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レースはレースだ………
オレを待つ必要はない………


#14 ミセス・ロビンスン





●ジャイロを追ってくるのは、ミセス・ロビンスンを始めとする変なヤツらばかり。さすがはジャイロ。変人を引き寄せる強い引力を持っているようです。まあ、砂漠のド真ん中を突っ切るコースを選ぶヤツなんて、よっぽど自信があるか、よっぽどアホかのどちらかでしょうし。
命が懸かっているにも関わらず、絶望的までにアバウトなジャイロ。ごく真っ当な意見でジャイロに詰め寄るジョニィ。そんな対照的な2人は、今回も漫才してました。しかし……、解説にツッコミと、着実にスキルを増やしていくジョニィですが、肝心の「回転」はサッパリの様子。


●さて、今回はアバッキオ似のミセス・ロビンスンとのバトル!皆さんも思った事でしょうけど、「ジョジョ」テイスト満載でしたね。次々と不可解な現象が起こり、追い詰められるけど、すでに勝っていた……という流れがそのまま受け継がれています。しかし、わずか1週であっさり決着がついてしまうとは意外でした。
「ジョジョ」3部以降はバトルのためのストーリーといった印象でしたが、「SBR」はストーリーのためのバトルって感じ。やはりレース中心の物語だけあって、バトルはスパイス的な要素の1つに過ぎないようです。毎号31P・約10話ごとの集中連載という特殊な形式ですし、何週にも渡ってしつこくバトルを描くのではなく、適度な長さでキッチリまとめるつもりなんでしょうね。


●ロビンスンの攻撃の正体、それは体内で飼っている虫!その虫を自在に操り、「チョヤッ」の針を標的へと飛ばすという、トリッキーで回りくどいものでした。しかしこの場合、回りくどいからこそ良いのです。レースが行われている以上、大っぴらに相手を攻撃する事は不可能。自分の立場まで危うくなります。誰にもバレない攻撃方法こそが必要なワケです。その点が、今作でのバトル最大の縛りであり、同時に面白い部分でもあります。ロビンスンは見事に、環境と自分の技を生かしきっていましたね。
「ジョジョ」を読んできた人達は、ついつい「コイツ、どんな超能力を持っているんだ?」と考えてしまいがち。その答えが特殊能力ではない、洗練された知恵と技術だったってのがシビれました。魅せ方ひとつで、どんなスタンドにも引けを取らない脅威と恐怖を演出できるものなんですねえ。一般人……とはとても呼べませんが、技を極めた者が超能力者を翻弄する展開は、今後もガンガン起こってほしいと思います。


●目をやられ、落馬したジョニィの言葉は熱かったですね。さすがは天才ジョッキー、勝負の世界の厳しさは知り尽くしている様子。どんなに仲良くなろうが、協力関係を結ぼうが、結局は1人1人。自分以外はライバルであり、レースの敵。覚悟決めまくりなジョニィです。
そんなジョニィの男気に、ジャイロ同様、私も心打たれましたよ。登場間も無い頃の幼さやトゲトゲしさはナリを潜め、すっかり真っ当な主人公になっております。目的と希望が生まれたからこその変化なのでしょうか?今回なんて、ジャイロよりも冷静に見えましたし。ジョニィは頭脳派、ジャイロは肉体派って感じ?


●ジャイロはやはり、「誰であろうと自分の前は走らせねえ」的なポリシーの元に行動しているようです。ただし、ロビンスンと決定的に違う点は、戦略も計画もお構いナッシングで、常にトップを走っていなくては気が済まないってトコですね。ジャイロの性格ゆえか目的ゆえかは謎ですが、この異常なまでのトップへの執着は最後まで貫いてほしいものです。
地面に落とした鉄球の振動で「チョヤッ」の針を飛ばし、ロビンスンを撃破!理にかなっているよーな、かなっていないよーな……。まあ、そんなツッコミは今更ですが、個人的にはもっと絵としての説得力を持たせてもらいたかったですね。ジャイロのセリフでしか状況が読み取れません。地面を強烈に回転する鉄球、地面を通じてサボテンにまで伝わっていく振動、その矛先にいるロビンスン。そういう点も丁寧に描いた方が、より理解しやすかったでしょう。


●最後はイケメン余裕の登場!なんとロビンスンが犯人ではないどころか、蹄鉄の形さえも違うと言うのです。前号の足跡は、我々読者へのトラップだったのですッ!まんまと荒木先生にだまされました。
そして、あの状況でのイケメンのセリフから推測するに、彼が犯人という可能性も消えたといって良いでしょう。つまり真の殺人鬼は、まったくの新キャラ(名前はともかく)って事になりますね。果たしてどんなイカれたキャラなのか、期待せずにはいられません。


★今回はレースという設定がうまく表現されていたように感じました。戦い方にしても、ジョニィの覚悟にしても、レースの上だから初めて成立するものになっています。限定されたルールの中での駆け引きや掛け合いが楽しめそうですね。




(2004年7月4日)




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