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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




チャリオッツ・レクイエム / 本体: ジャン・ピエール・ポルナレフ
< 『矢』を守護する能力 >





<特徴>
2001年、本体:ジャン・ピエール・ポルナレフのスタンド『シルバー・チャリオッツ』は、『矢』に刺される事で進化を遂げた。それがこの『チャリオッツ・レクイエム』である。
『レクイエム (鎮魂歌)』とは、「スタンド」の先に存在し、スタンドの次元を遥かに超越したエネルギーの総称である。よって、厳密に言えば、『チャリオッツ・レクイエム』も「スタンド」ではない。(『チャリオッツ・レクイエム』という名の「レクイエム」なのだ。)


詳細は後述するが……、「レクイエム」とは、『矢』に眠る力を引き出し、スタンドのヴィジョンを「依り代」として「神」を宿らせた存在でもある。この世に現れ出た「神」そのもの、と言えよう。
しかし、「依り代」となるスタンドを生み出す本体が、その大いなる力の「器」足り得なければならない。「器」として相応しくなければ、発揮される「神」の力も意志も不完全・不明瞭なものとなり、その「レクイエム」は忌まわしき厄災と化してしまうであろう。
ポルナレフは2001年時点で、戦闘者としては再起不能の重傷を負ってしまっていた。『シルバー・チャリオッツ』も同様に、そのヴィジョンは大きく傷付き、全盛期のような力を奮えるのはほんの一瞬だけとなってしまっていた。そのため、「神の器」としては不相応で、『矢』のパワーをまったく制御する事が出来なかった。『チャリオッツ・レクイエム』は、ポルナレフ自身も操作不可能の暴走状態にある。


『チャリオッツ・レクイエム』の真のヴィジョンは、各々の生物の精神を背後から照らし出す「光の玉」である。「光の玉」は(人間にとっては)野球ボールほどの小さな球体であり、それ自体が行動や攻撃を行う事はない。ただ、精神(の頭部)の背後に浮かんでいるだけだ。
この「光の玉」に照らされた精神は、「心の影」を創り出す。それが、帽子をかぶった成人男性のような姿をした真っ黒なヴィジョンである。首筋には『矢』の形の焼き印のようなくぼみがあり、手には『矢』を大事そうに持っている。この「心の影」は、全ての生物の精神を投影した存在であり、全ての生物の心から生まれた存在である。ブローノ・ブチャラティは「実体化している」と言ったが、本当はそうではない。自分自身の「心の影」でもあるからこそ、「視える」ように感じ「触れた」ように感じるだけなのだ。
そして、「心の影」(=真っ黒なヴィジョン)は「光の玉」に照らされ、さらなる「影」を創り出す。この「影」は、背後を「光の玉」で照らされた精神の常に前方に視える。つまり、太陽の位置とは無関係で、視る者の位置によって、「影」がまったく異なる方角に伸びている事になる。北側から視る者にとっては「影」は南側に伸び、東側から視る者にとっては「影」は西側に伸びているのだ。この事実は、『チャリオッツ・レクイエム』の正体に辿り着くための重大なヒントにもなり得るだろう。


全生物の、そして自分自身の「心の影」である真っ黒なヴィジョン。これは基本的に、ゆっくりと歩き回っているのみである。たとえ攻撃されても、されるがままで反撃もして来ない。
しかし、その手に持つ『矢』を奪い取ろうとすると、態度は急変。恐るべきパワーとスピード、そして執念で、どこまでもトコトン襲い掛かって来る。「影」に過ぎないため、どんなにダメージを受けようとも攻撃を止める事はなく、ダメージ自体もすぐに元に戻る。


「光の玉」は存在に気付かれにくい分、非常に脆い。スタンドであっさり破壊する事が可能である。
ただし、「心の影」にかなり接近した状態で、初めて「光の玉」はその姿を明確に現す。通常はおぼろげな存在でしかなく、この世の生物には認識も干渉も出来ない。しかし、光が強いほどに影は濃くなり、影が濃くなるほどに光は強くなるものである。自分自身の「心の影」に近付く事は、即ち、影が濃くなるという事。そして同時に、光も強くなるという事。「光の玉」もその存在感を増し、破壊する事が出来るようになるのだ。


「光の玉」は各々の精神の背後に浮かんでいる以上、当然、数は1つだけではない。生物の数だけ「光の玉」も存在する。だが、それら全てが繋がってもいる。「全」であり「個」、「個」であり「全」なのだ。ゆえに、「光の玉」が1つでも破壊されれば、全ての「光の玉」も同時に破壊される事となる。
なお、破壊可能なのはあくまで、自分自身の背後の「光の玉」のみである。他者の「光の玉」は、基本的には視えもしないし触れもしない。(ただ、「光の玉」がダメージを受けた際、一瞬だけ視えるらしい。)
そして、「光の玉」がダメージを受ける事で、初めて「心の影」(=真っ黒なヴィジョン)も本当のダメージを受け、能力も弱まる。完全に破壊すれば「心の影」も破壊され、能力も解除・消滅する。


ポルナレフは、暴走した『チャリオッツ・レクイエム』を破壊された事で、スタンド能力を永久に失った。(と言うか、それ以前に、死んで「幽霊」になってしまった。)
だが、スタンドが使えないだけで、スタンドを見たり感じたりは今まで通り出来るのかもしれない。




<能力>
『矢』を守護する能力



『レクイエム (鎮魂歌)』とは、「全ての生物の精神を支配する力」を意味する。「精神(魂)」の領域・世界から生まれ出る「スタンド」の圧倒的上位存在であり、その力は「精神世界」の深奥部・根源にまで及んでいる。「精神世界」全体を束ねる支配者・王者とさえ言えるだろう。同時に「レクイエム」は、発現した時点での本体の心理(特に、強い理想・願望)をダイレクトに反映した能力を獲得する。したがって、本体の願いを叶えるために、「精神(魂)」に関係する能力を発揮するという形になる。
『チャリオッツ・レクイエム』の場合、本体:ジャン・ピエール・ポルナレフの「『矢』を護りたい」という想いを受け継ぎ、あらゆる者から『矢』を守護する存在として発現した。そして、『矢』を守護するための手段として、あらゆる生物の精神を入れ替える能力を発動したのであった。


「ジョジョ世界」はある超越的・絶対的な力で満たされており、ありとあらゆる存在がこの力を共通して保有している。『フー・ファイターズ』(が引用した天文物理学者フレッド・ホイル)の言葉を借りるなら、その力とは「知性」である。全ての物質や生物はこの「知性」に導かれて生まれ、物質や生物に宿る「知性」は自身の「情報」を絶えず記憶し続けているのだ。
そして、この「知性」は大なり小なり互いに反応し合い、影響し合い、「物質世界」において1つの巨大な流れを形作る。何者にも抗えぬ「因果の流れ」、なるべくしてなる「必然の連続」。人はそれを「運命」と呼び、「運命」を決定付ける「知性」そのもの(が持つ意志のようなもの)を「神」と呼ぶのである。
スタンド使いを生み出す『矢』の原料は、数万年前に地球に飛来した隕石なのだが、その中には未知の殺人ウイルスが閉じ込められていた。このウイルスとは、他の「知性」との反応が強い「知性」の塊である。そのため、このウイルスに感染し生き残った者は、「知性」によって定められた「この世のルール」を1つだけ破れる許可証とも言うべき特別な力を獲得する事が出来る。これこそがスタンド能力の発現の原理である。
そして、「レクイエム」を生み出す『矢』(=ポルナレフが持っていたデザインの違う『矢』)の原料は、隕石の中でもとりわけ強力で異質な「知性」が眠る箇所だったのだろう。だからこそ「レクイエム」には、言わば「運命」の意志「神」の意志が宿っているのである。(詳細はこちら) 即ち、「レクイエム」とは「運命」そのもの、「神」そのものなのだ。


「運命」そのもの、「神」そのものであるがゆえに、「レクイエム」がこの世に存在できるのは1体のみである。同時に2体以上の「レクイエム」が発現する事はあり得ない。
「レクイエム」を生み出す『矢』も、恐らくこの世に1本しか無いものと思われる。そして「レクイエム」は、『矢』を自らの身体(ヴィジョン)に取り込み、その秘められし力ごと一体化する。暴走状態で不完全な「レクイエム」である『チャリオッツ・レクイエム』も、常に『矢』を自分の物とし、『矢』を奪い取られた時は自分が消滅する時であった。


『矢』に刺された『シルバー・チャリオッツ』は、その凄まじい力に耐え切れず、ドロドロに溶けていく。そして、本来ならば『シルバー・チャリオッツ』の内部に宿るはずだったエネルギーが外に漏れ出し、まばゆい光を放つ。その光のエネルギーはあっと言う間に世界中に拡散。そのまま消滅してしまわないように纏まって「光の玉」となり、世界中のありとあらゆる生物の精神に取り憑いてしまう。
この時点で、「心の影」である黒いヴィジョンも現れる。これは『シルバー・チャリオッツ』のヴィジョンを形作っていたエネルギーの残滓である。全生物の心を投影される事で、ようやく新しい姿と力を得るに至ったのだ。
即ち、『チャリオッツ・レクイエム』は不完全であるがゆえに、「光」と「影」の2つに分かれてしまったのである。


『チャリオッツ・レクイエム』の能力には、大きく分けて2つの段階がある。それが「前奏曲(プレリュード)」と「本編」である。
それぞれの詳細については以下に記述する。


「前奏曲(プレリュード)」は、あらゆる生物の精神を入れ替える段階である。
『チャリオッツ・レクイエム』はまず、取り憑いた生物に強烈な「眠気」を喚起し、強制的に眠らせてしまう。この眠気に抗える者はいない。6~7時間ほどで目を覚ますと、その時にはすでに精神が入れ替わってしまっている。近い距離で寝ている者同士の肉体から精神を引きずり出して交換してしまったのだ。
なお、「眠り」から目覚めるのは、「心の影」を中心に数百mほどの範囲の生物だけである。「心の影」の移動によって、目覚める者の数も徐々に増えてはいくが……、地球上のほとんどの生物は、眠りに就いたまま『チャリオッツ・レクイエム』の能力の終焉を迎えるだろう。


スタンド使いは、肉体が変わろうと、そのまま自分のスタンドを使える。「スタンド」とは、その本体の「生命」や「精神(魂)」のエネルギーから生まれる「スタンドパワー」によって形作られるからだ。しかも、精神コンディションが絶好調になっており、スタンドもパワーアップ。「基本スペック」が大きく向上する。
これは、本来『シルバー・チャリオッツ』の内部に宿るはずだったエネルギーが外に漏れ出して「光の玉」になった事とも関係している。スタンド使いとは「運命」に選ばれた者であり、だからこそ「運命」そのものとも言える「レクイエム」に直に取り憑かれ「光の玉」に照らされた事で、一時的にスタンドとしてのステージが一段階引き上げられたのだ。


自分の「本当の肉体」に入った者が死に、その精神(魂)が昇天してしまったなら、「本当の肉体」に戻る事が可能である。
「本当の肉体」に直接触れていれば、精神は2つの肉体を自由に行き来できる。そして、「本当の肉体」に完全に入り込めば、元に戻れるというワケだ。もっとも、「本当の肉体」が生命活動可能な状態でなければならないため、現実的にはそうそう起こるものではない。
逆に、入れ替わっていた「別の肉体」は、精神が抜けてしまうとすぐに生命活動が停止する。「肉体」と「精神」、2つが揃ってこその「生物」なのだ。


『チャリオッツ・レクイエム』は『矢』自体に特殊な「力場」を発生させ、『矢』を護るために何物をも排除しようとする。その「排除の力場」は、「鏃(やじり)」の部分を中心とし、半径20~30cmほどの範囲に広がっている。中心部に近付くほど、「排除の力」は強く働くようである。
「スタンド使い」が『矢』に触れようと「力場」に侵入すると、自分のスタンドが空間さえ超えて勝手に発現し、本体を殺そうと襲い掛かる。自分のスタンドか「心の影」(=真っ黒なヴィジョン)に強いショックを与えない限り、自分のスタンドのコントロールは奪われたままで、自分自身に対する攻撃も決して止まらない。上記のスタンドのパワーアップは、より確実に自滅に追い込むためのものでもあるのだ。ただ、スタンドが襲って来る前に「力場」から離れれば、スタンドはおとなしく引っ込んでくれる。
スタンドを持たない「一般人」は、「力場」に侵入して『矢』に触れる事が可能。だが、一度『矢』に触れてしまうと、「心の影」が直接襲い掛かって来る。その攻撃はあまりにも暴力的で執拗である。たとえ『矢』を手放そうとも、殺し終わるまで攻撃は決して止まらない。
生物ではなく「物質」を『矢』に当てようと「力場」に侵入させると、やはりその物質は空間を超え、当てようとした者に返って来る。「箆(の)」(=矢の棒の部分)になら当てる事自体は可能なようだが、どちらにせよ、その物質は自分自身に返って来る事になるのだ。
……この「排除の力場」も、「心の影」に凝縮された膨大な精神エネルギー(全ての生物の精神エネルギー)によって創られている。つまり、「排除の力場」に抗おうとする事は、自分自身に逆らう事と等しい。『矢』を奪おうとすればするほど、自分が傷付いてしまうのである。


「前奏曲(プレリュード)」の開始からしばらく時間が経過すると、いよいよ「本編」が開始する。「本編」は、あらゆる生物を「別のモノ」に入れ替える段階である。
精神が入れ替わり、肉体と精神のバランスが著しく変化したため、生物はその両者のバランスが保たれる状態になろうとする。すると、肉体も精神も、これまでとはまったく異質の「別のモノ」へと徐々に変貌していってしまうのだ。その姿はまさに異形そのもので、明確な自我・意識も次第に失われ、うつろな表情を浮かべるのみである。多少の個人差はあるものの、最終的には地球上の全ての生物が「別のモノ」と化すだろう。
この「別のモノ」は恐らく、『矢』を手に入れようとする意志さえ持てず、たとえ『矢』で刺したとしても何の変化も影響も顕れない新たな生物である。「眠り」という仮初めの「死」を経て、この世の生物は新しく生まれ変わる。そうする事で、『矢』は永遠に護られるのだ。


前述の通り、『チャリオッツ・レクイエム』は(不完全と言えど)「運命」の筋書きを決める「神」である。そのため、精神を入れ替える能力だけでなく、「運命」を書き換える力も備わっている。前者がポルナレフの「レクイエム」としての固有能力、後者が「神」としての共通能力……というイメージだ。『チャリオッツ・レクイエム』に宿る「神」の意志は、ポルナレフの願いを叶えようとして「運命」の流れを操る。そのために『チャリオッツ・レクイエム』は「光の玉」になった。
あの「光の玉」の根本は、ポルナレフの心の奥底が望んだ「理想」のエネルギーである。だからこそ、『チャリオッツ・レクイエム』が行使する様々な能力と手段は全て、「『矢』が悪しき者に渡らない安全な世界」という「理想」を実現するためだけに存在する。この「理想」の光に照らされて創り出された「影」は、現実世界・物質世界において具体的な力を発揮し、外敵から『矢』を守護する。そして、この現実世界・物質世界の「運命」は、光に導かれるようにして「理想」の世界へと向かって行く事になる。
その「理想世界」とは、進化の行き止まり・袋小路とも言うべき世界。進化や発展はおろか、ささやかな変化すら訪れない世界。安穏な「停滞」「停止」以外に何もない、静かなる世界。もはや、『矢』にとっての危険は存在せず、『矢』はその価値さえ失うだろう。このように『チャリオッツ・レクイエム』は、たった1つの「理想」のためだけに、この地球の生命が辿って来た数十億年の歴史と運命をも捻じ曲げる形で発現したのである。


この世が「理想世界」に到達する前に「光の玉」を破壊できたなら、「心の影」も砕け割れ、そこから強い「風」が吹き荒ぶ。「心の影」に凝縮されていた膨大な精神エネルギーが解放され、勢い良く噴き出したものである。この「風」は、肉体と精神の結び付きを緩め、精神を「本当の肉体」の元へと吹き飛ばしてしまう。こうして『チャリオッツ・レクイエム』は解除され、消滅していくのだ。
ちなみに、すでに「本当の肉体」に戻っている者にとっては、この「風」による影響はほとんど無い。逆に、もし精神(魂)が昇天しかかっている者がいれば、ギリギリで「本当の肉体」に戻し、生還させる事も可能である。
また同時に、スタンドの存在感をも弱め、希薄でおぼろげな存在にしてしまう。その間は、スタンド・ヴィジョンが半透明になり、あちこちがボロボロにささくれ、物質に触れる事さえ出来ない。




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