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あるあるCityへ遊びに行こう
〜フクオカに向かえ!




その@


レポート「国立新美術館へ遊びに行こう」でも書いている通り、第17回 文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞「ジョジョリオン」が選ばれました。そして2014年2月、東京・六本木の国立新美術館を中心に受賞作品展が開催され、「ジョジョリオン」の生原稿も展示されたのですが……、それだけで終わりではなかったのです。東京のみに留まらず、四国→北海道→東北と、全国各地で巡回展示する事になったのでした。
具体的には、まず愛媛県松山市からスタートします。文化庁メディア芸術祭 松山展『MOVE―メディアで拡がる身体表現』と題し、9月5日(金)〜21日(日)の期間、愛媛県美術館にて開催。続いて、北海道帯広市へ。文化庁メディア芸術祭 十勝帯広展『メディア芸術の林間学校』と題し、10月1日(水)〜13日(月)の期間、帯広市図書館にて開催。そして最後に、秋田県秋田市へ。文化庁メディア芸術祭 秋田展『DIG∞AKITA/メディア芸術、あきた』と題し、10月25日(土)〜11月3日(月)の期間、秋田市・アトリオンの美術展示ホールにて開催。なかなかに豪華なイベントと相成りました。東京とは別の生原稿が展示されるらしいので、当然行くしかありません。
ところが、さらに意外な伏兵も潜んでいたのです。なんと九州は福岡県北九州市でも関連イベントが行われるとの事ッ!文化庁メディア芸術祭 北九州特別企画『越境するマンガとメディア』(別名「北九州国際漫画フェスタ」)と題し、9月6日(土)〜28日(日)の期間、北九州市漫画ミュージアムにて開催。しかも、ですよ。「特別企画」の名は伊達じゃなく、東京とも他の3ヶ所とも展示される生原稿が異なると言うじゃありませんか。(詳細については、例によって@JOJOさんをご覧になってください。)


流れから察するに、四国→北海道→東北の展示内容は同じものだと推測されるので、これについては秋田市にターゲットを絞る事に。……で、それに先駆け、「特別企画」と銘打たれた北九州市の展示に行って来ましたよ。荒木先生の原画を観るためにフランスやイタリアにも行ってるんで、もはや日本国内なら近場って感覚です!
毎回恒例ですが、今回もお1人のボッチ旅行(笑)。なんかもう、逆に1人じゃないと旅できない人間になってる気がします。




そのA


<2014年 9月21日(日)>
早朝に車で地元の空港へ向かい、そこから飛行機で羽田空港へ飛びます。羽田空港では、行かずじまいとなった愛媛県への未練もあってか、名物のじゃこ天うどんを食べました。出来れば本場で食いたかったところですが、実に美味。
そして、羽田から北九州空港へ飛びます。1時間半ほどで、ついに福岡に到着!我が人生初の九州上陸です。空港ではメーテルが優しく歓迎してくれました。



空港のメーテル


小倉(こくら)駅



空港からバスに乗り、小倉駅へ。目的地である展示会場「北九州市漫画ミュージアム」は、この小倉駅のすぐ目の前。「あるあるCity」という、オタク御用達のサブカルチャー大型施設の5Fにあるのです。お昼時ではありますけど、まずはいきなり「あるあるCity」へGO!もったいぶらずにメインディッシュ即喰いです。



キャプテン・ハーロックの
厳重な警備

あるあるCity




そのB


「あるあるCity」でも「ジョジョリオン」の原画展示をガンガン推しまくってくれており、館内にはスタッフさん直筆の告知まで貼られていました。素晴らしい。ただ、どーせなら5部ネタじゃなく「ジョジョリオン」ネタにしてほしかったかな〜。



ナランチャ!
(てか『ムーディー・ブルース』)

トリッシュ!


アバッキオ!



5Fの会場に入場です。ちなみに、入場は無料。パンフレット的な物を受付でいただき、会場内は撮影禁止との説明も受けます。ケータイをいじるだけでもアウト。東京での展示よりも厳しいな。まあ、仕方ないので、目と心に焼き付けておきましょう。


会場は正直、決して広くはありません。東京の広大な展示空間を体感した後だと尚更。しかし、展示内容はどれも素晴らしく、充実しています。休日という事もあってか、来場者はそこそこ。とは言え、行列が出来るほどではなく、比較的マイペースに鑑賞できそうです。
まず、会場に入るといきなり「ジョジョリオン」ッ!作品紹介文や定助のイラストのパネルが出迎えてくれます。また、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」やウルジャン8月号(2014年)、荒木先生のインタビューが掲載されている雑誌「ユーロマンガ」も置いてありました。最大の目玉はやっぱ、第17話「レモンとみかん」の生原稿ですね。ただし、これは丸々1話分じゃなくて、そのうちの10ページのみ。他には、同じく第17話の生原稿をコピーした丸々1話分のパネルも飾られていました。ほんの10ページであろうとも、荒木先生の生原稿を拝めるチャンスはそうそうあるもんじゃありません。有り難く拝見させていただきますッ!

ついでに言うと、生原稿が展示されているのは、コミックス4巻の127、134、135、136、140、141、145、147、150、151ページの計10ページ
(スキャナーとか持ってないため、めっさ見にくい画像で申し訳ありませんが、どのページかだけでも分かるように一応貼っておきます。)



136ページ

135ページ

134ページ

127ページ


145ページ


141ページ


140ページ


151ページ


150ページ


147ページ





今回も結局、4〜5回は繰り返し鑑賞しちゃいました。せっかくこのために来たんだし、1回観るだけじゃもったいないですからね。
東京での展示の時は、【荒木先生の魂と熱が直接込められた生原稿のリアルなド迫力繊細な美しさ、格別です。青鉛筆の下描き、ペンの流れ、ベタ塗り、ホワイト修正、トーン処理などなど、カラー原画とはまた違った魅力があります。やっぱ生は立体的で、観てて楽しいなあ。しかも、生原稿はどんな感じなのか観察するつもりが、ついつい普通に作品そのものを読みふけってしまったり(笑)。いやあ〜、最高でした。】と感想を書きましたが、やっぱり今回も同じ!(笑)
……で、以下、箇条書きで感じた事・思った事・発見した事を書いていきます。


@コミックス4巻を持参し、生原稿と見比べながら鑑賞すると、違いがよ〜く分かります。とりわけ、出版された時には印刷されない部分の描写は、ここでしか観る事の出来ない激レア物ッ!「へえ〜、ここまで描いていたのか〜」「印刷されると端っこがけっこう削られちゃうんだな」と感心する事、間違いなしです。
150ページの『ソフト&ウェット』も、コミックスでは左薬指くらいまでしか見えてませんが、生原稿では左手はおろか顔の左側輪郭までも描かれています。その下の吉良のスタンドにしても、両腕が切れて印刷されちゃってますが、実際には両腕はもちろん、胴体部に掛けても描写されているのです。そーゆー部分が見えないって、やっぱもったいないですよねえ。
荒木先生は印刷される範囲を経験上知っているようで、その境界らしき部分に線も引かれていました。当たり前っちゃ当たり前なんでしょうけど、ちゃんとそこまで見越して描いているワケです。

Aセリフは鉛筆での手書き文字。叫び声の「オ」「ォ」なんかも、しっかり区別して書かれています。
ちなみに、東京の時も思いましたが、この文字はどうも荒木先生ご自身の字にはあまり見えないんですよね。先生がベラベラ〜ッと雑に書いたセリフを、アシスタントさんがフキダシに清書してるような、そんな風に見えます。先生の独特すぎる字だと、ヘタしたら印刷業者さんが読めない可能性もありますしね(笑)。
……などと書いておいて、本当に先生の字だったらゴメンナサイ。

B手書き文字の生原稿と、印刷されたコミックスで、セリフが微妙に違う箇所もありました。
「湧水」「湧き水」に、「態勢」「体勢」に、それぞれ印刷時に修正された模様です。特に驚きだったのが、150ページの吉良のスタンド説明のセリフ。「吉良吉影の「スタンド」を〜」から始まる右側フキダシのセリフと、「融合してスタンドが〜」から始まる左側フキダシのセリフ。なんと、この左右のセリフが丸々入れ替わって逆になっていたのです。まあ、確かに印刷された後の方が説明として分かりやすいけど。

C136ページの家系図は、荒木先生が書いた「1892年結婚」「アメリカ人」の文字以外は全て空欄になっていました。一族の名前の下書きすらもなく、ただ枠と線だけが書かれている状態。

D生原稿の各ページの上隅には、その回のページ数が書かれています。それは東京で展示された第1話の生原稿も同じでした。
しかし、今回はそれとは別に、下隅にも「4-127」「4-134」などと数字が書かれていました。恐らくこれは、この北九州での展示のために振られたナンバーなのでしょう。「コミックス4巻 127ページ」「コミックス4巻 134ページ」という具合に、展示する生原稿がどこのページなのか分かるように書いたのだろうと思われます。
それに加えて、最後の151ページには「cp13」と読める謎のナンバーも書かれていました。どういう意味なんだろ?

E151ページの上側に、「瞳の中も」と読める文字が書いてありました。そのすぐ隣にも、解読できないけど、別の文字がうっすら見えます。それらの文字の下に描かれている定助を見る限り、多分「定助の瞳の中には左右に分ける線を描いて、左右で別のトーンを貼ってね」的な指示なのだろうと推測できますね。
この生々しいまでの仕事の痕跡。印刷されたコピーとは違い、原画ってのは生き物だなあ。



……こんな感じで、とりあえず福岡まで来た目的は無事に果たせました。あとは、他の展示作品も見て、「あるあるCity」内をブラつきます。「まんだらけ」やら「アニメイト」やら、そういうお店がいっぱいで退屈しなさそう。近くのショップでおみやげを買ったり、昼食にご当地グルメの焼きカレーを食べたりもしました。焼きカレーって初めて食ったけどうめえな。
そして、ホテルで少し休んでから夜の街へと繰り出し、夜食に博多ラーメンを食べ、お酒を飲みました。ぶっちゃけ失礼ながら、治安の方をちょっと心配していたんですが、普通に大丈夫です。夜の北九州市も楽しませていただきました。





<2014年 9月22日(月)>
朝起きてネットを確認すると、なんと「少年ジャンプ+」の情報が。慌てて「岸辺露伴は動かない 〜エピソード4 望月家のお月見〜」を読みました(笑)。くぅ〜、面白いッ!
朝10時にホテルをチェックアウト。観光目当てで来たワケじゃないけど、せっかくなんで、小倉城を見に行きました。見知らぬ街をブラブラ歩くってのは楽しいもんで、気持ち的にはリフレッシュ!お城を見たあとは、小倉駅に戻ります。途中で買った豚まんを、メーテルと鉄郎に囲まれながら食べました。肉汁たっぷりでジューシー!
腹ごしらえも済み、今日も再び「あるあるCity」へ!荒木先生の生原稿をじっくりと堪能するのでした。平日なので、昨日より来場者は少なく、心ゆくまで鑑賞できました。やっぱ最高だぜ〜。



常磐橋

小倉城

メーテルと鉄郎



昼頃、新幹線で博多駅へ。駅の中のお店で、博多ラーメンを食べました。半熟玉子が特にうまかー。そして、時間もなんか中途半端になっちゃったので、博多駅から福岡空港まで歩いて行く事に。けっこうしんどかったですが、飛んで来る飛行機を間近で見れてビックリ。迫力あるわ。
福岡空港では、冷凍したあまおうイチゴを削ってミルクと合わせた「あまゴリスムージー」を飲みました。甘酸っぱさと冷たさで、火照った体が癒やされます。おみやげに辛子明太子も購入。かくして、福岡をそれなりに満喫し、帰路に就いたのでありました。



博多駅


空港への道


間近に飛行機


やっと空港到着


あまゴリ




――荒木先生の直筆生原稿を体感できる、限られた貴重な機会でした。もし、行こうかどうか迷っている荒木ファンの方がいらっしゃるなら、絶対に行くべきだと断言しておきましょう。たとえこの北九州市の展示には行けなかったとしても、(愛媛は終了しちゃってますが)北海道に秋田と、まだチャンスは残っています。後悔はしないはず!
私も10月末からの秋田展を心待ちにして、残りの日々を指折り数える事にします(笑)。ワクワクするねッ!




完




(2014年9月25日)




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