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バカなっ……… これは………
わたしの『D4C』以外で
『次元の壁』を越える『力(エネルギー)』が この世に存在するなどとは…………


#58 正義と邪悪D





●トビラ絵はジョニィのドアップ。10巻の表紙そっくりの構図で、真っ直ぐにこちらを見つめています。その瞳の奥で漆黒の炎がメラメラしてるように見えない事もない。ここんとこ心を弱めてしまっているジョニィですが、本編でも再び「漆黒の意志」を燃やしまくってほしいですね。
あと、やたらとツヤツヤテカテカなリップに目が行っちゃいました。キャラを描くにあたって最も気を使っているのが、と荒木先生はかつて語っていましたが、相変わらずセクシャルな唇です。


●自分の耳に起きた異常に、「騎兵の回転」の存在に、こちらへ駆けて来るジョニィに、大統領は気付きます。そして、ジャイロはその事実に気付けていない!その危険な状況のまま、2人の一騎打ちが幕を開けましたッ!ここから先は、「一手」見誤った者が敗北する。う〜ん……、緊迫してきましたよ。
「黄金長方形」の走行形(フォーム)で爆走するジャイロ&ヴァルキリー。一方の大統領は、なんと迫ってくる大西洋の波に飲み込まれ、「隣りの世界」へ。「空間のスキ間」の能力を手に入れてから、初めて「隣り」へ移動しましたね。――大統領が「隣り」から戻ってくる時はきっと、僅かに覗く地面からのはず。仮に海から戻ってきても、長時間潜む事はできないはず。そうしなきゃ溺れるじゃん?――ジャイロの目論見としては、こんな感じみたいです。
……と、そこに声が響き渡ります。大統領がすでに「騎兵の回転」を知ってしまった事を告げる、ジョニィの叫び!同時に、ジャイロの目は海中から出現する大統領の姿を捉えました。すかさず鉄球を振りかざすと、そこにいたのは2人の大統領!「隣り」からもう1人の自分を連れて来たのです。水中で優雅にポーズを決める大統領コンビに笑っちゃいましたが。ともかく、1発しか鉄球を持たないジャイロにとって、これは思わぬピンチ!どっちを攻撃すべきか、速攻で判断し実行しなくては!さもないと、ヴァルキリーが攻撃されてしまう!


「基本」の大統領は耳がないと、ジョニィに教えられたジャイロ!シンクロ選手の如く、勢い良く水から飛び出した大統領コンビ!ジャイロは耳のない方の大統領を発見し、狙いを定める!……と見せかけて、ジャイロはすでに大統領の思惑の上を行っていたのです。他の世界の自分と入れ替われる以上、耳がない方がずっと「基本」であり続けるとは限りません。大統領は、ジョニィがジャイロに助言する事さえも計算に入れていたワケです。では、「基本」の大統領はどこに?
「基本」の大統領には『D4C』がそばにいるはず、とのジャイロの推測。う〜む、「隣り」の大統領達がスタンド使いですらないとは考えにくいんだけどなあ。なんかいつの間にやら、「基本」の大統領以外はスタンドを持っていないという前提で描かれるようになってきてて、違和感を覚えてしまう。しかし、それより説得力のある理由もありました!大統領の接近により、ルーシーの肉体は再び「遺体」化が進行。その「遺体」化が始まった方向の先に、「基本」の大統領がいる!つまり、カエルを使ってリゾットの位置を読んだドッピオみたいなもんですな。それならけっこう納得。
「基本」の大統領は、ジャイロのすぐ後方に迫っていた!振り向き様にジャイロは鉄球をブッ放つッ!鉄球は『D4C』の手に直撃すると、指を吹っ飛ばしちゃいました。大統領は焦って「空間のスキ間」に逃げ込もうとするも、時すでに遅し。ガードを弾いて、『D4C』の顔面にブチ当たります。「スキ間」の中にこそ入り込めないが、鉄球はなおも激しく回転し続ける!その「無限の回転」の果てから、「黄金長方形」の軌跡の果てから……、なんとスタンドのような謎の存在が形を現したではありませんか。あまりに突然でビックリです。無限の回転エネルギーの具現、とでも言うべきか。「回転」の技術が究極に達し、スタンド化した瞬間なのか。カッコ良くもあり、可愛らしくもあり、神々しくもある。『D4C』に負けず劣らず、イカしたデザインです。
そんな回転くん(仮称)、「お邪魔しま〜す」とばかりに、何物も入り込めない「スキ間」の中へ!それは即ち、「騎兵の回転」が生み出した「重力」そのものが、「次元の壁」を超えたという事。そして、回転くん(仮称)のパンチがかすった部分に異変が起こります。大統領の左顔面が、どんどんシワシワになり、頭までハゲまくっていくじゃないですか!あたかも『グレイトフル・デッド』を食らったかのような不気味な現象。これは「老いている」というより、大統領の肉体に働く「重力」が削り取られ、細胞同士の繋がりが弱まっているという描写なのかな?


●大統領はジジイ化し、『D4C』もボロボロ。左の角(耳?)は砕け折れ、体の縫い目もあちこちほどけちゃってます。むしろ、こうやってほどきたかったから、『D4C』を縫い目だらけのデザインにしたのかも?こうして見事、ジャイロの「回転」が炸裂ッ!ジャイロ、超COOLでシビれるぜ!
ジョニィは勝利を確信し、気を緩めていますが、ジャイロに油断はありません。「隣り」の大統領コンビが銃で攻撃して来るのに気付き、鉄球で応戦。大統領の腕を回転で操って、もう1人の大統領を射殺させた挙句、自殺までさせてしまいます。11人戦でも見せた、流れるような反撃でした。横たわるのは、3人の大統領達……。ジョニィは安堵の表情で、「勝ったぞッ!!」と勝利宣言。ある意味、荒木マンガで一番言ってはいけない言葉を吐いてしまいます。
やっぱりというか何というか……、大統領はまだ死んではいませんでした。『D4C』と共に左上半身がズタボロにされても、大統領は起き上がってきたのです。そして、大統領のつぶやく言葉。「一手見誤ったのは、わたしの方ではない」。見れば、ジャイロの脇腹には銃で撃たれた傷が……ッ!恐らく大統領は、ジョニィの行動もジャイロの反応も全て読み切っていたのでしょう。「騎兵の回転」の威力こそ予想外だったものの、自分を攻撃している隙に、「隣り」の自分に銃撃させるという作戦は予想ピッタリにハマッたみたい。いや、そもそもジャイロが1発しか鉄球を持っていない以上、多方向から数で攻めれば、どう転んでも傷の1つは付けられる!恐るべし、大統領。
当然、この銃創もジャイロの心臓に向かって移動していくでしょう。これはマジで致命傷になり得る!ヤバすぎます。ジョニィがまた爪弾を使って、ジャイロの銃創も別の場所へ移動させられれば良いんだけど、果たしてそううまく行くかな?そして、「来るか……、もう一撃」と挑発的な大統領。「騎兵の回転」の弱点と攻略法でも見付けたのか?ジャイロの「回転」は不完全でしょうから、そういう展開も不思議じゃありませんし。死ぬ死なないは置いといても、次回でジャイロは戦線離脱しそうだなあ。ジョニィに「騎兵の回転」のコツを伝授してやったりとかして。いよいよジョニィの出番は近そうです。長いことサブタイトルになっている「正義と邪悪」という言葉にも、何らかの回答が示されるんでしょうか?


★今月は45ページ!ぼちぼちのページ数。このペースだと、やっぱ21巻で完結はしなそうですね。よっぽどブ厚いのなら別ですが、22巻完結と見ておいた方が良さそう。大統領戦も、レースの顛末も、ジャイロやジョニィ達の人生も、じっくり描いてから終わってほしいですしね。
作者コメントは「新しい『三菱一号美術館』に行きました。赤レンガの明治の建物復刻。凄ッ!」との事。調べてみると、実にレトロでモダンな雰囲気の外観。ステキです。それに今、マネの展覧会もやってるみたいですね。以前、マネの『すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ』を絶賛してたし、さぞや楽しんで鑑賞しまくった事でしょう。
特別付録として、「SBR」ゴールドステッカーが付いてきました。未発表カラーイラスト使用と銘打っていたので期待していたら、ジャイロやジョニィのエンブレムに色を塗ってただけでした。いや、まあ、いいんだけどさ。まったく見た事のない新イラストだとばかり……。でも、よりエンブレムっぽくなってカッコイイですな。




(2010年4月17日)




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