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よろしければ…
くつろぎながら これからの計画を話そう


#065 植物鑑定人 その②





●「植物鑑定人」がいる場所へとバスで向かっていた定助達の元に現れたのは、捜していた「植物鑑定人」その人。彼にも追っ手が迫って来ていたらしく、華麗にバスジャックかまして定助と合流したようです。バスは、不穏を乗せて走る ――
「植物鑑定人」は、これまでの経緯や「新ロカカカ」について憲助さんからすでに聞いている、との事。しかし、無関係である康穂の存在は知らないようで、「誰だ?」「なぜ連れて来た?」と、定助に訊ねます。定助は、彼女のおかげでここまで来れた事を伝えますが……、もし危険が迫っているなら彼女にはすぐ帰ってもらうと宣言。自分の安全より、大好きな康穂の安全が優先なのです。しかし、「植物鑑定人」は冷静に現況を分析。後方から「敵」が追って来ているため、ここで康穂がバスを降りようが杜王町に帰ろうが92.5%の確率で死ぬ、と。
「何が起こっているのか?」「どこへ向かっているのか?」と、「植物鑑定人」を質問攻めする定助。でも、元はと言えば、定助がドロミテに彼の事を話してしまったからこんな事態に陥っているワケです。何者かに聞かれているかもしれない今の状況で、目的地など言えるはずも無し。そして定助は、彼を危険に巻き込んでしまった責任を取る必要がある。「植物鑑定人」は定助に指示します。優先順位は、彼を守る事が第1位。定助自身の命は2位。勝手に付いて来た康穂は3位。
「植物鑑定人」、なかなかいいキャラしてますね。クールで紳士な態度を崩さず、定助の事も「定助君」と呼んでるけど、言いたい事はキッチリ主張する。めっちゃ合理的な性格で、観察力も相当優れているっぽい。康穂の前髪も「自分で切ったのか?」と鋭く見ています。


●バスは山奥へ進み、休業中のスキー場に到着。危険は依然として迫っているものの、3人はここの駐車場でバスを降りる模様。突然のバスジャックで乗客達は大騒ぎですが、車載カメラは「植物鑑定人」がとっくにブッ壊し、撮られた画像なんかは康穂の『ペイズリー・パーク』で消去です。「敵」だけでなく、警察や世間の皆様にまで追われる心配はいりません。
迫り来る「敵」が「岩人間」である事をほのめかす「植物鑑定人」。社会に紛れ込み、姿を見せない謎の黒い「敵」……、そいつは何としても「新ロカカカ」を手に入れたいはず。彼がどーゆー計算してるのかは不明ですが、7.5%という生存率は確かな事のようです。絶対の自信で、彼はそっと康穂の方を指さして警告。さっき言われた通り、康穂は自分で前髪を切っちゃってたみたい。さすがの観察眼ッ!……と思いきや、彼が指さしていたのは康穂の後方にある木でした。よく見れば、木は少しずつこちらに移動している!
枝や幹をゆっくり回転させ、アスファルトやコンクリートを破壊しながら、木が強引にこっちに向かって来ているのです!しかも、近付く木は1本だけではない!さらに、木々の根本には、土の中で休んでいたであろうネズミの死体が。何かで撃ち抜かれたような無数の傷穴(と飛び出た内臓か寄生虫みたいな紐状の物)が見受けられます。これこそが、定助達を追う「敵」。姿が見えないという事は、地中に潜んでいる可能性が高そうですね。で、コイツが「植物鑑定人」の家に現れ、襲って来たみたいです。その本体も目的も未知のまま、彼は逃げ、定助と合流すべくバスに乗り込んだって事。


●地中から迫る謎の「敵」。その移動スピードはそれなりに速いが、路面のアスファルトコンクリート部分に引っ掛かって動きが鈍くなる性質がありました。土の地面を踏むのは絶望的にヤバく、アスファルトでもけっこう危険そう。なるべくコンクリートの上を進み、これから安全な所へと移動開始です!
しかし、定助はその場に立ち止まり、「植物鑑定人」に語り掛けます。名を訊ね、「植物鑑定人」の本名が「豆銑 礼 (まめずく らい)」(「レイ」ではなく「ライ」)である事が判明。年齢は32歳。職業は憲助さん専属の果樹栽培師。他の人と取り引きはしないらしい。超一流のプロフェッショナルな気配がビンビンですな。なんとも奇妙な名前ですが、今後は「礼さん」とでも呼ぶ事にしましょうか。
定助はここに来る前に、東方家の敷地内にある全ての木全ての枝を撮影していた模様。そんな気が遠くなる作業してたのね。その何百枚もの画像を、今、ここで鑑定してもらえるように礼さんに依頼。どの枝が「新ロカカカ」の枝なのかさえ教えてもらえれば、あとは定助が1人で動くつもりらしい。「敵」は自分を追い、礼さんも康穂も危険は無くなる。自分のために迷惑を掛けたくない、危険に巻き込みたくない一心です。全てを1人で背負い込もうとする姿勢、まさしくヒーローって感じでカッコイイ。
しかし……、礼さんは言います。「物事はそう単純ではなくなっている」、と。大量の画像をささっと目を通しただけで、もう彼は「新ロカカカ」の枝を発見した様子。恐るべきプロの眼です。そして、この「新ロカカカ」の枝は、科学分析で調べたり育てようとしたりすると枯れてしまう、との事。その上、1本しかないこの枝は、冬も越せないらしい。画像だけでそこまで分かっちゃうとは。「新ロカカカ」は、元の「ロカカカ」よりも進化した反面、異常にデリケートになってそうですね。もとより偶然の産物だし、非常に不安定な存在で、ほんのちょっとした変化や刺激でも死んじゃうのかも。
「岩人間」にも常敏にも「新ロカカカ」は絶対に見付けられない。礼さんはそう断言します。だからこそ、この「敵」にとっては礼さんが必要なのです。憲助さんの頼みじゃなければ、君にも協力はしない。うぬぼれるな。強い口調で定助を窘める礼さん。……もはや定助1人で背負えるような状況ではなくなっていました。定助は申し訳なさそうに「すまない」と謝罪。


●礼さんは定助達をリフトに案内します。休業中だから閉鎖してるけど、慣れた手付きで勝手に動かし、3人揃ってリフトに搭乗。康穂は不安なのか、定助の手の上に自分の手を重ねています。礼さんが言うには、上は安全だし、定助達とも合流できたから、生存率は20%に増えたらしい。
そんな話をしてる間に、何故かリフトは停止。すると、礼さんはすぐそばに近付いた5番の鉄柱に乗り移り、その足場をおもむろに引っ張りました。なんと、その部分がパカッと開き、そのまま定助達の前にまで倒れてきます。それはまるで、新幹線や飛行機の座席テーブルのよう。鉄柱の中にはコップやお皿、スプーンにフォークなどの食器はおろか、各種調味料に加え、フライパンやボウル、レンジやポット、IHコンロなどの調理器具まで収納されています。リフトそのものも、風鈴付きの屋根が出て来たり、座席に空気が入ってエアークッションになったり、寒い時用にアルミニウムのブランケットまで完備してたり、もう至れり尽くせり。
礼さんはおもむろにエプロンを装着し、お菓子作りを始めました。こだわりの一品、ティラミスの上ランク「ロマノフ」が完成ッ!お茶はカモミールミントティー。素晴らしいおもてなし。空中に浮かぶリフトが、憩いとくつろぎの空間に早変わりです。そう……、礼さんはスキー場のリフトと鉄柱を改造し、自分の家にしちゃっていたのです。「ジョジョリオン」にも鋼田一みたいな事してるヤツがいたのか~。他の箇所やら違う番号の鉄柱やらも開いて、いろんな物(ベッドとかシャワーとかクローゼットとか本棚とか)が出て来そうだしな。これまた面白い。もっとも、さすがに冬場はスキー場も営業を開始するので、別荘に行くみたいですが(笑)。


●「新ロカカカ」の枝はすぐに見付けられる。しかし、その「果実」を収穫しなければ意味がない。その方法がこの山にある。礼さんはそう語ります。何なんだろう?礼さん特製の栄養たっぷり激レア肥料、とか?その肥料さえあれば、どんなに弱った木も立ちどころに復活し、美味しい実を付けてしまう……みたいな?
そんな重要な話もそこそこに、礼さんは自分のスタンドを発動!肉体がテープ状になって解け、それを地面まで伸ばしてイチゴをゲット!「ロマノフ」に添えてくれました。この山の斜面全体が礼さんの果樹園になっており、直接上に住むのは何かと都合がいいみたい。こんな場所を家にするのも、趣味じゃなくあくまで実益というか、ちゃんと合理的な理由があるのです。それはともかく、なんか『ストーン・フリー』によく似た能力ですねぇ。いや……、まだ奥に何かを秘めているかもしれないし、油断は出来ません。自分の体を「果樹栽培の道具」に変える能力、とかかもしれんし。それならテープやロープ、ハサミ、ジョウロ、ホース、シャベルなんかにもなれる。あるいは、「食物繊維」を操作するような能力(『メタリカ』にちょい似た能力)で、今回は体内に摂取した「食物繊維」を編み込んでテープ状にして利用した……とか?
スタンド・ヴィジョンがまたスゴイ。逆三角形のボディ、ヒョロ長い両手足、豆に取っ手が付いたみたいな形の顔、そして肩には「豆」の文字。『ブルー・ハワイ』といい、最近は他に例の無いデザインのスタンドが多く、見ててワクワクしますよ。肉弾戦には向かないけれど、トリッキーな使い方が出来そうなスタンドだな。


●くつろぎながら計画を話そう、なんて余裕顔の礼さん。でも、この山に「必要な何か」があるのなら、結局は地面に降りなきゃ話は始まりません。「敵」がフルスピード・フルパワーで追って来る土の上に降り立ち、逃げ切るなり倒すなりしないといけないんです。次回は一気に戦いも激化しそうで、期待も高まりますね。
さて、肝心の「敵」ですが……、一体、何者なんでしょう?「岩人間」と仮定して、「岩人間」のモチーフは「7つの大罪」って説をまた持ち出すなら、恐らくこの「敵」は「怠惰」をモチーフとした「岩人間」です。今回、山の斜面に牛がいる描写がありましたけど、「怠惰」を暗示する動物はフェニックス、熊、ロバ、そして「牛」。それをさりげなく示唆しているシーン、なのかもしれません。
地中を進む敵ってシチュエーションはセッコを思い出しますね。「音」か「振動」か「重さ」か分かりませんが、それこそ、真っ赤な布めがけて一直線の闘牛のように、探知した「ターゲット」に向けてひたすら真っ直ぐ向かう能力?で、逆に牛を刺しまくる闘牛士のように、スタンドの槍みたいな物を無数に飛ばして「ターゲット」を串刺し攻撃するとか?……あるいは、地中に張り巡らされた木の根っこの内部を伝って移動するような能力かも。本体が眠って石になってる間だけ発動し、肉体が細かくバラバラに散って、「ターゲット」と決めた相手を自動追跡。別の根っこに高速で飛び移る際、バラバラの肉体は弾丸の如き殺傷力を持つ。木が生えていない場所では、潜んでいる根っこを引っ張って、その木ごと強引に移動する……的な?
う~ん、難しいな。まぁ、この辺はまだまだ予想のし甲斐がありそうです。


★今月は47ページ!礼さんの登場により、物語も俄然盛り上がってます。めっちゃ面白かった。キャラ同士の会話があると、それぞれの個性も引き立て合うので、とにかく楽しいです。ドロミテ戦は基本、定助1人の戦いだったから、尚更そう感じるのかも。
作者コメントは「昔のドラマだけど『北の国から』にはまっている。名作は時代を超える。」との事。言われてみると、常敏がドロミテを「ル―――――――ルルルルルルルル」って呼んでましたっけ(笑)。『北の国から』ってちゃんと見た事ないんですが、家族の物語だし、今後も「ジョジョリオン」に何かしら影響を与えたりするかもしれませんね。
今年は「ジョジョ」30周年って事で、多くのイベントも企画されています。私にとっては、あくまで荒木先生の絵や作品、そして先生ご自身の活動・言動こそが最重要・最優先事項。ですんで、ひたすら「ジョジョ展」と「ジャンプ展」に照準を合わせてる状態で、実写映画も「USJ」も「脱出ゲーム」も二の次・三の次。しかし、今月号をよく読むと、アニメ1~3部のBlu-ray BOXの初回特典として、荒木先生描き下ろしブックマーカーが付くらしいのです。なん…だと…。これはゲットしなくては……!




(2017年5月18日)




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