんな警告も虚しく、ライダー接近ッ!風もますます強まり、定助の口内も凍り付きます。呼吸さえままならず、目も見えないという危機的状況!ついにライダーは、轟音を撒き散らし、猛スピードで突っ込んでくるッ!ヤバイ!


●ライダーが迫る最中、定助の耳はナビの声を捉えました。「1m先…上方向デス」。……上ッ!?とっさに定助は、近くの電柱に手を伸ばし、上方向へ逃れます。その時、逃げるついでに、ライダーの顔面にドロップキックをお見舞い。見事にカウンターが決まり、ライダーは思いっきり吹っ飛んで行きます。距離が離れたためか、氷も溶け、ようやっと視界を取り戻しました。電柱の上から見下ろすと、ライダーのメットが外れ、その素顔が明らかにッ!
素顔は……、虹村さんでも鳩さんでもありません。つーか、人間じゃありませんでした。なんか亀が甲羅から頭半分出してるみたいな、そんな感じのスタンドだったのです。顔の造りは微妙にドラえもんっぽくもあり、頭の形はキン肉マンっぽくもあり、メットを取ると「カッコイイ」とは言い難い。なんとも不思議なデザインのスタンドです。……となると、バイクの方はどうなんでしょうね?「ライダー」と「バイク」がセットで1体のスタンドなのかな?『チャリオッツ』だって、「剣士」と「剣」で構成されていますし。それとも、バイクは本物?気になります。
攻撃が失敗し、またもや走り去って行くライダー。定助の推理によると、ここにいるスタンドは2つ!1つは、さっきから襲って来るライダー。そしてもう1つは、このケータイのナビ!でたらめなバカナビと思いきや、このナビは定助を安全な方向へ案内してくれていたのです。そう、このナビは味方!この展開には驚かされました。まんまと騙されちゃいましたよ〜。定助は味方のスタンド使いに心当たりなどなく、困惑していますけど……、我々読者は知っています。康穂の足首にも、謎の「歯形」が刻まれていた事をッ!
当の康穂はと言うと、無事に病院に到着していました。件の足首の傷がかゆくて、病院に来たついでに薬でももらおうかと考えている様子。そんな彼女のすぐ後ろでは、患者らしき女性とナースが会話をしています。この女性、窓から見ただけで、飛んでいる鳥までの距離を正確に測れていますよ。この特技は、まさに定助とまったく同じ。そして、魔女か何かと見紛う奇妙なファッション。この女性こそホリーさん!?自らを「渡り鳥」と評している事から、アメリカと日本を行ったり来たりしてきたであろう事が窺えますし、病人とは言っても意外としっかりしている印象も受けます。果たして、定助と康穂は彼女と出会う事が出来るのでしょうか?


●2つのスタンドに関する予想をちょいと書きたいと思います。
まずはライダーから。虹村さんの「遠くに行かせない」能力である、と予想していましたが、それはハズレっぽいですね。定助は、本体がどこか近くで尾けて来ていると推測していますが、それも果たしてどうなのか。むしろ、これはホリーさんのスタンドなのではないかって気がしてきました。車イスではあるけど寝たきりではないし、意識や記憶もちゃんとしてるっぽい。そんな彼女が、実の息子の遺体と関わりもしない。この辺から……、自分に近付こうとする肉親に対して発動する自動操縦タイプのスタンドと予想します。吉良吉輝との結婚でゴタゴタがあったり、吉良の血統のドス黒さを知ったりと色々あって、とにかくホリーさんはもう家族と縁を切りたいと願っています。どこか1つの場所に落ち着いて、1人で平穏に暮らしたいと願っています。そのため、ホリーさんに会おうとする定助の前にだけ、あのスタンドが現れたのでしょう。
能力もむしろ逆で、「近付かせない」能力と言えそう。自分を身内から遠ざけてくれる、風のスタンド。を巻き起こし、風それ自体で吹き飛ばしたり冷凍したりして直接的な攻撃も出来るし、風がキッカケとなった不運な結果を呼び寄せる事も出来るのです。もしかすると、このスタンドに触られてしまうと、さらにヤバイ状況に陥る可能性もあるかも。それこそ、定助がホリーさんに会おうとする限り、逆ポコロコ状態ってくらいの不運に見舞われ続けたりして。ヤツにドロップキックをかまして触れてしまった時点で、定助もすでに能力の支配下に置かれてしまっている?まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」「バタフライ効果」を地で行く能力。忌まわしい肉親達からホリーさんを守るために吹く風。
続いて、ケータイのナビ。言わずもがな、康穂のスタンドです。今は無意識で発動中。安全な方向へ案内するという、『ドラゴンズ・ドリーム』の簡易版みたいな能力ではありますが、本当にそれだけなのか?否ッ!康穂は第1話から今まで、ずっとケータイを活用してきています。康穂の真のスタンド能力は、「超絶便利な万能ケータイ」なのです。今回のナビは、その中の1つの機能に過ぎません。ナビの他にも、電話にメールに写メにネットなどなど、様々な機能を発揮する事でしょう。成長するに従い、新たなアプリもGETしていったりするのかも。攻撃性は皆無だけど、めっちゃ実用的なスタンドなんです。


★今月は35ページ!いや、この際、ページ数が少ないのはいいんですよ。やっぱ「ジョジョ」を読めるってハッピーだよなあ。でも、最後のページに書かれた文字は……、「次号休載」って読めるぞ……。ウ、ウソや……。そんなのウソや……。「ジョジョ展」やら何やらで大忙しなのは分かりますが、こんな頻繁に連載ストップはさすがにキツイ。今だけの苦しみと信じて、じっと耐えるしかないかね。嗚呼、毎月読みたい。
作者コメントは「近所を歩いていたらカラスに襲われて帽子を奪われた。返してもらったけど。」との事。命知らずなカラスもいたものです。
オマケとして、いろんな企画について一言。PS3の格ゲー「オールスターバトル(ASB)」。これは純粋にワクワクしてます。時空を超えた夢の対戦、楽しみですね。イケメンを操って、巧みなロープさばきで敵を圧倒してみたいぜ。まさかのTVアニメは、不安と期待が入り交じってます。絵柄は荒木絵とはあえて似せない方針なのか、だいぶイメージが変わりそうですな。まあ、原作さえ読めれば、他のメディアミックス系は割とどうでもいいと思ってる人間なんで、アニメは「別物」として楽しませていただこうかなと。せっかくアニメにするんなら、アニメならではの手法で「ジョジョ」を表現してみてほしいところ。やっぱり3部まではやってほしいですね。小説「VS JOJO」第3弾は、舞城王太郎氏による「JORGE JOESTAR」。飛行機の絵から察するに、ジョージ2世が主役のようです。ただ単に50年の空白を埋めるだけの安易な話に終わらず、独自のテーマ性を持った1つの物語として成立させてほしいです。そして、目玉は何と言っても「ジョジョ展」!仙台、東京、そしてイタリア・フィレンツェでの開催が決定していますが、何が何でも行きたい。必ずや、全て行ってみせます。確実に今年最大のイベントですね。




(2012年7月19日)




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