TOP  <<#034 戻る #036>>



グロ注意ッ!グロ注意ッ!
頭がちぎれるぞォ!


#035 第一取組





●今回のトビラ絵は、定助&常敏。定助の背後で、常敏が不敵な表情を浮かべて立っています。この2人の戦いの決着は、2匹のクワガタが土俵の上で付けてくれるはずッ!
「ジョジョリオン」らしいと言うか、杜王町らしいと言うか……、なんとも奇妙なバトルになってしまいましたが、このクワガタ相撲でどんな熱い駆け引きが繰り広げられるのか?そして、この勝負の果てに物語がどう動いていくのか?興味は尽きません。


●始まりは、ここんとこ恒例の定助のモノローグ。自分が何者か知るために、常敏から謎の「果実(フルーツ)」について聞き出す!定助の行動とその動機・目的のおさらいです。
でも、今回はそれだけじゃありません。「ジョジョリオン」のテーマにも直接結び付く、非常に重要なセリフが語られていました。

「悪人は生まれた時から悪人なのだろうか?」
「もし「悪人」になっていくとしたら それは「欲望」や「ねたみ」のためか………?」
「「怠惰」や「憤怒」のためか?」
「それとも「無邪気さ」のためなのだろうか?」


――悪人の子は、生まれながらに悪人なのか?親が犯した罪は、子どもにも引き継がれてしまうのか?祖先からの因縁を、どう克服していくのか?「ジョジョリオン」はそんな難しいテーマを扱っていく作品です。定助のこの問いはつまり、作品のテーマをより深く掘り下げていくような言葉になっているワケです。
もしも生まれながらの悪人などおらず、生まれてから少しずつ悪に染まっていくのだとしたら……、それは何によるものなのか?キリスト教では、人間が罪を犯してしまうのは七つの大罪によるものとしています。「傲慢」「強欲」「嫉妬」「憤怒」「暴食」「色欲」「怠惰」の7つの欲望が、人を罪に走らせてしまうのだ、と。そして定助は、これに加えて「無邪気」という要素も挙げています。自分の行ないが善か悪かも顧みず、ただ自分の感情にのみ従う。マックイイーンやプッチのように、自覚なきまま、悪の道に入り込んでしまう者もいるでしょう。なるほど。「無邪気さ」もまた、悪人を作り上げる要素の1つと言えるかもしれません。
この定助のモノローグは、あくまで常敏に対する印象や懸念を語ったものです。しかし、作品のテーマそのものである以上、これは定助自身にこそ降り掛かる問いでもあるはず。自分の先祖や両親どころか、自分自身の事さえまったく分からない定助。そんな彼のルーツが、彼がこの世に存在する理由が、もしとても汚らわしくおぞましいものであったとしたら?そして、正しい行動をしているつもりが、もし知らず知らずのうちに自分も他人も不幸にしてしまっていたとしたら?自分を悪の道に引き付ける、見えない力。自分を地の底に縛り付ける、見えない鎖。それこそ、まさに「呪い」です。
「ジョジョリオン」という、「呪い」を解く物語はここに至って、いよいよ核心に近付きつつあるのかもしれませんね!


●さて、クワガタをスズメ蜂と戦わせ、あっさり勝利した常敏。その自慢の拳闘士(グラディエーター)の名は、「P(パラワン)-28号」!……ん?前回は「P-36号」って言ってたよな?定助にプレゼントしたソフビの「鉄人28号」とゴッチャになってない?まあ、コミックスでの修正を待ちましょっか(笑)。
名前はともかくとして、常敏は見事勝利を収めたクワガタに付いたダニを取ってやってます。そうすると喜ぶんだとか。デモンストレーション兼ウォーミングアップはその程度にして、話は本題に。さっきはヘラクレスを賭けると言った常敏でしたが、対する定助は賭けるようなシロモノは何も持っていない。常秀まで調子こいて、「脳ミソだって持ってねェーんだッ!」などと小馬鹿にしてきます。さすがに定助もちょっとイラッときてるっぽい(笑)。
そこで常敏の提案。負けた方が眉毛を片方剃る。物ではなく、罰ゲームを賭けるって事ですな。主人公として片マユって事態は避けてほしいものの、確かにそのくらいなら誰にでも出来て平等な賭け。身近でリアルな分、逆にイヤな罰ゲームかも。そんな合間にも、常敏はまたまた相田みつをネタをブッコんできて、今度は辛うじて常秀もハイタッチ成功!そんな余裕綽々の常敏は、「止めるなら止めてもいい」とまで言ってきます。自分の勝利を信じて疑わぬそのプライド!これでボロ負けしようもんなら、つるぎちゃんの言う通り、我を忘れてボロを出しちゃっても不思議じゃないのかも。


●定助としては、あとは戦って勝つだけ!常敏が何を言おうと、賭けに乗る以外の選択など無し。自分のクワガタを土俵にセットすると、常敏が星形のシールをその背に貼ってくれました。常敏のクワガタには、東方家の家紋シール。見た目的にも両者の区別がしやすくなりました。かくして、1ラウンド45秒ッ!パラワン同士のバトルが開幕ッ!
定助が再び思い出すのは、つるぎちゃんの言葉。憲助さんの「ケツの穴」理論の通り、家族でもスタンド能力の話などしないのが東方家です。つるぎちゃんも、父:常敏のスタンド能力については何も知らない様子。その代わり、つるぎちゃんはクワガタ相撲の裏ワザを伝授してくれたのでした。クワガタのアゴは、敵を殺すためでも捕食するためでもなく、あくまで縄張りを守るために進化してきた武器なのだそう。そのため、オスのクワガタにとって、メスのフェロモンこそが最も闘争心を高めてくれるものなのです。へえ〜〜。自分の縄張りを守り、子孫を繁栄させるために強い力を得たクワガタ。「家」と「家族」を守り、子孫を繁栄させるために多くの犠牲を重ねる東方家。常敏はクワガタにどこかシンパシーすら感じているのかもしれませんね。
定助は、2人に気付かれぬようにメスのクワガタの股間を筆でコチョコチョし、フェロモンをこっそり採取!いつの間にって感じですけど(笑)。とにかく、定助も準備は万端ッ!


●土俵の中央でガッチリと組み合う2匹のクワガタ達!単なる虫同士のケンカとは思えぬド迫力です。ガッギィィンッとぶつかり、ガギガギガギャガギャバギグギとすごい炸裂音を鳴らす拳闘士!「虫が出すような音じゃねえぞッ…!!」と、常秀もビックリしつつ大興奮ッ!つーか、実際にそーゆー音が鳴るものなのかな?だとしたら、私もクワガタのパワーを侮っていたと言わざるを得ません。あるいは、どんな物事もド派手に演出するスタンド能力だったり??(笑)
定助クワガタの闘争心に、常敏は「筆先に雌のフェロモンでも仕込んだか?」と鋭く見破ってきました。さすがに油断ならない男。しかし、勝負は常敏が優勢。なんと定助クワガタのアゴが、片方折られてしまったのです。さっき定助が、常敏クワガタのアゴが薄くて弱そうと言っていたのも、常敏が丁寧にアゴにヤスリを掛けて研いであげていたからだったのです。クワガタ相撲、奥が深いッ!やっぱり一朝一夕で熟練者に勝つ事など出来ないのか?
アゴどころか首までひん曲げられ、大ピンチの定助クワガタ。絶体絶命です。……ところがどっこい!定助はこれさえも想定していました。土俵際の「い草」の中に、微細な「しゃぼん玉」を無数に仕込んでいたのです。その「しゃぼん玉」の中には、採取したメスのフェロモン!「しゃぼん玉」がどんどん割れ、中からフェロモンが溢れ出すッ!定助クワガタは俄然元気ハツラツ、発情したみたいに常敏クワガタを襲うッ!戦局は一転、なんと常敏クワガタを持ち上げちゃったのでした。フェロモンすげー!この土俵際の駆け引き、手に汗握るぜ。


●定助クワガタの思わぬ反撃に、常敏も驚きを隠せません。持ち上げられたなら、10カウントで敗北なのです。しかし、常秀はカウントもせずに大慌て!これには定助もキレて、「常秀てめえッ!さっさと数えろォォオ――ッ」とケンカ口調に。思えば、常秀に対してこれだけ乱暴な態度になるのは初めてか?いつもはけっこう淡々とクールに接していたからなあ。
でも、常秀が10カウントする必要もありませんでした。常敏クワガタは恐れをなして、土俵から逃げてしまったのです。信じ難い出来事に顔を歪ませ、体を震わせる常敏。そして、定助のダメ押しです!ドヤ顔でたっぷりと勝利宣言ッ!!……それを受け、屈辱にまみれた常敏は、無言で自分の片マユを剃り落とすのでした。早くもブチギレ寸前って感じ。自分の小指をボールペンで突き刺す直前の露伴にも似た、危険な空気が漂っております。だんだんエスカレートしていく予感ビンビンですね〜。怖い怖い。
ただ、定助クワガタはこの第1ラウンドですでに満身創痍。いくらフェロモンパワーがあるにせよ、連戦連勝は厳しい気がしますね。それとも、ケガも無関係になるくらいフェロモン効果は覿面なのか?はたまた、一度精神的に負けたクワガタは、その知能ゆえに「恐怖」を覚えてしまうのか?単純に、薬塗ってテーピングでも巻いときゃ何とかなるもんなのか?クワガタ相撲の知識ゼロなだけに、セオリーも分からず、どう展開が転ぶのか楽しみになってます。


★今月は31ページ!面白かったです。面白かったんだけど……、ページ数が少ない上に、なんと次号は休載。なん……だと……。ショックだあ〜〜……。まあ、夏の休載は毎年の事だし、仕方ないんですかね。残念ですが、ゆっくり待つとしましょう。でもその分、再来月は巻頭カラーだったりすると嬉しいな。勝手に期待しとくぜ!
作者コメントは「この夏の目標はどこか地方の花火大会に行くこと。花火アプリ入れた。」との事。そんなアプリがあるのか。荒木先生もすっかりケータイを使いこなしてますねえ。果たして、どこの花火を観に行かれるんでしょうか?花火をモチーフとした荒木先生のイラストってのも見てみたいです。さぞかしキレイな事でしょう。




(2014年8月19日)




TOP  <<#034 戻る #036>>

inserted by FC2 system