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あのな… ここは『カツアゲロード』
知ってるんだろう…?
別名――― 「デッドマンズ・カーブ」


#018 trouble with the curve





トビラ絵は東方家のリビングに佇む定助。その指には「しゃぼん玉」が。「東方定助」という自分は「自分」ではなかった。その残酷な真実を知った彼は今、何を思うのでしょうか?定助の姿がどこか不安げで儚げにも見えてきます。


●本編は定助のモノローグから。新しい1日が始まり、人々は仕事や遊び、食事などに出掛けて行く。でも、それは「帰る居場所」を知っている人々の話。自分を生み育ててくれた両親の事も、自分の居場所も知らない定助は、どこへ行ってどこへ帰ればいいのかさえ分かりません。
ただ、自分の正体が吉良吉影である事は突き止めました。では一体、吉良吉影とはどんな人間だったのか?……吉良は妹(虹村さん)の存在を家系図から隠す意味もあって、東方家に忍び込み探り回っていた様子。少なくとも、虹村さんにとっては家族思いの兄だったみたいです。しかし、桜二郎を洗脳するかのようにして、自分の指10本を食わせるという異常な一面があったのも事実。彼は「良い人間」なのか、それとも「悪い人間」なのか?まあ、誰にだって「良い面」と「悪い面」があって当然。「善」か「悪」かの二元論的な考えをすべきではないのかも。いずれにせよ、彼の目的や行動原理が知りたいものですね。
ちなみに、虹村さんは「虹村 京(にじむら きょう)」という名前のようです。「億」「兆」と来て「京」か。やっぱ名前自体は4部に倣ってますね(笑)。もっとも、これが本名かどうかも謎ですが。単なる偽名かもしれないし……、「吉良 京」が本名だったけど、家族がいなくなって「虹村」という家に引き取られたのかもしれない……。一応、敵ではなくなったとは言え、彼女もまだまだ謎が多いなあ。
あと、家系図の「ジョージ・ジョースター」が「ジョージ・スター」と誤植してました(笑)。リンゴ・スターか誰かと親戚なんでしょか?
――ともあれ、定助の中には吉良吉影の他にもう1人の「誰か」がいる。今、考えている自分は、その「誰か」の心なのか?それとも吉良吉影の心なのか?その「答え」を知っているヤツに、必ず答えさせてやる。自分の「帰るべき場所」を突き止めるために。……定助は、そう心に固く誓うのでした。


●そんなシリアスモードな定助の背後から、気だるそうに鳩さんが現れます。しかも、家の中だってのに何故かSEXYなビキニ姿!すると、今度は大弥ちゃん憲助さんも水着でやって来ました。(つーか、やっぱし大弥ちゃんは巨乳だな……!)みんな水着姿でコーヒーをすすってます。なんだこれ?
東方家独特の行事か何かかと思ってたら、どうやらこれは東方家始まって以来の不幸な事件らしい。家族でハワイ旅行の予定だったのにキャンセルとなってしまったので、水着でパンケ〜キを食ってプールサイドの気分を味わっているんだとか。そもそもの原因は、ハワイが海外である事すら知らず、パスポートを取っていなかった鳩さんだったのです(笑)。「真珠湾」とか「カメハメハ」とかのワードで日本と勘違いしていた模様。自分の娘がここまでバカだったとは、と憲助さんも嘆いてます。
そこへ普段着の常秀も現れました。彼はかなり面倒で心配性な性格らしく、「神を信じてない」と断言。飛行機に乗るのも不安だから、もともとハワイに行く気もなかったみたいです。さらには、牛乳の賞味期限が1日過ぎてるのを目ざとくツッコむ神経質っぷり。彼はとことん安全志向で、安心できるだけの確かな根拠を求めるタイプなんですね。一方、姉の鳩さんは常秀とは好対照。彼女は楽観的に神様を信じており、その言動からも脳天気で無邪気な人柄が窺えます。
どっかズレてるけど、なんとも穏やかな朝食風景。そんな日常会話だけでも、彼らの異なるパーソナリティが描き出されていますね。見てて楽しいです。


●家族団欒のひと時の中で……、定助は唐突に口を開きます。「オレ 学校に行きたい」と。それに加え、ケータイも欲しいと憲助さんに訴えます。常秀はそんな定助をバカにしてきますが、憲助さんは意外とあっさり承諾。ケータイの件は後で考えるとして、学校へはすぐにでも通わせてくれるっぽい。年齢も学年も分からないので、とりあえず高校に連れて行く事に。ちなみに鳩さんは、ハワイがアメリカである事も知らなかったのに大卒との事(笑)。どんな大学?
学校に通えば、自分の人間性や好きなもの・得意なものが分かるかもしれない。失った「自分」の手掛かりになるかもしれない。そんな定助の願いは無事に聞き届けられ、さっそく憲助さんの指示により、常秀の案内で高校へと向かいます。今んとこ犬猿っぽい2人なのに大丈夫なんでしょうかねえ?学力を試そうと出した数学の図形問題を、いとも簡単に解いてしまう定助。気に喰わない常秀は、早くも因縁を付けて来ました。ウゼえ(笑)。「康穂はオレの女」とか「ディープで熱いキスもした」とかぬかしてやがります。でも第1話冒頭からも、康穂とキスしたって事は事実っぽいしなあ。どんなシチュエーションだったのか気になりますね。
さらに、「壁の目」の時も、自分がつまづいて転んで気絶しただけだから、定助に負けたワケではないと豪語。定助も、常秀が「スタンド使い」なのか「ただのアホな天然」なのか計りかねている様子。どっちにしても、油断なりません。


支倉高校(はせくらこうこう)という学校に続く曲がり道にて、常秀は語り始めます。この高校は常秀が通った高校ではないけれど、何年か前に、この道でカツアゲされた事があると言うのです。別にガラの悪い高校でもないのに、何故かこの道ではカツアゲが頻繁に起こっている様子。常秀は、定助がカツアゲされたところを逆にブチのめし、カネを巻き上げ、かつてのリベンジを果たそうと目論んでいました。迷惑極まりない男ですが、もし解決できたなら世のため人のためにもなるしなあ。定助としても、さっさと片を付けて学校に行きたいので、すんなりOKしちゃいました。
このカーブは銀杏の木が立ち並び、コンビニやペットショップもあり、人々も行き交うごく普通の道に見えます。本当にこんな場所でカツアゲなんてされるのか?そんな事を思っていた矢先、オバさんが不意に話し掛けてきました。初めこそ丁寧な口調だったものの、徐々に声を荒げ出します。娘のオモチャを常秀が踏んで壊したと言うのです。娘さんは大泣きし、周囲の人々もゾロゾロと集まってきました。よく見ると、オモチャには常秀のクツの跡がクッキリと残り、クツにもオモチャに付いてたシールがくっ付いています。まったく身に覚えがないけれど、この場を収めるために謝り、弁償として3,000円を手渡す常秀。すると、周囲の人々も興味を失って去って行きました。
結果的にカツアゲされてしまったも同然の常秀は、ハラワタが煮えくり返ってます。オモチャを踏んだとは思ってないが、うっかり触って壊してしまったのかもしれない。でも、この道の連中がグルになってカツアゲして来たのかもしれない。何も分からない状況なので、今度はケータイで録画して、証拠をバッチリ撮ってやる作戦に。


●この道は、恐るべき「カツアゲロード」!誰かが必ずカツアゲされる。こんな場所でこそ、康穂のナビスタンドの助けが欲しいところですが、今はよりにもよって常秀と2人きり。そこへ、またもや2人に声を掛けて来るヤツが現れました。ベンチに座っていたジイさんです。いつの間にか定助の服の袖に血が付いており、ケガを心配してくれていたのです。しかし、それはどうやら定助の血ではない。亀の血だと言うのです。一体、どういう事なのか?
ジイさんはペットショップの店主のようで、定助が水槽を割って亀を死なせたから弁償しろと言い出します。地面を見ると、水槽から定助の足元まで水滴が残っている。エクアドルの珍しい亀らしく、請求額はなんと33万円!定助はキッパリ「違う」と断るものの、ジイさんはさらに凄んできました。この道の別名は『デッドマンズ・カーブ』。定助達をとことん追い詰め、年季の違いを見せ付けてやろうとしてやがります。このジジイ、怖え……。超ムカつくけど怖え……。踏み込んではいけない場所に踏み入ってしまった感じが恐怖ですね。同じ杜王町なのに、ここは明らかに異界。「田舎に行ったら襲われた」系ホラーです。
これはトリックだと、名探偵ばりの推理を披露する定助。録画もしてるから、証拠だってあるぜ!常秀はさっそく動画を再生。……すると、そこにはトリックではなく、奇妙な光景が映っていたのです。定助の体が一瞬のうちに滑るように移動し、水槽を破壊!そして、また一瞬のうちに元の位置に滑る!定助自身も気付かぬほどの一瞬で。その定助の足元には、落ちた銀杏の葉がいっぱい。ジジイの飼ってる犬も、さっきから銀杏の葉っぱで何度もズルッと滑ってるし。この葉っぱが何か関係している!?
その上、常秀はこの事実を定助には秘密にしようとしています。なんかえらい面白がってるし。この道路沿いの連中はみんな、この銀杏の葉っぱについて知っている。常秀まで定助をカツアゲしてやろうと企むんでしょうか?つくづくロクでもない男です。定助の災難は続くッ!


●この『デッドマンズ・カーブ』、何なんでしょうかねえ?正直、スタンドっぽくない気がするんですよね。むしろ「振り返ってはいけない小道」や「悪魔の手のひら」、「壁の目」と同じような、不思議なエネルギーを宿した「場所」や「土地」なんじゃないかと。余所者が踏み入ると、自分の不利になる事が起こる場所。滑る銀杏の葉が、不利になるように仕向けてくる場所。それをあの道路沿いの人々は昔から利用し、他人から多くの金品を巻き上げてきた、と。
……でも、もし普通にスタンド能力による現象であるなら、本体は玉美みたいないやらしいヤツなのかな?ただ、この現象によるカツアゲでは、本体個人だけが得をするってワケでもなさそう。むしろ、他人を遠ざけたいから、その手段としてカツアゲを発生させているのかも。カツアゲばっかされる場所に、わざわざ行きたがる人もいないでしょうし。だとすると、この道の先にある支倉高校の誰かか?不良生徒を遠ざけ、自分を慕う真面目な生徒だけの学校にしたいと願う教師が本体……とか?あるいは、「SBR」のシュガーちゃんの時みたく、銀杏の「木」自体がスタンド使いなんて可能性もあるのかな。
ちなみに、『デッドマンズ・カーブ』の元ネタは、「Jan & Dean」の曲「Dead Man's Curve」みたいです。
ついでに、常秀のスタンド能力についても考えてみます。第2話の感想の中で「物質をネバネバにする能力」と予想しましたけど、コレ当たんないかなあ?(笑)……要は、物質を変形・接着・固定する能力です。粘着質で心配性で安全第一な性格なら、そんな能力が発現してもおかしくはないと思ってます。この能力なら、滑る銀杏の葉っぱも接着して動けなくする事も可能でしょう。


★今月は51ページ!さりげに「ジョジョリオン」連載開始以来で最多ページ数です。内容的にも、杜王町らしい地味にイヤなトラブルが発生し、見応えがありました。学校に行くだけでこれだもんな。この杜王町、他にどんな奇妙な人物や場所が隠れているのやら。しかも、定助&常秀コンビも面白い。まったく気が合わない2人のやり取りは、ピリピリした空気があって刺激的です。なんだかんだでお互いに認め合う関係になるのか、もっと険悪になってしまうのか、今後も注目!康穂の事さえなければ、常秀もそんな悪いヤツじゃなさそうなんですけどね。そういう意味でも、定助と康穂の再会によって、何がどう変化するのか気になるところ。
作者コメントは「今年も去年以上に、『ジョジョリオン』力入れて描きます!よろしくね。」との事。嬉しくも頼もしいお言葉ッ!……しか〜し!来月はなんとまた休載ッ!「ジョジョ」関係のDVDが付録になるそうですが、付録なんかより本編プリーズ!たぶんザ・ニュー画集「JOJOVELLER(ジョジョベラー)」の絡みなのかな、とは思いますが、2ヶ月は長いぜ……。




(2013年1月18日)




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