TOP  <<#014 戻る #016>>



このオレにも……
あんな写真が どこかに飾られてあるのだろうか…?
いいや ああいう写真はどこにもきっと無い…


#015 病院への道





●今月もウルジャンの表紙を飾ってくれました!「ジョジョ」25周年って事もあり、最近は荒木先生のカラーイラストを拝める機会が増え、私としてはウハウハです。
表紙絵は、定助のドアップ!彼なりに真剣な表情なんでしょうけど、なんかポケェ〜〜ッとしてるように見えてしまいます(笑)。スキっ歯や記憶喪失ゆえの奇妙な言動などが相まって、彼をアホっぽい天然に感じさせるんでしょうね。でも、今いちビシッとは決まらず、どこかヌケてる定助に愛着が湧いています。


トビラ絵は、異なる場所に立ち、別々のコマに描かれる康穂と定助。康穂は六壁神社に、定助は町のどこかの路地に。果たして、2人が同じ場所に立ち、同じコマの中で描かれるのはいつなのか?2人の再会が、お互いの感情にどんな影響を与えるのか?そして、どんな出来事を招くのか?気になる事だらけです。


●謎のライダーの発動条件は理解したッ!定助が何かを「開く」と、そこにライダーが出現するッ!定助の次なる行動は2つ!「何も開かずに病院まで移動する事」と「敵本体を見付け出して叩く事」!こんな状態に陥ったのは東方家を出てからだという事実は認識しているようですが、かと言って、本体を見付ける方法はまだ閃いていない様子。まずは病院へと急ぎ、康穂と落ち合い、ホリーさんと面会する事が優先です。
さあ、病院に向けて出発!……って時に、定助はある物を見付けました。前回お邪魔したお宅に、仲良く写る家族の写真が飾られていたのです。特別変わった事もない、どこにでもありふれた物。しかし、今の定助には、そんな「ありふれた物」さえありません。誰も自分を知らない。誰も自分の写真なんか持っていない。誰も自分を捜してくれていない。自分は、誰からも必要とされていない。定助の目からが溢れます。切ねえ〜〜……。このシーンを描きながら、きっと荒木先生も涙したんだろうなあ。そりゃあ、自分が何者かも分からないんだから、その不安や孤独は計り知れないですよね。
でも、定助には「会いたい」と想ってくれている人がいるんです。康穂と再会し、彼女が「会いたかった」と一言言ってくれたら、定助の心の暗闇にも光が差し込むはず。定助にとっても、康穂がもっと特別な存在になるでしょう。そんな康穂だって、荒んだ家庭環境ゆえに、自分が何者なのか分からない。この世に生まれてきた理由を、この世に存在する意味を、2人で見付け出してほしいなと願っています。きっと、それこそが「呪い」を解く物語


●涙を振り払うかのように、駆け出す定助。もちろん扉は開けず、飛び越えていきます。……それはいいんだけど、ラーメンばあさんは無事かな?うまいこと解凍されて復活してくれてると良いんですが。なまじ家族写真なんか見ちゃったから、ギャグじゃ済ませらんねえ〜。今後、何の知らせも描写もないようなら、復活したって事にしとこう。
ようやく定助も六壁神社に到着!道行くおっちゃんに病院までの道を訊ねます。ところが、おっちゃんは杜王町の地図を定助に持たせ、広げようとしてきました。ノリツッコミのようなテンションでビビって、地図を手放す定助(笑)。幸い、敵さん的にはセーフだったらしく、ライダーは現れず。そんなドタバタでも、定助はなんとなく道が分かったようで、意外とすんなり病院まで辿り着きました。康穂を捜すも、どこにも彼女の姿は見えません。さらに、思わず病院の自動ドアに近付いてしまい、これまたビックリ!ここはギリセーフでしたが、後ずさりすぎて、客待ち中のタクシーにぶつかってしまったのです。気付いた時にはもう遅く、客と勘違いした運ちゃんがドアを開けてしまいました!
タクシーのドアから猛然と現れるライダー!自分自身の肉体(まぶたや口とか)は「開けて」もセーフだけど、自分の行動が原因となって何かが「開いた」場合はアウトのようです。たとえ他人が開けたものだとしても、定助がそうさせたのであれば、定助が開けたと見なされるッ!だったら、地図もアウトだった気がしますが……。開き具合が甘かったとか、定助がすぐさま拒絶の意思を示したからOKとか、そういう事情もあるのかな。


●突撃して来るライダーを、『ソフト&ウェット』で止めるッ!が、凄まじいスピードとパワーで、定助はどんどん押されていきます。しかも、相変わらずの強風と雪!「しゃぼん玉」も速攻で凍り付き、砕けてしまいます。こんな危険なバトルなのに、すぐそばでは、誰も気付かず普通に行き過ぎる。この日常と非日常の交差っぷりがまた杜王町らしい。やっぱライダーもバイクもセットでスタンドなんだろうな。
このままでは壁に激突させられる!『ソフト&ウェット』のラッシュで攻撃するも、ヘルメットを破壊するのがせいぜい。それだけでは事態も好転せず、依然として大ピンチは続きます。敗北が頭によぎる!しかし、ヘルメットを割ったため、ライダーの頭部が露出している事に気付きました。もしや、これが勝機?見た感じ、ライダーは自動操縦タイプっぽいので、果たして通常の攻撃なんか効くのかな?それとも、他に策がある!?
――あと、ライダーの能力は、単純に「吹雪を起こす能力」と受け取るべきでしょうかね?発動させた回数なのか、発動させた場所が関係するのか……、最初は風が吹く程度だけど、徐々にエスカレートしていき、やがては猛吹雪が吹き荒れる、と。最初、定助の身に起きた「不幸」「不運」は、「安全な方向」に案内してくれるナビを無視したせいで必然的に起こった「危険」に過ぎなかったのかもしれません。


★今月は25ページ!少ねえッ!でも、この1ヶ月は色々ありましたしね。熊野での対談、「露伴」読み切り、「ジョジョ展」開幕、その他雑誌やTV番組の取材などなど。画集「ジョジョベラー」の作成にも携わっているでしょうし、多忙を極めたはずです。そんな中で、25ページでも読めただけ幸せと思うべきかもしれません。
内容的にも、「開けたらダメ」というシンプルな条件下でのサスペンスが楽しめました。ライダー出現後の、スピーディーなガチバトルもド迫力!そういった展開上、『ソフト&ウェット』がいつになく様々なアングルから描かれていました。あの独特なフォルムもすっかり定着し、めっちゃカッコ良く見えます。そして何より、定助の悲しみが垣間見えた事。減ページではありますが、見所たっぷりで面白かったです。
作者コメントは「今使っている家の電話機は『ジョジョ』の連載が始まった時に買ったもの。イエデンも25周年。」との事。25年間、荒木家を陰で支えてくれていたイエデンも祝福してあげましょう。おめでとう、イエデン!



(追記)
●ライダー出現の判定基準について。よくよく考えてみると、前述のように自分の行動が原因となって何かが「開いた」場合はアウトであるなら、子どもにドアや窓を開けさせた前回の行動だってアウトになるはず。定助が子どもにお願いしてやらせたワケですから、バッチリ定助が原因になってます。でも、実際はライダーは出現しませんでした。だとすると、判定基準は他にあるって事になります。
こうなると、もう「個人の意識」のレベルになるのではないかと思います。つまり、「自分が開けた」という認識がスイッチとなって、ライダーが出現するって事。子どもに開けさせた時は、「自分以外の人が開けたらどうなるんだろう?」という実験でもあったため、「子どもが開けた」って認識でした。神社の時は、「危ないところだったけどギリギリ開けずに済んだぞ」と思ったんでしょう。で、タクシーの時は、「しまった!自分がぶつかったせいでドアが開いちまった!」と認識したため、ライダーが現れたのです。逆に言えば、もし「タクシーの運ちゃんが勝手に開けただけだもんねー」と定助が思えていたなら、ライダーは出現しなかったのです。また、何かを「開けていた」としても、その自覚がまったく本人に無かったなら、やはりライダーは現れないでしょう。
「認識」がスイッチ。そういう意味では、自身の罪悪感がキッカケとなって発動する『錠前(ザ・ロック)』や『マリリン・マンソン』に近い性質を持つスタンドとも言えそうです。




(2012年10月19日)
(2012年10月29日:追記)




TOP  <<#014 戻る #016>>

inserted by FC2 system