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濃密世界を目撃せよ。



●まずは黄緑色が美しく映えた表紙イラストから。
これがもう最高にカッコイイ。何時間でも眺めていられそうな程の完成度。
奇妙なボールを手に、不敵に微笑む主人公。これから始まるであろう大冒険を予感させます。



#1 サンディエゴビーチ 1890年9月23日スタート2日前





●まずビックリしたのが、カラー扉絵に主人公が出て来ない事。最初の時代背景のページをめくる瞬間は「表紙に続いて、どんなカッコイイ主人公が見られるんだろうか」とワクワクしていたので、インディアンの群れだったのには仰天しました。せっかくの記念すべき第1話扉絵に主人公が登場しないマンガも珍しいのでは?
……と思ったけど、よくよく考えてみると、「ジョジョ」の第1話冒頭も族長(オサ)とか生贄とかが描かれてて、ジョナサンもディオもいなかったんだよなあ。普通に主人公が描かれるよりもストーリー性は高いし、インパクトもあるかもしれませんね。


さて、この第1話で主に描かれていたのは、砂男(サンドマン)MR・スティーブン・スティール、そして我等が主人公ジャイロ・ツェペリの3人の様子です。


●いかついインディアンの大群に命を狙われるサンドマン。いきなり濃すぎです。彼は憎き白人から身を守るべく、あえて村の掟に背いてまで白人の文化を知ろうとするインディアンの青年。悪しきギャングを消し去るために自らギャングとなったジョルノと通じるものがあります。性格の方は、真面目で知的な熱血正義漢。思い込んだら一直線。でも、お姉ちゃんには弱い。ちょっとくだけたジョナサンといったタイプでしょうか。主人公以上に主人公らしい、好感が持てる人物です。
このサンドマン、なんとスタンドらしき能力まで持っていました。腕を見る限り、砂のスタンドっぽいですが。イギーの『愚者』とは違い、自分の肉体や触れた物も砂状に変化させるような能力なのかも。自分を砂にして、風向きとかを読みつつ、別の岩場に移動したのではと睨んでおります。
ともかく彼は、自分達の住む土地を買い占めるため、独り村を出て、「スティール・ボール・ラン」レースの参加を決意します。誤解されて殺されかけたというのに、それでも村の仲間を守ろうとする。なんて崇高で健気な目的でしょうか。応援したくなりますね。


スティール氏はこの世紀の大レースの主催者。部下や取材陣の前では強気な敏腕プロモーターですが、14歳のカワイイ女のコ(何者だ?マジ奥さん?)の前だと弱気で幼稚なオッサンと化します。このギャップが笑えるし、彼の人間味溢れるキャラクター性の描写にもなっており、単調で冗長になりそうなレース説明も、なかなか楽しんで読む事が出来ました。
この記者会見シーンには、荒木作品を読んでいる者ならニヤリとさせられる部分がありました。ウィンチェスター連発銃製造会社スピードワゴン石油会社。そしてニヤリどころじゃあ済まされないのが、優勝候補に名を連ねるウルムド・アブドゥルディエゴ・ブランドー。これぞまさに予想外ってやつで、興奮を禁じ得ませんでした。パラレル・ワールドの凄みを思い知らされます(その辺の考察はこちらで)。
優勝候補の残りの2人。ルックスもイケメンなカウボーイ、マウンテン・ティム。チンギス・ハンの子孫、ドット・ハーン。早くも噛ませ犬などと噂されている彼らですが、個人的に今後の活躍を期待しております。特にそのイケメンぶりで多くの読者を虜にしたマウンテン・ティムさんは、このサイトでも大々的に取り上げていこうと思います(こちらで)。
「真の失敗とはッ!開拓の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!」というスティール氏の熱いお言葉で、記者会見は無事終了。


●そして、やっとこさ登場の主人公ジャイロ・ツェペリ。予告カットや表紙から勝手にクールな二枚目系を想像していたのですが、そんな彼の第一声は「ニョホ ホ」。しかも「GO!GO!ZEPPELI」の文字入り金歯を剥き出しにして笑ってます。……思わず呆気に取られました。参加料をスッた男も抜け目なく撃退。なんとも飄々としたヤツです。
謎なのが、ジャイロの使うあのボール。波紋のようでもあり、スタンドのようでもあり、どちらでもないようでもあり…。ボール自体に秘密があるのでしょうか?石仮面や矢に代わる、新たな不思議アイテム登場?サンドマンがいた岩場でトレーニングしていたのは彼ですが、8メートルも跳躍できるってのがスゴイ。身体能力を向上させるような力が、ボールにはあるのかな?


★そんな訳で、クセ者揃いのこのレース。まだスタートすらしていないにも関わらず、盛り上がって参りました。まだまだ先は読めませんけど、ドキドキワクワク感は今までのシリーズ中でも最高だと思います。時代と設定の勝利ですね、これは。




(2004年2月10日)




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