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東方家の目的はね…
『子孫繁栄』
それが「幸せ」


#024 つるぎのフシギ





●前号の休載を経て、お待ちかねの本編再開ですッ!トビラ絵は、船に乗る定助&康穂。地図を片手に、水平線の彼方を見つめる2人。
いつもセーラー服を着て、存在の半分は船医であった吉良吉影で出来ている定助ですが、船に乗る図ってのは実は初めてですね。さすがビジュアル的にもしっくり来るし、今の2人を象徴するかのような絵にもなっています。果たして、彼らの乗る船はどこへ向かい、どこに辿り着く事になるんでしょうか?


●東方家の謎の地下室にて、つるぎちゃんと遭遇した康穂。まるで折り紙のように、カエルの形に折られたケータイが触れた時、康穂の体に異変がッ!彼女の顔は、紙を丸めるかのようにシワシワクシャクシャになっていったのです。そんな中、康穂を気に留める様子もなく、「オッケー おけつだよ!」とまたまたしょうもないダジャレをかますつるぎちゃんが不気味。
しかし、つるぎちゃんは、自分のスタンドが康穂に見えていたっぽい事に少し驚いています。気付けばケータイも普通の形に戻っていたし、つるぎちゃんのセリフの文脈からすると、どうやらケータイ折りガエルがつるぎちゃんのスタンドである模様。でも、あれはスタンドのヴィジョンそのものじゃなく、能力によって折られた実物のケータイのはずですから、別に見えてても不思議じゃないと思うんですがね。それとも、一般人には「折られた形」には見えず、「普通の形」に見えるって事なのかな?「糸」になってほどけた徐倫の手が、看守に見えなかったのと同じようなもんか。
ともかく、今の康穂は、スタンドの概念も知らない無意識のスタンド使い。当然、つるぎちゃんの話など理解不能です。つるぎちゃんは「愛したんどォ〜〜」「恋スたんどォ――〜〜」と、しつこくサンタナモード。だんだんダジャレも苦しくなってます。こんな、人を食ったような態度のつるぎちゃん。康穂の質問にも答えてはくれず、まるで要領を得ません。


●康穂のクシャクシャ現象は、自然と落ち着いてきました。ケータイも取り戻し、事態の不気味さも相まって、康穂はさっさと外に脱出しようとします。つるぎちゃんの部屋を出て、少し進むと、外に繋がる階段を発見。その時、階段とは反対側に、もう1つの部屋がある事に気付きました。
覗き窓から中を覗くと……、そこは男性が住んでいたかのような部屋。簡素なベッドやトイレがあり、古めかしいタンスの上には、これまた昭和っぽいレトロなオモチャの数々。ブリキのロボット、ウルトラマンのソフビ人形、キューピー人形、車や機関車の模型、コマ……etc。壁を見ると、水着アイドルのポスターや、「燃えよドラゴン」のポスターが貼られています。そして注目すべきは……、この部屋の主が着ていたと思われる服です。なんと、セーラー服スニーカー!定助の、吉良吉影の、着ている服そのものです。
部屋に入ろうとしたところに、つるぎちゃんが背後から現れたので、結局、すぐに外に出た康穂。そこは、震災で崩れてしまったらしい小屋の内部でした。まるで、誰かを閉じ込めるために作られたかのような部屋……。謎は深まる一方です。もしかすると、かつて吉良吉影が閉じ込められていた?あるいは、吉良の父親である吉輝が?それとも……、定助の「もう半分」である人物が?震災による崩壊があったおかげで、脱出に成功したとか?


●ようやく外に出られた康穂は、ケータイにメールの着信があった事を思い出しました。見れば、それは常秀から。でも、その独特の文面は常秀のものではない。定助からのメッセージであると直感し、康穂は大喜びです。ただ、うかつに返信するのは危険。今現在も、常秀のケータイを定助が持っているという保証はないからです。もし常秀が持っていたら、話がややこしくなってしまう事間違いなし(笑)。余計な事はせず、夕方まで「ごま蜜カフェ」で定助を待つ事に決定。
定助のメールにある「4玉」ですが、私はてっきり「ごま蜜団子を4つ食べようね!」って意味かと思ってました。でも、康穂も今イチ意味を理解できていない様子。もしや「オレは金玉が4つある男だよ。そう、定助で〜す!」という自己アピールだったのか?だとすると、定助は自分の肉体の異常をハッキリ自覚し、康穂にも知られていると判断してるって事になります。自分の金玉について、定助はどう考えているんだろう?
そして、気になるのが謎の犬の存在ですね。康穂がこの場所に来た時もいた、奇妙な犬。今回もトコトコウロウロ歩き回っているし、目が描かれておらず、得体の知れない感がハンパない!康穂にまで「変な犬」と怪しがられ、ストーリーに絡んできそうな気配もムンムンです。何者なんだろーか?例えば……、地下室に閉じ込められていた人物が、震災の時に「地面」に埋まり、たまたま犬と融合してしまったとか。普通に人語を操り、スタンドも使ってきそうな予感がしてくるぜ。康穂も昔は犬を飼ってたワケだし、この犬も彼女に懐いて、頼れる仲間になったりしても面白そう。……なんて思ってたら、実はつるぎちゃんが「折り紙」で折った犬だったりして?何らかの条件で、本物そっくりになっちゃうとかで。いずれにせよ、犬の正体も要注目です。


●「ごま蜜カフェ」へと向かう道すがら、康穂は自分を尾けてくるつるぎちゃんに気付きます。康穂が怒ると、つるぎちゃんは「困ったことが起きたらあの部屋に来てね」と言い残して去って行くのでした。
それを開始の合図とするかのように、いよいよこの辺から、康穂に異常事態が襲い掛かってきます。彼女に道を訊ねてきた女性と、ちょうどそこを通った女性が、まったく同じ顔をしていたのです。いや、それだけでは終わりません。街中の人々の顔が、マネキンの顔すらが、すべて同じ顔!それだけでもイヤなのに、その顔が妙にキモいもんだから最悪です。康穂は慌てて目をこすると、うっかりコンタクトレンズを落としてしまいました。ぼやける視界。へえ〜、康穂はコンタクトだったのか。ちょっと意外。メガネを掛けても萌えそう似合いそうですな。
落としたコンタクトに目をやると、足元で「カエル」が動いていました。そう、つるぎちゃんが折った「折り紙」のカエルです。脅威がすぐそこまで迫っている事を認識した康穂、急いで自宅に向かいます。まずはコンタクトを付け直さなくては!自宅では母親の鈴世さんが、ウイスキーを飲みつつTVゲームをしてました。(「鈴世」だけあって、服にも「鈴」の模様が。)う〜む、彼女はちゃんと働いてるのかな?夜の店かどっかで働いてるのかな?それとも、男に貢がせてる?広瀬家の家計も心配になってきます。しかも、ちょっとした言い回し1つが原因で、康穂と鈴世さんの親子ゲンカ勃発ッ!
ようやっとコンタクトを付け直した康穂でしたが、やっぱり鈴世さんの顔も例の「同じ顔」に見えてしまっています。鏡に映る自分自身の顔も、TVに映る人物の顔も、写真に映る自分達の顔も、すべてが「同じ顔」!これは地味に恐ろしい……。一体、誰の顔なんだろうかという疑問もありますが、たぶん「誰の顔でもない顔」なんだろうなと思います。それとも、東方家の先祖の誰かの顔とか?「同じ顔」にしたって、せめて自分好みの顔だったらマシなんだけど……。
つーか、この能力は人間の顔は「同じ顔」に見えるけど、動物の顔は「見えなくなる」のかも。現に、スズメの顔は黒塗りになってます。そうなれば、さっきの謎の犬についても同じ事が言えそう。読み返すと、康穂が穴に落ちる前は犬の顔がちゃんと描かれています。しかし、穴から出て来た後には、犬の顔が黒塗りされてしまっているのです。あの犬自体に秘密はなく、つるぎちゃんの能力の説明要因としての役割だったのでしょうかね?


●完全にパニックの康穂。つるぎちゃんに何らかの薬でも盛られたか、穴に落ちた時に頭でも打ったのか、と不安になってます。この期に及んでもまだ、不思議な超能力による現象とは思い付けないあたり、康穂の「ごく普通の女の子」らしさが滲み出てて良いなあ。
鈴世さんは、これからまた康穂が出掛けると言うので、「まさか男?」「自分のこと可愛いとか思ってるワケェ?」「まさか、素っ裸でウロついてた頭の変な男(=定助)…?」「たぶらかされてるんじゃあないわよッ!」などと暴言吐きまくり。挙げ句、狂ったように大笑いし出します。怖いぞ……。やたら顔デカいし。ここまで来ると、ただ単に「顔」が同じに見えるだけでは済まない気がしますね。徐々につるぎちゃんの能力が強くなっていて、母親の言動も過剰に見えているのかもしれない。ケンカする前の2人や写真を見た感じ、決してお互いに嫌い合ったりはしていないと思います。なんぼなんでも、そこまで娘を傷付けたり怖がらせたりはしないはず。
でも、康穂は泣いて家を飛び出すのでした。孤独と恐怖に押し潰されそうになっています。もう夕方まで待ってなんかいられない!今すぐ定助と会わなくては!
――そこに待ち受けていたのは、やはりつるぎちゃんでした。不敵な表情で「折り紙」を折り、康穂を見つめています。康穂には、つるぎちゃんの顔だけはそのままで見えるようです。だからこそ、より一層ヤバイ。急いで常秀のケータイに電話を掛けると、出たのは定助!「今すぐ会いたい」と告げ、5分も掛からないうちに「ごま蜜カフェ」で落ち合える運びとなりました。ようやく希望が見えた。


●つるぎちゃんの目的を吐かせようと、怒鳴りつける康穂。するとつるぎちゃん、「蝉が脱いだらセミヌード〜〜〜」とダジャレをかましつつ、東方家の目的を語るのでした。「子孫繁栄」こそが「幸せ」。たったそれだけしか核心に触れず、「東方家は忙しかったっけェ?」と、自分でもイマイチと評するレベルになったダジャレでお茶を濁す。
しかし、「子孫繁栄」か。長男を「病魔」から守るために続けられてきた、女の子として育てる因習。長男がいないだけで記念撮影を止めた東方家の人々。やけに兄弟姉妹が多い家系。……東方家という「家」を護る事が最大の目的というのは、腑に落ちるというか、理解やイメージに難くありませんね。となると、吉良吉影と「もう1人の人物」を融合させたのも、その「定助」を引き取ったのも、東方家の繁栄のために必要だったからって事になります。そして、そこまでしなければならないのは、他人を犠牲にし、あらゆるものを利用しない限り、東方家はどんどん不幸になって滅んでしまう宿命にあるからなのかもしれません。それは、まさに「呪い」
つるぎちゃんが折った「セミ」はどこかへと飛んで行き、誰かの足元へ!それは、定助の足!「セミ」を踏んづけた定助の足は一瞬クシャクシャになり、定助までもがすべて「同じ顔」に見える術中にハマッてしまいました。つまり、康穂も定助も、お互いの顔を認識・識別できない状態という事。こんなんで果たして、約束通り出会えるのでしょうか?なかなか会えない2人、さらなる大ピンチ!しかし逆に、ちゃんと出会えたなら、2人の絆はより強いものになりそうですね。


★今月は47ページ!待った甲斐あって、なかなかのページ数です。内容ももちろん面白かったッ!「同じ顔」に見えるってだけで、こんなに極上のサスペンスになっちゃうとは。くだらない能力も見せよう・使いよう、ってヤツですね〜!来月も大いに楽しみです。
作者コメントは「ポール・マッカートニーの来日公演のチケット外れた。観たかったなあ。」との事。残念でした。でも、これを読んだファンの誰かがチケットをプレゼントしてくれる・か・も?
そして最後は、素晴らしきニュースで締めましょう!新作読切発表であります!その名も「岸辺露伴は動かない 〜エピソード6 密漁海岸〜」ッ!10月12日発売の「週刊少年ジャンプ」46号に掲載されるそうです。さらに、「岸辺露伴は動かない」コミックス化決定ッ!こちらは11月19日発売ですよ。お忘れなきよう。「ジョジョベラー」も届くし、「ジョジョリオン」5巻も出るし、函装版「ジョジョニウム」も刊行されるし……、2013年はこれからが本番だぜッ!




(2013年9月18日)




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