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知ってるぞ……
「八木山夜露」……


#029 迫りくる物体





トビラ絵は、ベンチかどっかに並んで腰掛ける定助・憲助さん・康穂の3人。憲助さんが真ん中で、両サイドを定助と康穂が固めています。憲助さんはキリッとした表情でこちらを真っ直ぐに見つめ、定助は今イチ何考えてんだか分からん顔。そして康穂は、なんだか安心した様子で微笑みを浮かべています。これだけ見ると、仲の良い家族みたいにも見えちゃいますね。
それにしても康穂、なかなか本編には登場してくれません。今回の出番もこのトビラ絵オンリー。すっかり囚われのプリンセスとなって、愛しの勇者様の救出を待っている状態です。定助が東方家に預けられた日からず〜っと会えない日々が続いていましたが、感動の再会のお膳立ては整ったッ!あとはラストダンジョンに突入し、魔王を倒すのみッ!……とは言え、これは「ジョジョ」だからなあ。ヘタこいたら、プリンセス自ら魔王を倒す展開もあり得るか(笑)。


●冒頭は、憲助さんの幼少の頃の想い出。話の文脈からすると、恐らくは憲助さんが今のつるぎちゃんくらいの歳の頃と思われます。とすると、これは1960年(昭和35年)前後の記憶。
雪が降りしきる、ある冬の日。常助少年(後の「4代目」憲助さん)は、母:伴子さんに問い掛けます。「体が石になって死ぬ病気があるの?」、と。どうやら常助少年は、隣町の子どもに「東方家の一番目の子どもは呪われている」と言われ、イジメられていた様子。殴られたのか、口元には血が滲んでいます。意外とこの「病気」、地元ではそこそこ有名っぽい。まあ……、パッと見だとそうは見えないけど、常助少年も女装しているんだろうし、イヤでも目立ってしまうでしょうからね。
しかし、伴子さんは優しく常助少年を抱き締め、言い聞かせてくれるのでした。「東方家は強い家族で、正しい道を歩いている」「病気というのは治るもの。治す方法があるのよ」、と。家紋入りジャンパーを子どもに着せてるほどですし、伴子さんの「息子への愛情」と「東方家に対する誇り」の強さが窺えますな。
――そして、常助少年の体はやがて「病」に冒され、全身がになっていくッ!今回、憲助さんの回想はここまでですが、その続きも近いうちに描かれそうですね。果たして、常助少年はどんな方法で「病気」を克服したのか!?


●そんな幼少の記憶を想い出しながら、憲助さんは地下室にいるつるぎちゃんに呼び掛けます。はどんどんどんどん集まって来て、もう町中の栗が集合してんじゃねーのかって勢い。栗ごはん作るには便利だけど、逆に栗の餌食にされそうです。
憲助さんが覗くハッチからは、つるぎちゃんの姿が見えていました。つるぎちゃんは「定助を彼に差し出せ」「彼は病気を治すことができるんだ」と、憲助さんに訴えます。「彼」とは、もちろん八木山夜露。どうやら夜露は、「取り引き」と称して幼いつるぎちゃんを騙し、その不安につけ込んで利用しているようですね。夜露、紛れもなく「悪」ッ!きっと今のつるぎちゃんの不安と恐怖が痛いほどに理解できる憲助さん、必死につるぎちゃんを説得しようとしますが、つるぎちゃんはまるで聞く耳持たず。ハッチを開けてはくれません。
そこに、いよいよ栗の襲撃スタート!直接触れないように木材で栗を打ち付けても、この能力はどこまでも執拗です。案の定、バラバラに砕いた破片もイガも肉体に突き刺さり、体の中心に向かって進んでいく。栗という身近な物であるだけに、その痛さもリアルに想像できますねえ……。これは地味に怖い。


●憲助さんとしては、強引にスタンドでハッチを開けるのではなく、あくまでつるぎちゃんを説得して開けてもらいたかったようです。力づくなんかじゃなく、孫の心を大事にしたいと願う祖父の優しさ。つるぎちゃんの気持ちを無視してハッチを開けたとしても、つるぎちゃんの心はさらに固く閉ざされてしまうはずです。しかし、もはや状況はそんな悠長な事を言ってられる余裕など無しッ!
止むなく、憲助さんはスタンドを発動!彼の手がジグソーパズル状に変化し、小さなピースとなって分離します。ほんのちょっとのスキマからピースを侵入させ、ハッチの向こう側で再び手の形に組み立て直す。そして、切り離した手でハッチを開けるのでした。……なるほど。憲助さんのスタンドは、イメージ的には『オー!ロンサム・ミー』や『クリーム・スターター』に近い能力なのでしょうね。自分の肉体を分離して、遠隔操作するスタンド。自分の肉体以外の物質をパズル化する事は出来ないっぽい。その分、パズル化した自分の肉体を別の形に組み立て直し、思いもよらぬ応用を効かせてくれると面白そうです。
ところが、つるぎちゃんはハッチだけでは飽き足らず、ご丁寧に南京錠までロックしてやがりました。憲助さんのスタンドはパワーは弱いため、石で直接チェーンを叩き壊すしかない。しかし、石を握る手にも栗が刺さって絶体絶命!――と、ここまで追い詰められて、ようやく定助が『ソフト&ウェット』発動です。無数の「しゃぼん玉」を出し、栗から全ての「水分」を奪うのでした。「水分」を失った栗は粉々に崩れ、その隙にチェーンの破壊に成功ッ!……でも、チェーンから「硬さ」を奪うとかじゃダメなんだろうか?


●ついに地下室に逃れた定助と憲助さん。ハッチを閉じる一瞬、定助の目は地上に夜露の姿を確認したのでした。今は地上にいるみたいだけど、いくらハッチを閉じても、二本松の「洞」から地下室に入れるし、その能力次第で何とでもなるでしょう。とりあえずの危機から逃れただけで、夜露の猛攻はまだまだこれから。
夜露から離れたためか、栗の加速もストップ。憲助さんは、つるぎちゃんに「今の一度だけは許す」「おまえは家族だ。必ず守ってやる」と叫びます。う〜む、いいジイちゃんだよなあ。憲助さん、かなり好きなキャラですよ。さらに、「叱ったりしないから、『彼』とは誰か言え」と核心に迫る。そうして、つるぎちゃんはとうとう「八木山夜露」の名を口にするのでした。つるぎちゃんが言うには、夜露が「病気」を治すところ(あるいは、治せると確信できるほどの何か)をその目で見たようなのです。この集める能力ラップを使えば、そんな芸当も可能なのでしょうか?それとも、ただのペテン?
「八木山夜露」。その名を、憲助さんは知っていました。それは建築家の名前。東方家の屋敷家屋を建築設計した男の名前ッ!やはり東方家とは浅からぬ因縁があるようです。ただ、康穂が子どもの頃から遊びに行ってて、その時に家のあちこちで「本屋のマーク」を見掛けていたワケですから……、東方邸が建てられたのは10年以上前と思われます。夜露は現在28歳(自称ですが)。高校を卒業したかどうかってくらいの若造に、大事な屋敷の設計なんて任せられるものなのかな?まあ、その道では有名な超天才なのかもしれないし、親父さんとかのサポートとして携わっていたのかもしれないし。単に、最近になってリフォームしただけかもしれない。まだ何とも言えないか。
いずれにせよ、夜露が東方邸そのものに大きく関わっている事は事実。家族だけの憩いの場所が、実は敵の手のひらの上だった。敵の胃袋の中だった。とてつもなく不気味です。そんな東方邸、もしかすると夜露だけが知る秘密の部屋や通路などもあるのかもしれません。重大な「何か」を、東方邸に隠したのかもしれません。これまた謎が謎を呼ぶ。じっくり予想してみたいと思います。


★今月は31ページ!だんだんページ数が少なくなってますね(汗)。せっかく盛り上がりつつある展開なワケだから、ガンガン畳み込んでほしいところなんですが。しかし、来月号は表紙&巻頭カラー!一気に進展しそうな予感がして、大いに楽しみです。それに加え、付録として「JOJOVELLER」のスタンド事典追加版も!『オータム・リーブス』や『ナット・キング・コール』、『ペーパー・ムーン』あたりがアップデートされそうです。どうせなら「ジョジョリオン」完結後にもやってほしいですね。
作者コメントは「Bruce Springsteenのニューアルバム『High Hopes』、傑作出来上がりましたね。」との事。荒木先生の太鼓判ッ!ぜひ聴いてみたいと思います。ブルース・スプリングスティーンの曲名も、そのうちスタンド名に使われる時が来るかもしれません。




(2014年2月18日)




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