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わたしの息子の『力』になってあげて……
きっと これも「めぐり逢わせ」……


#014 追跡の果て





●またもや2ヶ月振りとなる「ジョジョリオン」!休んだ分を取り返さんとばかりに、今回は徹底攻勢の構えです。
まずは、ウルジャンの表紙をカラーで飾ってくれました。セーラー服の襟元を掴み、左肩の「星のアザ」を露わにし、不敵な笑みを浮かべて立つ定助。なんと、半ズボンを履いてます。マリンルックには非常に似合っていて、涼しげで爽やかな印象。どうせだったら真夏に見たかったですね。でも、引っ張られる服の感じとか、前後に置かれた両足に纏う半ズボンの感じとかを見ても、荒木先生の「服のシワを描くのも大好き」って言葉が実感できます。イケてるシワです。
そして、そんな定助の周りには1〜8部の歴代ジョジョのエンブレムが。1・2部は、このために描き下ろされた模様です。1部のエンブレムは、例によってシーザーっぽいバンダナを巻いたジョナサンが、ビシッと人差し指を立てた絵。1部の「1」を意味しているのでしょう。その指先からは、「波紋」を表す三重の円。背景にはイギリスを象徴するビッグ・ベンが描かれ、それにちなんでか、エンブレム自体も時計となっています。3・6・9・12時の部分には石仮面が配置され、これから連綿と続いていく「ジョジョ」の時間・歴史さえ感じさせます。2部のエンブレムは、パイロット・キャップを被ったジョセフ。ピンと伸ばした人差し指と中指が、2部の「2」を意味しています。同じ波紋編って事で、やはり三重の円も。背景にはプロペラ機が描かれています。
他はお馴染みのエンブレムですが、どれもが黄金に輝いているのに、「ジョジョリオン」だけが浮いてますね。黄金どころか、むしろ黒い。唯一、ジョジョの顔が描かれず、シルエットになって隠されています。まだ何者かすら分からない定助と、謎だらけの「ジョジョリオン」そのものを象徴するかのようで、これもまた相応しいエンブレムなのかもしれません。とにかく、「ジョジョ」と共に刻んだ25年を振り返るには充分すぎるほどの表紙イラストと言えましょう。


●今回のトビラ絵も、もちろんカラーです。電車に乗る東方家御一行様……的なイラスト。吊り輪に掴まる定助、iPhoneをいじる常秀、その辺に突っ立ってる憲助さんと鳩さんと大弥ちゃん。康穂は席に座って、これまたケータイをいじってます。5部の列車戦でのカラーイラストとは雰囲気も随分違いますけど、彼らを乗せて走る「運命」という名の電車がどんな終着駅へと到達するのか、最後の最後まで見届けたいと思います。
カラーリング的には、黄色く塗られた康穂の髪の毛が新鮮でした。服は緑です。このイエローとグリーンの組み合わせ、コミックス3巻の表紙にも使われています。最近の荒木先生のブームなんでしょうかね?


●さて、いよいよ本編。病室のベッドに腰掛け、何かを見つめる女性。とても入院患者とは思えないレベルの奇抜なファッション。ところどころに「H」の文字があしらってある事からも、彼女こそがホリーさんと推測できます。そんな彼女の視線の先には、病室前でウロウロしている康穂の姿。すると、おもむろにホリーさんは、こっそりしゃがんで康穂の背後へ。まるで落としたコンタクトでも探すような、何かを観察するような、奇妙な動きをしています。康穂は病室の中に気を取られていたので、突然背後に現れた女性にオッタマゲ!う〜む、どっかで見た事あるような光景……(笑)。
病室には「ホリー吉良」のネームプレートが。ついに康穂も、彼女の正体に気付きました。しかしホリーさんは、康穂が誰かに似てると言い出し、自分のベッドとマットレスの間に隠していた本を見せてきます。なんと、それはエロ本!ホリーさんは、康穂がエロ本に出てる女の子と勘違いして、「ギャラはいくら貰ったの?」とか「杜王町は小さな町だから噂になってるでしょ?」とか無茶苦茶言ってきます。さすがの康穂も「どこ見ても似てねーだろ!見せてあげないけど、どこも全部違うッ!」と猛反発(笑)。
とんでもない出会いでしたが、気を取り直して、康穂はホリーさんに質問。「あなたに会いに来た」と言うと、「あたしィ〜〜ィ?」とホリーさん。この反応に感じるものがあり、戸惑う康穂。彼女の息子「吉良吉影」について訊こうとすると、ちょうどそこにナースがやって来ます。結局、ロクに話も聞き出せぬまま追い出されてしまいました。しかし、「何の病気で入院しているのか?」と訊ねた時のナースの反応は異常。「何も知らないのに面会に来ているのか」と、大慌てで康穂を警備員に突き出したのです。これは、何か裏がありそうですね。
さらに、追い出される直前の、ホリーさんの言動。見ただけで、康穂のスリーサイズを言い当てたのです。ちなみに、上から85・65・88との事。ホリーさん、ありがとうッ!!……どうやら彼女は、エロ本の女の子と康穂のスリーサイズが同じだから同一人物と思い込んでしまったっぽい?性格はホリィさんのようにお茶目で明るくてマイペースで面白いけど、なんともミステリアスな女性です。


●ホリーさんと接して、定助に似た部分が多い事に引っ掛かる康穂。彼女から、きっと定助の謎が解ける。そう確信し、必死にホリーさんに呼び掛けるものの、康穂は警備員によって追い返されてしまうのでした。
――ところがッ!ホリーさんの目は、まだ何かを追っていました。そこには、康穂の影。ここに訪ねて来てくれた康穂に感謝し、「とても素敵な子」と評し……、今はまだ無意識だけど、もし「あれ」に気付いたなら息子の力になってあげて、と願うのでした。「あれ」とは!?無論、スタンド!彼女が見つめる康穂の影、よく見ると、その影がスタンドのヴィジョンを形作っていたのです!全身に地図道路標識が描かれた、康穂にそっくりな髪型のスタンド!描くのが超めんどくさそうなデザインです(笑)。やはり、定助を助けたケータイのナビのスタンドは、康穂のスタンドでした。さっきホリーさんがしゃがみ込んで康穂の背後に回ったのも、彼女の影=スタンドをよく確認するためだったようですね。
こうなると、康穂のスタンドの成長の方向性は、大きく分けて2つありそうです。1つは、前回も述べたように、ケータイの機能としての成長。あのスタンド・ヴィジョンも、あくまで「ナビ」という機能としてのヴィジョンに過ぎず、スタンド自体はケータイであるという説です。成長するごとに、ケータイに新たな機能やアプリが追加される、と。
もう1つは、純粋に「ナビ」のスタンドとしての成長。今は、定助のケータイに情報を伝えているだけですが、徐々に出来る事が増えていくのです。例えば、殴った場所に「道路標識」を出現させ、それに従った現象を起こす、とか。「通行止め」の標識を出せば、そこから先へは敵も追跡できない。「徐行」であれば、敵の動作スピードが遅くなる。「落石のおそれあり」なら、敵を落石で攻撃。「勾配あり」なら、平坦な道を坂道にしたり平らな物に傾きを作ったりする。ビルの屋上から屋上の間に「横断歩道」を作って渡る、なんて事も出来るかも。最終的には、地図を書き換える事で、実際の地形をも変化させてしまう?……どちらにせよ、成長が楽しみなスタンドになりそうですね。


●一方、定助はと言うと、ナビに従って移動中!ところが、ナビされた方向には、和室でラーメンをすするお婆ちゃん。ガッツリ目が合ってしまい、定助も慌ててシュタっと指で挨拶。「し… 失礼」と謝り、気まずい定助はナビとは違う方向に行ってしまうのでした。裏木戸を開けると、そこは美しい和風のお庭。しかし、その池の中からライダーが出現ッ!急いで逃げても、ライダーは先回りして襲って来ます。これはもう、本体がどこかから見てるとかじゃない。定助はいつの間にか、敵に何らかの追尾固定(ロックオン)をされていたのです。
失礼とか言ってる場合じゃなくなった定助、今度はナビに従い、お婆ちゃんの家に突入!ライダーも追って来ます。そのせいで、お婆ちゃんはラーメンごと凍り付いてしまいました……。一言も発さずにラーメン食いながら凍ったお婆ちゃん、お気の毒だけどなんともシュール。ライダーの攻撃もだんだん強力になっているのか、家の中で雪がシンシンと降り積もる有様です。ナビされた2階はすでに雪。もしかすると、ナビの音声がライダーに聞かれて、先回りされているのでは?ホラー映画でも2階に逃げたキャラは死ぬっつー事で、定助はあえてケータイを閉じ、ナビに頼らずに移動する事に。
トイレの中は雪が降っていないようなので、そこから逃げて、敵本体を探す事を決意!自動的に追尾して来るのなら、いちいちライダーの相手をしていてもラチがあきません。……ところが、そう思ってトイレのドアを開けると、目の前は巨大な雪の塊。猛烈な突風と大雪に押し潰されます。再び突進してくるライダーに、定助は久々のオラオララッシュで応戦!しかし、バイクを殴っても、逆に『ソフト&ウェット』の腕の方が壊れてしまいました。やっぱり自動操縦タイプのスタンドに直接攻撃は無意味なのか。


●ダメージを負い、ライダーから逃げてるうちに、結局、2階に来てしまった定助。ナビを無視しても先回りされていた。かと言って、トイレに雪が降っていない事を確認したのだから、ずっと待ち構えていたワケでもない。何がどうなっているのか把握できず、大混乱です。少なくともナビが聞かれているのではないと判断し、ケータイを開け、ナビを再開。しかし、ナビはすぐさま「Uターン」を指示。なんと、ライダーはすでに2階に、目の前にいたのです。定助はもう完全に理解不能でパニック状態!
そんなところに、この家の子どもが部屋のドアを開け、泣きながら現れました。家の中で雪が降って、メッチャ寒くて、しかも知らない人が勝手に上がり込んでいる。そりゃあ、子どもが泣いて当然のシチュエーション。定助は子どもに、すぐドアを閉じて逃げるよう叫びます。その時、定助にある閃き……ッ!ドアを「開ける」?ドアを「閉じる」?開ける、閉じる。ドア、裏木戸、メモ帳、ケータイ。ある仮説が定助の中に生まれます。
部屋の外に逃げ、すぐに子どもにドアを閉じさせる!すると、そこには子どもの泣き声が響くだけ。バイクの音も何も聞こえない。ドアと床の隙間から覗いてみても、やはりライダーの姿も降り積もっていた雪も部屋から消えている。試しに、子どもに窓やドアを開けさせてみても、ライダーは現れず。ついに仮説は確信に変わります。定助が何かを「開けた」時、ライダーは出現するッ!!子どもは無関係だから、何かを開けても何も起こらないッ!さらに言えば……、無関係の人間が、定助が「開けた」ものを「閉じる」と、ライダーは消えるのでしょう。
これはまったく気付きませんでしたね。確かに読み返してみると、定助がメモ帳を開いた直後にライダーが現れています。『D4C』にもちょっと似てるけど、いろんな駆け引きが期待できそうなシンプルな条件です。康穂が一緒だったら、彼女に開け閉めしてもらうだけで良かったのに。彼女と別行動にした事が、かえってピンチを招いてしまった点も皮肉ですね。


●ようやく活路を見出した定助ですが、ここまで徹底的に自分がターゲットにされている事を考えると、どこかで本体と接触している可能性が大です。ここに来るまでの間、どこで、誰と会った?本体は誰!?次号は本体探しがメインになりそうです。
前回は、ライダーが「ホリーさんのスタンド」と予想しました。でも、それもなさそうですね。なにせ、康穂に対し、「息子の力になってあげて」と願っているくらいですから。つまり彼女は、息子が生きている事を知っており、それゆえ、吉良の遺体とも関わろうとしなかったのでしょう。息子の亡骸ではなく、ただの抜け殻程度の認識なのかも。「ホリーさんの息子=吉良吉影=定助」であるなら、彼女はむしろ定助の味方。定助に危害を加えまくるライダーの本体とは思えません。
他に怪しいのは、「オーソン」前で定助が踏んづけたストリート・アートの作者。作品を踏んづけた事がロックオンの条件?でも、そんな偶然で執拗に攻撃されてもなあ。重大なストーリーが動いている時に、そんなどーでもいい動機のどーでもいいヤツに襲われるのもウザすぎです。もっと、定助を「特定の場所」へ近付かせたくない、あるいは「特定の場所」から遠ざけたくない理由がある人物でないと。
そうなると、やっぱし初心に帰り、虹村さん説を推したいところ。彼女は憲助さんから「定助が勝手にどっか行かないよう見張れ」と命令され、東方家の門番とも言える役目を負っているのです。門を守る能力。勝手に門を「開ける」と発動するスタンド。つまり、定助が東方家の外に出た時点で発動し、何かを「開ける」事によってライダーが出現するのです。東方家から離れた位置ほど、ライダーの攻撃もより強力になるのでしょう。定助と同じ家にいる以上、ターゲットにロックオンできる機会なんていくらでもあったはずですし。バイクに描かれた、可愛らしい花柄ハートのスマイルマークも、女性が本体って方がしっくり来ます。


★今月は49ページ!なかなかのボリュームと言いたい!内容も読み応え満点。ここんとこなかなか大きな動きがなく、休載も何度も挟んでいたので、一気に進展した今回は最高でした!襲われてばっかりだった定助も、ようやく逆襲に転じる事が出来そうですね。次号もしっかり掲載されるようですし、しかもまたウルジャン表紙!付録には、「ジョジョ展 in TOKYO」のキービジュアルを使ったマウスパッド!見逃せませんなあ。
作者コメントは「今年の夏はシュウマイ弁当を本当によく食べたなあ。よく新幹線に乗ったから。」との事。お疲れ様です。今年は本当に色々とお忙しいでしょうけれど、体に気を付けて、今後も「ジョジョリオン」を大いに盛り上げてほしいと思います。
さてさて、最後に情報をいくつか。まずは、「岸辺露伴は動かない 〜エピソード5 富豪村〜」。なんと、10/6(土)発売の「週刊少年ジャンプ」45号に読切掲載が決定です!こんなの執筆してりゃあ、そりゃ「ジョジョリオン」休載も致し方ありませんよね!楽しみじゃあッ!「ジョジョ展 in TOKYO」では、なんと30年間のイラスト約500点を収録したイラストカタログも発売ッ!絶対買うッ!さらに、ちゃっかり『リモートロマンス』の情報も。本体は2006年に死刑になった伝説のハッカー、ディキシー・フラットライン。(ウィリアム・ギブスン氏の「ニューロマンサー」というSF小説に登場する、伝説のハッカー「ディクシー・フラットライン」が元ネタみたい。)死後、スタンド能力だけがネットワーク上に宿り、特定のサーバーにアクセスした人間を本体とし、遠隔地に分身を作り出す力を与える。……との事です。とあるアプリを介して『リモートロマンス』を操作し、ネット上でも「ジョジョ展」の鑑賞が出来る能力のようです。真っ黒な等身大フィギュア(?)がえらいカッコイイ。今月号の付録「25周年記念BOOK」も、様々な方からのお祝いコメントやイラストが嬉しい。「JOJOmenon」のインタビューもちょびっとだけ掲載してくれてます。でも、自分で「ジョナサンの名前の由来は「ジョナサン」で打ち合わせしてたから」って言ってたクセに、否定してるのが意味分からん(笑)。
そして、そこに超特大ニュースがッ!「JOJO6251」「JOJO A-GO!GO!」に次ぐ、画集第3弾の発売が決定ッ!!最新版スタンド事典も同梱されるらしい。この瞬間を長年待ったぜッ!こいつは興奮を禁じ得ませんよ。今まで載ってなかったイラストは、カラー・モノクロ問わず、全部掲載してほしいなあ。描き下ろしとかもあったりして?ワクワクが広がる一方です。25周年、まだまだまだまだお楽しみがいっぱい!!




(2012年9月17日)




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