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「2」だ
2個とも収穫できるぞ


#051 継ぎ木





●今回のトビラ絵は、仗世文・吉良コンビ!今の「定助」を形作っているであろう2人の並び立ちです。どこか気の抜けた表情の仗世文と、眼光鋭い吉良。このユルさとクールさの2面性は、確かに「定助」の中にも息づいているように感じますね。
さて、トビラ絵からも分かる通り、今回は過去編の続きからのスタートとなりました。


「ロカカカ」の枝を盗むべく、愛唱を尾行する仗世文達。愛唱はドラッグストアに寄って、買い物しています。彼が買う物は、もちろん「救心」(笑)。そこにさっそく仕掛けて来たのは仗世文でした。愛唱のそばに置いてあった「アイ・アイ・SYAA(シャア)!」なる目薬を褒めちぎり、ゴッソリ買い占めて行ったのです。愛唱が棚をチラ見すると、「アイ・アイ・SYAA!」が1個だけ残っていました。仗世文があえて落としていったようです。
そこに、今度は吉良が追撃!お店のおっちゃんに、「アイ・アイ・SYAA!」は売っているかと訊ねます。どこの薬局でも売り切れとかテキトーな事を言ってると、愛唱もだんだん興味を示してきました。名前も自分と似てるしね。そして、おっちゃんが棚を確認に来るや否や、素早く残り1個の「アイ・アイ・SYAA!」をゲットする愛唱(笑)。
買い物を終えて、外に出ると、愛唱は「救心」をゴクリ。さらに、「ロカカカ」の取り引き相手との電話も済ませると、買ったばかりの「アイ・アイ・SYAA!」を使ってみるのでした。スッキリ爽快って顔の愛唱が面白い。


●そんな愛唱の背後に、さりげな〜く接近する仗世文。続けざまに、道路を走るバイクのタイヤを「しゃぼん爆弾」で爆破し、パンクさせる吉良。当然、バイクは転倒しちゃいました。
ライダーは軽傷みたいですが、愛唱の意識と視線は、目の前のバイク事故へと向けられます。その僅かな隙を突いて、仗世文が一気に攻めるッ!愛唱が持つトランクケースをごく自然に思いっきり開け、「ロカカカ」を写メって、枝を2本ヘシ折ります。そして、あらかじめ持参した他の枝を「ロカカカ」に継ぎ木し、さらに写メを見ながらナイフで枝の形まで整える職人っぷり。しかも、「アイ・アイ・SYAA!」に仕込んでいたらしい「しゃぼん玉」で、愛唱の視界も狭めていた模様。用意周到かつ大胆不敵ッ!見事なコンビネーション!
かくして、愛唱にまったく気付かれる事なく、意外とあっさり「ロカカカ」の枝の入手に成功した2人。こいつら、スマートでカッケーなー。仗世文のスタンドは、能力もさる事ながら、見た目もほとんど『ソフト&ウェット』と同じみたいです。そこはもうちょい変えてほしかったところですが。まあ、さすがにここまで来ると、仗世文が定助の半身で確定ですな。


●――ここで一旦、時間は現在へ戻ります。憲助さんを拷問するダモカン。彼の言葉をそのまんま文面通り受け取ると、作中の「現在」は震災から6ヶ月後のようです。2011年9月の中旬〜下旬頃。「半年」ならまだしも、具体的な数字を出して「6ヶ月」ですからねえ。これは2011年の年表(というか「タイムテーブル」)も少々書き直す必要があるな。
ダモカンはさらに語ります。夜露は「ロカカカ」の樹を探していた、と。東方家近辺のどこかにあるはずだが、震災と「壁の目」の隆起によって地形が変わり、探索は難航していた、と。もしかすると、仗世文は「瞑想の松」に「ロカカカ」の枝を継ぎ木したって事なのかな?だから、「瞑想の松」を守るために「壁の目」が隆起した?う〜ん……。
「ロカカカ」なんて名前のフルーツは知らない、と答える憲助さん。しかし、ダモカンは「八木山夜露を殺したのはあんたか?」と、不意打ち気味の質問。実際、夜露の死にガッツリ関わっている憲助さんは、思わず青ざめます。その時、ダモカンは折った千円札で、憲助さんの左腕をスパッと切断ッ!『ビタミンC』で軟らかくなった人体など、バターより簡単にカットできるのです。大切な家族まで人質に取られている以上、もはや憲助さんは打つ手無し。夜露が「岩人間」と分かったから、自分が海に沈めて殺した……と白状するのでした。
ところがダモカンは、憲助さん1人で夜露の正体を暴いて倒すのは難しいと読んでおり、協力者の存在をも吐かせようとします。憲助さんの脳裏に過ぎるは、定助、つるぎちゃん、康穂の姿。あまりにも執拗で粘着質な拷問。家族を守るため、憲助さんは定助を売ってしまうのか?それとも……!?


●――時間は再び過去へ。吉良のマンションではなく、恐らく吉良家の本邸。吉良は、仗世文をホリーさんに会わせていました。
仗世文は自己紹介と、幼い頃からの感謝の言葉を伝えます。しかし、ホリーさんはすでに病魔に蝕まれており、記憶力も認識能力も衰えてしまっています。自分が何をしようとしていたのか忘れ、仗世文を息子:吉影と思い込み、仗世文のヘアースタイルが帽子に見えてしまっている。
ふと我に返るホリーさん。どんどんおかしくなっていく自分に涙し、取り乱します。何が起こっても、何より大切な自分の子どもの事を決して忘れるはずがない。……そう自分に言い聞かせながらも、彼女にはすでに、息子:吉影が他人に見えてしまっていました。これは悲しいな……。スゴい残酷な病気だ……。辛さを押し込めたような表情の吉良と、何かを固く決意したかのような表情の仗世文。この時、2人の意志は完璧に1つになったのかもしれません。


●――時間はさらに進み、場所はヨットの上。仗世文と吉良は、誰かに聞かれるとヤバい「ロカカカ」などの話をする時は、ヨットで沖に出てからしている様子。どこかに継ぎ木した「ロカカカ」の生育は順調らしく、あと1週間ほどで熟するみたいです。2個収穫できそうですが、相手が謎の「岩人間」だけに、用心に用心を重ねる2人。収穫するまでではなく、収穫してからも、絶対にバレてはならない。
港に近付くと、1人の女の子の姿が見えました。見覚えのあるその姿は、作並カレラ!彼女は仗世文と同じ農学部の学生らしい。カレラ、大学生だったのかよ。吉良はカレラの事を調べており、仗世文のストーカーである事、髪の毛のスタンドを持つ事も、とっくに知っていました。さすが吉良。密偵ならお手の物(笑)。……彼女に「ロカカカ」や「岩人間」と繋がりがあるようには見えないものの、スタンド能力というものには奇妙な「縁」がある。南の海で飛び魚が跳ねたから、今、仗世文達はここにいる。スタンドには、強い「運命」同士を引き付ける力があるのでしょう。
だからこそ、無用な行動を取ってはいけない。関わる必要のないものと関わってはいけない。収穫まで「ロカカカ」に近付かない約束を交わし、2人は港に戻るのでした。


●港に着き、係留ロープを結ぶ仗世文。双眼鏡でカレラをよく見てみたら、ちょっと可愛いとの感想(笑)。
……その時、吉良が仗世文に注意をしてきます。係留ロープが水面に落ちている、と。さっき確かに結んだはずなのに……。訝しがる仗世文ですが、ロープを握っている手がツルッと滑る。見れば、ロープには謎の「指紋」が。ヨットの手すりに止まろうとしたウミネコも、ツルッと滑って、海に落ちそうになっています。そして、いつの間にかヨットには、無数の「手型」がベッタリと付着しているではありませんか!そう、これは……。
吉良が船室を覗くと、そこには2人の男が座っていました。ダモカンこと田最環と、八木山夜露。愛唱から枝を盗んでから約10ヶ月……、とうとう「岩人間」達は全てに気付き、仗世文達の元にまで辿り着いてしまったのです。
「ロカカカ」の取り引き前後の重さを計量していたため、あの日、ほんの9グラムだけ重くなっていた事は分かっていた。その時点では何らかの誤差と判断し、見過ごしてしまったが、「ロカカカ」が枯れた時にようやく枝がすり替えられていた事実に気付いた。すでに6ヶ月経過していたため、交通記録や防犯カメラを全て調べる事は不可能。それでも、「ロカカカ」を盗んだ動機は病の克服にあると踏んで、日本全国の怪我人や病人を1人1人チェックする事に。そして、4ヶ月掛かってホリーの名を見付け、息子の吉良吉影にまで辿り着けた。
……恐るべき執念です。「岩人間」にとって「ロカカカ」が大事ってのはあるでしょうけど、ダモカンにとってはそれ以上に、自分のプライドが許さなかった模様。思いも寄らぬ方法で自分を欺こうとした生意気なヤツは、決して許してはおけない。そんな「傲慢」さゆえの追跡です。「岩人間」のモチーフが「7つの大罪」って予想にも、ますます確信が持てました。


「WRYYYYYEEEEAッ!!」と雄叫びを上げ、『キラークイーン』のラッシュをかます吉良。しかし、『ビタミンC』の方が素早く、攻撃を喰らった吉良の肉体も軟化していきます。すかさず爆弾戦車『シアーハートアタック』を射出するも、これまたダモカンに届く前に溶かされてしまいました。つ、強い……!
「指紋」に触れた仗世文も、同様に溶けていきます。ヨット上に横たわり、あっけなく行動不能に陥った2人。ダモカンは、ここに来た目的は2つあると静かに語り、千円札を手に「わたしにウソはつくなよ」と警告するのでした。「過去」と「現在」が、ダモカンの拷問でリンクしていく!果たして仗世文と吉良の運命は?――というイイところで、以下、次号!
この時のダモカンの目的は、シンプルに「盗まれた「ロカカカ」を取り戻す」事と「吉良達を始末する」事でしょうね。いや〜、ダモカンもすっかりいいキャラだな。コミカルな見た目に反して、冷淡な凄みを感じさせます。言い訳やシャレなんて一切通用しない、問答無用の圧力があります。言動も能力もいちいちリアルに怖いよ。絶対、敵に回したくない。


★今月は47ページ!「過去」も「現在」も非常に緊迫した状況で、最高に盛り上がっております。ただ……、正直、かなり心配にもなってきています。ダモカン曰く、仗世文達の前に現れたあの日は2011年8月19日(金)。つまり、この時点ですでに震災は起こっていて、しかも作中の「現在」のほんの1ヶ月ほど前って事にもなりかねないワケです。そうなると、色々と矛盾が生じてきそうな予感。仗世文が夜露に殺されかけた時、「壁の目」の隆起で助かった件とか……、カレラが震災から半年の間、1人で「岩人間」から逃げていたっぽい件とか……、カレラが吉良のマンションで「ロカカカ」を見た件とか……、うまく回収・説明されるんでしょうかね?
まあ、たとえ説明されなくても、描写に不足や矛盾があっても、どうにか強引にこじつけてやる気ではいます。でも、やっぱ「ジョジョリオン」ではストーリーをキッチリ作り込んでほしいってのが本音。編集さんもちゃんと仕事してくれよ〜〜、マジで(笑)。――そんなワケで、ここはあえて強気に予想しておきましょう。ダモカンに死ぬほど追い詰められた吉良は、『バイツァ・ダスト』を発動する、と!4部とは効果も異なり、『バイツァ』を仕掛けられた仗世文は、なんと愛唱から枝を盗んだ日(たぶん2010年10月3日)にまで遡ってしまうのです。そこで仗世文は2周目の時間をやり直し、様々な設定も華麗に回収しつつ、1周目の危機を見事回避!しかし、予期せぬ事態が起き、吉良と「壁の目」に埋まって「融合」する結果になるんです。このように、「時をかけるジョジョ」「ジョジョだけがいない街」的な展開と予想ッ!
作者コメントは「ものすげーちょっとハマったこと。ラジオ体操第3。」との事。ものすげーけど、ちょっとなのか(笑)。調べてみると……、当時普及する事なく消えていった幻のラジオ体操第3が、去年、復刻されたらしいですね。先生もそれを見てハマったんでしょうか?執筆前に体操してるのかも?




(2016年2月19日)




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