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ジョージ・ジョースター
おまえに会えてよかった…
それだけで… いいんだ…


#022 ジョニィ・ジョースターの伝説





トビラ絵は、短パン姿で駆ける定助。それが昔のヒーローや怪獣みたいな図解になっており、定助のいろんな部分がクローズアップされています。星のアザやスキっ歯は言うに及ばず、股間には丸が4つ描かれてるし(笑)、康穂LOVEなハートも微笑ましい。100m走のタイムは11秒3、との事。定助には身軽なイメージがあるけど、やっぱなかなかに俊足っぽいですね。でも、ここまであれこれと図解されているのに、肝心の記憶と正体はまだ謎のまま。


●「カツアゲロード」のじいさんが語る、ジョニィ・ジョースターの伝説。愛する妻・理那さんのため、「遺体」の封印を解くという禁断の行為に及んだジョニィ。「遺体」を持ち出して、すぐ日本へ渡ったのは、理那さんを故郷に連れて帰るためであり、同時にアメリカ政府の追っ手から逃れる意味もあったそうです。この追っ手の中に、1人の麗しいレディーが描かれていますが、もしかしてルーシー……なんでしょうか?だとしたら、かつては共に大統領と戦った仲間に追われる事になろうとは、なんとも哀しい話です。
杜王町に着くと、ジョニィは「遺体」を海岸の「瞑想の松」の根本の洞に隠しました。そして、理那さんをそこに連れて来て、彼女の「病」を取り除いたのです。『SBR』においても描かれていた通り、「幸福」と「不幸」はプラスマイナスゼロ。全ては等価交換。理那さんの「病」は「治る」のではなく、あくまで「取り除かれる」だけ。その取り除かれた「病」は、この世のどこかの誰かがおっかぶるワケです。ジョニィは罪の意識に苛まれながらも、誰よりも大切な妻を助けるために、ただ一度だけ「遺体」を使うのでした。ジョニィの行動を誰が責められましょうか?
――こうして、「病」が取り除かれた理那さんは、元の元気な姿に戻りました。そんな彼女を抱き締め、涙するジョニィ。しかし、これでめでたしめでたし……ではなかったのです。まるで「遺体」が「罰」を与えたかのように、「病」はジョニィと理那さんの息子・ジョージへと降り注いだのです!今度は絶望の涙を流すジョニィ。現実はあまりにも残酷。


●ジョニィはついに「覚悟」します。いや……、もっとずっと以前の若い頃から、全ての終わりを覚悟して、旅に出たのかもしれません。そして、それが「始まり」の終わり
再び「遺体」を使って、ジョージの「病」をまた別の誰かに飛ばす事も出来たでしょう。しかし、ジョニィはそれを良しとはしませんでした。結局、どこかで誰かが不幸を掴み、今の自分と同じ悲しみ・苦しみを背負う人を増やしてしまうだけ。ジョニィは馬にジョージと「遺体」を乗せて走り、最期の行動に出るのです。その手に息子を抱きながら、涙をこぼしながら、彼にそっとつぶやきます。「おまえに会えてよかった。それだけで、何ものにも替えられない、交換できない幸せがあった。」……と。ああ〜、この言葉をタイピングしてるだけで泣けてくるな。
ジョニィは眠る息子を「遺体」の入ったケースの上に横たえ、「騎兵の回転」を発動ッ!『ACT4』の爪弾は、ジョージの頭を貫きます!すると、なんと「病」「弾痕」はジョージからジョニィへと移動!ジョニィは落馬し、そのまま絶命してしまうのでした。詳しい理屈はよく分からんけど……、「遺体」がジョージの「不幸」をどこかへと吹っ飛ばす際、ジョニィが自らその「不幸」を引き寄せ、身替りに引き受けたって事。「重力」を支配し、次元の壁さえ打ち砕く「騎兵の回転」。オエコモバ戦でジャイロが使った、「エネルギーを移動」させる「最終奥儀」。「回転」を極めたジョニィならば、「遺体」の力に強引に割り込んで、「不幸」のエネルギーを自分だけに引き寄せる事が出来ても不思議じゃありません。
自分で全てを背負い、ジョニィは死んでいったのです。愛する妻と息子を守り抜き、自分の罪に落とし前を付け、後悔なく死んでいったのです。ジョニィ、男だぜ……。立派な死に様だったよ。彼の人生は最期まで波乱に満ちて切なかったけど、それでも本人は幸せを感じて生きていられた事が救いです。今まで以上にジョニィが好きになりました。安らかに眠れ。


●ジョージは「病」が消え、目を醒まします。そんな彼の目に映るものは、父の死。しかも、死んだジョニィの頭部は、銀杏の葉っぱが引き寄せた岩石によって潰されてしまいました。まだジョージには何が起こっているのか理解できていないでしょうけど、この時の光景が後に彼の人生を変えていくような気がします。母の「病」、父の「死」、そして「聖なる遺体」。これらの因縁に、自ら飛び込んでいく結果になるような予感がします。家系図の空白は、まだまだ語られていないのですから。
(そもそも家系図によれば、ジョージには姉か妹がいるはずですが、その子については一切触れられていません。自分の死を覚悟したジョニィが、最後に理那さんをもう一度抱いて、その時に女の子を妊娠した……なんて秘話もあるのかも。)
それはさておき、ジョニィの死を知った理那さんは号泣。そこに現れたアメリカ政府の追っ手達。冷たい目でジョニィを見下ろしています。じいさんが語る話では、どうやら追っ手達は「遺体」を回収し、アメリカへ持ち帰ったらしい。てっきり杜王町に遺ったままかと思いきや……。とは言え、ジョニィの死から定助発見までの110年の空白は謎に満ちています。「遺体」が今もアメリカに安置されている、とは限りません。
ちなみに、銀杏の葉っぱが瞬間移動の能力を宿したのは、ジョニィが死んだ時からのようです。「遺体」の力を、息子の「不幸」を、自分に引き寄せようと強く願う気持ちがそういった現象をも生み出したのかもしれません。また、「病」で折り目が付いて堅くなった顔面を、頭部の弾痕を、追っ手達から隠したいという想いも働いたのでしょう。岩を引き寄せて頭部が潰れたおかげで、追っ手はジョニィが「遺体」を持ち出した理由も、ジョニィが死んだ理由も分からず仕舞いになったはず。「欲をかいたジョニィが運悪く事故死した」「バカに天罰が下った」程度に解釈され、これ以上家族を巻き込まずに済んだはず。そんな死の間際のジョニィの祈りが、「遺体」と土地に結び付き、「カツアゲロード」という奇妙な場所を創ったのです。身替りになろうとする心から生まれた力が、まさかカツアゲに使われる事になろうとは……、とんでもなく皮肉な話ではありますが。


●――かくして、じいさんの語る伝説はおしまい。あまりに唐突で途方もない話に、呆然と立ち尽くす定助。「病気」や「遺体」が実在するのか訊ねてみても、「伝説」であり「ファンタジー」なんだから身も蓋もない事言うな、とのじいさんの回答(笑)。でも実際問題、このファンタジー伝承こそが恐らく、限りなく真相に近い真実。どこで誰がどうやって調べて伝えて来たのかは謎ですが。
じいさんはお話の代金として、3,000円請求して来やがりました。こ、このジジイめ……!「次来る時まで貸しといてやる」「踏み倒そうとしたら押しかけるぞ」と言い残し、颯爽と立ち去るジジイ。最後まで油断も隙もないカツアゲマスターでした。でも意外と、定助の事を気に入り、次に会ったらまた別の重要な昔話を聞かせてくれたりして。素直に「またおいで」とは言えないジジイの照れ隠し……とか?好意的に受け取りすぎか(笑)。
定助はまだその場に立ち尽くし、考えを巡らせています。ジョニィ・ジョースターの伝説。そのジョニィの子孫、ホリーさん。記憶をなくしたり思い出したりする、「病」。そして、自分の半分は、ホリーさんの息子である吉良吉影。ジジイは「ファンタジー」と言ってはいましたが、定助にとっては紛れもなき「現実」。自分は何故、東方家に保護されているのか?その理由はきっと、ジョニィの伝説に、自分の正体に、繋がる。


●場面は変わり、海岸沿いの「壁の目」。ジョニィの伝説でも語られた「瞑想の松」。恐らくこの場所も「カツアゲロード」同様、「遺体」が隠されたために、「融合」の力やスタンド使いを生み出す力を宿すようになったんでしょう。そんな曰く付きの奇妙な場所にやって来たのは、我らが康穂ちゃん。自分のヒジを舐める事に成功し、達成感で大喜びの彼女。地味にスゴイけど、何やってんだ(笑)。
「瞑想の松」はどうやら恋人達の憩いの場所でもあるようで、ジョナサンとエリナのように、あちこちに男女の名前が彫られています。よく見りゃ、「岸辺」とか「アーノルド」とか「ショータロー」なんて、ちょっと気になる名前もちらほら。東方家を背に立つと、視界には、定助が埋まっていた湧き水の場所。すると、そこから犬っぽい動物がトコトコ歩く姿も見えました。康穂は大して気にもしていないようですが、なんか意味ありげなコマだなあ。この動物も融合で生まれたのかも。後にストーリーに絡んでくる事もあり得ます。
「瞑想の松」は明治の頃、「二本松」と呼ばれていたそう。何故かというと、松が二本あるから。では、もう一本はどこなのかというと、「壁の目」の隆起によって大きく傾いてしまっているのでした。この傾いた方の松が生えている場所は、もう東方家の敷地みたいです。さすが金持ち、ずいぶん広い土地を持ってますねえ。……で、その「二本松」ですが、ジョニィの死が報じられた1901年(明治34年)11月13日の「杜北新報」にさらなる驚きの記事がッ!なんと、ジョニィが死んだ日(11月11日)、この「二本松」に身元不明の幼児が流れ着くという事件があったのです!


●新聞によれば……、「二本松」の根本で、1〜2歳と見られる男の子が発見されたらしい。身長74センチ、体重10キロ。綿製の灰色の帽子と靴下以外は裸で、首には何故か高価な宝石(ネックレス?)を掛けていたとの事。この子のその後の記事は見付からないようで、これまたドデカい謎をブッコんで来ましたね〜。写真だと、その子は黒髪でちょっと癖っ毛っぽい感じ。吉良吉影に似ている印象も受けます。この子の子孫が吉良?どこから流れて来た?宝石には何の意味と理由が?……まあ、その辺はじっくり考えてみたいと思います。
康穂は傾いた松の根本に「穴」を発見。これこそがきっと、ジョニィが「遺体」を隠した洞。すると、その洞からいきなり人間の腕がッ!その腕は康穂の腕を掴み、彼女を引きずり込んでしまいました!暗い洞の中で、その謎の人物は後ろから康穂のおっぱいを弄り、耳をペロペロ舐め回し始めるッ!これはヤバイ!康穂、貞操の危機ッ!片方の靴が脱げ落ちたので、うまいこと定助でも常秀でも気付いてくれるといいんだけど。そんな都合良く行くとも思えませんね。いや、そこを都合良く行かせるのが『ペイズリー・パーク』の能力か。
この謎の人物、康穂よりはだいぶ小さな体格に見えます。また、履いている靴が水玉模様で可愛らしい。……ムムッ、これはもしやつるぎちゃんなのでは?水玉模様の服も着てたし、この松は東方家の敷地内なワケですしね。女の子が相手なら、康穂への凶行もむしろお楽しみに変わるというものです(笑)。


★今月は33ページ!ページ数自体は少ないものの、謎や語りが多いとボリューム感があります。ストーリーが動いて面白かった〜。つーか個人的に、前回以上にジョニィにやられちゃったよ。ジョニィの生き様は泣けるなあ……。
作者コメントは「料理番組をよく見ているけど、土井善晴先生はやっぱりすごい。尊敬してます。」との事。荒木先生にとっては、料理人もまた芸術家なんでしょうね。人の五感を刺激して、歓びと命を与える。素晴らしい職業だと思います。「ジョジョリオン」にもトニオさん的なコックさんは登場するんでしょうか?期待してます。
あと、私事ですが、荒木飛呂彦原画展 in フィレンツェに行って参ります。無事に生還したら、旅のレポートを書きます。万一、サイトの更新が途切れたら、ブチャラティばりに神々しく昇天したか、イタリアの地でギャングスターになったとでも思ってください。ではでは。




(2013年6月18日)




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