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世界の頂点はッ!!
『ディエゴ・ブランドーで完結ですッ』!!


#69 新たな世界D





●さあ、「SBR」完結まで残るは2回ッ!日本が未曾有の災厄に見舞われている状況で、自分自身、無関係ではありませんが、あえていつものように感想を書いていきたいと思います!
今回はトビラ絵は無し。しかし、1ページ目のディエゴ『ザ・ワールド』のカッコ良さとシブさったらありません。止まった時の中を、そんなディエゴと『ザ・ワールド』がじりじりとジョニィに迫る!ディエゴは、停止時間内でも回転し続ける爪弾を確認すると、拳銃を取り出しました。(ただ、時が止まっているため、普通に引き金を引くだけでは発砲できない様子。)そして、爪弾の軌道を境界にするように、ディエゴと『ザ・ワールド』が左右に別れる。ゆっくりと拳を構える『ザ・ワールド』。弾丸を直接ブッ叩き、改めて拳銃に詰め直すディエゴ。いわゆるハサミ討ちの形ってヤツです。人型スタンドを持つからこそ出来る戦法ですな。
時は動き出す。『ザ・ワールド』の拳と、発射された弾丸が、同時にジョニィを襲うッ!ジョニィはとっさに『ザ・ワールド』へ爪弾を放ちますが、それは肩をかするだけ。しかもディエゴの弾丸は、ジョニィの首に命中!たまらずジョニィ、爪弾を乱射!しかし、それは全て命中せず、ジョニィは落馬しちゃいました!地面を転がるジョニィ。拳銃を隠すディエゴ。レースの実況さんも観客達も、何が起きたのか知る由もありません。


●ディエゴは、倒れるジョニィに歩み寄ります。馬から下りた今、もはや「騎兵の回転」は使えない。ただしそれは、さっき撃ち込んだ爪弾を消し去ったら……の話。「騎兵の回転」は「無限」の力。誰かに命中させるまでは、無限だから消える事もないのです。そして、やられたフリをして、油断したディエゴに爪弾をブチ込む!それこそ、ジョニィの計画でした。ところが、ディエゴはそれすらお見通し。それも含めて、ディエゴの予定通りであり、計画のうちだったのですッ!
ディエゴは『ザ・ワールド』の上に乗り、『ザ・ワールド』は右脚のみでその場に立つ。すると、『ACT4』のエネルギーが地面を伝って、ターゲットであるディエゴへ迫る!地面に直接触れているのは、『ザ・ワールド』の右脚のみ。地面を伝う『ACT4』は必然的に、『ザ・ワールド』の右脚へ到達!こうなるともはや、三平に狙われた魚も同然です。覚悟を決めたディエゴは、『ACT4』が上ってくる『ザ・ワールド』の右脚を手刀で切断ッ!「無駄無駄無駄無駄(中略)無駄無駄無駄無駄アァアッ!!」とディエゴが雄叫びを上げる中、切断された右脚はジョニィへと落下します!
なんと、『ACT4』のエネルギーは、ジョニィ自身を捕らえてしまいました。大統領と同じように、ジョニィの肉体もグルグルとスライス回転を開始!『ACT2』爪弾を発射するも、スライス回転は爪弾にまで及び、ディエゴには届かない!これはまさかの攻略法でした。さっさと馬から落とせば手っ取り早いのに……なんて思ったりもしてたんですが、なるほど納得。「騎兵の回転」返しをするために、あえて近付き、撃たせてやらなければならなかったワケですね。ただジョニィを殺すだけでは飽き足らず、「騎兵の回転」という「あってはならない力」の存在自体を、この世から永遠に抹消したいのでしょう。そして、この策をディエゴに伝授したのは、他ならぬ大統領。やっぱそう考えると、この異次元のディエゴは大統領の遺志そのものですね。スゲーぜ、大統領。
でも、ディエゴが言ってた「串刺し」は何だったんだ?まあ、あわよくば『ザ・ワールド』の拳で串刺しにしたるぜ的な意気込みだったって事かな。予想以上にジョニィが抵抗してみせたから、それは叶わんかった、と。


●ジョニィは自らの「騎兵の回転」により、もう消滅するだけ。ディエゴはジョニィを放置し、ズタズタの脚のまま、再び馬に乗り、レースに戻ります。ポコロコやノリスケさん達も、落馬したジョニィを追い抜いて行きます。そしてディエゴはブルックリン橋を渡り終え、市庁舎前を左折。後方を離したまま、単独、最終直線のブロードウェイに突入ッ!レースはついに大詰め!ディエゴが逃げ、ポコロコ達が追う!
ジョニィはスロー・ダンサーを呼び寄せ、乗ろうと試みます。しかし、スライス回転によって、どうしても騎乗できません。騎乗できなければ、再度の「騎兵の回転」で相殺する事も不可能。なす術なし……。絶望するジョニィの耳に、実況さんの熱く、残酷なアナウンスが響きます。それは、長い長いレースの終焉を告げる声。ニューヨークの、そして世界中の人々の、熱狂と興奮と喧騒と祝福。ジョニィただ1人が、そんな沸き立つ世界から取り残されたような、あまりにあっけなく虚しい決着……。全てが、もう手遅れ。取り返しの付かない現実に、ジョニィはただ呆然と涙を流すだけ……。
「SBR」レースの覇者は、ディエゴ・ブランドー!!ディエゴはついに世界の頂点に立ち、莫大な賞金と様々な副賞もGET!ポコロコ達は最後まで見事にモブでした。最終回でちょっとはスポットが当たればいいんだけど。そして、物語上の日付は1891年1月19日になっている事も判明。う〜む、これも明らかにおかしいんだよなあ。8th.STAGEゴールが1月18日の朝だったはずで、それから2時間ほど船に乗ってニューヨークへ。それから30分ほどでゴールなワケですから。そんな細かい事を気にしてもしょうがないけど、コミックスに収録する際には、日時をもうちょい設定し直してほしいな〜と思います。


●勝者となったディエゴの表情には、まだ喜びも達成感も浮かんではいません。彼にはまだやるべき事が残っているのです。大統領から聞いた通りに、トリニティ教会の裏門・墓地裏から地下へ。いよいよ「遺体」を地下シェルターに納める時が来たのです。シェルターの扉の造りは至ってシンプルらしく、「遺体」を納めた後に施錠するだけ。どんな仕掛けか分かりませんが、一度、施錠してしまえば、シェルターと扉は80年間は破壊できない造りになっているそうな。80年とは、また中途半端だな(笑)。しかし、厳重に格納しても、「遺体」は所有者であるディエゴの味方をするらしい。
んで、実際にディエゴはシェルターに「遺体」を納めます。とうとうディエゴとアメリカが「ナプキン」を取り、この場所こそが「全ての幸運」「世界の中心」となるのです!……と、こんないいトコで、今月はおしまい!これだけでは、完全にディエゴが勝利者ですね。利用できるものは何でも利用し、奪えるものなら何でも奪う。邪魔なものは、何をしてでも確実に消し去る。なりふり構わない必死さや貪欲さ、計算された冷徹さ、そして我が身すらも犠牲に出来るほどの覚悟と胆力。どれを取ってもディエゴはイカしてるぜ。敵ながら天晴れな男です。しかし、ディエゴの魂には正義の輝きがない。長い「ジョジョ」の歴史において、悪が栄えた試しはありません!きっとディエゴは、「真の勝利者」にはなれないはず。「真の全て」を手に入れる事は出来ないはず。
いよいよ次号は最終回ッ!この物語は、それぞれの人物達は、果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか?刮目して見るべし!


★今月は51ページ!最後の最後で、ジョニィは全てを失ってしまいましたね。レースも「遺体」争奪戦も終わり、挙句の果てには自分の命と存在すらも消滅しつつあります。ジョニィ1人がここまで蚊帳の外で決着が付いてしまうとは。でも、だからこそ、最終回には奇跡の大逆転と大団円が待っている事を期待しちゃいますよね。「騎兵の回転」に囚われたジョニィの前に、なんと復活したジャイロが現れ、回転を相殺してくれるとか!地下シェルターの「遺体」も、空間をもこじ開ける『ACT4』ならモノともしないでしょう!ラスト49ページでどう締めてくれるのか予想も難しいけど、必ずやハッピー・エンドを迎えてくれるであろう事を確信してます。
今月の付録は、未公開イラスト使用のステッカー!どちらの絵も、完結直前のこの雰囲気にマッチしている絵ですね。カッコイイし美しいけど、なんか物悲しいっていうか。最終回の表紙&巻頭カラーイラストもめっちゃ楽しみです!
作者コメントは「地元・仙台をはじめ、全ての被災地の方々に心よりお見舞い申し上げます。」との事。つい先日、仙台のHPでのインタビューを読んだばっかりだったのに、まさかこんな大災害が起こるなんて。自分の常識が完全にブッ壊されるような、本当に衝撃的な出来事でした。日本が落ち着きを取り戻し、被災地の方々が平穏な日常を手に入れるのは、並大抵の事ではないと思います。しかし、それでも荒木先生は人間の力を信じて、人間賛歌を描き続けるでしょう。私もそれを読み続けたいと思います。



(追記)
●「SBR」最後の最終回予想をしてみたいと思います。前回の予想と似たような部分もありますが、あまり気にしない方向で。



ついに「遺体」を地下シェルターに納めたディエゴ!すると、「遺体」はディエゴを所有者と認め、まばゆいばかりの神々しい光を放つ。それに呼応するかのように、ディエゴの肉体も光り出す。光が収まると、ディエゴの負傷した脚も元通りに治っていた。自身に途方もない力が宿った事を、なんとなく確信。シェルターと扉を固く施錠し、満足気に地上へと戻る。
そして、「SBR」レースの表彰式が盛大に執り行なわれた。依然として大統領は行方不明だが、スティールがどうにかうまく場をまとめる。ルーシーは不安そうに夫を見つめ、ジョニィを心配する。スティールも釈然としないまま、それでも表向きは優勝者・ディエゴを称え、聖氷に埋め込まれていたトロフィーを手渡すのだった。……すると、1人の男が観客達の中からディエゴに呼び掛ける。なんと、それはディエゴの父親・ダリオ「よくやった、Dio!さすがはオレの息子だぜ〜。オメーを今までずっと捜してたんだよ。会えて嬉しいぜ〜。これからは親子仲良く暮らしていこうじゃあねえか。カネもたんまりあるしよ〜。グヘヘッ!」と、下卑た笑みを浮かべ、酒をあおりながらディエゴへと近付いて来る。
一気にディエゴの殺意はMAX!衝動のままに父親に襲い掛かろうとするが、次の瞬間、信じられない出来事が。表彰式に殺到した観客達が将棋倒しになり、ダリオが押し潰され、あっさり圧死してしまったのだ。呆気に取られるディエゴ。ふと周囲を見回せば、あちこちで不運な事故が相次ぎ、多くの死者が出ていた。しかし、事態はそれだけに留まらない。不幸な死を遂げる人もいれば、逆に、思わぬ幸運が舞い込んでいる人もいる。そして、なんと死んだはずの人間がいつの間にかそこにいて、家族達と涙の再会を果たしている。明らかに異常な状況ッ!これがディエゴに味方する「遺体」の力!?
その時、ディエゴを呼ぶ、優しく懐かしい声が聞こえた。震えながら、ディエゴは声の方向へ振り向く。ディエゴの目に涙が浮かぶ。……そこには、死んだはずの母の姿があった。


場面は変わり、ブルックリン橋のジョニィに。どう足掻こうとも、「騎兵の回転」から逃れられない!このまま消滅する以外にないのか?絶望するジョニィ。ジャイロの形見の鉄球が転がっていく。それを見てジョニィは、泣きながらジャイロに敗北を詫びる。……すると、転がる鉄球をそっと拾い上げる男がいた。朝日の逆光で、男の顔は見えない。
「まったくよォ〜、どこまでも世話の焼けるヤツだぜ。そんなんじゃあ、おちおち寝てらんねーな。なあ、ジョニィ。ニョホ!」
そう、それは紛れもなくジャイロ・ツェペリ!ジャイロはヴァルキリーに跨ると、「騎兵の回転」で鉄球を放ち、それをジョニィにぶつける!これでジョニィの回転は相殺された!首の銃創も手当てしてやる。あまりに唐突な出来事に、呆然とするジョニィ。「まさか、本当に君なのか……?君は、誰だ?」と訊ねると、ジャイロは「はあ?何言ってやがる。フザケた事ぬかしてっと、オメーが虫刺されフェチだってこと新聞記者どもに言いふらすぜ!」と答え、ニヤッと笑う。ジョニィは、この奇跡の再会に号泣。

この異常事態は「遺体」が引き起こした現象。と同時に、ディエゴが心の奥底で願っていた現象。何の罪もない母が死に、見殺しにしたヤツらがのうのうと生き長らえている。その現実を、ディエゴはどうしても許せなかった。だからこそ、罪深い者が裁かれ、罪のない清い者が救われる。人の幸せを祈りながら死んでいった者は、赦しを得、新たな生命を吹き込まれる。これが、ディエゴが起こした奇跡。
母との再会を遂げたディエゴの元に、ジャイロとジョニィが現れる。ジャイロ達のしようとしている事に気付いたディエゴだが、もはや毒気も抜け、何の興味もない。「好きにしろ」と、そっけなく言い放つ。ジャイロ達はトリニティ教会へ!「生き返らせてもらっといて申し訳ねえが、ここらでケリを付けさせてもらうぜ」と、2人は「騎兵の回転」を繰り出す!そのエネルギーは空間を切り裂き、シェルターの奥の「遺体」に命中ッ!こうして「遺体」は粉々に砕け、あらゆる次元へと飛び散り、消滅したのだった。確かに素晴らしい奇跡だった。でも、不幸しかない人生も幸福しかない人生も、いびつで不自然なもの。不幸も幸福も訪れるからこそ、人は納得を求めて、生長していける。増してや、何が正しくて何が間違っているのか、何が罪で何が罪ではないのか、それをどこの誰かも知れないヤツに一方的に決められてたまるか。それが、長い旅の果てに、ジャイロとジョニィが出した「答え」だった。


エピローグ。世の中の混乱も落ち着き、とうとうジャイロが祖国に帰る日がやって来た。見送りに来るジョニィ。しかし、どういうワケか、ジャイロは無口で無表情。ジョニィと言葉を交わす事すらなく、さっさと船に乗り込んでしまった。汽笛を鳴らし、船が出発。ジョニィは、ジャイロが何を考えているのか、さっぱり理解出来ない。別れの挨拶も、今までのお礼も、何も言えないままの別離に涙するジョニィ。すると、船から何かが飛んで来た!それは地面を激しく転がると、ジョニィの手元に収まる。それは、ジャイロの鉄球!地面には鉄球によって刻まれた Good luck! の文字が。ジョニィは鉄球を握り締め、ジャイロを笑顔で見送るのだった。
後日談。マルコ少年は、ディエゴの起こした奇跡により、幸運にも冤罪である事が判明。死刑を免れ、今も靴磨きの仕事を誠実にこなしていた。ジャイロは祖国に戻り、父上の後を継いで、死刑執行人の任務に就いている。しかし、父上のように「感傷」を捨て去って、命じられるがままに冷徹に処刑する事は出来なかった。自分で納得のいくまで証拠を調べ、死刑囚と会話をし、自分が殺さなければならない相手を少しでも理解しようとしていた。父上とは争いが絶えなかったが、徐々に父上も息子の気持ちを尊重するようになった。ジャイロはこれからも人の命と真っ向から向き合い、それゆえに苦しみ、足掻き続け、やがて「誇り」を手にするだろう。


そして、5年後。1895年9月25日、サンディエゴ・ビーチにて。今まさに、第2回「SBR」レースが開幕しようとしていた。そこには、初代王者・ディエゴの姿も、前回のレースで健闘したポコロコやノリスケさん、スループ・ジョン・Bも、奇跡の復活を遂げたイケメンやサンドマン、ドット・ハーンも、ついでにアブドゥルさんも、お馴染みの強豪が勢揃い。もちろん、ジョニィの姿もある。親父やH・Pも応援に来ている。今やジョニィはH・Pの夫となり、彼女は妊娠中。「優勝の栄冠を妻と子供に捧げるぞ」と気合いも充分!ディエゴは「フン!たまたまのラッキーで何度かオレに勝てたくらいで調子に乗るな。無駄無駄。」と、ジョニィを挑発。2人はなんだかんだで、競馬界では良きライバル関係になっていた。
スティーブン・スティール大統領からの挨拶。「このレースはもう、何者の干渉をも受けないッ!ニューヨーク目指して、ただひたすら突っ走れ!」と宣言する。彼のそばで、大統領夫人であるルーシーが拍手し、会場も大熱狂!いよいよレースがスタートする!その時、ジョニィは観客達の中に、懐かしい姿を見た。5年前に別れて以来、一度も会っていない……、そして、きっともう二度と会う事もないであろう、ジャイロの姿。ジョニィの青春そのものの姿。2人は一瞬だけ視線を重ねると、そっとお互いに顔をそらす。ジョニィはレースを真っ直ぐに走り出し、ジャイロは彼の姿を見届ける事なく振り向き、どこかへと去って行く。
いつまでも鳴り止まぬ歓声の中で、ジョニィの青春は今、静かに幕を下ろすのだった。



STEEL BALL RUN





――といった感じにしてみました。ディエゴが「遺体」を手に入れたからこそ、逆に、ジャイロやジョニィにとっての奇跡が起こるという予想です。正直、ここまでみんなが救われるエンドは難しいでしょうけど、期待はしておきます。そして、やっぱり「SBR」はジョニィの青春劇です。だから、こんなエピローグを夢想・妄想しました。ジョニィとジャイロが歩むそれぞれの「道」は、旅の終わりと同時に分かれ、もう交わる事はない。でも、共に過ごした日々は、決して忘れられぬ想い出となって、輝く光で「道」を照らしてくれる。……的な。青春とは切なく、儚く、美しいものなんです(笑)。
あと、今回の予想には書かなかったけど、もしジャイロが結婚するとしたら、相手はウェカピポの妹さんでしょうかね?出来る事なら、ウェカピポも復活して、めでたく妹と再会してほしいもんです。ご都合主義でもいいじゃない。
今はとにかく、最終回が楽しみなような寂しいような、複雑な気持ちでいっぱいです。それでも、どんなラストであろうとも、最後まで見届けたいですね。




(2011年3月21日)
(2011年3月25日:追記)




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