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定助くん…
約束というのは 『神聖』だぞ


#066 植物鑑定人 その③





●今回のトビラ絵には、「植物鑑定人」こと豆銑礼さんが登場。スタンド能力によって肉体がテープ状となった彼の姿。礼さんの傍らにはスタンドも描かれています。このスタンドの名は『ドギー・スタイル』!ナランチャも大好き、スヌープ・ドギー・ドッグのアルバム名ですね。「ジョジョリオン」らしく、ちょっとエッチなネーミングでもあります。つーか、確かに犬っぽい顔の形してるわ!
年齢は31歳との事なんですが……、前回は32歳って言ってたよな(笑)。何?微妙にサバ読んだん?


●礼さん特製の「ロマノフ」を口に運ぶ康穂と定助。そのあまりの美味しさに感動&衝撃が走り抜け、幸福の絶頂の2人は大絶賛!定助に至っては涙まで流してます(笑)。礼さんから邪魔者のように扱われていた康穂も、「こんな素敵なデザートが作れるなら絶対いい人」とあっさり手のひら返し。2人揃って餌付けされてるよ!
そんな単純コンビの褒め言葉も軽く流し、リフトの説明を続ける礼さん。この5番の柱はキッチン・ダイニングの役割に過ぎず、リフト全体が彼の家なのだそう(賃貸だけど)。隣の6番の柱は、トイレとシャワー(カーテン付き)。1番はアナログレコードの収納庫。レーザーディスクもあるけど、もう捨てようかと考えてるらしい。スピーカーは全柱に設置している、との事。2番は図書室とワインセラー。3番は靴と衣類をしまうクローゼット。自慢の我が家を紹介し、ドヤりまくる礼さんでした。
しかし康穂は、斜面の畑や果樹園が荒れていると指摘。ムッとした礼さんが、今度は果樹園自慢まで繰り広げる事に。雑草を除草すると良い果実が実らないらしく、あえて除草はせずに、害虫や病気に襲わせていると言います。その「かませ犬」的ポジの果樹があるおかげで、そこより上には害虫も病気も上って行かないのだそうです。そして、下の果樹が襲われているのを感じ、上の果樹は必死に大きく甘くなろうとするのだそう。実際に収穫するのは、その上のちょっぴりだけ。これなら農薬も必要ないし、1パック1万円以上でも売れるので、充分な利益が得られるらしい。
合理的な礼さんらしい手法ですが、これは「かませ犬」という犠牲・踏み台を「是」とした手法でもあります。心優しい康穂は、「かませ犬」にされた下のイチゴ達に同情。……とは言え、収穫された果実の美味しさには抗えない。またもや「ロマノフ」を頬張り、テンションアゲアゲな2人なのでした。


●敵に襲われている危機的状況だっつーのに随分ノンキな連中ですが、ようやく礼さんがシリアスな話をしてくれました。
……人類が農業を始めたのが約1万年前。最初は小麦とエンドウ豆を育てていただけだったが、人類の文明は発展し続けた。現在、科学技術や地形・自然環境、芸術、思想、経済の発展は頂点を極め、限界を超えてしまったかに思える。だが人類には、文明が始まったずっと昔から絶対未解決の領域を抱えている。どんな王でも克服不可能な領域で、賢者達がそれを克服する事をやめて受け入れる道を「正」とした領域。――それは、「死なない」という領域
しかし、その領域に踏み入った者が存在する事が証明されたのです。そう……、吉良と仗世文の「死」を超えて、この世に生まれた「定助」という存在!細胞の「等価交換」という単純な仕組みゆえ、倫理は別にしても、iPSやクローンと違って短時間で実現可能。礼さんの計算では、全身の細胞の交換だけなら2時間で完了するらしい。そして、彼の推測に過ぎませんが、敵の目的は「新ロカカカ」の科学的データ。1個2個売って得られる利益などではなく、「新ロカカカ」を科学レベルで技術化し独占!その「不死産業」によって得られる莫大な利益を狙っているのではないか、との事でした。IT産業でも年間5兆ドルの利益なら、人類の夢とさえ言える「不死」は一体どれほどの利益を生み出すのか?
それを狙う敵の正体は、王様なのかもしれないし医者なのかもしれない。でも礼さんは、恐らく「岩人間」であろうとは推測しているようです。ただ、「王」と言えば、スタンドに「キング」の名を冠する東方家。「医者」と言えば、吉良家。この両家も絡んできそうな予感はしますよね。そして、「新ロカカカ」を収穫できるのは「農民」である礼さんのみ。なんとなく人類史すらなぞらえていそうな、壮大な構図が浮かび上がって来つつある??まあ、結局「カネ目当て」ってのも俗っぽくて物足りない気がするし、それ以外の真の目的が隠されている可能性は充分ありますが。
自分の存在が人類史上初の奇跡という事実に困惑しているのか……、定助は唐突に4番の柱について質問。スポーツジムになってて、トレッドミルやダンベルが格納されていました。スゲーどーでもいい~~ッ!う~ん、テンパッてるな~(笑)。


●礼さんがジャックしたバスの元に、パトカーが到着。しかし、木々に破壊された駐車場の惨状を見て、警官達は理解不能。それどころか、彼らまで敵スタンドの餌食になってしまったのでした。前回のネズミの死体みたいに、肉体のあちこちに小さな穴が空き、そこからグズグズと溶けていっているかのようです。
双眼鏡で、パトカーの到着と警官の不在を察知した礼さん。木々もロッヂの所まで近付いている。いよいよくつろいでる時間も無さそう。これから8番の柱へ行き、「新ロカカカ」の枝から果実を収穫する方法をゲットするつもりらしい。(じゃあ、寝床は7番あたりかな?)……が、そんな3人の背後から、敵はすでに迫っていました!1本の樹木が、倒れ込むように襲撃して来たのです!定助はとっさに康穂をかばったものの、枝が礼さんの左手に接触。その樹木の表皮を伝って、極微細なスタンドが大量に降りて来ます。複数の立方体が組み合わさった形状で、トゲのような突起も前後上下左右に2本ずつ計12本。どことなくウイルスとか酵素とか生体物質とか、あるいはナノマシンなんかを思わせる、無機質ながらも目的を感じさせるヴィジョンです。
さらに、枝からのみならず、根本からもスタンドを発射!この木自体が敵なのではなく、この木はスタンドを送り込むためのハシゴであり発射台でした。礼さんの左手に触れた敵スタンドは、皮膚をどんどん侵食していきます。かなりの深刻な事態に、生存率は7%まで一気に減少!敵スタンドは康穂の足にもくっ付いたものの、『ソフト&ウェット』の「しゃぼん玉」で除去。そして、『キラークイーン』の能力も混じってきているためか、そのまま「しゃぼん玉」で樹木をちょっぴり爆破もしてくれました!


●礼さんはリフトのリモコンを手に取り、作動させます。しかし、リモコンにも敵スタンドが群がっていたせいで、礼さんの左手はますますピンチ!そんな最中、礼さんは定助に対して警告します。
定助は、「礼さんを第一優先で守る」と約束したはず。それなのに、さっき康穂を守った。とっさの出来事だったのは理解するとしても、そのせいで礼さんは敵スタンドに触れられてしまった。敵スタンドは皮膚から侵入し、体内を上方へと登って行くようです。しかも、体内を汚染して溶かしながら進んで行くため、穴もどんどん大きく開いていく。そうやって最終的には脳をも溶かして殺害する能力なのでしょうか?すかさず礼さんは『ドギー・スタイル』を発現ッ!左手をテープ化して解くと、ナイフを取り出し、迷わず切断!敵スタンドに汚染された左手をあっさり捨てちゃいました。


「定助くん… 約束というのは『神聖』だぞ」
「神聖さを軽くあつかうな」
「さもなくば… 憲助さんも含めてだ! これから全員敗北するぞ!」


厳しい言葉を定助に投げ掛ける礼さん。「真剣に「ロカカカ」を収穫したいのか?」と問われ、言葉に詰まる定助。そんな定助の覚悟を試すかのように、礼さんはなんと康穂をリフトから突き落としてしまいました!敵が樹木ではないのなら、地面の中を移動しているのかもしれない。それを康穂を使って観察してみよう、という事です。果樹を育てる時と同様、左手を切断した時と同様、礼さんは目的遂行のためならば多少の犠牲はやむを得ないって合理的スタイル。
果たして定助は、「礼さん」を取るのか、「康穂」を取るのか?「約束」を選ぶのか、「愛情」を選ぶのか?「プロフェッショナル」になるのか、「ヒーロー」になるのか?その瀬戸際に立たされています。でも、定助には康穂を切り捨ててほしくはないしなぁ。この究極の選択、示されぬ第3の道を切り拓いてくれる展開になったら燃えそうですが……、さぁ、どうする!?


★今月は43ページ!今回もめっちゃ面白かったです!礼さん登場で盛り上がりに拍車が掛かったな。定助を始め、他の味方側キャラ達とは違い、明確な「自分」を持った人物だと思います。どんな状況に置かれても「自分」が揺らがないからカッコ良く映るし、逆に「自分」を探し求めている定助や康穂の心理を揺らし、「道」を選ばざるを得ない展開に導いてくれてる。かなり好きなキャラですよ。
作者コメントは「電気スタンドを買いに行ったらLEDが終わる時がそのスタンドの寿命と言われた。」との事。LEDつえー!
さて、今月号で特筆すべきは、アニメBlu-ray BOXの初回特典!荒木先生描き下ろしのジョナサン&ジョセフのイラストが(ミニサイズだけど)拝めました。おおおっ、かっけーなー!すでにBOXも予約済みなんで、早く手元でじっくり観たいです。あと、「ジョジョリオン」コミックス15巻が7/19に発売ッ!「ジョジョ展」の時期に合わせ、2ヶ月連続発売になるんじゃないかと睨んでます。8月に16巻発売、そしてウルジャンでその続きがすぐ読める、っていう徹底攻勢に打って出るんじゃないかと。
なお、来月号は「ジョジョリオン」が表紙です。もちろん嬉しいし楽しみだけど、巻頭カラーも観たいですね。



(追記)
敵スタンドの能力について、改めて予想してみたいと思います。まず、このスタンドの描写を整理してみると、大きく分けて3つ。1つ目は、木々を使って移動して来る点。2つ目は、ネズミや人間の肉体内部を汚染・侵食していく点。3つ目は、木々を操ってを発射し、スタンドを飛ばした点。簡単に言ってしまえば、「植物」「動物」「無生物」とで描写が異なるという事なんです。
バスさえ追跡できる程のスピードなのに、アスファルトやコンクリートは強引に木々を押し進めないと移動できない。「動物」の肉体には穴ボコが大量に空いたけど、移動手段として使った木々には穴ボコが空いてる様子はない。この辺にも要注目です。
では、「植物」と「動物」と「無生物」の違いは何なのかというと……、それは「細胞」。「植物」と「動物」(=生物)には細胞があり、「無生物」には細胞がない。そして、「植物」と「動物」の細胞も、それぞれ特徴が大きく異なる。恐らくこのスタンドは、「細胞」に関わる能力を持っているはずです。ちょうど今回も、細胞の「等価交換」の話題が上がっていましたしね。

じゃあ、具体的にどーゆー能力なのか?結論から述べますと、結合している細胞同士を「分離」させる能力……と予想します。多細胞生物の細胞は、バラバラに存在しているのではなく、お互いにくっ付き合って組織を構成し、それが生物の体を形作っています。「細胞結合」というヤツですね。ところが、このスタンドはトゲから特殊な毒素を分泌し、「細胞分離」を引き起こしてしまうワケです。そうなると、もはや体を形作る事が出来なくなり、その部分は溶けたように崩壊してしまうのです。
ただし、これは「動物」相手に限っての現象。「植物」相手の場合は、「細胞分離」を起こしても、すぐにまた結合し、元に戻ってしまいます。その理由はきっと、「細胞壁」にあるのでしょう。「植物」の細胞には、「動物」の細胞にはない「細胞壁」が存在します。これがスタンド毒素の侵食をガードしてくれるんです。もっとも、すぐさま再結合するとは言え、「細胞分離」自体は起きるため、敵スタンドは「植物」内部を自由に駆け巡って移動が可能。それどころか、内部から強引に引っ張って、ある程度なら「植物」そのものを動かす事までも出来るのです。
そして、細胞を持たない石コロや道路なんかには、当然「細胞分離」など起こしようもありません。敵スタンドも、「無生物」の表面にただ張り付くくらいで精一杯。「無生物」の上を移動する事も出来ず、基本、「生物」の方から触れてくれるのを待つのみ。あるいは、「植物」を操って、スタンドが張り付いた「無生物」を「生物」の元へと発射・移動させる事で、この弱点をカバーしています。


なお、敵本体はどこで何しているのかと言いますと……、あのスタンド自体と一体化していると予想します。礼さんの「地面の中」という仮説はハズレ。すでに目撃したスタンドが、イコール本体でもあったのです。
さっき「動物」の細胞は「細胞壁」を持たないと書きましたが、1つだけ例外があります。それは「岩人間」。コミックス11巻の「岩人間」解説のページを読めば分かる通り、「岩人間」の細胞には「細胞壁」が存在します。つまり、このスタンドの毒素からガードされるのです。この性質に加え、本体だけが持つ特殊性も働きました。スタンドを発現すると、敵本体の内部から毒素が発生!細胞は分離するものの、機能や生命自体が失われる事は無しッ!そして、分離した細胞1つ1つがスタンドと一体化し、あのヴィジョンを形成!そんな仕組みなのではないかと思います。
「細胞壁」の働きによって、「岩人間」の肉体は「硬質化」し、睡眠時にも自分自身を守れるらしい。それをも考慮すると、敵本体はスタンド発現時、強制的に「硬質化」「睡眠状態」に入る可能性も高そうです。発現時に、自らのスタンドに「命令」を出し、後はスタンド達が自動的にそれを遂行する、と。そこまでしないと、自分の毒素に自分がやられてしまうのかも?


――と、まぁ、こんな感じで予想してみました。本体が眠りに就きながらの攻撃という点は、「7つの大罪」モチーフ説「怠惰」も当てはめられそうですし。




(2017年6月17日)
(2017年6月21日:追記)




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