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『仗世文』…  ロカカカの等価交換!!
こいつが仗世文!!


#054 田最環は二度殺す





●数ヶ月に渡って描かれた過去編も、ひとまずは終了。まだまだ謎は尽きませんが、舞台は再び「今」の「東方家」へ。
リビングでは、ダモカンによって絶賛拷問中の憲助さん。部屋は「手型」でビッシリ埋め尽くされ、完全にまな板の上の鯉です。ダモカンは水槽で泳ぐ熱帯魚を眺めていたかと思うと、憲助さんに数匹投げ付けてきました。すると魚達が、もはや軟化しすぎて液状化している憲助さんの体内に潜り、泳ぎ出したじゃありませんか。苦悶にのたうち回る憲助さんの姿を、笑いながら動画撮影するダモカン。ゴキゲンすぎんゾ、コイツ!
そして、ダモカンは最後の質問を投げ掛けて来るのでした。それは「仗世文はどこにいるのか?」という問い。どうやらダモカン、吉良と仗世文が「融合」した事実に気付いていない模様。仗世文だけが生きて行方をくらまし、それを見付けた夜露や双児達が殺された……と考えているみたいです。憲助さんが仗世文を匿っている、とでも誤解しているのでしょう。しかし、「仗世文」などという名前を初めて耳にする憲助さんは、「知らない」としか答えようがありません。ナメられてると勝手に思い込んだダモカンは、さらに熱帯魚を追加!それだけでは飽き足らず、激昂して憲助さんをブン殴るッ!


●ダモカンが東方家を訪れた目的は3つ。1つ目は、行方不明の仲間達を捜す事。2つ目は、仗世文の居場所を突き止める事。そして、最後の3つ目は、東方家の皆殺しでした。やたら「いい家」って褒めてるし、ついでに東方家を乗っ取るつもりなんでしょう。手始めに、仗世文の居場所を吐かないのなら、鳩ねーちゃんを憲助さんの目の前で殺すと脅してきます。その上、愛娘を失った憲助さんだけは生かしてやる、と。絶望のドン底で、自ら死ぬ自由すら奪い取る。最低最悪のゲス野郎ですな。
そうやって人質として利用するために、あえてまだ鳩ねーちゃんだけは溶かしていないらしい。ダモカンは、鼻歌混じりに憲助さんの体を切り裂きながら、大声で鳩ねーちゃんに呼び掛けます。――恋人が呼ぶ声と、父親の悲鳴を同時に聞く鳩ねーちゃん。ダモカンの狙いを彼女に話す定助ですが、あまりの出来事に鳩ねーちゃんは混乱中。それでも、現実を受け入れられず、恋人を信じたいと思っている様子。


●娘を人質に取られた憲助さんは、とうとう観念し、ダモカンに全てを話す事を決意。話すから、殺すのは自分だけにしろ、と。そして、それは同時に、定助を売る事をも意味するのです。涙ながらに定助に許しを乞う憲助さん。
突然出て来た「定助」の名前に驚くダモカン。憲助さんが仗世文を知らないのは事実のようですが、ダモカンの話から、定助こそがその仗世文だろうと推測したのです。ダモカン的には、定助はまったくのノー・マークだったらしく、ここまで聞いてもピンと来ていません。顔も背格好も仗世文とは違う定助。それなのに、同一人物?しかし……、定助が吉良の死体と同じ場所に埋まっていた事、記憶を失っている事、スタンド使いである事、(恐らく吉良が知っているはずの「石化病」の治療法に直結する)「ロカカカ」に関する記憶も眠らせているであろう事、だからこそ自分が定助を引き取った事。憲助さんの持つ情報を聞き出し、ようやくダモカンも真相に近付く!
すると、そこへ鳩ねーちゃんが登場。すかさずダモカンは彼女を軟化させる!この期に及んで、なおも信じようとする鳩ねーちゃんを、歩くのに邪魔だと吐き捨て、無情にも蹴り飛ばすダモカン。コイツは胸クソ悪くなるレベルで心底クズだな……。「ジョジョ」の歴史上でもトップ水準だわ〜。テメー如きにゃあ愛唱の元カノがお似合いだぜッ!


●憲助さんや鳩ねーちゃんなど意にも介さず、玄関の定助の元へ急ぐダモカン。定助の姿をまじまじと見つめつつ、「ロカカカ」によって、こんな形での交換現象が起き得る事に衝撃を受けています。まあ、「継ぎ木」した「ロカカカ」にあんな力が宿ったのはビックリしたけど、吉良と仗世文の「融合」は、そこに「壁の目」の「等価交換」も加わった結果だと私は思っております。「ロカカカ」のおかげで一命を取り留めた吉良が、かすかに取り戻した意識の中で「仗世文をこのまま死なせたくない」と願い、2人の肉体と精神と生命が「壁の目」で混じり合ったんだ、と。
何はともあれ……、やっと発見できた仗世文=定助。今度こそ確実に仕留めるとばかりに、いよいよ本格バトル開始!まだ溶けていない右腕で『ソフト&ウェット』のパンチを仕掛ける定助ですが、ダモカンは5円玉をそっとかざします。5円玉にはすでに「指紋」が。そして、5円玉に当たった右拳までも、腕ごと溶けてしまうのでした。ダモカンはクズだけど、攻撃や防御におカネを使うの面白いな。なんか「おまえなんぞの価値は5円にも満たないんだよ」とでも言わんばかりで、ステキな悪役っぷり。
ダモカンの攻撃を食らい、ついに全身が溶けていく定助ッ!しかし、その時に放たれた「しゃぼん玉」に触れ、ダモカンのグラサンが破裂したのです。これを見たダモカンは、吉良の能力も一部混じっていると直感します。さらに、「定助」のベースは仗世文ではなく、実は吉良の方なのかもしれないと疑い始めました。実際のところ、どうなんでしょうかね?


●溶けて身動きが取れない定助に、ダモカンはまた千円札で攻撃。あの日の吉良と同じように、脇腹を切り取ってしまいました。絶叫する定助。この攻撃に対するリアクションから、定助がかつての記憶を本当に失っている事も確信!そして、今日は喉もかっ切って始末すると宣言するのでした。
――その時、ガラスの扉の外側に鳩ねーちゃんが舞い降りる!全身が「しゃぼん玉」に包まれています。そこらを漂う「しゃぼん玉」を目で追うと、リビングの暖炉に気付きました。定助は、溶かされた彼女を「しゃぼん玉」で包めて、暖炉の煙突から外に出していたのです。東方家という「結界」の外に出た時点で、鳩ねーちゃんに掛けられていた『ビタミンC』の能力は解除!そして、なんと鳩ねーちゃん、ハイヒールのヒール部分を長く鋭く伸ばしたかと思うと、華麗なキック一閃!巨大な「針」と化したヒールは、ダモカンの首を貫きます!
呆気に取られちゃったけど、鳩ねーちゃんが普通にスタンド使ってますよ。実は以前から使えていたのか、追い詰められたがゆえの覚醒なのか?それはまだ分かりません。でも、信じ愛していた初めての彼氏に裏切られ、自らの手で殺す覚悟を決めざるを得なかった彼女の心境は、察するに余りある。徐倫ばりの見事な蹴りを、無言のまま泣きながら放つ彼女の姿が痛々しいです。


●首に突き刺さった「針ヒール」に触れ、溶かそうとするダモカン。しかし、鳩ねーちゃんはすぐさま「針」を引っこ抜き、今度は連続キック!体のあちこちを刺されたダモカンは、慌てて逃げ惑う。挙げ句、今さら「定助を捜していただけだよー」「初めから君の家族は元に戻すつもりだったよー」「君のことは心から好きだよー」などと、ぬけぬけとほざきやがります。こうなると、もう負け犬ムードがプンプンですな。
鳩ねーちゃんは依然、無言のままで涙を流しています。そんな彼女の背後には、人型のスタンド・ヴィジョンが!「ジョジョリオン」のスタンドらしく、手足は細身で、関節部は球体になってますね。その全身は「針」のような「藁」のようなもので覆われていて、今までにないデザイン。能力は、触れた物質を「針」化・「トゲ」化する能力ってトコでしょうか。彼女の髪の毛や服の模様にある「矢印」っぽい部分は、「針」「トゲ」のシンボル的デザインだったって事か。
そして鳩ねーちゃんは、ハイヒールの靴底やヒールを「針」化!スパイクにして壁に突き刺し、1部のディオさながらに壁を歩いて登っていくのでした。この体勢、吸血鬼ならともかく、普通の人間にはキツそう(笑)。でも、今の彼女はそんな事を気にしている場合ではない。「結界」に入らずして、ダモカンの位置を見極め、迅速に確実に殺す必要があります。やられっぱなしだった憲助さんがうまくサポートしてくれたら、きっとスカッとしますね〜。あるいは、流されていった常秀も能力が解除されているはずだから、ここでカッコイイところを見せてくれるのも良し?憲助さんや定助のケガも「ネジ」で修復してあげなきゃいかんし。


★今月は47ページ!今回でコミックス13巻収録分も貯まった計算になります。東方家は空前の危機に陥り、とうとう鳩ねーちゃんのスタンドも発現し、否が応にも緊迫感が高まってきてますね。長かったダモカン戦も、恐らく次号で決着かな。家族全体が巻き込まれた事で、全員が無関係ではいられなくなるワケですから……、かなり大きな転換期に差し掛かりつつあるんだろうなと期待しています。
作者コメントは「プリンスは青春時代からの尊敬する人でした。ご冥福をお祈りいたします。」との事。プリンスの訃報を目にし、荒木ファン的にはやっぱり荒木先生の事が心配になりました。あんなに好きって公言されていたんだし、そのショックたるや計り知れません。荒木先生にはこれからも末永く健康でいてほしいですね。




(2016年5月19日)




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