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ずっと想い描いたことがあって
それはきっと オレの「幸せのイメージ」だ


#053 仗世文と吉良





●今回は「ジョジョリオン」がウルジャンの表紙を飾ってくれました!桜の花びらが舞い散る中、それぞれポーズを取る定助&康穂のイラスト。「ジョジョ」コミックス4巻表紙のジョナサンにも似たポーズの定助と、承太郎みたいに指さしポーズを決める康穂です。定助の腰の入り具合がステキ。
この絵はまさにッ!今の季節にピッタリです。定助と桜のピンクに、背景のエメラルドグリーン。荒木先生が「無敵」とまで称したピンク&水色に近い、色の組み合わせ。日本人の感性にベスト・マッチした、暖かく爽やかな風を感じられる1枚でした。この原画、土浦の「桜くらべ展覧会」とかで展示されないかなあ。
……さらに、ウルジャンと同日発売のミラクルジャンプの表紙をも、「ジョジョ」がジャック!こちらはなんと、仗助&康一くんでした。しかも、ウルジャン表紙の連作になっており、ポーズも一緒!康穂のポーズを仗助が、定助のポーズを康一くんが取っていました。ぶっちゃけ、やっぱ絵柄はだいぶ違和感あるし、仗助はデザイン的にも仗世文に引っ張られてるし(笑)。でもまぁ、こうして彼らの新しい姿が拝めるだけで眼福なのです。


●今回のトビラ絵は、なんと全員集合的イラスト。定助、康穂、常秀、憲助さん、つるぎちゃんは言うに及ばず、大弥ちゃん、鳩ねーちゃん、常敏、虹村さん、カレラの姿も。そして、さらに夜露、愛唱、エイ・フェックス兄弟にダモカンという「岩人間」勢まで!総勢15名の豪華な1枚に仕上がりました。こうやって見れば、みんな仲良さげなのになあ(笑)。
全員それぞれ魅力的に描かれています。……が、この15名の中では、大弥ちゃんのカワイさが特にヤバいです。表情といい、仕草といい、あざといけどめっちゃキュート&セクシー!


●本編はまず、久しぶりの現在パート。「手型」や「指紋」に触れないように、「しゃぼん玉」でガードしながらドアを開けようと試みる定助。しかし、『ビタミンC』の「結界」は想像以上に強固らしく、どう足掻いてもヌルヌル滑ってしまい、もはやドアすら開けられません。それどころか、「指紋」に触れて、体がどんどん軟化して溶けていく。
定助は鳩ねーちゃんに、ダモカンを殺す許可を出してもらえるよう提言ッ!でも、鳩ねーちゃんは未だ状況が飲み込めず、混乱している様子です。果たして、彼女が選ぶのは「家族」か「恋」か?あまりにも残酷な選択。その傍らで、定助はすでにもう殺る気満々です。何も思い出せないながらも「オレは前へ進みたい!」と宣言し、行く手を阻むものは何であろうと排除する覚悟が決まりまくってます。全ては、「自分」を知るために。


●ここで再び過去パートへ。瀕死の吉良に、「しゃぼん玉」で「ロカカカ」を食わせた仗世文。腹部の傷もどんどん癒えていきます。仗世文は吉良が生きているか確認するため、左手を吉良の心臓部分に、耳を吉良の口元に触れさせました。――すると、なんと吉良に触れた仗世文の左手と右耳が石化し、崩れてしまったのです!アー君の時は、あくまで食べた本人の体内で「等価交換」が起こったのに、今回はそれとは違う。
疑問を抱きつつも、とにかく今は吉良の事が心配。傷は治ったはずなのに、呼吸が戻らないのです。吉良を抱きかかえ、必死に声を掛ける仗世文。ちなみに、ここでようやく、仗世文が吉良をどう呼んでいたのかが明らかになりました。「吉良さん」呼びだった模様です。まあ、10コも離れてるし当然っちゃ当然なんですが、ちょっと意外でした。普段の態度からして、「吉影」と呼び捨てで呼んでるものと思ってましたよ。
……ともあれ、そんな仗世文達の元に迫る影が1つ。それは夜露でした。仲間と電話しながら、確実に仗世文達に近付いています。しかし、さっきのヨット爆破の後、いつの間にか震災の余震が起きていたとの事。杜王町は震度3で、津波警報まで出ていました。この余震、何かの前触れなのでしょうか?


●吉良を抱きかかえた仗世文は、吉良の後頭部にも傷を発見。どうやら吉良は、あの爆風からも仗世文をかばってくれていたらしく、あちこちに金属の破片が突き刺さっています。気が狂いそうな程にもだえ、涙する仗世文。こっちの傷も治さなくては!仗世文は、残り1つの「ロカカカ」に手を伸ばします。
その時、仗世文の前に現れたのはエイ・フェックス兄弟。夜露の電話の相手は彼らだったのです。静かに接近して来る双児。しかし、「岩人間」なんぞ、今の仗世文の眼中にはありません。エイ・フェックス(弟)のボールの中に、大量の「しゃぼん玉」を入れてフワフワ浮かせ、すかさずヒザに強烈な蹴りを一撃!倒れ込んだその顔面を、雄叫びを上げながら何度も何度も踏み付けるッ!慌てたエイ・フェックス(兄)は、定助にもやったように、後方から仗世文を羽交い締めにします。ところが仗世文は、「しゃぼん玉」で近くの木の枝を仰け反らせ、そして離し、その反動で枝を兄の脳天に突き刺してみせたのでした。再び咆哮を上げる仗世文、『ソフト&ウェット』のオラオララッシュをブチかます!とどめに、顔面をフルパワー膝蹴り!……ス、スゲえ……。これにはマジ圧倒されました。
ここでちょいと気になるのが、仗世文の「しゃぼん玉」に星マークが浮かんでいる点です。仗世文の精神テンションゆえなのか……、「ロカカカ」を吉良に食べさせた結果、仗世文が石化し始めた事と関係しているのか?謎はありますが、仗世文がジョースターの血統である可能性も高まったように感じます。
ともあれ、仗世文の怒涛の猛攻で、双児はあっさり崖の下へ転落。ちょうどそこにやって来ていた夜露もビックリです。そして、仗世文の震える心に呼応するかのように、またもや地面が揺れ始めました。


●「岩人間」の襲来など意にも介さず、何事も無かったかの如く、仗世文は「ロカカカ」をもぎ取ります。この「ロカカカ」は、どうやら他の「ロカカカ」とは少し違う模様。「継ぎ木」をして育てたせいなのか、この「壁の目」に宿る特殊なエネルギーか何かの影響なのか?理由は分からないけれど、この「ロカカカ」は、「実」を食べた者その人物に触れた者との間で「等価交換」が行われるらしい。
つまり、「等価交換」の範囲が広がったという事ですね。通常の「ロカカカ」は、食べた本人の体内。「壁の目」は、一緒に埋まったモノ同士。「聖なる遺体」は、この世のどこか。それぞれ範囲が異なりますが、より強力になった「ロカカカ」である事は間違いありません。通常の「ロカカカ」と、「壁の目」の中間くらいのパワーでしょうか。やはり、大昔から「等価交換」の力を秘め、かつてジョニィが「遺体」を隠したこの場所は、特別な「聖なるパワー」が宿っている……のかな?
――仗世文は再び「ロカカカ」を「しゃぼん玉」で細かくし、吉良の口へと運びます。さっきヨットの上で吉良が話した言葉。「オレがいろいろなことにおまえを巻き込んでしまった」という言葉。それを仗世文は否定するのでした。「オレの方がホリーさんのために心から役に立ちたかったんだよ」、と。仗世文の心に描かれた、あるイメージ。あの遠い夏の日、死にかけた仗世文を優しく抱くホリーの姿。その姿は、荒木先生も出演されたTV番組「ザ・プロファイラー」でも触れた、ミケランジェロの彫刻「ピエタ」そのものです。そしてそれは、仗世文自身の「幸せのイメージ」。そう……、仗世文にとってホリーさんは、その名の通り「聖母」だったのです。「聖母」のために、自分の「幸せ」のために、自分が出来る事は……。


●「ロカカカ」を食べた吉良の体に触れる仗世文。全身がどんどん石化していく!仗世文は吉良に語り掛けます。「あの夏の日 とっくにオレは海で死んでいた…」「海に行ったあの日から 最初から元々どこにもオレは存在してなかったんだ…」「だから生きるのは… オレの方じゃあないな」
涙を流し、穏やかに微笑みながら、仗世文は自分の命を吉良に喜んで差し出すのでした。「そっちの方がいい」「そっちの方が… 「幸せのイメージ」だ……」「今まで生きてこれたしな」 くあ〜〜、なんて切ないんでしょうか。この表情、このセリフ、胸を打ちます。自分以外の誰かのために、己の命さえ差し出せる心。清らかな「黄金の精神」は、確かに仗世文の中で輝いていました。
地震と「壁の目」の隆起により、2人がいる地面にも亀裂が入ります。仗世文は最期に、吉良に伝えるのでした。「まだロカカカの枝は無事だ」「ホリーさんのために…」「君がまた育てろ……」、と。ちょうどその時、東方家の果樹園では、憲助さんがつるぎちゃんに「余震で「壁の目」の隆起が続いているから、この辺では遊ぶな」と注意を促していました。また、夜露や双児も、この地震と「壁の目」の隆起に焦り、さらに近付いて来る津波も警戒し、ここからすぐに立ち去ろうとしていました。
そしてついに……、仗世文の体と地面は砕け、そのまま2人は「壁の目」に飲み込まれました。仗世文が取りこぼした「ロカカカ」の破片は、偶然にも、そこを通り掛かった1匹の犬(後の「岩助」)が食べてしまいます。――地面の下には、2人の人物の肉体が埋もれていました。こうして、「定助」はこの世に生まれたのです!


★今月は46ページ(表紙を含めれば47ページ)!仗世文の深すぎる孤独と、それゆえに宿した「黄金の精神」。本当に素晴らしかったです。仗世文も吉良もグレートにカッコいいキャラでした。定助には是非とも、この2人が何のために生き、何のために戦ったのかを知ってもらいたい。自分がどうして生まれたのかを理解してもらいたい。自分の中の「仗世文」と「吉良」の想いを、「定助」として受け継いでほしい。そう思ってます。
ただ……、今回の話により、いよいよもって以前の設定は遥か地平線の彼方(笑)。まさか、あのまますぐ定助誕生にまで繋がっちゃうとはな〜。キャラの心情や行動という面では最高の展開を見せてくれた過去編ですが、正直、時系列や整合性という面では最悪の結果になっちゃった。疑問は山ほど残ってるし、辻褄なんてあったもんじゃない。でも、先月の「整合性なんてこっちでこじつけてみせるから、荒木先生はこのまま描きたいものを描き続けてくれッ!」っていう自分の言葉はウソじゃありませんよ。改めて1から考察・予想・こじつけのし直しと行きますぜ!
作者コメントは「凹版印刷の特殊切手「日本の建築シリーズ」から切手集めにハマっちまってる。」との事。切手集めとはまたシブいぜ。ひょっとしたら、そのうち「切手」にまつわるエピソードが作品に描かれたりする・か・も?
そして、付録の「岸辺露伴 マンガ家セット」。私はこーゆーグッズは基本どうでもいいと思ってる人なんですが、特筆すべきは「ピンクダークの少年」のネーム1ページ分。荒木先生がわざわざ描き下ろしてくれたっぽい(笑)。これにより、「ピンクダークの少年」のストーリーの一端を覗き見る事が出来ました。どうやら「少年」の敵は、「ネコ怪人」ギャースというらしい。「少年」は、ギャースの館へと乗り込むところだった気配です。このネームだけでも、この付録をゲットした価値があったな。




(2016年4月19日)




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