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もちろん手伝わせてくれ…
ホリーさんのために…
なんでもオレに命令してくれ


#050 仗世文、その過去





●今回のトビラ絵は、なんかジョルノっぽいポーズを決める定助!背景には、太陽と「壁の目」と「瞑想の松」、そしてシンボル化したダモカンの横顔。どことなく年賀状にも見える和風なイラストに仕上がっています。2016年も「ジョジョリオン」で大いに盛り上がりましょう!


●さて、トビラ絵とは裏腹に、今回は定助もダモカンも鳩ねーちゃんも登場しませんでした。なんと、1話丸々過去エピソードでした!突然、怒涛の勢いで過去が明らかになってますね〜。もっとも、それは読者に対してであって、当の定助の記憶は未だ戻らずですが……。
――とある夏の日、海岸の砂浜にて。1人の水着ギャルが男達にナンパされていました。その子はロリータ・フェイスで、かなりカワイイ。ところが、なんと彼女は子連れだったのです。水際で遊んでいるのは、幼い男の子。萎えた男達はそのまま立ち去っちゃいました。取り残された彼女は子どものオモチャを隠し、バッグから取り出した薬を飲むと、横になってパート先に電話。頭痛がひどいからと、仕事を休もうとします。しかし、彼女はいっつもそうやってサボッているらしく、上司からあっさりクビを宣告。それでも「本当に頭が痛いんだから」とか「明日からガンバろう」とか、自分に言い訳しまくりです。典型的ダメ人間の思考……!バッグには離婚届も入ってるし、今までも刹那的に生きてきたんだろうなあ。そんな確信を抱かせる女性です。
前触れもなく登場した彼女は何者なんだって話ですが、ここで大事件勃発!さっきまで水際で遊んでいたはずの息子が溺れていたのです。彼女は慌てて息子の名を叫びます。「仗世文!!」、と。……そう、この男の子こそが空条 仗世文らしい。という事は、ロリータ・フェイスなママさんは空条 聖美(きよみ)なのか?


●溺れる仗世文を助けようとするママさん。しかし、その時、彼女の脳裏に邪な考えが過ぎったのでした。今なら誰も見ていないし、気付いてもいない。なんと彼女は岩場に身を隠し、そのまま息子を見殺しにしようとします。子どもがいるせいで、自分は自由に遊びにも行けないし、幸せにもなれずにいる。無責任にも、ずっとそんな風に思ってたんでしょう。ホリィさんや朋子さんというよりも、ジョルノの母ちゃんや初期のしのぶさんを彷彿とさせるろくでなしママですな。
……とは言え、外道にもなり切れない中途半端で優柔不断な彼女。エゴと良心の間で揺れ、結局は息子を助けに向かったようです。まあ、それさえも「普通の母親」を自分自身に対して演じてみせただけなのかもしれませんが。事実、病院に運ばれた時点で、仗世文はすでに心肺停止状態。海から引き上げた時には、溺れてから20分も経っていた模様。遅すぎだよ。
ところが、運命は仗世文を導いてくれました。なんとなんと、仗世文を診てくれた医者はホリーさんだったのです!ホリーさんは仗世文の体を調べ、死因は溺れた事じゃなく頭部を岩に打ち付けた事と判断。恐らく、溺れる前に頭を打って即死に近い感じになり、そのおかげで水を大量に飲み込む事もなかったんでしょう。さらに、海中で体温も低くなって、うまいこと仮死状態を保てたのかも。


●ホリーさんのそばには、兄妹揃って母を待つ吉良 吉影虹村さんの姿。虹村さんなんかまだまだあどけなくて、クマのぬいぐるみを抱いてます(笑)。家族で「タイタニック」を観に行く予定だったようですが、「タイタニック」は1997年の映画。公開は1997年の冬なので、正確な時期は1998年の夏なのかも。とすると、この時点で吉良は15〜16歳くらい。虹村さんは8〜9歳くらいのはず。仗世文は、1991年生まれが真実なら6〜7歳か。前回の過去エピソードは2009年だから、さらに10年以上も遡っていた様子。
ホリーさんは息子を呼び、仗世文の頭部にあるであろう血栓を探すように命じます。吉良はすかさず自身のスタンドを発現ッ!その名もまんま『キラークイーン』!「しゃぼん爆弾」だけでなく、『シアーハートアタック』によく似た極小サイズの「爆弾戦車」を何体も作り出せるようで、仗世文の頭部の血管に放ちます。そして、血栓を発見・爆破ッ!見事、仗世文は息を吹き返したのでした。う〜ん、吉良もホリーさんもカッケーなー!
吉良は仗世文のママさんに「助かるってさ」と告げると、1人で映画を観に行くのでした。一方、息子の生還を知ったママさん、さっきまで号泣してたくせに「は?マジで……?」って顔してる。せっかく助かっても、仗世文の人生は楽じゃなさそうだ。


●――時は流れ、たぶん2010年。場所は恐らく、(被災前の)杜王スタジアム。選手の控え室では、愛唱がスポーツ選手と「ロカカカ」の取り引きをしていました。相変わらず「救心」飲んでるよ(笑)。愛唱曰く、樹木ごと運んで来ているのは「鮮度」が重要だかららしい。鮮度が落ちると、その効力も弱まってしまうのかな?
「ロカカカ」を欲するは、「晴天バーディーズ」のピッチャー。名前は岩切 厚徳(いわきり あつのり)、通称:アー君。「岩切」も仙台の地名ですね。彼は2009年度の年俸3億円という凄腕ですが、もう少しで大リーグ行き決定って時に右肩を壊し、故障者リスト入りしてしまったそうな。まさに絶頂からドン底へ。完全再起は絶望視されており、愛唱はその弱みに付け込んできたみたいです。でも、愛唱は別に騙そうとしてるワケじゃなく、「ロカカカ」の効力も代償もキッチリ説明済み。それによれば、どうやら「等価交換」の代償はランダムに現れるっぽい。頭部のどこかが石化してしまうケースが多いようですが、代償を何にするか自分で決める事は出来ない模様。危険な賭けですね……。ただし、購入を強制する気も愛唱にはさらさらなく、あくまで選ぶのはアー君なのです。
そうは言っても、選択の余地もないほど追い詰められている人をターゲットにしているんでしょう。アー君は躊躇いつつも、ついに「ロカカカ」を購入。愛唱は几帳面に「ロカカカ」の重さを量ってメモると、決して「ロカカカ」の謎を探ったりしないよう念を押し、立ち去ります。そして、愛唱が去るや否や、アー君は「ロカカカ」を貪り喰うのでした。


●そんな愛唱とアー君の取り引き現場を盗撮している者がいました。そう、吉良です。控え室の換気口からチューブ・カメラを伸ばし、まんまと撮影に成功!
アー君は「ロカカカ」のおかげで肩が治り、奇跡の復活を果たしていました。吉良は、調査で得たアー君や「ロカカカ」の情報を、一緒にいる男に説明します。そして、吉良自身も「ロカカカ」を1個奪い取るつもりでいる事も。吉良の話を聞く男は、成長した仗世文でした。どうやら、港のラーメン屋で仗世文を見掛けて、吉良の方から接触したようですね。吉良は、「ロカカカ」はカネになるから一緒にやらないか、と仗世文に話を持ち掛けます。しかし、仗世文は吉良の本心を見抜いていました。
吉良は母親:ホリーさんの病気を治したいから「ロカカカ」を狙っている。でも、吉良は変にプライドが高いせいか、素直に協力を求めたり助けを乞うたりは出来ず、カネで興味を惹こうと試みていたらしい。まあ、吉良からすれば、自分の都合に他人が付き合うワケがないって思ってたんでしょう。しかし、仗世文にとってもホリーさんは特別な存在。なにせ命の恩人です。見返りなどなくても、その恩に報いるためにホリーさんを救いたい。全てを知った上で、仗世文は快く吉良に協力を誓います。
仗世文の強く真っ直ぐな視線と言葉。吉良はちょっと驚いたような表情を浮かべ、心を動かされるのでした。仗世文、めっちゃいいヤツじゃん。あの母親に育てられても真っ当に成長できたのは、きっとホリーさんのおかげだね。仗助にとっての「リーゼントの少年」のような、ヒーローであり生き方の手本になったのかもしれません。だとすると、あのハンバーグ・ヘアーには深い意味はなく、ただの個人的趣味のオシャレなのか?


●愛唱には必ず仲間がいるし、尾行するのさえ危険。注意を促す吉良ですが、仗世文の発想はまったく別でした。……自分の物を盗まれれば誰だって怒る。だから、「ロカカカ」も盗まなければいい。まあ、そりゃあそうだけど、じゃあどうやってゲットするんだよ?さすがの吉良も訝しがります。
仗世文は近くの木の枝をヘシ折ると、同じように枝を折った別の木にあてがいます。すると、仗世文の手から無数の「しゃぼん玉」が出て来ました。『ソフト&ウェット』そっくりなスタンドの顔も描かれています。「しゃぼん玉」が枝を覆い、全て割れた時、なんと木の枝はピッタリくっ付いてしまいました。吉良が言うには、仗世文のスタンドは吸い上げる能力、との事。要は、様々なモノを「しゃぼん玉」の中に「吸収」し、取り除いてしまうのでしょう。恐らく、枝と枝の切断面を「しゃぼん玉」で吸い上げて消し去り、結果的に接着・接合してみせたってトコかな。前回は、ラーメンからコショウを吸い上げた、と。「奪う」能力に似ている能力。『クレイジー・D』の治す能力にも、「壁の目」の「融合」にも、どこか似た能力。これは面白い。
ともあれ、この「接ぎ木」を行なえば、枝にはその果実が育ってくる。つまり、「ロカカカ」も枝だけを盗めばいい。枝だけならバレにくいし、「ロカカカ」を自分で大量に育てる事も出来る。実に論理的でクールな作戦です。「ロカカカ」を食ったアー君は口が石化し、アゴごと崩れてしまっていますが、吉良達は知る由もなし。こんなものでホリーさんを救えるのかは甚だ疑問。それでも、救う手立てのヒントにはなるかもしれません。かくして吉良と仗世文は、愛唱を見付けると尾行を開始するのでした。――以下、次号!


●今回はサブタイトル通り、仗世文の過去について色々判明してきました。ただ、やっぱりまだまだ謎は多い。
まず、カレラが持っていた写真では、仗世文にも「星のアザ」がありました。つまり、仗世文もジョースターの血を引いている可能性が高い(名前的にも)。それなのに、母親は全然ジョースターっぽくないし、「しゃぼん玉」に星がないのも気になるところ。康穂がゲットした情報が正しいのなら、父親の貞文の方がジョースターなのかな?あるいは、その吸い上げる能力とやらで、ジョースター家の誰かから「血統」さえも吸収しちゃって、後天的に「星のアザ」が出来たとか?もしホリーさんの脳や臓器が失われているのが仗世文の能力によるものだとしたら、彼女の「血統」をも吸い上げ、その時、仗世文もジョースターに「なった」のかもしれません。
仗世文にスタンドが発現した理由は、ご多分に漏れず「壁の目」の影響でしょうか?それはそれでいいとして、そうなると仗世文は幼少期からずっと杜王町に住んでるっぽいですよね。少なくとも2009年以降は杜王町にいたはずだし。にも関わらず、定助がかつての知り合いと出会わないのは何故なんでしょう?カレラが初で、他は誰も定助を捜していないようですから。実はちょいちょい杜王町と他の土地を行ったり来たりしてて、杜王町に滞在する期間自体はそんな長くはなかったとか?もしくは、何らかの理由で町中に「しゃぼん玉」を降らせ、住民達から仗世文に関する記憶だけを吸い上げて取り除いていた、とか?
そして、「仗世文」の名を騙るダモカンも謎です。定助が吉良と仗世文の「融合体」らしい事は夜露だけが知っていて、ダモカンはダモカンで独自に仗世文の行方を突き止めようとしているのかな?仗世文を捕らえ、盗まれた「ロカカカ」の在り処を聞き出す。その目的のため、わざわざ彼の名を使い、彼の実家を乗っ取ってクリーニング店に改築までしちゃったのかも。そこまでされれば、どこかに潜んでいる仗世文も黙ってられず、おびき寄せられて来るはず……という計画か?
――考え甲斐のある謎ばかりです。この辺も含め、またじっくり考察したいと思います。


★今月は33ページ!ページ数が少ない分、ストーリーは激動で濃厚ッ!おかげで、読み応えは凄まじかったですね。
ダモカンとの件も気になるものの、きっとこの過去エピソードはダモカンにも繋がってくるはず。定助が康穂と出逢うまでまだ1年程もあるだろうから、これからはいろんな事件が目白押しでしょう。すんなり愛唱から「ロカカカ」を盗んで……とは行かず、失敗したり、「岩人間」と直に接触したり、東方家を探ったり、カレラと出逢ったり、夜露と戦ったり、震災が起こったり、「記憶の男」が現れたり……。バラバラだったパズルのピースが徐々に組み合わさり、いよいよ物語の全貌が見え始めてきました。こりゃあ本気で目が離せません。超面白いっス!
で、ページ数から考えると、コミックス12巻は次回分までの5話収録になりそう。発売は5月19日頃かな〜。
作者コメントは「代々木公園で「ケサランパサラン」を見た。未確認生物ですけど。良い年でありますように。」との事。マジかよッ!でも荒木先生なら普通にあり得るな(笑)。




(2016年1月19日)




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