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オレとかもいるだろ……
2人になってるな…


#028 東方家庭園の恐怖





夜露による謎のスタンド攻撃を受け、加速して来た植木鉢の直撃を喰らった定助&憲助さん。砕けて割れた植木鉢の破片は、なおも加速し続け、彼らの肉体にめり込んでいきます。『ソフト&ウェット』に破片をどけてもらおうとするものの、まるで強力な磁石同士がくっ付くが如く、定助の肉体から一向に外せません。状況的に、ブンブーン一家の攻撃を思い出しますね。
ただ、この攻撃は現在、定助だけがターゲットになっている模様。さきほど、定助だけが夜露に触れられてしまったためです。憲助さんは完全にとばっちり。そんなワケで、憲助さんは意外とあっさり破片から逃れる事が出来ました。その代わり、全ての破片が定助に集まっていくッ!苦しむ定助を静かに見下ろす憲助さん……。一体、何を思うのか?ちょっと不気味な沈黙。定助も憲助さんを思いっきり怪しんだみたいで、「オレに近づくなァア――――――――ッ」とディアボロ状態で取り乱してます。
しかしッ!憲助さんはあくまで定助を助けるために行動するのでした。いかに強力なスタンドであろうと、射程距離ってヤツがあります。敵本体から離れる事が出来れば、破片も取り除けるはず。ところが、4個もの植木鉢全部が定助にめり込んでいるせいで、重くてなかなか動かせない。ここで定助、『ソフト&ウェット』発動ッ!無数の「しゃぼん玉」が舞います。この辺、正直、何をどうしたのか分かりにくいんですが……、「しゃぼん玉」で破片の「重さ」を奪って浮かせたのかな?それとも、自分の下に「しゃぼん玉」を敷き詰め、その上を転がろうとでも?ともあれ、憲助さんが定助を引っ張った事で、一気に夜露の能力射程外に出た様子。ようやく破片が定助から外れました。


●地下室へのハッチから、なんとつるぎちゃんが顔を出しました。曰く、「おじいちゃんは関係ない」「黙って見てるか、帰って」。さらに、憲助さんに「なんでそんなに定助が大切なんだ?」「病気になるのはあたしだ」と、不満を口にするのでした。そして、再び地下室に潜り、ハッチを閉めちゃったのです。つるぎちゃんに何が起きているのでしょうか?
つるぎちゃんの事も気になりますが……、まずは謎のスタンド攻撃をどうにかしなくてはいけません。憲助さんには、敵本体の心当たりはまったく無いとの事。もし知っているとしたら、それは恐らく定助の方。定助の失われた記憶が、きっと敵の正体を知っている。この敵は吉良の死に関係しているはず。定助と、吉良と、敵。それぞれが、お互いを、知っている……??
この状況、憲助さんにとっても想定外!震災以降、彼も気付かぬうちに、この東方家の敷地内で予想外の「何か」が動き出していたようです。さっきつるぎちゃんが姿を現したのは、恐らく敵の罠。敵は「病気」をネタにつるぎちゃんを騙して利用しているのです。つまり、地下室に行くのは危険。まずはつるぎちゃんを説得して諭そうと言う憲助さんでしたが、定助はそんなに悠長にはしていられないみたいです。地下にはきっと康穂がいる。一刻も早く地下室に行って、無事を確認したい様子。


●こんな切羽詰まった状況だっつーのに、定助と憲助さんの恋バナが開幕です。定助が「常秀のガールフレンド」である康穂の事をしきりに気にしているものだから、「彼女のこと、好きなのか?」とストレートに質問する憲助さん(笑)。「常秀の」でもないし、「ガールフレンド」でもないと憲助さんの言葉にツッコミつつ、定助は「この世でオレが知ってる人は彼女だけだ」と語り、「絶対に彼女を救い出す」と固く誓うのでした。
すると憲助さん、「うむ、わかった」「おまえの片想いってことだな……」と身も蓋もないリアクション。定助も「ううーっ」「その言葉も…なんか…… ええ…… まあ…… そーゆーのでいいですけど…」と、なんとも煮え切らない(笑)。定助のビミョ〜な表情が笑えますね。でも、定助が康穂に対する恋愛感情を否定しないのが、ちょっと意外で微笑ましくもありました。康穂の事は大事だし大好きだけど、恋愛感情っていう自覚はまだ芽生えていないようなイメージだったんで。
そして、敵への対策について話しながらも、憲助さんはそっと定助に語り掛けるのでした。「オレとかもいるだろ……」「2人になってるな…」「おまえのことを思っている人がこの世に誰もいないと考えるのは違う」、と。「おまえはつるぎの次だがな」なんて付け足したけど、この言葉は定助にとって救いになってくれると思います。「自分」という存在を失った定助ですが、少しずつ「自分の居場所」が見えてきましたね。たとえ記憶が無くたって、こうやって大切なものを見付け、お互いに想い合える人を増やしていけたなら、それが次第に「自分」を形作っていくはずです。新しい家族との関わりの中で、定助の孤独が晴れていく事を祈らずにはいられません。


●せっかくイイ感じに家族っぽくなりつつある定助と憲助さんなのに、夜露は空気も読まずに再度襲撃。今度は定助の手と、憲助さんの足にこっそり触れちゃいました。つるぎちゃんの意思もシカトして、憲助さんにもロック・オン!夜露、ロクでもない野郎です。
そして植木鉢の次は……、ッ!木から落ちた大量のイガ栗が転がって来やがりました!周囲をグルリと栗に囲まれてしまってます。岩とかよりも全然軽いけど、あんなに鋭く尖った物にいっぱい襲って来られたら……。ゾッとしますね。定助は逃げるよりも本体を捜して叩いた方が早いと、手当たり次第に攻撃を仕掛けるものの、夜露の姿はどこにも無し。そして、とうとう栗が加速して襲って来ましたよ。スタンドで栗を砕いたところで、やっぱりその破片もトゲも全て定助に突き刺さるッ!
追い詰められた2人は、地下室に逃げ込まざるを得ない状況。まんまと誘導され、罠に引っ掛かったって感じ。夜露の野郎、ロクでもないけど頭はいいな。ハッチを開けろと、つるぎちゃんに叫ぶ憲助さん。スタンドを潜らせて内側から開けりゃいい、と自分で言ってたのに、それも忘れるほどに焦ってます。果たして、つるぎちゃんの反応やいかにッ!?


★今月は43ページ!ページ数も少なめの上、あまり進展らしい進展もなくて残念。憲助さんのスタンド披露はお預けか〜。それでも、定助と憲助さんの関係性であったり、イガ栗襲撃時のジワジワ来るサスペンス描写であったりと、見所はたっぷり!でした。夜露の能力は未だ謎だらけ。今回を読んだ限りでは……、夜露が触れたモノ(「定助」や「憲助さん」)に、任意のモノ(「植木鉢」や「栗」)を加速させてぶつける能力って感じ。「引力」を発生させる能力??でも、康穂に使ったラップとなかなか結び付かないんですよねえ。これはまたじっくり予想を練りたいと思います。
作者コメントは「謹賀新年。今年の目標は京都より西へ旅行すること。」との事。旅行、いいですねえ。私も四国・九州・沖縄の方へは一度も行った事がないので、行ってみたいところです。
そして、「ジャンプLive」で配信予定のシュールストレミングを食べる企画。その衝撃的かつ破滅的な臭さのおかげで、荒木先生の描き下ろしイラストまで掲載です(笑)。絵だけでも臭そう……。こんな企画であっても、やっぱり人間の中に「謎」を見出す荒木先生がステキです。
さてさて……、みなさんもご存知の通り、「ジョジョリオン」は第17回文化庁メディア芸術祭において、マンガ部門大賞を受賞しました。来たる2/5(水)〜16(日)の期間中、東京は国立新美術館にて、なんと「ジョジョリオン」を始めとする受賞作品展が開催されるとの事。なんでも、「ジョジョリオン」第1話の原画やカラー原画が展示され、さらに荒木先生へのインタビューテキストなども公開されるとか!こりゃあ、何があっても行かねばなりません。絶対に行く。楽しみだなあ〜。



(追記)
●というワケで、夜露のスタンド能力について予想してみたいと思います。
まず、夜露のスタンドに関係する描写を挙げていくと、主に3つの内容になるでしょう。1つ目に、どこからともなく姿を現し、また姿を消す事。2つ目に、両眼と口からサランラップ状の膜・フィルムのような物を出す事。このラップは、力づくでは決して切り裂けず、剥ぎ取る事も出来ませんでした。そして3つ目が、夜露に触れられた人物が周囲の物質を引き寄せてしまう事。一見、まるで一貫性のない能力にも感じられますが、それでも「答え」は必ずある。
もしも、他人のスタンド能力を奪う能力だとすれば、複数の異なる能力が使えても不思議じゃありません。でも、それはある意味「禁じ手」とも言える能力。どうせ予想するんなら、やっぱり前述の3つの描写1つの能力で説明したいところです。……何かを「遮断」する?「影」を操る?「角度」を操る?エネルギーの「流れ」を操る?はたまた、「重力」を操る?そんな具合にあれこれ考えてみた結果、とりあえず以下のような予想となりました。


夜露のスタンド能力とは、一言で言うなら「集中」の能力なのです。

前述した3つの描写のうち、3つ目の内容メインの能力。夜露に触れられたターゲットの肉体は、夜露が選択した物質を周囲から引き寄せ、「集中」させてしまうのです。
その「集中」の力は、ターゲットの肉体の「中心」に近付く程に強くなるため、引き寄せられた物質は次第に加速します。しかも、引き寄せられた物質同士は、ターゲットの肉体を貫き潰してでも互いに出遭おうとし続け、それまでは「集中」の力が収まる事もありません。

続いて、2つ目の内容について。そもそもこの能力は通常、夜露がターゲットに直接触れる事で発動できます。ただし、その場合、能力射程はほんの数m程度。しかし、スタンドが創り出したラップを通じて、その能力射程を伸ばす事が可能となるのです。ラップを広げた分だけ、射程も広がる、と。伸ばせる射程は、最大で数十m程。さらに、ラップを使えば、より精密性も増します。康穂に使ったのが、それ。康穂をラップで覆い、彼女の口内を「中心」に設定し、水を「集中」させたワケです。このラップはスタンドの性質を持つがゆえ、物理的な攻撃で切ったり破ったりは不可能。そのため、水は康穂の口に入ろうとし続けながらも、ラップがそれを防ぎ続けます。結果的に、水はラップごと康穂の口に侵入し、彼女は水を飲む事も出来ず呼吸困難に。
……で、実は定助&憲助さんへの攻撃にも、ラップが使用されているのです。夜露は事前に、東方家庭園全体をラップで覆い、すでに自分のフィールドにしてしまっていたのです。ただ直接触れるだけでは、定助達の肉体は数m範囲からしか物質を引き寄せません。しかし、庭園にラップを敷き詰める事により、庭園全体が能力射程内となり、庭園全体から物質を引き寄せる事となりました。(もっとも、定助達自体はラップを巻かれていないため、夜露から数m離れるだけで能力は解除されます。)

そして、1つ目の内容について。これもラップを使っています。ラップを夜露自身に巻いた時のみ、夜露だけは他者の視線や意識の「集中」の外側にいられるのです。夜露に対しての視線や意識が「拡散」「分散」されてしまうのです。要するに定助達は今、夜露の存在を見付けにくく、認識しにくい状態にあるワケです。そのせいで、あたかも夜露が消えたり現れたりしているように感じる、と。
とは言え……、注意深く観察されれば発見されてしまう程度であり、また、定助達に能力を掛けるためにはラップの防御を解除して直接触れる必要があるため、基本的には物陰に潜んでいます。(眠っていた康穂とは違い、警戒している定助達にラップを巻くのは現実的に無理。)


――こんな感じです。さあ、果たして荒木先生はどんな「答え」を用意しているのか?今から楽しみです。




(2014年1月17日)
(2014年1月19日:追記)




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